飛鳥京香/SF小説工房(山田企画事務所)

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腐敗惑星● (18)から


作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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腐敗惑星(18)

 独立装甲兵団とは傭兵のあつまりである。彼らの戦歴は恐るべきもので、ある星系の政治形態の変化があるとすれば、彼らの存在がうわさされていた。特に独立装甲兵団のトポール大佐は、通常の宇宙連邦軍の将軍よりも優れているとの評価もあった。
 トポールは過去の戦歴、経験から、自らの肩の両サイドに補助頭脳を埋め込んでいた。この補助頭脳には各生物の全戦歴、戦史がインプットされていた。
 また、独立装甲兵団のヘッドギアにはそれぞれ、補助頭脳が装着され、視覚、聴覚などの6感能力が機械の力をかりて研ぎ澄まされ、増幅されていた。トポールを始め独立装甲兵団の頚部には情報端子があり、この部分で頭脳と結ばれていた。

「俺はお前の顔をしっている」独立装甲兵団に占領された監視機構の船長は言った。
 腐敗惑星のフライトデッキに行く途上で船が彼らに拉致されていた。コントロールルームも独立装甲兵団で一杯だ。
「それは光栄だね。私も有名になったものだ」「トポール大佐、君たちは何をしょうというのか」
「いい質問です。あなたの代わりに腐敗惑星に行くつもりです」
「ばかなことをいうな。あそこは、観察によっては破壊も可能との指令がすでにでている」「ホホッ、ありがたい情報ですね。参考にさせていただきます」
「ともかく、船長、フライトデッキに到着するためのデータ、コードナンバーを教えていただきたい」
 情報が聞き出せた後、トポールは、ほほの傷あとをさわる。
「それでは残念ですが、皆さんとはここでお別れです」
「やれっ」監視機構全員の生命維持装置に毒ガスが注入された。
「あとのことはご心配なく、我々がうまくやりますから」死体に向かってトポールをつぶやく。

 フライトデッキに船が到着していた。着艦部分から船のコックピット部位がこのコントロール室まで転がってきた。
 ミラーとラフラタは下の活動に夢中になっていた。
 コックピット部位から装甲服で身をかためた1人の男が出てきた。
 ラフラタに挙手する。ヘッドギアをはずして言った。「連邦軍第2348軍区派遣団です。監視機構から依頼されてまいりました。このディスクが証明書と指令書です。私は指揮官のトポール大佐です」
 続いて13名の装甲兵がハッチからでてきた。「私は、腐敗惑星の…、いや失礼しました。監視機構所属のデッキマン、ラフラタ中尉です。こちらはウォッチマンのミラー伍長です」
 ラフラタは、本星から来たトポールに緊張しながら握手をした。「現況はどうなっていますか、中尉」精悍な顔つきのトポールは尋ねた。
「遺憾ながら、事件が発生しています。地下に残っていた羊宮から生物が発生したようです」
「生物が」
「それも古代のこの星の女性幼体の姿をしています」
「何か問題をおこしましたか」
「現在のところは、がどうやら彼女は禁忌エリアに潜入したようなのです」
「何かをさがしているようなのです」
 このトポールとミラーが目くばせをしたように見えたのは私の気のせいだろうか。ラクラタは思った。
「ラフラタ大尉、我々全員が地上へ降ります」「何ですって、気でも違ったのですか。トポール大佐。ここは腐敗惑星なのですよ。あなたの体が腐敗してしまう。そしてこの星の生態系に影響を与えかねない」
「そんな事はわかっていますよ、大尉、協力願いたいものです」ミラーが背後から銃をつきつけていた。
「きさま、ミラー、何を考えている。トポール大佐、こやつを止めて下さい」
「残念ながら、ラフラタくん、彼は我々の味方だ」
「何だと、すると君たちは」
「そう、監視機構から派遣された宇宙連邦軍ではない。独立装甲兵団だ」
「では、本来の船は」
「存在しない」
「きさまら…、そうか、君たちはこの星の財宝を盗みに来たのだな」
「そうだ。ご明察のとうりだ」
「しかし、この星に降下すれば、体が腐敗するぞ」
「おきずかいは無用、ご心配なく、それよりもあなたの身の方を気づかう方がいいですね」「きさまら、反乱罪で、全員処刑だ」
「それはあなたの方だ、ラフラタくん、我々を妨害しょうとするならばね」
「後悔するぞ」
「それはどうかな」
「ともかく、俺はあなたの訳知り顔を今日からみなくてもすむ。観察には飽き飽きした」ミラーが言う。
「よし、用意ができたら、見張りを残して全員降下だ。ラム中尉、君はここに残ってバックアップをたのむ。ミラー、現況を手短に報告してくれ」
「わかりました」

(19)
 突如、側壁が切り開かれて、武装した兵士がチャクラの中へなだれ込んできた。来るべきものが来た。そうチャクラは思った。
「お前たち、手荒い事はやめてくれ。わしはそんな荒事には、なれてはおらんのじゃ」
 中にいた指揮官らしい男が、チャクラに対して言った。
「それじゃ教えてくれるか、禁断の実はどこにある」
「何じゃと、禁断の実じゃと。お前たちは禁断の実を宝だと思っているのじゃろうな」
「宝ではないというのか」
「あれは、ある人が持てば宝となるが、他の人間が持ったら毒となるだけじゃ。それも恐ろしい毒となるぞ」
「武器だというのか、禁断の実が」
「そうではないのじゃ」
「いいか、チャクラ、答えてもらわねば、お前のメイン電源をさがしだして切る」チャクラはだまった。
「お前の電源はこの隣にある水羊宮である海だとわかっている。それを破壊する。そのために我々は重装備で来ているからな」
返事がない
「我々のいう事を聞けないならば、よし、お前の頭脳から無理やりにでも読みとってやる」「チヤクラ、だまっていても、我々には解っている。世界子トリニティは機械城の中にいるのだな」後から来たミラーが言う。
「我々がその機械城を占領する。それでお前が育てたトリニティから禁断の実を取り上げる」
「が、お前たち、お前たちがその禁断の実をてにしたところでどうにもなるまいよ。それに、なかなかに機械城は難攻不落じゃよ」
「それでは、君に弱点を教えてもらおうか、チャクラ」




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