白いひつじ日記               ~キャリアカウンセラー”ひつじ”の    揺れるココロ~

白いひつじ日記               ~キャリアカウンセラー”ひつじ”の    揺れるココロ~

ひつじ物語

そら


ひつじは、草原で暮らしていた。

生まれてから、ずっとここにいた。

ここにいることは、ひつじにとって「当たり前」のことだった。



直径10メートルくらいの柵の中に、ひつじはいた。

柵の中で草を食べ、寝そべり、空を仰ぎ、生きていた。

時には小さな花を見つけ、すこし嬉しい気持ちになったりもした。

とても「当たり前」で普通な日々だった。



昨日まで、ここでの暮らしには何も問題はなかった。

満足でもないけれど、不満もなかった。

ただ、生まれてからずっとこれが「当たり前」だったから、

ひつじの生活とは「こういうものだ」と思っていた。

しかしある日、ひつじは変な気持ちになった。



ひつじの小さなこころに、「?」マークが浮かび上がったのだ。

「なんで、ずうっとぼくはここにいたんだろう。」

「外って、どうなってるんだろう。」

ちらりと柵の外を見た。

すると柵のずっと向こうに・・

「あれ、あんな花が咲いてる。」

柵の中では見たこともない花だった。

すごく、きれいに見えた。

ひつじは、ちょっと息苦しいような気持ちになった。



次のページへ





© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: