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効用表示

食品の効用表示、日本と米国はこんなに違う!

日本で初めてビタミン外来を創った稲毛病院佐藤務先生の講演より
安易にサプリメントを否定して患者の健康になる権利を奪ったり、
西洋医学を否定し、サプリメントなどで安易に補完療法だけを推奨して
患者の治療を受ける権利を奪う医療者は淘汰されていく。
21世紀はサプリメントを活用しないと健康に生きていけない時代になった。


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世界に先駆けたはずの日本だけれど……

農作物が効果・効能がうたえて、さらによい健康食品、サプリメントが薬事法の規制から一切いえない矛盾。
農作物よりはるかによく、医薬品以上のものまであるのに何もいえない矛盾。
でたらめな製品がめだつのも基準があいまい、レベルが低いからだ。

日本には、食品の健康機能を表示できる特定保健用食品(トクホ)制度があるが、病名を明示できないなど、改善の余地が大きい。
栄養機能食品という表示制度もあるが、表示可能な成分は一部のビタミンとミネラルに限られ、病名を明示できないし、しかも、わかりにくい栄養機能表示しか許されていない。

米国ではどうなっているだろうか。日本との違いを中心に見ていこう。
まず、(1)審査方法が異なる。
日本のトクホは、1商品ごとにトクホ表示を認めるかどうかを審査する個別評価方式だ。
一方、米国では米国食品医薬品局(FDA)が世界の研究を調査し、有効だとFDAが判断した成分を公開。企業は、食品やサプリメントに、その有効成分を一定以上含有すれば、ヘルスクレーム(健康強調表示)が可能になる仕組みだ。
つまり、トクホのように1商品ごとに審査するわけではなく、規格基準型と呼ばれる方式だ(日本の栄養機能食品は規格基準型の制度である)。

現在FDAは、大豆タンパク、カルシウム、葉酸、植物ステロールなど、12種類を有効だと認めている。
しかも、(2)商品に表示するヘルスクレームとして、病名を示して予防効果があることを食品に標ぼうできる。

例えば、
「大豆たんぱくは冠状動脈心疾患(心臓病)を防ぐ」
「カルシウムは骨粗しょう症を防ぐ」
「葉酸は神経管閉鎖障害(二分脊椎症や無脳症など)を防ぐ」
といった具合だ。

さらに、(3)有効成分量を明示し、しかもその4分の1量を含めば、ヘルスクレームが可能になる。
例えば、大豆たんぱく質の場合、1日25gを摂取すれば、冠状動脈心疾患のリスクを減らせるとFDAは判断し、この25gの4分の1に相当する6.25gの大豆たんぱく質を含む食品はヘルスクレームが可能だ(ただし、大豆たんぱく質の場合、脂肪分を多く含む食品は、たとえ有効量を含んでいてもヘルスクレームは不可能)。

また、(4)エビデンスの確からしさ(エビデンス度)が、日本より米国のほうが格段に高い。
米国では、成分の有効性を示す研究だけでなく、有効性を否定する研究も調べ上げて、有効性の有無を判断している。参考にする研究には、大規模なヒト介入試験も含まれる。
数多くの研究を調べ上げて総合的に判断するメタアナリシス(系統的解析)という科学的に厳密な評価方法を採用している。

これに対して日本のトクホでは、ヒト介入試験の対象人数が数十人規模と決して大きくはない。
また、介入試験の結果も、“チャンピオン・データ”や“オリンピック・データ”と呼ばれる再現性の乏しいものでもトクホ取得が可能だ。
もちろん、有効性を否定する研究は不要だ。

米国には、効用表示を可能にする三つの仕組みがある
米国でこれらのヘルスクレームが可能になったのは、1990年に成立した栄養表示教育法(NLEA)に基づく。
さらにFDAは、国民の健康増進に役立つ食品の情報の量を増やすため、2003年9月から「クオリファイド・ヘルスクレーム(限定的健康強調表)」の制度運用を試験的に開始した。
NLEAに基づくヘルスクレームを認めるほどのエビデンスの蓄積はないが、それに準じるエビデンスがある食品に、但し書きを入れてヘルスクレームを認めていく制度。

まず、ナッツ類の冠状動脈心疾患リスク低減について、「決定的なエビデンスは得られていないが」という但し書きつきで、ヘルスクレームを認めた。
NLEAは厳密さでは定評があるが、新規成分や新規の効用に対して、素早く対応できないという弱点がある。

これを補うのが、クオリファイド・ヘルスクレームだ。
これらに加えて米国には、サプリメントに栄養効果を表示できる栄養補助食品健康教育法(DSHEA)もある。
FDAの反対を押し切って議員立法で1994年に法制化されたもので、1999年から完全実施されている。
サプリメントを市販する前にFDAの承認得る必要はなく、発売後にFDAに通知するだけでよい制度だ。

日本の効用表示は、改善すべき
タマネギの例にみられるように、日本では、農作物であればエビデンス度が高くなくても、広告などで効用を標榜できる。
ところが、農作物にちょっと手が加わったとたんに、効果の標榜は許されない。
こんな状態であるため、国民は、食品が持つ効用を知る機会が制限されている。
トクホ制度は、新規成分や新規の効用に対応しやすく、トクホ商品を開発する企業にとっても研究開発力を生かせるなど利点があるなど、優れた点も少なくない。

だが、日本の食品に関する効用表示の制度は、米国の制度なども参考にして、見直すべきだ。
食品に、疾病予防効果を表示する動きが国連で進んでいる。
事実上の世界標準となりうる国連のコーデックス(正式にはFAO/WHO合同食品規格委員会)で、食品の疾病リスク低減表示を認めるヘルスクレーム制度のガイドラインが2006年にもまとまる見通し。
このガイドラインができれば、当然、日本も対応せざるをえなくなると見られている。

食品への効用表示は、世界的な流れになろうとしている。
日本も、より国民の役に立つ制度への見直しを強く望みたい。
(日経ヘルスより抜粋)

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