徒然

徒然

2011.05.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
頭がいい人。
コミュニケーション力が高い人。
知識が多い人。

などなどいろんな人がいますね。
でも、仕事が一番できる人ってどんな人なんでしょうね?

夏目漱石の夢十夜という短編があります。
以前、この文章の内容を説明してもらったことがあり、それに強く感銘をうけたので、ここで紹介します。


■夢十夜の内容要約

夢の中で鎌倉時代に来てしまった漱石が、あるお寺で運慶が仁王像を彫っているところに遭遇した。場面は鎌倉時代だが、見物人はなぜか明治の人たちで、運慶の彫刻の様子を見て、しきりに何か言い立てている。

ある者は像の大きさ、
ある者は彫刻の大変さ、
ある者は仁王の強さ
を話題に騒いでいるが、

運慶はそんな話も一切耳に入らないほど、彫刻に打ち込んでいる。

運慶はすさまじい気迫と技術で黙々と彫り続け、
見物人たちも完成していく様子に興味を惹かれ、色々な感想を述べる。

ある者は運慶の芸術家としての態度、
ある者は達人の域にある運慶の技のすごさ…。

それほど、運慶が仁王像を彫り進めていく勢いと技術は優れたものだった。

ある男が言った

「あんなに無造作にやって、よくあれだけの像が彫れるものだ」。

すると、ある男が答えた。

「違う。あれは、もともと木の中に眠っているものを彫り起こしているだけだ。必ずあるものを彫るのだから、間違うことはない」。

それを聞いた漱石は、この考え方が面白いと思って、早速自分でも試してみることにした。

帰って自宅の庭を見ると、手ごろな木材があったので、早速彫ってみたが、その中に仁王はいなかった。

次の木にも、またその次の木にも、やはり仁王はいなかった。

他の木でも試してみたが、最後に行き着いたのは、

「明治の木には仁王は眠っていない」

という結論だった。

それで、自分にも今日まで運慶が生きている理由というものも分かった。





というものです。

これを現代に置き換えてみました。


■seki-chan『夢十夜』現代版

ある商社の食堂に、社員なら誰もが憧れるトップ営業マンがいた。
彼は売上達成No1になった後もその情熱を衰えさせず、黙々とBATICや語学の勉強に熱中していた。

それを見ていたある社員が、
「すごいもんだなあ」
と言った。
「接待なんかより、ずっと大変だぜ」
と別の社員が答えた。

ある男性社員が「トップになったのに、勉強なんてするものなんだね。自分はすっかり、トップになったら楽になるものとばかり考えていた」
と言えば、
またある女性社員は、「てかさ、転職しちゃえばいいじゃん。給料上がるし、福利厚生ももっといいところにいけるって」と言った。

彼は周囲の感想など全く聞こえないかのようだった。
黙々と英文のビジネス誌を分析しては、将来の取引先となる企業や業界の研究に打ち込み、企業再建策や受注高増加策を書き出していった。

「さすがあいつだ。周囲の雑音など、全く耳に入らないかのようだ。仕事と自分、それだけで世界を構成しているかのようにも見える」。

「あの資料見ろよ。あれがプロの資料だ」。

「しかし、よくもまあ、あれほど速くやっているのに、しっかりとした資料が仕上がるものだなぁ」。

「違う。あれは元々正解があるのを、簿記や語学を学べば、探り当てることができるんだ。もともとそこにある正解を突き止めるんだから、間違うことなんてあるものか」。

ある社員は、最後のこの言葉を面白いと感じ、早速自分も会計や英語を学んでみることにした。

家に帰り、簿記の教科書の1ページ目を解くも、全く流通業界の課題は特定できなかった。また、TOEICのテキストを開くも、全く商社の未来像は見えなかった。

「なんだ、簿記や英語をやったって、トップ営業になれるなんて見えないじゃないか。たぶん、このテキストが間違っているんだ。今の時代には、そうそう役立つ参考書なんてないに決まってる」
__________________________________


さて

彼は
参考書がいいとか、
顧客とたまたま相性が良かったとか、
接待がうまくいったとか、
商談の場所でたまたま話が合致した、
という浅はかな理由でトップに上り詰めたわけではないのです。

そこに「情熱」や「魂」、あるいは「仕事の本質」を見ようともしない人は、
「そもそもどの提案が一番すごいのか」とか、
「どういう話し方がいいのか」などと、

どうでもいい話に花を咲かせます。

ある社員は同じ参考書を買ったり、同じ勉強をしたりするが、
結局のところ、最後に行き着く結論は
「このテキストじゃ、だめだ」
「このやり方は自分にはあっていない」
くらいしか思いつきません。

「理想の未来像」「心から同意できる自分の姿」が存在しないところで、いくら良い木材を使い、良いとされる道具や教科書を使おうが、所詮は意味のないことです。

運慶が彫った仁王像のように彼もまた、

取引先を助けたい
役立つ社員になりたい
もっと国際的に活躍する人材になる

という仁王像を彫っているということです。

そして、そういう理想像があって初めてどういう木材を選び、どういう道具で「未来の自分」を彫るか選択することになります。

就活であれば、「周囲に期待され、応援される期待の新卒」という理想像を描いて「大学」という木材を彫り続ければ、「悔いなき学生生活」、「心から歓迎できる社会人生活」という仁王像を彫り出すことができます。

「なりたいトップ営業マンの姿」を描いて黙々と努力すれば、「会社」や「社会」という木材の中から、「トップ営業マン」という仁王像を確実に彫りだすことができます


あなたの仁王像は何ですか?
そして、あなたはそれをきちんと彫っていますか?







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最終更新日  2011.05.07 22:53:26
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