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華の世界
第四章(2)
第四章(続)
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昼下がり、家偉も正雄も永華も麗姫も出かけた。僕は部屋で本を読んでいた。
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持って来た小説は全部読んでしまったが、中華街の本はとても高いから、しかたなく、再び、三度読むしかない。
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ドアがノックされた。
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「はい。かかってないよ」
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ドアが開けられた。「あのう・・・」ダイナーだった。
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僕は「あっ、君か」とびっくりした。
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「えっ?何が?」とダイナーは聞いた。
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「別に」
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「ほかの人は、どこへ行きましたか」
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「みんな出かけてるよ」
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ダイナーは机の上の本を発見した。「どんな本ですか?」
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「小説」
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「あたし、字があまり読めません。広東語が話せますが、読めません」
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僕はすぐ「教えてあげる」と言った。
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「本当?」
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「もちろん」
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「ありがとう」
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「いいえ」
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いいチャンスだから、逃させるものか。
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紫華はもう僕と別れた。僕は新しい恋人を探しても悪いことではない。
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でも、ダイナーには恋人がいるかどうか・・・
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初めて出会った日に、そんな質問はちょっと。
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ダイナーは「この辺りに、スーパーがありますか?」と聞いた。
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「あるよ。連れて行こう」
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「本当にすみません」
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「たとえシドニーの都心であっても、僕も連れて行くよ」と僕は思った。
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僕はダイナーを連れて、歩いてスーパーへ行った。
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「君は一年生?」
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「そうです」
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「一年生にしては、遅いですね」
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「あたしの家はここから遠くないから、遅くてもかまいません」
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「君の家、どこ?」
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「シドニーの南部にある町です。電車なら四時間」
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「四時間ならけっこう遠いじゃん」
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「でも、オーストラリアに、四時間はたいしたことではないです」
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「そういえばそうだよね」
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ダイナーが言うとおり、学校からシドニー都心まで一時間かかるから、四時間は近いとも言える。
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「シドニーに来たことある?」
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「よく来ています」
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「そうか。」
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僕たちはスーパーに着いた。
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僕はトロリーを取った。ダイナーは品物をたくさんトロリーに置いた。
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「こんなにたくさん買う?」
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「買い物は週に一回ですから」
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「すごい」
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「あなたはそうじゃないの?」
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「僕は一日おきです」
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「じゃ、少し減りましょう」
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「いいえ、僕のことを気にしないで」
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「いいよ。ここから学校まで歩いて、大変だもん」
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実は、僕もこの事を心配していた。でも、なかなか言い出せなかった。
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半時間後、ダイナーは「帰りましょう」と言った。
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寮に着いた時、ちょうど家偉と正雄と会った。
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「あれ?どこ行った?」と家偉は聞いた。
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「彼女をスーパーへ連れて行って来た」
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家偉は僕に小さな声で「お前、早いな」と言った。
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「チャンスは自分の手で掴むぞ」
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「心配するな。僕の彼女もこの学校にいるから」
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「そう?ぜんぜん知らなかった」
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夕食の前、麗姫は「祝いにしましょう。みんな揃ったから。しかも、ダイナーが着いた」
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永華は「なんで?僕が着いた時、祝いはなかった」と言った。
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「お前が着いた時、僕が迎えたじゃん。もう十分だろう」と僕は言った。
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「お前?」
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「何だよ?」
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みんな笑い出した。
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ダイナーは「あたし、羊肉を買いました。一緒に食べましょう」と言った。
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麗姫は「あたしも手羽先がたくさんあります」と言った。
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「じゃ、一人ずつ、料理を一つ作ろう」と僕は言った。
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正雄は「キッチンは小さいぞ!六人一緒には無理だ」と言った。
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「僕たち、材料を提供する。そして、作るのは一人だけでいい」と永華は提案した。
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僕は「じゃ、誰が作る?」と聞いた。
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麗姫は「ボランティアはいないはずだ。ジャンケンにしましょう」と言った。
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ジャンケンの結果は、一番目は僕だった!
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「なんで僕だ?」
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そして、二番目のはなんとダイナーだった!
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あれ?状況は悪くなさそうだ。
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麗姫は「あっ、悪いね。君は初めてだから、もう一回ジャンケンしましょう」と言った。
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ダイナーは「いいよ。あたし、かまいませんから」と言った。
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家偉は「じゃ、僕たち、ちょっと遊びに行こう」と言った。
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「お前ら・・・」と僕は言った。
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ダイナーは「早くしましょう。みんなお腹がすいたから」と言った。
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みんなは材料を出した。そして、僕とダイナーはキッチンで頑張った。
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僕はこっそりダイナーを見た。どの角度でも、きれいだ。
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ダイナーは「どうしたの?」と聞いた。
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「いいえ、別に」
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彼女は僕の心を読んだのか、顔が赤くなった。
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料理ができた。永華は一口食べてみた「うまい!これはワーレンが作ったものじゃないはずだ!」
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「何だと?」と僕は言った。
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実は、僕たち(ダイナーを除いて)はもう二週間一緒に住んでいた。お互いに料理の腕がよく分かる。
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永華も家偉も正雄も僕も、まずいとは言えないが、うまい料理を作るのは無理だ。
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麗姫は僕たちより少しよかった。
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今回、永華は「うまい」と言っていたなら、きっとダイナーが作ったものだった。
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「君、すごいな」と僕は言った。
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「いいえ」
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家偉は僕に小さな声で「チャンスを掴むぞ!」と言った。
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「余計な世話だ」
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永華はほかの料理を食べてみた。「これは百パーセントワーレンが作ったやつ!」
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思い切りグーと殴ってやりたい。
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食事後、皿を洗う時間だ。
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麗姫は「私たちが洗いましょう」と言った。
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永華は「私たちって、誰と誰?」と聞いた。
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「ジャンケンに決まっているじゃん」
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今度の結果は永華と家偉だった。
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「なんで僕?」と永華は言った。
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僕は「ざまみろ」と言った。
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テレビの番組はつまらなかったから、僕は部屋に戻って、小説を読むことにした。
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ダイナーは僕に従って「貸してくれるって言っていたでしょう」
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「どうぞ」
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「簡単な物はありませんか?」
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僕はラブストーリーを指した。
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「分からない字があったら、どうします?」
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「僕に聞けばいいよ」
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「じゃあたし、ここで読みます。すぐ聞けますから」
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部屋には椅子が一脚しかない。僕は「もう一脚運ぼう」と言った。
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「いいえ、あたし、ベッドに座ればいいですから」
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ダイナーは中国語が僕の思うより上手だ。分からないのは難しい字と諺だけだ。
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「分かっているじゃん」と僕は言った。
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「そうですか?家には中国語の本がたくさんありますが、あたしはめったに読んでいません」
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「どんな本ですか?」
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「お父さんが読んでいる本です。全部難しくて分からないものばかり。あたしはやっぱり小説のほうがいいです」
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「たくさん持っているから、ゆっくり読んで」
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「中華街で買おうと思いましたよ。でも、高すぎる」
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「そうよ!だから、香港からたくさん持って来た」
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「出会えてよかった。ラッキー」
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僕は彼女を抱きしめたい。
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でも、何もしなかった。
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ダイナーは小説を二冊持って行った後、僕はリビングルームへテレビを見に行った。
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家偉と正雄はソファーに寝転んでいた。二人が席を全部占めていた。
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「おい、ちょっと退いてよ」
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家偉は床に指して「床に座れば」
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正雄は「大丈夫よ。今朝掃除しておいたから」と言った。
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僕は床に座った。「ね、おかしくと思わない?」
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「何が?」
__
「この寮に、六人もアジア人っていうこと」
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「さっきダイナーはアジア人じゃないと言ってたじゃん」と家偉は言った。
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「でも、彼女は一応中国人だろう。中国語もしゃべれるし。僕が言いたいのは、オーストラリア人がいないっていうこと」
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正雄は「そういえばそうだよね。去年、僕の寮にはオーストラリア人が四人もいた。僕と家偉が例外だったけど」と言った。
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「僕の寮にも三人いた」と僕は言った。
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家偉は「たぶん学校の新しい政策だろう」と言った。
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「でも、これがいいね。広東語が通じるって」と僕は言った。
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「麗姫はできないよ、自分の名前しか分からない」と正雄は言った。
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「教えてあげようよ」と家偉は言った。
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正雄は「時間がないんだ」と言った。
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「ま、どんな言葉でもいい。一番大事なのは、みんな楽しく暮らしていること」と僕は言った。
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「そうだ」
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授業が始まった。
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僕はもう二年生だから、学校のことはよく知っている。最初の好奇心はなくなった。
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こうだったら、来年どうする・・・
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図書館には新しい本が置いてあった。厚い小説だった。もちろん英語の本だった。香港から持って来た本はもう何回も読んだから、英語の本でもいい。
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ダイナーは僕と一番仲がよさそうだった。よく一緒に出かけている。
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僕たちは普通に歩いているだけだった。僕はもう一歩踏み出したいが、勇気がない。
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五月、天気が涼しくなった。
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「今年、わりと涼しいね」と僕は言った。
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正雄は「去年もだいたい同じだろう」と言った。
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ダイナーはTシャツじゃなくて、薄いセーターを着ている。
__
ある日、僕はダイナーの部屋へ行った。ドアが開いている。彼女が机の上に何かをしているのを見た。
__
僕はドアをノックした「ダイナー?」
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ダイナーはびっくりした。慌てて机の上の物を引き出しに置いた。
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「はい?」
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僕は「麗姫はデザートを作った。一緒に食べない?」と言った。
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「あ、いいよ」
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「何をしている?」と僕は聞いた。
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ダイナーは「さあ、行きましょう」と言った。
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さっきのはなんだろう?
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永偉は食べながら、「韓国人のデザート、うまいね!」と言った。
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正雄は「前回のは、比べようもない」と言った。
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僕は咳払いをした。
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「前回の」というのは、僕が作ったものだ。
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ダイナーは「前回のもあまり悪くないと思うよ」と言った。
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永華はすぐ「ダイナーはきっとワーレンの味方だ」と言った。
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「何よ?」とダイナーは言った。
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僕はこ永華のやつを罵ろうと思う時、正雄は「おかわり!」と言った。
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ま、許してあげる。
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デザートを食べた後、ダイナーは部屋に戻った。しかもドアを閉めた。なんか神秘だった。
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麗姫は「最近どうしたの?おかしい」と言った。
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家偉は僕に聞いた「知っている?」
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僕は首を振った。
__
「お前さえ知らないなら、知っている人はいないはずだ」と永華は言った。
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「お前!」
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麗姫は「やめなさいよ」と言った。
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ダイナーは毎晩部屋にこもったが、毎朝きちんと起きて授業に行っている。僕たちとも楽しそうに過ごしている。
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みんなプライベートがあるんだ。
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六月。試験は寒さと一緒に来た。
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今年は去年より寒い。去年、僕はセーターを着ると大丈夫だったが、今年はダメだ。
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夜、僕はストーブをつけた。手を温めた。
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教科書を机の上に置いたが、ぜんぜん読む気はなかった。寒さのせいか。
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ダイナーはドアをノックした。「入っていい?」
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「どうぞ」
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ダイナーはバッグを持って入った。
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「何ですか」
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「あげる」とダイナーは言った。
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「僕に?」
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「取り出して」
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バッグの中の物は柔らかい。僕はバッグを開けた。マフラーだった。
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「あ、キレイだ」
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マフラーは青色と白色。でも、少し長すぎる。僕の身長より長い。
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「どこで買ったの?」
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「何を言ってるのよ。あたし、手作りですよ」
え?
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「あたし、この間毎晩編んでいたよ」
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この前、毎晩部屋にこもっていたのは、これか?
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僕は何も言えなくなった。
__
「ね、長すぎる?」
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僕はマフラーを巻いた。とても暖かい。「いいえ、ちょうどいい」
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でも、本当はとても長い。地面まで垂れた。
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ダイナーは笑った「やっぱり長すぎる」
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僕は「どうして僕は青色と白色が好きだってこと分かる?」と聞いた。
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「だって、いつも青色と白色しか着ていないじゃん?ほかの色はぜんぜんない」
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「ありがとう」
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ダイナーは「こんなに長くなっちゃったから、二人で使ってもいいよね」と言った。
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「何?」
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ダイナーは余った部分を自分の首に巻いた。「二人で一緒に巻いても十分です」
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マフラーのおかげで、僕たちの距離はすごく近くなった
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ダイナーの体から漂っていた香りは僕を酔わせた。
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僕はもう我慢できなかった。彼女の腰を抱いた。
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ダイナーは何も言わなかった。そして、手を出して、僕の首を抱いた。
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彼女の顔は僕の目の前にいた。僕は彼女の唇にキスした。
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気温は突然上がった。
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僕は夢の迷子になった。
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何分経ったか分からなかった。僕たちの唇は離れた。
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さっきの感覚はまだ僕の頭の中にいた。
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ダイナーは小さな声で「きついよ。息ができない」と言った。
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僕は手を放した。「ごめん」
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「いいえ、抱いて。」
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僕の手はまた彼女の腰を抱いた。
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新しい恋が始まった。僕ははっきり分かった。
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「あっ、あたし、勉強しなきゃ」とダイナーは急に言った。
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僕は手を放した。
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ダイナーは歩き出そうとした。でも、僕のほうに転んだ。
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「どうしたの?」
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「いいえ、マフラーが巻いているから」だから彼女は行けなかった。
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僕はマフラーを外した。
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「汚さないでよ」とダイナーは言った。
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「大事にする。バッグで包むから。絶対汚さない」
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「ばか。包んだら、使えないじゃないの?今は寒いから、気をつけなきゃ」
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「じゃ、君は?」
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「あたし、自分のを持っているから」
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彼女は僕の部屋を出た。さっきのは現実か、夢か、分からなくなった。
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夢だったら、このまま永久に続けたい。
(つづく)
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