You’s World

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【同じ空の下ならば】第2話



「ぁ?? 部活に入る時期とかあんのかょ。
 めんどくせぇな オイ」

「違ぇっつの。
 だいたいの奴ゎ 新学期とかに入るじゃんかょ。
 だから聞いてるんだけど」

「みてぇだな。
 だけど俺ってば 誰かに流されるとかあんま好きくねぇんだ。
 だから決まりごとじゃねぇんなら
 俺の自由にやってる」

「ふぅん。いいんじゃね?? そぉぃぅのも」

ひと汗かいたから休憩な と
俺らは水道場へ移動した。

稲葉は蛇口を勢いあけると 逆にして自分に水を浴びせかけた。
「だぁ!! 気持ちいい!!」

こいつ 
こんな奴なんだなぁ。

「・・・・?!てか 馬鹿!おめぇ 冬だぞ??
 風邪 引いちまうだろぉがょ!! 」

俺はあわてて蛇口を逆方向にひねった。

「なんだょ。暑いじゃんかょ。
 暑かったら浴びる!! それが道理ってもんだろぉが!! 」

「しんねぇよ!! んなもん!!
 てか 時と場合によるだろが!!
 ぁぁ;それ先輩の胴着だってこと 忘れてんだろ??
 こんなに濡れちまって。お前も」

俺は自分の首にかけてあったタオルを
稲葉の頭にかけた。

「それでふけょ。
 冬だからな。風邪 ひいちまったら元も子もねぇだろ」

「ぁ?? ・・・・ぁぁ。すまねぇな」

「ぁ。鎮火」

「んだとぉ?? 」

こいつは
以外に子供っぽかった。
第一印象は・・・

どこか
大人だなってなんとなく 思ってたから。

「稲葉 体力つけるためにこの部活に入ったんだろぉ??」

「おぉ。よくわかったな」

「ん?? 俺も同じ理由」

「マヂか」

「だから 体力まだ十分についてねぇんだ。
 風邪ひいたら馬鹿みてぇだろ??よく拭いておけょ」

俺は先に道場にもどってっから
と 稲葉に背をむけた。

先輩と組み手を今日は一度もしていない。
それをしてねぇと 今日一日がおわった気がしねぇ。

「・・・・深愛!! 」

「ぁ?? 」

振り返ると
稲葉の後ろには真っ赤な夕焼けがあって
稲葉がまぶしかった。

逆光。

稲葉の顔が見えなかった。

「お前 さっき言ったよな?? 」

「は?? 何をだょ」

「いいんじゃね?? って」

一瞬 何のことか本当にわからなかった。
だけど。

あぁ そうか。
流されたくねぇってやつかと思い出すことができたのは

稲葉の周りの空気が
教室で感じていたような空気だったから。

「俺さぁ。
 お前もそぉだと思うんだ」

唐突過ぎるんだょな。こいつ。

「お前もさぁ。
 周りの奴らから 口調 どうにかしろって言われてんじゃん??
 だけど 変えねぇじゃんか」

だからって

大きな声でいうもんだから。

俺は

俺は・・・・。

ズキ。。。
こいつも変えろという類の奴か。
「ぁ。ぁぁ」

「いいんじゃね?? 」

驚いた。驚いた。
こいつは違った。

顔を上げると まだ夕日がまぶしかった。

だけど
なんとなくだけど。

稲葉がはにかんだように笑ったような気がしたんだ。

「早く乾かす方法 そのいち!! 」

俺は負けじとでかい声をだした。
「グラウンド 4周!!」

「は??マヂで?? 」

「ぉぉマヂ!!しかもダッシュな!! 」

「鬼!! 」

「鬼じゃねぇよ!! これも体力つくりの一環だ!!
 とっとと行く!! 」

稲葉はよっこらしょと腰をあげると
グラウンドに裸足で向かった。

「ゃべ」

ちょっと痛い思いすんのかな??
とも思ったが。

「胴着に靴ってのもあわねぇか」

俺はぽりぽりと頭をかきながら道場へ戻った。

変な奴。
やっぱりどこか変な奴。


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