“やおっち”的電脳広場

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第二部第13話



いよいよ待ち合わせの日。

彼女との待ち合わせの場所は市内にある高級ホテル。
ホテルもさることながら、そこに入っているレストランも雑誌で取り上げられるほど有名なお店ばかり。

待ち合わせ時間よりも早く着いた彼は、フロント前のソファーに座りながら彼女の到着するのを待ってました。

その間、フロントを見渡すと・・・
いかにもセレブ、って感じな方々や女性同士、それにちょっと彼女にかっこいいところを・・・とある意味下心丸出しのカップルなどなど、この手のホテルならありきたりの光景がそこには広がっていました。

そんな光景を見ながら、彼も「俺もこんな時代があったな・・・」なんて昔を振り返る余裕もありました。

ちなみに、このホテル、以前二人で来たことがありました。

その時、彼女は

「このホテル、彼を泊まったこと、あるんだ」

と言ってました。

「おいおい・・・」と彼はその時思いましたが、その頃はまだ、知り合って間もない頃だったので聞き流していたのですが、今改めてくると何か複雑な心境が彼の中をよぎりました。

それはさておき、久しぶりの彼女との対面。
二人で会うのも本当にしばらくなので、いったいどうなることやら、と彼は期待半分、緊張半分で待っていました。

やがて、彼女からメールが。

「今着いたよ。どこにいるの?」

と、彼は電話しました。

彼女「もしもし」

彼「もう着いてるよ。フロントにいる。」

彼女「分かった。今行くね。」

そして彼女が現れました。

ソファーから立ち上がる彼。しかし、そこで彼は意外な光景を目にします。

彼女の後ろに二つの影が・・・。

彼の見たことのない二人の男女が彼女の後ろから歩いてきたのです。
しかも、それは彼女と仲良く一緒に歩いて来るではありませんか!

彼女「お待たせ。」

彼「ああ・・」
彼は動揺します。

彼女「今日、友達連れて来ちゃった。事前に連絡しなくてゴメンね。しようと思ってたけど忘れてて。いいでしょ?」

彼「・・・」

予想外の出来事に彼は呆然としています。
しかし、彼女はお構いなく話します。

彼女「紹介するね。この二人、私の通ってる英会話学校のクラスメート。昨日あなたのこと話したら、どうしても見たいっていうから連れて来ちゃったの。連絡しなきゃ、と思ったけど、昨日話し込んでて遅かったし、あなた優しいから大丈夫、と思ってしなかったの。久しぶりに二人で会うのも緊張するし、友達多い方が楽しいし、何より、安全だし、って何が?って感じだね。気にしないで。ねぇ、この人が噂の彼。紹介するね。」

男性「はじめまして。」

女性「はじめまして。お話はかねがね聞いてますよ。優しそうな人ですね。彼女の彼氏ですね。」

彼女「ちがうよ~。そんなんじゃないの!友達だって~。すごくいい人よ。」

彼「はぁ、どうも」

それから、この四人はホテル内のレストランで食事をし、いろいろ話をしたのですが、彼はず~と静かにしているしかありませんでした。
なぜなら、共通の話題を持っているのは彼をのぞいた三人だけで、それも彼の分からないような話ばかりで盛り上がり続けたため、全く話題についていくことが出来なかったのです。

ときどき、彼にいくつかの質問が飛ぶのですが、彼がそれに答えてもその後の会話は三人の間での話だけ。

ただ、分かったのは、この三人は英会話教室で同じクラスであること、三人とも自分とそれほど年齢が変わらないということ、全員独身であること、一緒に来た二人の男女の関係は普通の関係で恋人でも何でもないこと、それぐらいでしかありませんでした。

そして、バレンタインデーなのに、彼女からは義理チョコすらありませんでした。

彼女「あ、もう時間。クラス始まっちゃうね」
男性「そうだね、今日も例の難しいところからかな」
女性「またぁ~。頑張らないと」

彼「・・・(やっぱり会話にはついていけない)」

そして

彼女「じゃぁ、もう時間だから帰ろうか。今日はありがとう。久しぶりに会えて嬉しかったよ」

彼「いえいえ、まぁ。」

男性「ごちそうさまでした」

女性「今日は楽しかったわ。ありがとう。また四人で会いましょうね。」

彼女「じゃぁ、またね。メールするから。バイバイ」

そうして、彼と彼女たち三人はホテルで別れていきました。

立ち去っていく三人の後ろ姿を見ながら、彼は何となくやるせない気持ちになりました。

そしてまた、自分の心の中にぽっかり穴が空いているのを感じました。

彼「なんだったんだ、いったい・・・」

彼の心の中は、考えれば考えるほど混乱するばかりでした。(続く)

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