WILDハンター(仮)

WILDハンター(仮)

五章



――ヒュォォォォ…クェェェ…ヒュゥゥゥ…――

 乾いた風が吹き、どこからか鳥の声が聞こえる砂の原野…砂漠。そこを一隊のキャラバンが進んでいく。ハンターと思しき人影も3人ほど見える。
砂漠…昼は灼熱、夜は極寒と寒暖差が激しい危険な地帯である。だが、ここは重要な交易路の一つでもある。砂漠の特産品であるサボテンの花やそれをマカ漬けにした百日サボテン、この他に砂漠に生息するモンスターの素材を他の地方へ輸出して、この地方の街や村は交易を行っている。当然、他の地域へ出るには砂漠を横断するしかない。しかし、砂漠には砂竜ガレオスやゲネポス等のモンスターが生息している。それらのモンスターに襲撃されれば普通の商隊では簡単に全滅してしまう。そこで大抵の場合ハンターに商隊護衛を依頼するのである。一応事前に最も安全で早く通過できるルートを設定していくのだが、イレギュラーを想定して、最後の保険としてハンターに依頼を出すのだ。

「なぁ…この積荷どこへ運ぶんだい?」

 バスターブレイドを背負った男性ハンターが商人に尋ねる。

「これはジャンボ村へ運ぶんだ。なんでも酒場の改装に必要なんだとさ」

「へぇ、ジャンボ村か…たしか最近ハンターが集まってるんだってな」

「あぁ、そう聞いているがあんたら向こうにずっといる気かい?」

 その問いにちょっと男が考えていると、後ろへハンターボウを背負った女性ハンターがすっと近づいていく…とおもむろに拳を振り上げ…

「ん~それもいいかm…ってぇぇぇぇぇ」

 男の頭に思いっきり振り下ろした…男は頭を抑えて唸っている。

「サイツっ!仕事中に無駄話をしないッ!」

 頭を抑えているサイツと呼ばれたハンターは、殴った相手を睨んで、

「リータ…てめぇ…あとで覚えてろ」

 とありきたりな台詞を吐いた。それを聞いてリータと呼ばれた女性ハンターは腕組みをして、

「ほう…面白いねぇ。あんたがあたしをどうするのか大変興味があるよ」

 頭を抑えたままサイツは黙り込んでしまった。はっきりと二人の力関係がわかる図である。そこへデスパライズを腰にさした男性ハンターが止めに入る。

「まぁまぁ、リータさんそれくらいにしてください。サイツさんも反省してますから」

「しかたないね~カイヅがそういうならこれくらいにしておくよ」

 ノッシノッシとリータは持ち場へ戻っていった。とサイツが

「サンキュ~カイヅ助かったぜ」

「いえいえ、にしても迂闊ですよ。リータさんに喧嘩を売るのは」

「あぁ…そうだな…あいつの気の強さはディアブロス並だ…」

「またそういうことを…さ、私達も持ち場に戻りましょう」

「了解ッと、にしても早く砂漠を抜けないかね~」

 やれやれという風に持ち場に戻るカイヅに文句をたれながらサイツも自分の持ち場へ戻った。しばらくは平穏な旅が続く…のだろうか?

「こら~~サイツッ!商隊の女の子にちょっかいだしてんじゃないっ!」

「ち…ちが、ちょっと待てリータおちつ…がはっ!?こらなぐr…ぎゃあああああ」

「…サイツさん、ご愁傷様…ぁ、飛んだ…」

 しばらく経ってジャンボ村…

「ん~遅いなぁ。砂漠からの商隊がもう着いてもいい頃なんだけど」

 手元の紙を見ながら村長が何やら頭を掻いている。

「やぁ、村長どうしたんだい?パティの料理の腕が上がらなくて困っているとかか?」

 軽い冗談を言いながらドブロクが聞いてきた。

「あぁドブさんか、丁度いいちょっと依頼したいことがあるんだけどいいかい?」

「ん?なんだい」

「実は、酒場の(以下、略」

例のごとく早口でよく聞き取れなかったので、再度確認。

「ふむふむ、要するにこっちに来るはずの商隊が到着してないから様子を見にそのルートを逆から辿っていってもらいたい…と?」

「そう、もし大型モンスターなんかの襲撃をうけて立ち往生していたら商隊の人を救出してもらいたいんだ。危険かもしれないから今回はサヒヲちゃんとタカーシュさんの3人でいってもらいたいんだけど…」

「分かったよ。じゃあ二人には村長さんから話をしといてくれ」

 そういい、ドブロクは家に支度をしに戻った。装備の点検をし、長期旅用の荷物をまとめていると、サウロがちょっと心配そうに声をかけてきた。

「今回はけっこう長くなりそうかニャ?」

「あぁ、砂漠の方までいくからけっこうかかりそうだ。留守は任せた」

「任されたニャ♪」

 狩りに行く前のいつものやりとり。あと何回これを交わせるかなと柄にもないことを考えてしまい、ドブロクは苦笑いしてしまった。準備を終え、村の入り口へ向かうと…

「お~いドブさん!遅いぞ~♪」

「女性を待たせるものじゃありませんよ」

 いつものゲネポスシリーズを着たサヒヲとフルフルシリーズを着たタカーシュが既に門の前で待っていた。

「やぁ、早いね~準備にもっとかかると思っていたよ」

 そんなことを言いながら、二人のところへ歩いていく。

「まぁね~乙女はテキパキ支度を整えますから♪」

 サヒヲが得意げに言うと、

「さっきまで寝癖直すのにてんやわんやだったくせに…荷物も本当は今日狩りに行く予定で昨日の内から用意していただけなんですよ」

 タカーシュが、ツッコミをいれながら説明した。

「なるほど…まぁこれからよろしく。サヒヲちゃん、おタカさん」

「はいッ!よろしくお願いします♪」

「こちらこそ」

挨拶を済ませ、3人は村長が用意してくれた竜車(アプトノスが引く車)に乗り砂漠へ向かった。
果たして砂漠の商隊は無事なのか?そして砂漠へ向かう3人にどのような事態が起こるのか…

ドブロク達が向かった頃、商隊は砂嵐に阻まれて洞窟に閉じ込められていた。

「なぁ…今日で何日目だ?」

 洞窟の表を気にしながらサイツが、誰に言うとでもなくつぶやいた。

「たしか…三日目かと…」

 残りの食料品を確認しながらカイヅがそれに答える。

「早く砂嵐止んでくれないかしらねぇ」

 寝袋に寝そべりながら、リータは眠たそうに言った。彼らがいるより少し奥の方で商隊の代表がうろうろして、何やらブツブツ独り言を言っている。

「参った…まさかこんな時期に砂嵐がくるなんて…もう食料と水も少ないし」

「代表さんよ~そんなに考えててもいい事ないぜ~それより体力を温存しといた方がいい、いざって時に動けなくなるぜ」

「そ…そうですな…ではゆっくり休んでいます」

 サイツに忠告されて、代表は奥の方へ戻っていった。

「まぁ…落ち着いていられない気持ちも分かりますけどね」

「だからって焦ってもしかたないだろ?自然は気ままなんだから…ん?」

「どうしました?サイツさん」

 カイヅの問いには答えず、サイツはいきなり立ち上がって入り口の方へ歩いていく。いぶかしげに見ながらカイヅはある変化に気づいた。

「風の音が小さくなった?」

「あぁ…どうやら褒めたら機嫌がよくなったようだ、リータを起こせッ!まだ日が高いようだから少しでも進むと代表さん達にも言っとけ」

「了解です」

 やつぎばやに準備を整え、遅れを取り戻すべく商隊は洞窟を出発した。しばらく進むと、行く手に巨大なディアブロスの亡骸が姿を現した。それを見てサイツが、

「ひゅ~すごいなぁ、こんなでかいディアブロス初めて見たぜ」

 その素直な感想にカイヅが、

「骨で助かりましたね~こんなのが出てきたら僕達じゃとても適わない」

 と、あまり笑えないジョークを言った。

「はぁ…あんたらのどうでもいい話はいいよ」

 心地よい眠りを邪魔されたリータは不機嫌なようだ。その話を聞いていた代表は、

「ははは、万が一あなた方の手に負えないような相手が出てきたら、全力で逃げさせてもらいますよ」

 と、こちらもジョークのセンスはいまいちのようだ。だが、そんなとりとめのない会話をしながら進んでいく彼らの後ろで、ディアブロスの頭骨の下から何かが彼らを見ていることには誰も気がついていなかった…

 その頃、ドブロク達は…

「まさか…な…」

「うぅぅ…こんなことになるなんて~」

「まぁ…過ぎ去るのを待ちましょう」

砂漠の入り口辺りで、アプトノスの群れの大移動に出くわしてしまい、足止めをくっていた。

――砂嵐が去ってから三日目――
「…ん~、おかしいなぁ」
その奇妙なことに最初に気がついたのは、リータだった。

「ど~した~?寝ぼけて何かおっことしたか?」

 サイツが、おちょくるように聞いてくる。

「違うッ!あれだよ」

 そう言って、さっき通りすぎたディアブロスの頭骨を指差した。

「あ~あれか、たしかにここいらにゴロゴロ落ちてるからな~あれで3個目か?」

「そうじゃないッ!!」

 振り返りざまにサイツの顔面へリータの鉄拳が突き刺さる。

「ぐぼはぁっ!?ちょ…鼻が折れるかと思ったぞ!」

「あんたの目は節穴かッ!あの骨は昨日見た骨と同じのなんだよッ!」

「はぁ?!骨が勝手に動くわけないだろうがッ!そんなもの気にするよりはガレオス達にでも気を払ってた方がいいぞ~」

 相手にしてられないという感じで、サイツは持ち場に戻っていった。

「そんなのよりもっとやばい奴かもしれないってのに…」

 後ろを気にしながら、商隊に遅れないように歩いていく。商隊が過ぎてしばらくすると、なんとディアブロスの頭骨が勝手に沈み始め、あっという間に砂の中に消えてしまった。

 しばらく歩いて、リータはカイヅに話しかけた

「なぁ…カイヅ、やっぱり嫌な予感がする…商隊の人らを急がせてちょうだい」

「さっきの頭骨の件ですか…」

「あぁ…大体の見当はついてるんだが、確証はない。単純にあたしの勘だけなんだけど」

「女の勘というものはバカにできませんね、分かりました代表さんに話してきましょう」

「すまない、この先のオアシスを越えれば多分、あいつの縄張りを抜けると思うからそれまでは休まないようにって伝えて」

「了解しました」

 カイヅは代表の下へ、リータは商隊の最後尾へ戻った。しばらくしてカイヅがリータのところへ報告に来た。

「どうだった?」

「…残念ながらこの先のオアシスで水の補給をするから無理だ、と…」

「仕方ないか…ほんとに来るかも分からないしね」

「一応できるだけ短めに済ますとは言っていました」

「そっか、じゃあ…こっちは神経とがらせていつ何が来ても対応できるようにしておいてってサイツにも伝えておいて」

「はい、分かりました」

 急いでカイヅは、そのことをサイツに伝えにいった。しばらくして、ゆくてにオアシスが見えてくると、商隊の人達は安堵のため息をつき喜びの声をあげた。だが、リータはその泉のそばにディアブロスの亡骸を見つけ、やっぱりかと憂鬱な気持ちになっていた。

「まぁ…来るなら来るでこっちも全力で迎え撃つだけだよ…」

「ん?リータやけに怖い顔しているな~さては便秘か?」

 この直後、サイツに本日二度目の鉄拳が炸裂したことは、言うまでもない。

砂漠で唯一命の営みが見えるオアシス…しかし今そこは、命をかけて戦う戦場と化している。リータ達の護衛する商隊が水の補給をしに立ち寄ったのだが、リータの不吉な予感通り、ヤオザミというやどかりに似た甲殻種モンスターの群れに襲われた。しかもその群れには巨大な長の…大名ザザミの姿がである。ヤオザミの中でも特に巨大な個体にのみ付けられる名称だ。彼らは商隊を囲むようにして姿を現した。

「くっそ~こいつら何匹いやがるんだ」

 サイツがバスターブレイドを構え、周りを見ながら歯軋りする。

「1…2…3……7匹か…大名をいれて8…こりゃあ分が悪いねぇ」

 冷静に相手の数を数えてリータは言った。

「こっちは戦闘できるのが3人、それで竜車3つを守りながらこいつらを撃退
る」

「カイヅ…たしかにそうだが、かなり厳しいぞ」

 カイヅの発言にサイツが苦笑いしながら答えた。それにリータが一つ提案した。

「ここは二手に分かれよう。二人が残ってこいつらをひきつけて、もう一人は商隊を連れて逃げる。商隊だけで逃げても絶対安全っていう保障もないからね」

「じゃあここは俺とカイヅでなんとかする、合図したらお前は商隊を安全なところまで連れて行け」

「そうですね、弓は彼らと相性が悪いですから」

「あいよ、商隊の人達も聞こえたねッ!?」

「は…はい」

 リータの呼びかけに代表が答えた。

「よしッ!俺たちがこいつらを片付けるから先にいけぇぇぇぇッ!!」

 サイツが叫びながらバスターブレイドをヤオザミの頭めがけて振り下ろし、一撃で両断する。すぐさまサイツはきびすをかえしそばにいたもう一匹を横薙ぎに切り裂いた。その横をリータ達が走り去っていく。それを見て他のヤオザミ達は商隊の方へ向かってきた。

「そう簡単に追わせませんよ」

 言うが早いか、カイヅがデスパライズで次々にヤオザミ達を麻痺させていく。デスパライズには即効性の強力な麻痺毒が仕込まれているのだ。そして麻痺したヤオザミをサイツが次々に斬り伏せていく。ここでカイヅがある異変に気づいた。

「大名がいない…?」

「あ?んなわけ…あるな…」

サイツも辺りを見回したが残りのヤオザミしかいない。

「はめられたッ!」

 二人は同時に叫んだ。サイツは構えていたバスターブレイドを背負うと

「こいつらにかまってる余裕は無いなッ!リータ達を追うぞ」

「ですねッ!」

 二人が商隊を追おうとすると大量のヤオザミが二人を囲むようにわらわらと砂の中から這い出してきた。

「くっそぉぉ!こいつらはめやがった!さっさと突破していくぞッ!」

「了解ッ!」

 新たに出てきたヤオザミ達を切り伏せながらサイツとカイヅはリータ達を追いかけた。
はたして彼女と商隊は無事なのであろうか?

「あいつら…しっかり足止めしとけっていっただろうがぁぁぁぁ!!」

 吼えながらリータは近づいてきたヤオザミの頭に矢を撃ち込んだ。その様子を見て商隊の人達は絶対この人だけは怒らせちゃだめだと思ったと思わなかったとか……
 彼女達はオアシスを脱出し、もうすぐ砂漠の出口というところで大名の追撃をうけたのである。しかも周りには20匹ものヤオザミの姿があった。しかし遠巻きに取り囲んでるだけで襲い掛かろうとはしない…とまたリータが吼えた。

「たかがカニの分際でよくもあたしをはめてくれたねぇぇぇぇッ!!!!」

 どうやら彼女の気迫というか殺気に圧されて襲い掛かれないようである。モンスター、それも甲殻類系を尻込みさせるほどの殺気を放てる彼女は人間なのだろうか?しかしそれも時間稼ぎにしかならないのは明白である。いくらなんでもリータ一人では20匹の一斉攻撃から商隊を無傷で守りきるのは不可能だ。

(いつまでも睨みあってるままじゃないはず…できることはやっておくか)

 そう考え、リータは商隊の代表に声をかけた。

「代表さん売りもんの中に音爆弾ってあるかい?」

「ぇ…ありますけどそれが何か?」

「あいつらが襲い掛かってきたら、ぶん投げてやりな少し怯んでくれるよ。こっちも耳ふさがないときついからそこは気をつけて」

「はい…」

 返事をすると代表は商品をいれてある竜車の隊員に音爆弾を全員に配るよう指示を出し、いつでも竜車を走らせるよう準備させた。ここは流石というべきか。
 と、こちらの動きを察知して大名はヤオザミ達に“行け”と命令したのだろう、一斉に突っ込んできた。

「来たぞぉぉぉッ!音爆弾投げて走れぇぇぇッ!!」

 リータが叫んだ直後に高音の破裂音がこだまし、ひるんだヤオザミの群れをかきわけながら竜車は密林の方へ駆け出した。と、遠くから必死に走ってくる二つの人影が…サイツとカイヅの二人だ。

「すまないッ!逆に足止めされちまった!」

そういいながら走りよってくるサイツにリータが吼えた。

「サイツてめぇぇぇッ!!!!!!ちゃんと足止めしときやがれあほたれぇぇぇッ!!」

「俺だけかよッ!つうかカニにそこまでの知能があると誰が思うかッ!」

 鬼の咆哮におびえながらもサイツはなんとか言葉を返したが…どすのきいた声で

「言い訳はきかねぇ…このカニ共を片付けたら次はあんたの番だからね」

 3人は立ち止まってヤオザミ達に襲い掛かった。リータは完全に眼が据わっている。

「ま…マジかよ…」

「ここはさっさと片付けてそれから謝りましょう…」

 落胆しているサイツをカイヅが励ましながらヤオザミ達を次々に切り伏せていく。と、大名がものすごい速さで商隊に突進していく。リータがそれに気づき矢を射るがまったく止まらない。

「ちぃ!ここからじゃ間に合わない!」

――――ドンッ!――――

――ドゴォォォン―
商隊に大名が突っ込もうとした刹那、突然大名のヤドが派手に吹き飛んだ。

「お~~い大丈夫かーーー?」

「誰だ!?」

 サイツが声のする方を見ると密林から一台の竜車がものすごいスピードで駆け込んできた。荷台には重弩を構えた男と二人の女の姿が見える。竜車は商隊と大名の間に割り込むように止まると、女達はそれぞれの獲物を持って大名と相対した。

「二人ともそいつの注意をそらしておいて俺はあっちの3人を拾ってくる」

「分かりましたこっちも拾ってくださいね」

「置いていったら承知しませんからね♪」

 男の言葉に二人とも軽く返して大名に向かっていき、男は竜車を駆けさせてサイツ達を囲むヤオザミの群れに突っ込んだ。アプトノスの巨体になすすべも無く潰されていく。真ん中で戦ってる3人に男は叫んだ・

「こっちに飛び乗れッ!」

「わかったッ!リータ、カイヅいくぞッ」

「はいッ」

「あんたこそヘマすんじゃないよッ」

 突っ込んでくる竜車の荷台にサイツ達はタイミングを合わせて飛び乗った。

「よし!しっかりつかまってろッこのまま突っ切るぞ!」

 そういい、男は重弩を撃ちながらヤオザミの囲みを抜けるとUターンして大名の方へ竜車を駆けさせた。見ると二人は大名を圧倒していた。

「回収完了ッ!二人とも乗ってくれッ」

「了解ッ!」

「わっかりました~♪」

 声を聞いて武器を収めると二人とも通り過ぎる瞬間に荷台の脇につかまった。走り去っていく彼らの竜車を大名が追いかけてくる。それを見て男は

「はぁ執念深いな、ちょっときみ手綱を変わって」

「ぇ?俺か?」

「そう、きみ」

 サイツに手綱を渡すと、男は重弩に弾をこめて大名に狙いを定めた。

「いい加減しつこいと嫌われるぞ?」

 そういい引き金を引く。放たれた弾丸は大名の頭に当たると大音量を響かせ爆ぜた。大名はゆっくりとその場に崩れ落ちた。それを見てサイツ達は息を飲んだ。

「♪~すごいですね殺しちゃいました?」

「いいや爆音で脳みそをぶっ叩いただけさ、多分死んでないと思うよ」

 ハンマーの女と撃った男のそんな会話を聞きながら、呆然としているサイツ達であった。

「あ…前危ないですよ?」

「ぇ?」

 もう一人の女に言われてサイツが前を向くとそこには大木が…

「おわわわわわ!?!?ちょ!?こいつ!?止まれぇぇぇぇぇぇ!!!!」

――ガシャーン――

「サイツてんめぇぇぇえ覚えてろッ!!!」

「なんで俺なんだよッ!?手綱をまかせっきりにしたあいつのせいだろ!?」

「ぁ~まぁとりあえず着地のことを考えたほうがいいのでは?」

「あわわわッ宙に浮いてます~~~!?」

「あとは落ちるだけね」

「…すまない…」

――ドドォォォォォォン――


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