大切な日々

大切な日々

ゆうだいはお腹の中




2000年の1月頃、妻から「赤ちゃんの頭が大きくなっていない」と告げ
られました。それまで子供の誕生を毎日幸せな思いで待ち望んでいた妻の
表情は暗く曇り、持ち前の明るさもすっかり影をひそめていました。

私は夫として、こんな時こそしっかりと妻を励まし、どんな困難があっても
家族を守っていこうと思う一方、実際にはとても不安でした。父としての
実感もまだないし、もとより人としてまだまだ未熟で、障害児を受け入れる
という事の大変さもよくわかりませんでした。


もしかしたら障害があるかもしれない、それどころか無事に生まれること
さえできないかもしれないという事実を知り、加えて初めての海外駐在が
迫っていた事もあり、私の精神的なストレスはピークに達していました。

お互いに不安な状態だったので、なおさら私たちはお互いの考え方を何度も
確認しあいました。たとえ二時間でもせっかく宿った命を誕生させてあげ
たい。出産の際には赤ちゃんの命を最優先させる事。子供がどんなに重い
障害でも二人なら育てていける。神様は幸せな二人を信頼して障害のある
子供を託してくれた。など。

性格や考え方が全く違う二人ですが、そんな話し合いを何度も経て、出産や
今後の育児に対する考え方は一致した状態で息子の誕生を待ちました。

とは言うものの、実は私の方は持ち前の勝気さで、他のどんな夫婦よりも
絶対に幸せになれるはずだという妙な自信もあり、結構楽観的に過して
いました。やはり父親と母親は違うのでしょうか、妻と比較すれば大分落ち
着いた状態で出産を迎えられたと思います。




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