Days to steal breath

Days to steal breath

~果林~



昔聞いた懐かしい声 お父さんだ……。

何か話している 何だろう 聞こえない

何を言ってるの そんな笑顔で……。

今日もまたこの夢だ 終わりがない夢

永久に人が生き続ける そんな場所

そこにいる人はみんな笑顔 素敵な笑顔

なんでそんなに笑っていられるのだろう

だって だって死んでしまったんだよ

少しは悲しい顔を見せてもいいのに

時には泣いたっていいのに なのに何で……。

次の日も見た また次の日も 同じ夢だ

夜がツライ 夜が怖い でも避けられない

急にその夢を見なくなった 見れなくなった


果林は綺麗な女性に成長した とても立派だ

また 子供のころに見たあの夢を見るようになった

でも今回は前とは違う 何を言っているかがわかる

お父さんが話している 思い出したあの時のことだ

リンゴ狩りに行った時のコトだよね そうだったよね

夢の中の果林は幼く 無邪気にリンゴを食べている

いいかい果林 果林っていう名前にわね ちゃんとした 

とーっても素晴らしい 意味があるんだよ

最初は果林という一人だけど やがては結婚して

林となり 果実という子供ができ 家族となる

そういう意味なんだから 自分の名前には誇りを持ちなさい

元気良く返事をする女の子 意味は分かっていなかった

ただ嬉しさや幸せに 相槌を打っていただけだった


今はもうこの夢は見ない 見なくてもいいようになったから

お母さん 早く行こうよ 元気な男の子の呼ぶ声がする








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