総資産1億円への道(あらゆる技を駆使します!)

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株主優待の裏話


 従来、5、6千円相当の飲食券が3月末、9月末と
 年2回もらえたものが、3月末の1回のみに変更したものです。

 かつて、吉野家、ワタミ、ゼンショーといった会社も
 従来からの優待を縮小させるように変えてきています。

 巷では、優待改悪と言われ、
 配当よりも優待の方が効果的なのになぜ止める。
 などという意見も。


 じゃ、優待とは企業から見てどうなのか、
 なぜ優待を変えるのか、
 会計面から見てみましょう。
 (かなり余分なことを省いて、分かり易い言葉で説明してみます)


 まず、普通に配当を出す会社から考えてみましょう。

 売上100、費用50の会社があるとします。
 税金を払う前の利益(税引前利益)は50です。

 法人税や住民税、事業税というのは利益に応じてかけられます。
 それらを総合的に合わせた税率を40%とすると、
 税金は20となります。
 よって、50(税前利益)-20(税金)で
 税引き後の利益は30になります。

 そこから役員賞与や配当金をいくら出すかという、
 利益処分というものを行います。

 配当金を利益のうちの50%を株主に還元するとすると、
 (これを配当性向という)
 30(税引後利益)×50%=15が配当金となります。


 そうです、配当は税金を引いた後から、
 出さなくてはいけない。

 優待なら・・・
 優待なら、税金を引く前の段階で費用として認識できます。
 IR費用と考えれば広告宣伝費だし、
 株主総会費用などの決算関係費と考えれば営業外費用だし。

 20の株主優待を支出したとするとどうなるでしょうか。

 売上100、費用は元々の50に加えて優待20が加算され、
 70となります。

 よって、税引き前の利益は30です。
 40%の税金12を差し引いて、
 税引き後の利益は18となります。

 配当性向は50%ということで、
 半分の9を配当金として株主に還元します。

 もともと15だった配当が、
 20の優待と9の配当に化けるわけです。

 繰越利益は15から9になりますが、
 その6を捨てた代わりに
 株主への総還元は、15から29へとほぼ倍増。

 経営者としても、優待人気がでて株価も上がり、ウハウハですよね。
 株主もこれから投資する人も当然ウハウハです。


 みんながウハウハで一件落着・・・ 
 いえいえ、世の中幸せな人が全てとは限りませんん。
 気に入らない人がいます。

 それは誰でしょう?

 優待をもらえない外国人株主?
 少数株主に対して持株ほど優遇されていない大口株主?

 いえいえ、そんなのは大したことありません。
 一番恐ろしい人たちの機嫌を損ねているわけなんですから。

 その名は、「国税庁!」


 本来、税金を払った後に認識されるべき配当のようなものが、
 費用として優待が認識され、利益が減っているんですよ。
 当然、税収が減るから面白くありません。

 「交際費」って言葉を聞きますよね。
 接待や贈呈品等の支出に関するものですが、
 これを何でもかんでも費用として認めてしまっては、
 企業側も喜んで使って利益も減り、税収も減ってしまいますし、
 冗費節約の観点からも、
 費用としては認めないこととなっています。
 (大企業は全額)

 こういった、税金計算上、費用として認められないものを
 損金不参入(そんきんふさんにゅう)といいます。


 税務調査が入る。

 ちょっとちょっと社長さん。
 おたくの株主優待とやら、利益のわりに出しすぎじゃない?
 っていうか、優待がなかったらもっと利益がでるでしょう。
 節税のつもりかもしれないけど、ちょっと脱税っぽいよね。
 ちょっとこれはやりすぎだねぇ。
 費用(損金)としては認められないね。しかも、全額!

 これを否認(ヒニン)といいます。

 調査否認を受け損金不参入になると、
 税引前の利益は30にもかかわらず、優待の20は費用ではないので
 税金計算上は50の利益と考えられてしまいます。
 よって、その40%をかけた税金額は20です。

 税引き前利益が30で税金が20、
 すると税引き後の利益が10となります。

 配当はその50%で5になります。

 15の配当だったのが、20の優待と5の配当に。
 おまけに繰り越し利益が15から5に。

 繰越利益が10も減るくらいなら、
 配当を10増やして
 元から配当を25出した方がよくなりますよね。

 こう考えると優待が厚い会社は、税務調査が入ると、
 いや、入る前に優待を縮小する可能性が大です。
 先の例でいうと、株主優待20も出していると
 国税庁に目をつけられるから、
 10程度にとどめて無難なところにしておこうという、
 経営判断が行われます。

 株主優待の利回りというのは重要ですが、
 それがずっと続くと考えたら大間違いです。
 お上の力を恐れて縮小されることがあるんですから。

 タスコシステム、TACなんか危険極まりないですよね。

 ちまたのマネー本では、
 もちろんそんなことには触れないで
 いいことしか言いません。
 みなさん、気をつけましょうね。


 こんなところです。
 税務に関しては、100%こうですとは言い切れないので、
 最終的な判断はあくまでも自己責任で。
 もしくは専門家にきちんと確認してください。

 ちなみに、優待に関して
 企業でさえこんなに税金絡みでいろいろと大変なんだから、
 個人でももしかしたら優待に関して
 税務上気をつけなくちゃいけないことがあるんじゃ?
 と思われた方。

 するどすぎます。
 気をつけなければならないことが1つあります。
 今日のブログは長くなったので、
 またの機会(来週か再来週の土日)にしますが。


 ではでは。


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