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原作はクリスティ自ら、もっとも気に入った作品のひとつとして挙げているものであり、
クリスティベスト10にも必ずでてくる作品だ。
エルキュール・ポワロを演じているのはデビット・スーシェ。
彼ほどポアロを演じるシリーズは、映画ではなく、TVドラマなのだけれど、キャスティングが実にいいと思う。
ヘイスティング中尉やジャップ警部もイメージピッタリ。
それから背景に出てくる1930年ぐらいのイギリスの邸宅や車なんかもすごく自然でいい。
ただ全体に、ちょっとコミカルに造り込んであるものが多い。
才気あふれて、放蕩三昧の著名画家アミアス・クレイルが殺害される。
殺害当時、画家は若いモデル、エルサを自宅に招いて、作品を制作中だった。
画家は夫人のキャサリンがいるにもかかわらず、エルサを溺愛し、エルサも彼との結婚を強く望んでいた。
当然、キャサリンが犯人とされ、裁判でも有罪となり死刑になってしまう。
彼らには当時7歳の娘がいたが、14年たって、その事件と、冤罪を告げる母の手紙を手にする。
彼女はポアロに依頼するが、14年も前のことなので、当時の証拠は何も残っていない。。。
結構重いストーリーなので、このシリーズでは軽すぎるような気がしていた。
しかしさすがに著名作だけあって、音楽や、映像がふだんよりしっとりと作りこんであり、
かなりいい作品だったと思う。
クリステイの映画というと「そして誰もいなくなった」以外はろくな作品がない、、と思っていたのだが
これは凄くいいと思った。
ただ1つ残念だったのは、アミアスが描いたエルサの作品が出てこないことだ。
彼は死の直前まで、すべての情熱を込めてこの絵を描いた。
それだけでなく、この絵には事件を物語る大きな意味が込められており、
原作中では、最後にみんなでこの絵を見つめなおす、、というシーンがあるのに、
ほとんど出てこなかった。
そして、ちらりと出てくるその作品のイメージもちょっと軽かったなぁ。
1930年ぐらいというと、当然ゴッホやピカソも登場していた時代であり、
かなり濃厚な絵をイメージしていたのだけれど、まるで黒田清輝のようなアッサリとした絵に見えた。
もしかしたらそれは予算の限界だったのかもしれない。
まあそんなところを見る人間は少ないだろうから、どうでもいいことかもしれないけどね(笑)
ヤッターマンスペシャル版 2008.05.06
大地の子 2008.02.21