月の光

月の光



駆けることでしか存在を知ってもらえない存在

かつての私と同じ

とまっていては誰にもその存在を知ってもらえない


走る風

その心、一体誰がわかってくれようか

この苦しみ 嬉しさ 幸福

誰と持ち合うことができるのか


駆ける風

すべての世界を見に行こう

たったひとりで海を渡り

自分の世界を見に行こう

自分が存在できる世界


私がいたことは

いなくなったあとにしか分からない

後に残された

ざわめく木の葉

きしむ屋根

うなりをあげる電線

それでも 私がいたことに気づいてくれる人が

少しでもいればそれで十分

風にとっては十分


別れを告げよう

後に残されたのは鳥たち

風に乗って飛んでいた鳥たち

一緒に行こう新しい世界へ

飛び立つ鳥たち

渡り鳥と呼ばれる彼ら

さぁ行こう

新しい世界へ

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