「サナな・・・もうアカンねんて・・・」
「え??え???」
「もう頭のあちこちからな、出血しててな、それを止めるには頭切ってな、前頭葉を取り出して出血部分を結ぶんやって。
でもな、それをしてもサナはもう植物人間なんやって。もう声も聞かれへんねんて。。。。」
私は頭が真っ白になり運転出来る状態ではなくなったのでコンビニの駐車場に車を停めた。
悔しくて悔しくて泣き叫んだ。何で??何で??
「今日8時までに着きそうか?」と言われ「無理かもしらん・・・」
「面会8時までで家族しか出来へんけど、し~☆の名前は書いたから明日面会出来るからな」ってマサ姉の旦那さんに言われた。
とにかく病院へ向かおう。泣きながら私は運転した。
夜8時半過ぎ、病院へ到着した。
広い病院内を走った。救命救急センターICUにサナはいる。
エレベーターに乗ろうとした時「し~☆!!」とサナ父に呼ばれた。
私を下まで迎えに来てくれてたようだ。
エレベーターの中で私とサナ父に会話は無かった。
エレベーターを降りるとマッピー、サナ母が座っていた。
私は息を飲んで俯くマッピーの肩を叩き、サナ母に寄り添った。
マサ姉と旦那さんも私を探しに下へ降りていたようで、遅れて上がってきた。
言葉はないけれど皆で抱き合って、ただ泣いた。
夜中まで病院にいた。
帰り際サナ父が「し~☆今日、家に来てくれ」と私に言った。
私はいったん実家に戻りすぐサナ家に行った。
サナ父から今までのサナの様子を聞かされた。
サナ父は病院で我慢していた分、家に戻ると大泣きした。
私もサナ母も大泣きした。
国立病院に搬送されたサナはまだ意識があった。
心臓の手術をする為の説明があった。
けれど翌日、サナはくも膜下出血を起こした。
出血はもう止むことなくサナの頭中を襲った。
そして脳死となった。
出血を止めるには頭を切り前頭葉を取り出しその奥を結ばなければならない。
けれど、もうサナに意識回復は100%無い。
いわゆる植物人間となる。
どちらを選択しても最終結末は“死”だと・・・
サナの頭を切る事はもうやめたい。このまま綺麗な状態でおいていてあげたい。
これがサナ父の辛い決断だった。
「これでいいか?」と聞くサナ父に「それでいい」と力強く答えた。
「サナはもうアカン・・・これからは三女のお前の幸せ、結婚を見届けたい。お前を我が子やと思って・・・」と涙ながらに言われた。
辛かった。本当に辛かった。「分かった」と返事をするのが精一杯だった。
私はこの日、一睡も出来なかった。