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LUSHEL『奇蹟の城』
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2007年06月02日
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カテゴリ: おすすめアルバム


(1986年)

この美しいジャケットを音にしたようなオランダのシンフォ・プログレの傑作









このアルバムがリリースされた '80年代後半 は今振り返ってもプログレッシヴ・ロックとしての傑作がほとんど残されていない。 まぁ1973年のオイルショック以来レコード会社主導の“売れる音楽”が幅を利かせたため真っ先にそっぽを向かれたプログレだが、'80年代初頭に ポンプロック なるニュータイプのプログレが出現し微かな希望を見出した。 


が、しかし'85年頃にはそのスタイルを継承するバンドはほとんど消えてしまった。 世の中は軽薄短小の時代へと突き進み、そのためにそれとは真逆の “重い・暗い・長い”の三拍子 (=三重苦w)が揃ったプログレにとっては正に暗黒の時代であったと言えよう。








そんな時代背景の中、オランダから奇跡のサウンドが届いた。 ゆったりとした幻影的なサウンドに包まれ、メロウなクリーン・トーンのギターとアナログが持つあたたかいシンセ・サウンドが計算された情熱の下にインテリジェンスなソロを紡いでいく。 激しくドラマチックな場面と優しい落ち着いた場面とが絶妙にブレンドされ全体的に不純物のない清らかな正真正銘プログレッシヴ・ロック・サウンドを形成している。 非常に高貴で穢れのない シンフォニック・サウンド である。


1曲目は5つのパートに分かれたトータル29分にも及ぶ大作。 アナログLPでは第四楽章“Finale”(10:00)だけがB面に持っていかれた。 こういう場合はCDの方が良いなぁと思う。 しかしそんな村八分にされたこの第四楽章が本当に素晴らしい。  教会の鐘 とともに聴こえてくる 男性クワイアの聖なる歌声 荘厳なパイプオルガンの調べ が耳をつんざく。 もの凄い緊張感。 大きなうねりの中、サステインの効いたギターのメロディと情熱的なモーグソロが大団円に向かって一気になだれ込む。 途中に入るセリフやSEなどストーリー性を高める小細工も重要な役目を担っている。 


また後半の2曲はAORを歌わせても上手いだろうと思わせるボーカルが大きな魅力になっている。 バックに流れる繊細なピアノも美しいし、何よりも Novatron (Mellotronではないところが時代を物語っている)のストリングスやコーラス・サウンドも厭味なくドラマチックに演出している。 そしてアダルトなボーカルよりも丁寧に歌い上げているのがギターだ。 1音1音を確実に奏でる。 上手い。 アルバムラストの「Defended」(6:43)もボーカル曲だが、ギターの大きなリフとともに次第に盛り上がっていく様は言葉を失くすほど感動的。 プログレの良心が凝縮されているかのような美しさである。 爽やかな感動とともに幕を下ろす。








昨日のレビューを書いているうちにオランダのプログレを見直そうと久々に引っ張り出してきたのだが、また新たな感動を呼び起こされた。 名盤と言われる作品はいつの時代に聴いてもやっぱりいいんだなぁ。 ちゃんと理由があるんだ、と再確認したロマであった。






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最終更新日  2007年06月02日 20時25分56秒
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