ゆきあけのボヤキ

緊張

平成17年9月 作成

~緊張~


4年ぶりに彼氏が出来た。

朝起きるとゆうちゃんからメールが届いていた。

「・・(略)・・こんな俺やけど誰よりもし~☆の事好きやからずっと一緒におってな。」

あ~私も彼氏出来たんや~彼氏って言える人できたんや~

と昨日の事を思い出しながらも、まだあまり実感は無かった。

朝一番でたくさんの友達に“彼氏出来ました報告”をメールで送った。

会社へ行く途中に一人の友達から電話がかかってきた。

「ちょっと!!マジで??早過ぎへん??ええの??」

まぁ確かに紹介行った次の日に電話で話して即OKしてって早いとは思った。

ゆうちゃんマジックに流されたような感じはあった。

正直その時はまだゆうちゃんの事を好きだとかいう気持ちは無かった。

“いい人”というイメージが強かった。


数日間は友達からのお祝い&私の説明という電話が続いた。

慎重派の私が即OKした事を皆はとても驚いていた。

「そうやん、重く考えんで付き合ってみたらいいねん。」

「嫌やったら別れたらいいねんし深く考えんとき」 と言う友達もいれば

「おいおい、何がなんでもちょっと早過ぎへんか?」

「会って次の日に言うてくるって大丈夫なん?」 などと言う友達もいた。

その中で誰もが口にした事といえば

「慎重派のし~☆がこんなに即OKしたっていう相手ってどんな人??」

そらそうだろうね、今まで紹介とかコンパが嫌って言ってた張本人が

誰よりも急ピッチで突然彼氏作ったんだから。

私自身が一番ビックリしてるんだから・・・

どんな人なんだろうって思うのは当たり前。

「軽く考えてとりあえず付き合ってみるわ」と言いながらも

そんな付き合い方をしたこともなければ出来るわけがないと内心分かっていた。

昔は彼氏がいる事が当たり前って思っていた。

けれど世の中そんなに甘くなく、約4年のブランクを経てまたやっと彼氏が出来た。

しかも今までとは違いお互いの事をまだ全く何も知らないところからのスタート。

普通はたいがいそうなんだろうけれど、私にとっては初めての経験。

嬉しさよりも不安でドキドキしていた。

彼氏か~そうか~私も彼氏出来たんや~・・・・結婚かぁ~

色々考え出したらほんと自分にビックリする事だらけだった。


皆に報告したその日の夜、私は夕方からのバイトは電話待ちだった。

TSUTAYAにCDでもレンタルしに行こうと思っていた。

ゆうちゃんとメールしながらその事を伝えると 「アッシー君したろか?」って。

逢っている最中にバイトの呼び出しが入っても困るので

私がゆうちゃんを車で迎えに行く事にした。

当時私が勤めていた会社のすぐそばにゆうちゃんの家がある。

私の家からゆうちゃんの家まで車だと10~15分程度の距離だ。

家の前に到着し「着いた。」と一言電話した。

これが初めて私からゆうちゃんかけた電話。

しばらくしてゆうちゃんが助手席に乗った。

何だか私はとても恥ずかしかった。

まだ付き合って24時間も経っていなければ

紹介の日を含めて逢うのはこの日で2回目だったから。

ガソリンがもう無かった私はガソリンスタンドにまずは行きたいと言った。

ゆうちゃんの家の近所のセルフスタンドに行った。

セルフなんてしたことが無かった私はゆうちゃんに任せた。

これが2人で初めて行った場所(笑)

それからTSUTAYAへ行きゆうちゃんお勧めのCDをレンタルし

そこからはゆうちゃんの運転でウロウロ近所をドライブした。

しばらくしてバイト先の大将から【今日はバイト無し】とメールがきた。

これでバイトや時間を気にせずドライブが出来るようになった。

ゆうちゃんが向かった先は松山から少し離れた夜景の見える場所だった。

「手つないでいい?」と言うゆうちゃんに「いいよ。」と手を差し伸べた。

平然なふりをして「いいよ。」と言ったけれど、私はかなり緊張していた。

それこそ心臓の音が聞こえるんじゃないかというぐらいバクバクしていた。

お互い周りに報告した反響を教えあったり、夜景を見ながら方角がどうのこうのだとか。。。

「早過ぎるって言われた。」という私に

「俺も早いとは思ったんやけど・・・うわぁ絶対軽い男や思われてるわ~」

と気にしていたゆうちゃん。

“少し考えさせて”と私が言うと思っていたのに、即OKを出した事に驚いていたらしい。

はい、私もそんな自分に驚いております。

でも私は自信があった。

自分の出した答えは間違っていないという自信があった。

きっとゆうちゃんとはうまくいくだろうという自信があった。

そしてこの日から私は彼の事を“ゆうちゃん”と呼ぶようになった。

といっても恥ずかしくて本人に向かってゆうちゃんと呼ぶには少し時間がかかった。


ゆうちゃんの所属している野球チームのオーナーが私を見たいと言っている。

そんなメールがお昼にきた。

けれどバイトを休むことが出来なかったのでオーナーとの対面は延期となった。

バイト中ゆうちゃんから連絡が入り「どうしても見たいからバイト先に行ってもいい?」と。

オーナーとの初対面が私のバイト中。しかもエプロン姿の格好。

恥ずかしくて嫌だったけれどしばらくしてやって来た。

オーナーはもちろん、初めてバイトしている姿をゆうちゃんに見られるのも恥ずかしかった。

緊張し過ぎて何だか無愛想な接客になってたんじゃないかと後から心配した。

「バイト終わったら電話して?逢いに行くから。」とゆうちゃんに言われ

バイト終了の深夜に電話を少し鳴らしてみたが出なかった。

爆睡中で気付いていなかったらしい。


お昼の仕事中にレンタルしたCDをPCで焼くつもりが中々うまく出来なかった。

返却までに出来そうになかったのでゆうちゃんが焼いてくれる事になった。

夕方からはバイトだし渡す暇が無いなぁと思っていたら

今なら事務所一人だし抜けれるから私の会社まで来ると言うので 、私も暇だし外に出て逢うことにした。

「マイペット買ってきまぁ~す」と意味のない用事で私は会社を抜け出た。

ゆうちゃんがその頃いた現場事務所と私の会社の中間ぐらいのホームセンターで待ち合わせをした。

一応マイペットやガラスクリーナーを購入して、CDをゆうちゃんに渡した。

仕事中抜け出してしばしの密会(笑)

「今日は早く寝て起きるからバイト終わったら電話してな。」と言ってゆうちゃんは戻って行った。


その夜のバイトは休日前ということもあり、私が帰宅出来たのは朝の5時だった。

気を遣いながらもゆうちゃんに電話ではなくメールをしてみた。

【よく頑張ったね。もう朝ですよ。】と返信がきた。

逢いに来るとゆうちゃんに私はもう少し寝ときと言った。

【逢いたくないんか?】というメールに【気遣ってますねん】と返信した。

そしてPCで焼いてくれたCDを持って仕事の準備をして早朝から逢いに来てくれた。

始めは私の家に入れるつもりは無かったんだけど、朝早くから行く所もなく

結局私はその朝ゆうちゃんを初めて家にあげた。

1時間程PCを触ったり少し話をしてゆうちゃんは仕事へ行った。

その日の夕方、仕事を終えたゆうちゃんはそのまま私の家に来た。

そしてバイト先まで車で送ってくれた。

翌日は仕事がGWに突入の為休みだったので迎えに来てくれると言った。

その夜もバイトは忙しく私が帰れるようになったのは夜中3時頃だった。

ゆうちゃんに電話をすると迎えに来てくれると言ったが、 私はコンビニで買い物をしてタクシーで帰った。

明け方4時頃ゆうちゃんが家に来た。

次の日というかもうその日は大阪から友達が来るので

新居浜へお昼前から出かけて皆でバーベキューをする事になっていた。

早く寝ないといけないのに中々寝付けない私は

ゴロゴロしながらゆうちゃんの高校時代の野球の話を子守唄のように聞いていた。

お昼前、ゆうちゃんに私の車を運転してもらい新居浜へ向かった。

新居浜の友達がこの日松山の私の家へ泊まりに来る事になっていた。

BBQでお酒を飲むし、その友達の車をゆうちゃんに松山まで乗って帰ってもらう事に。

いきなり松山⇔新居浜をアッシーのように使ってしまった(謝)

しかも高速代までゆうちゃん持ちで・・・有難う。

新居浜の友達一人にのみご対面してゆうちゃんは松山へ帰って行った。

BBQの最中私は一人の友達に

「あのな・・・めっちゃ好きやわ・・・」と呟いた。

あ~はいはい、といった感じで友達は「分かってるよ(笑)」と言った。

始めは流されたような感じでのスタートだったのに

あっという間に私はゆうちゃんの事が大好きになっていた。


GWは友達とBBQしたり高知へ旅行に行ったりした。

もちろんゆうちゃんは仕事が休みなのに放置状態・・・

5月4日の夜、私の家で焼肉をする事になった。

大阪から来ていた友達のお母さんがお肉を送ってくれていたから。

5日に友達が帰る事を知っていたゆうちゃんは、4日の夜に皆で飯でも食いに行くか?と言った。

それならばとその焼肉会にゆうちゃんを招待した。

ケーキを持って緊張しながらやって来たゆうちゃん。

控えめにしようと思っていたお酒を調子付いてガンガン飲んでしまった私。

その後近所のカラオケへ。

案の定いつものごとく記憶はとびとびで醜態をさらけ出すハメに・・・

ゆうちゃんは次の日仕事だというのに朝の5時まで私達といた。

ゆうちゃんはお酒も飲まないしタバコも吸わない。

カラオケの小さな部屋でタバコの煙とアルコールの臭いで嫌だっただろうに・・・


翌日、大阪の友達や新居浜の友達は帰ることになっていた。

お昼ご飯を食べていると早めに仕事を終えたゆうちゃんから電話があった。

「昨日誰か俺の車に口紅落としてない?」と。

「誰も落としてないって・・・」

と言う私の横で友達は「何で口紅落ちてんの~?怪しい~」

などと色々からかいの言葉をかけた。

必死で弁解しているゆうちゃんがとても可愛く思えた。

「あとで俺が出すから皆にお土産買って渡しとき。」とゆうちゃんが言った。

再々松山に来ている友達は特に自分へのお土産なんて必要無かった。

ゆうちゃんのそんな気遣いに友達はビックリしていた。

JR松山駅へ電車の時間ギリギリに送って行った。

駅に到着するともう電車が来ておりロクに会話もせぬまま友達は走って電車に飛び乗った。

私達とは別にゆうちゃんも見送りをしようとして駅まで来ていたが

車を停める所が無く結局友達には会わずじまいだった。


新居浜の友達と家に戻り、しばらく3人で話をしたあと友達は帰って行った。

少ししてから友達の声が家の下から聞こえた。

どうやら私が友達の車に携帯を忘れていたようだ。

こんな時の為にもという感じでゆうちゃんは私の友達に自分の携帯番号を教えておくように言った。


この後私達は初めて2人でご飯を食べに行った。

ゆうちゃんやオーナーお気に入りのお洒落な焼き鳥屋さん。

付き合いだして約十日。

真正面に座って話をしながらの食事に実はまだまだ緊張していた。




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