トモちゃんは、老夫婦と一緒に住んでいた。

そこそこ幸せだったとは思う。

ただ、何度か脱走を繰り返したり、

吠えたりと、人間社会での共存は

なかなか難しいものだった。





ある日、トモちゃんのお家から、

老夫婦が居なくなった。

夫婦で施設に入る事が決まり、

トモちゃんは、お家にひとりぼっちになった。





トモちゃんのお家は、解体される事となった。

保健所は、解体される前になんとか保護しなければと、

捕獲器を掛けたり、お肉で釣ったり…

でも、トモちゃんは、野犬以上の警戒心の強さだった。



捕獲されたとき、トモちゃんは怒った。

頑張って威嚇してみた。

ブルブルと小さな体を震わせながら…



自分がなぜここに居るのか、

トモちゃんには把握できなかった。

二年前に交通事故で左後ろ脚の骨が、

ガタガタに崩れた。

三本足で必死に、檻の中を回っていた。



お家に帰らなきゃ ・・・と。

お父さんお母さんの帰りを待たなくちゃ ・・・と。





トモちゃんは、 判定 に落ちた。

足が一本悪い事と、性格が非常に難しい…という事で。

警戒心の強さに、私も正直ビビりながらのレスキューだった。

どこまで受け入れてもらえるのか…と。





トモちゃんは、お父さんお母さん以外の人間を、

あまりよく知らない。

「人間は、みんなみんな怖い生物なんだ！」

トモちゃんは言った。



8キロの小さな体を抱きあげた時に、

ボロボロと涙が出てきた。

あの涙は、トモちゃんから感じた涙だった。

身体をギュッと硬直させ、

私の体を借りてトモちゃんは泣いたのです。





トモちゃんは、空っぽになった真っ暗な部屋の中で、

どういう思いで過ごしてきたのだろうか…



物音がする度に、

「お父さん？お母さん？」



玄関まで走ってたのだろうか…




私は、トモちゃんと仲良くしたい。

トモちゃんが愛おしくて愛おしくて、

トモちゃんの恐怖心、淋しさ、体が震える程に共有したい。



命名　「トモ」　♂　
フィラリア陰性
推定4～5才。　7.9キロ　

心のリハビリは、長期戦になるかもしれません。

1/25　譲渡会までには検疫期間も終了していますので、

是非、トモちゃんに会いに来て下さい。

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