風光る 脳腫瘍闘病記

不倫



年に1回は東京に遊びに行きその度にいろんな所へ遊びに連れて行ってくれた。昔のわだかまりも消え、いつしか仲良し姉妹になっていた。

私は1年間のワーホリ生活を終え帰国してすぐに上京した。姉は結婚していたが義兄のSさんもSさんのお母さんも同居する事を賛成してくれた。

しかもSさんの会社で働かせてもらえるというオマケ付き。←姉もここで働いて、Sさんのお母さんが社長をしていた。

姉夫婦には子供はいなかったが、変わりにゴールデンの夢丸(メス)が家中を駆け回っていた。

「ユメ~久しぶりッ元気だった?おりこうさんしてた?」

「わんっ」

私はお土産にドラえもんのぬいぐるみをあげた。しかし5分後にはバラバラにされてしまった。

姉は洗濯だけは狂った様にするがそれ以外の家事は苦手な様でキッチンにはいつも洗い物がたまっていた。私は居候の身なので姉の変わりに朝のゴミ出しに始まり部屋の掃除、家事全般をする様になっていった。もちろん犬の散歩も喜んでしていた。

そんな生活がしばらく続いて、姉の生活に乱れが出てくる様になってしまった。夕方には帰ってくるはずなのに帰ってこないのだ。

「ユメの散歩は朝は私がして夕方はお姉さん担当なのに・・・」

電話してみると

「ごめん、今日も友達と飲みにいくからユメの散歩お願いね」

それが最初は週1回だったのが2回になり3回になりしまいには外泊するようになり、さすがの私も姉に問い正した。

「何やってんの?ユメの世話私ばっかりにさせて毎日どこ行ってるの?」

姉は

「実はエホバの証人2世の会ってのが会ってそこで知り合ったH君と会ってるの」

「はぁ?マジで?浮気?」「Sさんとうまくいってないの?」

「うん・・・・、自分でもよく分からないんだけどH君と会ってる時の方が楽しいんだよね」

「どうするの?」「このままじゃ良くないよ。不倫なんて最低だよ?」

「う~ん・・・」姉自身、とても悩んでる様に見えた。それ以来、表現は悪いが、さかりのついた猫みたいに姉は暇さえあるとHに会いに行っていた。3日間、家を空けた事もあった。

さすがのSさんも姉の不倫に気づき夜中の12時も過ぎる頃、二人で話し合ってる姿が何回も見られた。時には怒鳴りあっていた。

Sさんは姉の事が好きで今回の事も単なる火遊び程度にしか見ていなかった。その内、目が覚めるだろうと・・。

私は姉とSさんから何かと相談を受ける様になっていた。

「Hから結婚申し込まれた」

「はっ!?相手何考えてんの?お姉さんが結婚してるって知ってるんでしょ?」

「うん。でも私が離婚しても半年は再婚出来ないからそこはケジメつけて同棲もしないって・・」

「だから愛ちゃん、離婚したらユメと一緒に3人で暮らしてくれる?H君ともどうなるか分からないし・・」

「それはいいけど・・・」

こんな状態がしばらく続いて私は風邪をこじらせてしまい中耳炎になってしまった。心身共につかれていた。そんなある日、テレビのドキュメンタリーでNYで働く日本人女性の姿を放送して、私はこれを見て1ヶ月間のNY行きを決めた。

「あたしは疲れた!NY行ってくるから」そう伝えると姉は

「分かった。愛ちゃんが帰ってくるまでとりあえずこの状態を保っとくよ」

NYでの生活も終盤を迎え私は姉に電話をした。

「そっちどう?」ありえない展開になっていた。

「愛ちゃん、Sさんと離婚してH君と一緒に住むから」

「お姉さん、話違うじゃんっ、どうしたの?」

私がNYに行った事によってバランスが崩れSさんは姉に対して激しく問いつめたそうだ・・。

「私どこに帰るの?」

「とりあえず、みんなで暮らせる所探してるから」

H?どんな奴なんだろう?私は不安を抱えたまま帰国した。



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