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<DISC ONE>
「密室症候群」
――ロシターは密室ものを得意とする作家だ。彼は鍵がかかった自室の中にいると落ち着く。今、執筆中の新作の密室トリックが思い浮かばなくて、悩んでいた。
ある夜、どうやって部屋に入ったのか、中世の騎士の服装をした兄に揺り起こされた。ソファの陰に両親の遺体があった。兄が、私が殺したと言った。そして、兄は弟に剣を向けた。
この作品では、心の密室を描こうとしている。
「禍なるかな、いま笑う死者よ」
――アダムスは、QBSテレビの敏腕プロデューサーで新番組に出演するお笑い芸人のオーディションをしている。コーエンというアダムスの古い知り合いが、演技をしたがまったく面白くなかった。彼はコーエンを落とした。
コーエンはアダムスへの復讐を計画した。
「音のかたち」
――「人はなぜ、音楽を聞いて、感動をするのでしょうかね?」とハルが聞いた。甥のボブ、弁護士のサイモンと3人で議論になった。その後、ハルが最近買ったドイツのシーメンス社製高級スピーカーを鳴らしてみせた。
数日後、サイモンが殺された。その翌日、ハルが失踪した。
「解決ドミノ倒し」
――吹雪で山荘は陸の孤島となり、そこでオーナーのマンスフィールドが殺された。宿泊者と使用人が食堂に集められた。トレイシー警部が、食堂に集まった容疑者5人から事情を聞いた。
そして、犯人は執事のジャーヴィスだ、と特定した。しかし、話を聞いていると、彼に殺人はできないことが分かった。次に、弁護士のバトラーが怪しい、ということになったが、彼も犯人ではなかった。次々に容疑者が絞られては、犯人ではないとわかってゆく。
どんでん返しに次ぐどんでん返しがみもの。
<DISC TWO>
「あなたが目撃者です」
――10代の少女娼婦ばかり7人殺される事件が発生し、レッド・リヴァー連続殺人事件と名付けられた。これを≪あなたが目撃者です≫というテレビ番組が取りあげた。映像で再現しながら、視聴者から情報を寄せてもらう。
ある家のリビングで、中年夫婦がその番組を見ていた。情報が寄せられるにしたがって、妻の顔色が変わって来た。
「私が犯人だ」
――二人の捜査員が、部屋を調べている。「私が犯人だ」とグッドマンは言った。レノラの死体は暖炉の中にある。もう一度「私が犯人だ」とチャールズ・グッドマンは言ったが、捜査員は無視した。そしてグッドマンに言った。「邪魔をするな。さっさとここから出て自分のするべきことを考えるんだな」
なぜ、だれも信じてくれないんだ、とグッドマンは考えた。
「いいニュース、悪いニュース」
――ゲイがひとつのテーマになっている。二組の破局を迎えつつある夫婦があった。フランクは妻のエレンに離婚話をきりだした。エレンは絶対に離婚しないと言いはった。アンジーはポールに離婚を切り出した。ポールは法外な慰謝料を要求した。彼女にとって、とても納得できる額ではなかった。
結局、フランクはエレンを殺害し、ポールはアンジーを殺害したが……。
「蒐集の鬼」
――マッケリーはSPレコードのコレクターだ。セールスマンをしており、行く先々の骨董店でSPレコードを買いあさっている。
ひょんなことで、トム・ガスキンの店にいいものがあるという情報を得た。行ってみると、たいしたものはなかったが、何枚か買った。宿に帰って、SPレコードを洗っていると、大変な失敗をしたことに気がついた。
レーベルのシールを使ったトリックがみもの。
「不在のお茶会」
――植物学者、3月生まれの作家、精神科の女医が、四角いテーブルを囲んでいる。テーブルの上には、ティポットやカップが置いていあった。テーブルの一辺には空席だった。
「わたしとは何か?」というテーマで議論が始まった。それぞれが意見を述べて、「植物にも人間のように、意識がある」というような流れになった。
この作品だけ、事件が起こらない、哲学的内容になっている。
全体として、殺人事件が起きて、探偵や刑事が捜査をして、なぞ解きをするという定式ではない。いろいろと工夫がされている。ちょっと違うミステリーである。
ホーム・ぺージ『これがミステリーの名作だ』も御覧ください。
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