ゆきあけのボヤキ

サナの死


「今病院から電話あってスグ来てくれやって。し~☆スグ来て!!」とサナ母が叫んだ。

慌ててサルに電話した。

きちんと伝えたつもりが伝わってなかったらしい。

サルからもう一度電話が入り「落ち着いてしゃべれ」といわれた。

とにかくスグ病院へ向かって欲しいと言った。

寝ている父を起こし「サナの病院行ってくる」と伝え車を回した。

途中マサ姉を拾い、私は信号無視とスピード違反で捕まるんじゃないかという運転をしながら病院へ向かった。

サナ母は気が動転して意味の分からない事を言いながら後部座席に座っていた。

「大丈夫やから!!大丈夫やから!!」と私は自分自身をも奮い立たせるように言った。

何度も自分の足をたたいた。

あと一つ曲がれば病院だという時、私は「玄関前に車着けるから走るで!!こけなや!!」と叫んだ。

丁度マッピーとサルも同時に到着した。

いきり立っていた私も動揺してか、夜間入り口に走らなければならないのに正面玄関を目指そうとしていた。

「ちゃう!!こっちや!!」とマッピー達が叫んだ。

サナ母はもう腰を抜かしていた。

私とマサ姉でサナ母を抱え、引きずるようにして走った。

サナの部屋に着いて目にしたものは、モニターの全ての数値が0になり山も谷もない直線だった。


マッピーは「今日は大丈夫や言うたやんけ!!!」と壁を叩いた。

サナ母はおかしなことを言いながらサナの足をマッサージし始めた。

私はサナ母の手を取り「サナはラクになったんや」と言い聞かせた。

その場にいる事がもう嫌で、私は1階へ下りた。

車を動かしに行こう・・・皆に知らせな・・・

姿を消した私を心配してサルが探しにきた。

サナの体を綺麗にする間、サナ母は私に寄り添い泣いた。

どうしても信じられず、耐えれず、私は1階の椅子へ向かった。

一人でただボーッとした。

何も言わずサルが私の横へ座った。

2人で外へ出た。

サルがサナの今までの状況を聞いてきた。

ただ驚くばかりだった。


何よりもの心残り・・・サナが天に召される時、誰もいてあげられなかったこと・・・

一人で逝かせてごめんね・・・・



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