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ゴッホ作の「タンギー爺さん」を見ました(ロダン美術館)
ロダン美術館の庭にて
左:ナポレオンの墓でもあるアンヴァリッド、 右:エッフェル塔
そのちょっと下にロダンの「考える人」 強烈な3ショット
さて、昨日に引き続きロダン美術館に行ったことに触れますが、
今日はそこへ行く動機になった、ゴッホの「タンギー爺さん」について書きます。
タンギー爺さん(Le père Tanguy) 1887年
92×75cm | 油彩・画布 | ロダン美術館(パリ)
写真の本館2階、右側の展示室にその絵はあります。
”ゴッホのパリ滞在期の代表的な肖像画作品のひとつが『タンギー爺さんの肖像(ジュリアン・タンギーの肖像)』。1887年の秋に制作された本作はモンマルトルのクローゼル通りで画材店を営んでいたジュリアン・タンギー氏、通称≪タンギー爺さん≫を描いた作品である。タンギー爺さんはパリの若い画家たちを熱心に支持しており、金銭的に苦しい画家に対しては画材代金の代わりに作品を受け取る場合も多かったと伝えられている。
ゴッホもタンギー爺さんには多大な恩恵を授かっており、本作では同氏に対するゴッホの深い敬愛の念を感じることができる。”
サルヴァスタイル美術館 2008年7月15日掲載文より
(salvastyle.com *フリーに掲載して良いとのことなのでそのまま引用)以下 サルヴァと記す
弟にあてた手紙の中で(「ゴッホの手紙」岩波文庫)、ゴーギャンが家を出て
いった直後(耳切り事件の直後)の1888年5月3日(自殺の2年前)にも
「タンギー爺さんはどうしているのだろうかーー僕に代わってよろしく伝えて欲しい」
と安否を気遣っている。
私がこの絵を楽しみにしていたのは、今マイブームなのがゴッホというのもあるが
そのタンギー爺さんの絵にジャポニスムが関係しているからだ。
ゴッホのこの絵を初めて見た人は、その色彩の美しさと
浮世絵の存在に驚くと思います!
”タンギー爺さんに見られる太く力強い筆触による描写や厳格な正面性も、この頃の画家の表現様式を考察する上で特筆に値する出来栄えである。
また本作の背景を構成する複数の浮世絵も(本作の)最も注目すべき点である。画面左中央に二代目歌川豊国の『三世岩井粂三郎の三浦屋高尾』、左下に二代目歌川広重の『東都名所三十六花選 入谷朝顔』、中央には歌川広重の『富嶽三十六景 相模川』、右上には同じく歌川広重の『東海道五十三次名所図 会石楽師』、右下には渓斉英泉の『雲龍内掛の花魁』が描かれていると推測されており、本作には表現的な影響はあまり感じさせないものの、ゴッホの日本美術への強い傾倒(画家は浮世絵の熱心な収集家であった)や、その後の平面性・奇抜な構図展開などの取り入れを予感させる。なおゴッホは1887年の冬から翌88年初頭にかけて ほぼ同様のタンギー爺さんの肖像
をもう一枚制作しており、こちらは現在S・ニアルコス氏が所蔵している。”
* サルヴァより引用
特にタンギー爺さんの左横の"高尾"という名の*花魁の絵は実物そっくり
ゴッホは何枚か浮世絵を所有していたようで、壁にピンで留めていたのか
今でも本物の浮世絵には穴があいている。
*吉原(よしはらと読む)を代表する花魁が高尾であった。三浦屋に伝わる大名跡。当時もっとも有名な花魁であった。吉原の様子は 坂辺周一「百人遊女(全5巻)」リイド社、安野モヨコ「さくらん」講談社などの漫画がわかりやすくおもしろく読めて筆者のおすすめ。ただし題材が題材なだけに性的描写あるので注意。「吉原再見」というサイトも当時の吉原の地図と現在の地図を重ねるなど、とても興味深いもので、興味がある人にはおすすめしたい。
本物の絵を見た時は、涙をこらえるのに結構大変でした。
ゴッホの厚塗りの絵の表面は
本当に躍動的で、描いているときの楽しい様子が伝わるようでした。
そして、自分が愛して憧れてやまなかった浮世絵を
タンギー爺さんの親愛の印として絵のバックに飾ったのです。
これを手にいれたロダンは、「ゴッホが自然の絵を書くときには
その素直にむきあう姿勢に共感するが、人物画はたいしたものではない。
でもこの色彩の豊かさと、厚塗りの豪快さには圧倒されてしまうのだ・・」と
言葉を残しています。
ゴッホ自身、「モネが睡蓮の絵を描くように、自分も人物画を描きたい」と
言っています。生涯にわたってモデル不足に悩んでいたゴッホは
自分の肖像画を何枚も書いて人物画の練習をしていますが、
このタンギー爺さんも画材のお礼のためか練習のためなのかは?ですが
3年後に自らの命をたってしまうのを微塵も感じさせないくらいの
生命感溢れる絵なのでした。
この後の不幸な彼の人生を思うと
この絵をただすごい、とか色がきれい・・・などの感情で見られないのでした。
水曜日にはゴッホが夢を抱いて向かったアルルに母と向かいます。
ゴーギャンの裏切り、弟テオへの申し訳なさ、癲癇発作・・・
ゴッホの不幸の転換期となった場所をしっかり見てこようと思います。
ロダン美術館を出た直後は晴れ渡り、すがすがしい青空が。
タンギー爺さんを見た余韻に存分浸りながら
このまま帰りたくないなあ・・・と思いつつ
しばらくその場にたたずんだ筆者でした。
FIN
ロダン美術館へ行きました☆ 2008/10/26 コメント(15)
オルセー美術館へ行ってきました☆ 2008/10/01 コメント(9)