2004年04月08日
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後輩君。
そいつはおいらが警備員をやっていた時代に１ヶ月遅れで入ってきたアルバイト学生。おいらの第一印象は「でけぇ～～！」でした。
よろしくお願いしまっす！ …ってやっぱガタイどおりの体育会系。
上司から「ぎがくんこの子連れて仕事教えてやって。年ちかいんだし仲良くやってくれな！」とお達しが。
ラジャー！ボス！
ってことで行こうか後輩君。おいら「ぎが」って言うんだ。おいらも入ったばっかだからよろしくな！
「俺 ○○○○っす。○○短期大の２年っす。」
ああそらさっき聞いてたよ。
「仕送りに頼りたくないんでバイトすることにしました！」
うはは学生のバイト動機なんてそんなもんだろう
「ぎがさんもそうなんすか？」
え？おいら学生にみえるかぁ？？卒業してかなり経つんだけどなぁ
「えっ！俺てっきり同じぐらいかと…正直年下かと…」
その割りに 敬語じゃん
「年下でも先輩は先輩っすから！」
お前…真面目なんだなぁ …っておいら実際年下に見えたのか？
まーかったるいから敬語なんて使わなくて良いよ。
聞いたと思うけど俺ら市営プール班ね。明日から会社に寄らないで家から直接プールに直行な。
家どこなん？ふーんおいらんちの近くだな。帰り一緒に帰って道順教えてやるよ。
「ありがとうございます すんませんぎがさん！」
だから敬語じゃなくて良いって… ほれ後ろに乗れ。
「ママチャリっすか？？」
おいらの愛車ブラックチャーリー号だ。ちなみに男を乗せるのは君が初めてだ。
「俺が後すか？？無理っすよぎがさん！俺がこぎますよ」
お前プールまでの道順知らないじゃんか！
無理っすよぎがさん！に俄然ムカついたおいら。
確かにおいらはチビだし後輩君に比べて貧弱な風体だ。しかしチャリンコライダーをナメてもらっちゃー困るね。
「ぎがさん！登りっすよ！？無理しないで下さい俺代わりますから～～！」(叫)
黙ってつかまってれって！突入角度が狂う！登りは慣性だ慣性！
二人乗りで坂道も楽勝でクリア。今じゃ絶対出来ない芸当です。（若かったなぁ）
当時ピチピチの２０代前半だったおいら。レスラーのような後輩君を２ケツで東区の会社事務所から現場豊平区の市営プールまで楽勝に完走。
「ぎがさん…見かけによらず結構強いんですね…」
チャリンコライダーをナメんなよ！貴様の一人や二人屁でもねぇや！
早くも後輩君の尊敬を得た酔っ払い。そうこうして後輩君はおいらと一緒に市営プールで働くことになりました。
現場の某市営プールなんですが警備はオバサマ職員が多いです。
婦人カルチャー・アクアビクス・シンクロナイズド等女性向けのスクールが多く、水着というほとんど裸の姿で利用するお客様を配慮しての事なんですが体育会系の後輩君。大丈夫か？
何か失敗する前に事前にレクチャーしておきます。
良いか後輩君。
女性職員にも利用客にも絶対オバサンに「オバサン」なんて言うなよ。
「えっ？なんでですか？だってみんなオバサンばっかじゃないっすか」
バカヤロー！どんなに年とっても女にオバサンは禁句なんだ！覚えとけ！
「だってみんなの名前すぐには覚えられないっすよ！」
せっぱ詰まった時はさりげなくオネーサンと呼べ。
不自然にならんようにだ！わかったか？
「ネーサンて無理っすよ！みんなオバサンじゃないっすか」
でも言うんだよ！お前は女のネチっこさ知らんだろ？
とにかく「オバサン」は禁止だぞ！
それとな…オバサマ同士のシモネタや悪口はかなりキツイ。でも絶対乗っちゃダメだ。わからないフリを押し通せ。
お前若いから色々面白がって突っ込まれるだろうが、とりあえずヘラヘラしてろ。
事前に重要注意事項を色々と教えておいたせいか本人の人徳かあっと言う間に職場になじんだ後輩君。
とにかくメチャクチャ真面目な好青年。おいらが入れ知恵しなくてもオバサマ職員には好意的に可愛がられたものでした。
「最初ぎがさんの言った事わからんかったけど、助かりましたよー」
そうだろう。まー言わなくてもお前ならすんなりなじめただろうなぁ。
しかし勝手においらを尊敬する後輩君。
「ぎがさん！俺が二十歳になったら飲みに連れてって下さいね！」
え？ そりゃ構わんけどおいら酒入ったらヤバイから…
つーか今時「お酒はハタチになってから」を守る君って…真面目だなぁー。
この真面目さの裏目が１０年後に来る事も知らず、おいらと後輩君は仲良くなって行きました。
仲良くなったと言うか、後輩君が一方的においらになついて来たと言った方が正確でしょうか。
…思えば初日の帰り道から始まったような気がする。
お疲れ様っしたーさて帰るぞ と。
後輩君、この辺の地理わかるか？そっかやっぱわからんか。んじゃ後ろに乗れ。
「ダメっすよ！ぎがさん！俺悪いっすよ後ろに乗るの！」
こいつそうとうおいらをナメてんのか？おいらの脚力は今朝見ただろう！
「チャリンコパンクしますよ？俺がまた後ろに乗ったら…」
あ そう言われればそうかも。
「自分で歩いて覚えようと思ってたんすよこの辺。」
お前！見所あるな！ よっしゃまかせろ！
人付き合いはうっとうしいですが、同じ職場の同僚です。
つーかこの辺は道が複雑でおいらも迷って遅刻と言う失態を２～３度やらかしました。
後輩君には近道を伝授させといた方が得策です。チャリを押しつつてくてく後輩君の部屋まで歩くことになりました。
ここらって道が四角じゃないし行き止まり多いから一本間違ったらヤバイんだよ。今日は最短を通るからな。
結果道すがら色々世間話をするハメに。
「バイトってやってみたかったんですよー すげー緊張したけど俺やれそうっす」
そうかよかったな
「ぎがさん なんで就職しないで今だにバイトなんすか？」
働くのに疲れて卒業したらちょと休みたかったんだよ
就職活動はするヒマなかったし
「え？就職活動しなかったんすか？」
だから学校行ってる時に働き過ぎたから休みたかったんだよ！
「え？なんで学校で働き疲れてたんすか？」
学費と生活費稼ぐのに働きまくったんだよ。おいら仕送りなかったから
「え？なんで仕送り無かったんすか？」
弟が大病したのと親の商売がヤバくなったから。
「え？それってぎがさんのせいじゃないのになんでぎがさん一人が苦労すんすか？」
うるせぇな！！
おいらが聞きたいよ！
と 叫びたいところを「さぁなんでかな～」で片付けました。こういう奴にこの話は勘違いされ安い。
ホントの話だがこの話に人様は過剰反応なさる。そして過剰な応対をなさる。
おいらとして過剰な親切応対の方が対処に困るんですが。
案の定、後輩君「すっすんません…」「すっすっすすんません…」ばっか言うようになりました。
ああうっとうしい。どうせ可哀想とか思ったんだろな。
こいつって普通の良い家庭で家族や友達とも仲良くて幸せに育って来たんだなぁって感じっす。全てが健全。
育ちが陰鬱なおいらとは大違いだ。
ああ大丈夫だよ後輩君。おいら結構ラッキーなんで人に助けてもらいまくりなんだ。
大して苦労してないんだぜ。
いざとなったら愛人いっぱい居るから。
「ぎがさん…？愛人て？」
ん？まーな
ん じゃーな。また明日な
言葉のアヤで言ったことがこんな面倒なことになるとわ…
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