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青き天体研究所
第十三話 龍虎合体
キットコレハワルイユメナンダ。ソウダヨネ。キット・・・-
虎型の機体は何度かヒュッケバインMk-2を踏み付け完全に大破した。
-ナンデワタシノタイセツナヒトヲコロスノ?ナニモシテイナイノニワルイコトハ。
ソウダゼンブレンゴウガワルインダ。ダッテカレラハ-
「あなた達・・・許しません・・・」
クスハは小さく呟くとブリットを殺した機体に向かっていった。
「セイン、急いでくれ!ヒュッケバインMk-2の反応が消えた。」
「・・・・・・」
クロガネから通信が入り、その事を伝える。
セインは無言のままであった。
「もしかしたら最悪の事態になっているかもしれん。とにかく早く!!」
「・・・了解した。」
そう言ってセインはスレイヤーのスピードを上げていく。
(クスハ。早まった事をするなよ!)
しかしその願いはクスハには届かなかった。
グルンガスト弐式は今までの動きとは比べ物にならなかった。
動きに無駄が無く、ただ前の敵を倒すことのみに執着している為である。
「あなた達が・・・あなた達がブリット君を!!」
そう言って目の前のニ体に向かってブーストナックルを放つ。ニ体は軽々避ける。
だがグルンガスト弐式が突然表れ対応し切れず至近距離のマキシブラスターを食らう。
その隙を逃さず計都瞬獄剣を取り出し、虎型の機体に攻撃する。
だがそれを阻止すべく龍型の機体が間に入り防御する。
【!!!!!!】
龍型の機体は直撃を食らったものの戦闘には支障が無く、すぐに反撃した。
クスハはグルンガストシリーズであるにも関わらず相手の動きを予測しているかのように回避する。
「
あなた達だけは・・・
あなた達だけは、絶対に!!」
うわ言のように呟きながらその二体に向かっていく。
最初は優位に立っていたのだが、相手は2体であることを利用している為段々と弐式を追い詰めていく。
そして、ついに・・・・・・
「!!!!」
弐式の装甲に限界が来て動きが停止してしまった。
「何で、どうして止まっちゃうの!?お願い動いてよ!私は・・・・。」
そう言いかけたクスハの脳裏にブリットの姿が写った。
「ブリット君・・・・。」
そう言った瞬間、龍型の機体の攻撃が弐式のコックピットに直撃し弐式は爆散した。
「くそ!間に合わなかったか・・・。ブリット、クスハ・・・。」
その数分後に到着したスレイヤーが見たものは、鉄の塊となったヒュッケバインMk-2、グルンガスト弐式。
そしてその2体をを破壊した龍型と虎型の機体であった。
「また・・・守れなかったのか、俺は!!」
そう言ってセインはコックピット内のモニターを叩く。
その目には涙が浮かんでいた。
セインは涙をぬぐうとその2体の方を見る。
その2体はセインが近くにいるにも関わらず動こうとはしなかった。
否、まるでもう役目を終えたように機能を停止しているのである。
セインは疑問に思いその2体に近づき調べようとする。
その時・・・・・!
「クッ!!!爆撃か!?」
遥か後方から撤退したと思われていた戦艦が砲撃を開始したのだ。
『このときを待っていた!目標クロガネ、必ず撃沈させろ!!』
その通信と共に主砲とミサイルが発射された。
セインの操縦菅に力が入る。
「・・・さん、駄目だな俺は。あなたの言うように戦えないや・・・。」
操縦菅を握る手が震え始める。
「『憎しみで戦ってはいけない。自分の未来の為に戦え・・・。』か・・・。でも!」
セインは前を向き敵艦の方に突っ込んでいく。
「友達を・・・大切な仲間を・・・殺したあいつらだけは!!憎まずにはいられないんだ!!!」
放たれたミサイルを切り払いながら突き進んでいくスレイヤー。
そのことに驚いたのか敵艦長はすぐさま量産型ヒュッケバインMk-2を出撃させる。
『現在近づいている機体を破壊しろ!!絶対にこの間に近寄らせるな!』
量産型Mk-2は命令を受けるとスレイヤーに攻撃を開始した。
「量産型如きが、俺の邪魔をするな!!」
弐式斬艦刀を振るい反撃を開始したした。
―私は死んじゃったのかなぁ・・・。ブリット君の敵、とれなかったし・・・・。―
クスハは何処か分からない謎の空間にいた。
―ブリット君・・・・。みんな・・・・。―
そう思って涙を流していると何処からか声が聞こえてくる。
「・・・ハ、ク・・・ハ。起き・・・。クスハ!!」
―ブリット君?何でブリット君が・・・・。―
その声に気付いたのかクスハは目を開ける。
そこにはブリットの姿あった。
「気が付いたか、クスハ!?」
「ブリット・・・君?どうして・・・私達・・・死んじゃったんじゃ・・・。」
ブリットは首を横に振りクスハを起こした。
「死んではいないよ。だが、ここが何処なのだが?」
【目覚めたか。念動力を持つ者よ・・・。】
突然何処からか声が聞こえ、ブリット達は構え始める。
「だ、誰だ!?何処にいる!!」
【慌てるな。汝らは我らの中にいるだけだ。】
「我ら?あなた達は一体・・・・?」
クスハはその声の主に尋ねる。
【我は運命を操りし百邪を倒す者なり。汝らの力を借りたく汝らの人形を破壊し、我が中に入れた。】
「じゃあ、あなた達は私達が戦っていたあの龍と虎なんですか?」
【有無。我が名は龍虎王。又は虎龍王。百邪を倒すため汝らの力を借りたい。】
「百邪?何だそれは・・・・。」
【汝らの世界を混沌の世界にしようとする者。我は古来より百邪を倒すために戦ってきた。して回答は・・・。】
龍虎王と名乗るものはクスハ達に尋ねる。
クスハとブリットは顔を見合わせると、お互いうなずき・・・。
「私達の力が役立つのなら・・・。私達の世界が守れるなら・・・。」
「俺達はお前達に力を貸す!!」
【ならば叫べ!「必神火帝、天魔降伏、龍虎合体」と!】
その言葉に復唱するかのようにクスハ達は言う。
「必神火帝!!」
「天魔降伏!!」
「「龍虎、合体!!」」
セインは苦戦を強いられていた。
スレイヤーの運動性とセイン自身の技術の高さで何とか致命傷を負っていないものの、近寄れない状態であった。
「クソ、せめてもう一体味方がいれば・・・。!!!何だこの反応は!」
龍型と虎型の機体があった方から高エネルギーが発生されたのだ。
このことは敵艦にも伝わる。
『何なんだ、この反応は!!』
『確認しました。龍王機、虎王機から高エネルギーが発生されています。』
『何だと!!そんな話、聞いていないぞ!』
オペレーターの話を聞きながら現状を維持しようとする。
『一体何があったというのだ・・・・?』
このエネルギー反応はクロガネの方にも伝わっていた。
「このエネルギー発生源を確認しろ!!クロガネは防御フィールドを張り体勢を立て直す。」
「了解。・・・発生源確認。どうやらクスハ達が戦っていた場所からです。」
「そうか・・・各員衝撃に備えろ。・・・来るぞ!」
テツヤの言ったとおり、彼らに大きな衝撃が走った。
もちろん近くにいたスレイヤー、敵艦にも衝撃は伝わる。
「くっ。持ってくれ・・・!」
『各員衝撃に備えろ!!』
彼らは一時戦いをやめ、衝撃に耐えていた。
しばらくするとその衝撃が止み、エネルギー発生源から一体の機体が現れる。
「何なんだ・・・。あの機体は?」
セインはその現れた機体を見続けた。
その機体は龍型の機体と虎型の機体が合体した姿で、その姿はまるで何かを守る為の守護神のように見えた・
「雷神よ、来たりて我の敵を撃て!!」
聞き覚えのある声がそう叫ぶと、何処か札を出し量産型Mk-2に向かって投げつける。
その札は雷のようなエネルギー隊に変化し、数体巻き込んで爆発した。
「この声・・・。まさか!!」
「大丈夫ですか?セイン君・・・。」
その機体はスレイヤーに近づき、通信を開いた。
「クスハ、ブリット・・・。生きていたのか。」
「はい!心配かけて済みません。」
「セイン!ここは俺達、龍虎王と虎龍王に任せてくれ!!」
その通信を聞いていた敵艦長は逆上し命令を下す。
『目標、現れたアンノウン。絶対に破壊するんだ!!』
その命令を聞いた量産型Mk-2のパイロット達はそのアンノウン―龍虎王―の向かって攻撃を開始する。
「クスハ、ブリット!逃げろ!!」
セインは目標が龍虎王だと分かり、クスハ達に向かって叫ぶ。
その反応に遅れ龍虎王は数発弾丸が当たる。
その攻撃が直撃したのか龍虎王の周りに煙が立つ。
「遅い、ランダムスパイク!!!」
煙の中からブリットの声がすると、突然量産型Mk-2は爆発する。
「虎龍王にそんな攻撃、くらうと思ったか!!」
ブリットは爆発した機体に向かってそう言った。
龍虎王の姿が変わっており、その姿はすべてのものをなぎ払う戦神の様であった。
虎龍王と呼ばれた機体はものすごい速さで艦隊に近づき攻撃を開始する。
「くらえ・・。タイラントぉぉぉぉ・・・」
その言葉と同時に何処からかヌンチャクを取り出し攻撃し始める。
「オーバー・・・・ブレイク!!!」
次に薙刀で突き始め、最後にドリルを取り出し戦艦に突っ込んでいった。
そのドリルによって戦艦には大きな穴が出来、撃沈した。
『撤退しろ、急げ!』
命令を下していた戦艦は撤退を命令するが、クスハ達はそれを見逃さなかった。
「逃がしません・・・。」
クスハがそう言うと、再び龍虎王の形になり何処からか剣を出す。
「破山剣召還。行きます!!」
龍虎王はものすごい勢いで逃げる戦艦に追いつく。
「龍虎王が超奥義・・・。
龍王破山剣・逆燐断!!
」
龍虎王は何度もきりつけた後にその戦艦を一刀両断する。
「あなたは許せないことをしました。一つは龍王機と虎王機を無理やり使ったこと。もう一つは・・・。」
一呼吸おき、話す。
「私の・・・私達の大切なものを奪おうとしました!!だから・・・反省してください!!!」
そう言い終わると、戦艦は爆発した。
「すげぇ・・・。何なんだよ、あの機体。」
セインは知らず知らず感想を口に出していた。
「この野郎、心配したんだぞ!」
「済みません、皆さん。私もついさっき気付いたので・・・。」
クロガネに着艦したセイン、フィス、クスハ、ブリットを迎えにほとんどのクルーが集まったのである。
特に死亡扱いされていたクスハ、ブリットの生還に一同は喜んでいた。
「で、何であの機体の中にいたんだ?」
「分かりません。ただ龍虎王に選ばれたとしか・・・。」
「ちょっと待て!あの機体、生きているのか!?」
「ああ、どうやらそうらしい。半生体兵器って言うのかな。」
そう言われてリュウセイは体を震わせて叫び始める。
「意識のあるスーパーロボット!!うぉぉぉぉぉぉぉ、燃えるぜ!!!!」
「リュウセイ、静かにしろ。して何が目的なんだ?」
「彼らが言うには『運命を操りし百邪を倒すため』のようですが、何のことか・・・・。」
セインはその言葉を聞き血相を変えるが、他の人には気付かれなかった。
「百邪・・・か。これはテスラ研で詳しく話した方がいいな。」
「そうですね。あと少しで着きますし・・・・。」
そのような話をしているとテツヤから通信が来る。
「楽しそうに話している所すまないが、もうすぐでテスラ=ライヒ研究所に着くので準備してくれ。」
「了解。行くぞエクセレン。」
「りょ~かい♪さっさと済まして早く休みたいわ。」
通信が入り次第、各クルーは持ち場につきに行く。
セインも行こうとするが、龍虎王の前に止まる。
「お前も・・・・・・なのか。お互いよろしくな。」
そう呟いてセインは行ってしまった。
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