『ENCOUNTER』 2



全員が声のした方向を向く。


ボッボッボッ


それに合わせたように燭台の上に立てられた蝋燭に火が灯りだした。
蝋燭のかすかな灯りからの推測だが部屋はとても広いようだった。そしてその中心に位置する燭台の上に置かれている水晶が蝋燭の灯りに照らされ暗闇の中に怪しく浮かび上がっていた。
「敵の気配は変わらずありません。」
kikouteiが周りを確認しながら口を開く。
「罠・・・・か?」
「皆さん、気をつけてください。」
一行に緊張が走る。


「これが発動したと言う事は一応、私を楽しませてくれるだけの素質はあるようだな。」
再度、声がした。
「あ・・・あれを!」
フランが慌てた様子で口を開く。
今まで蝋燭の灯りに照らされていた水晶が今度は自らが淡い光を発しているのが一行の目に映り込んだ。
そして、その淡い光が徐々に人の姿を形成しだしていく。


「あれは・・・にゃるら?」
水晶が放つ光はあっという間ににゃるらを形どった。
にゃるらの姿らしきものを確認し一行が一斉に身構える。


「待ってください。」
その中で唯一身構えることのなかったmikusukeが皆を制止した。
「あれは仮想ヴィジョンです。映像だけを残して本体は既にここから立ち去っているようですね。」
「仮想ヴィジョン・・・。」
他のメンバーが様子を窺う。


「くく・・・」
映像のにゃるらが口を開く。
「お前達が危惧している事がsyouitirouと今回の件で確定した事になる。これでお互いが大盤振る舞いで行動する事が出来るな。くく・・・」
「そう・・・これはお前達とレッドアイの関係をそしてこれから起こる世界の終末へのセレモニーだ。mikusuke、お前もそれをわかった上で今日ここに来たんだろ?」
「くくく・・・セレモニーは派手にいかんとな。ではまた会おう。」
映像のにゃるらが一通り話し終えると水晶の発していた光は収束し仕舞いには消え尽きていった。


ゴゴゴゴゴゴッ


水晶の光が途切れるのと同時に後方で轟音が響いた。
「・・・!入口よりもの凄い数の敵がここにむかっています。数は・・・30・・50・・・70以上!」
いち早く異変に気付いたkikouteiが状況を皆に知らせた。
「にゃるらの言うとおりこれは我々とレッドアイがお互いの存在と関係を確かめるものでした。しかし、断じて世界の終末へのセレモニーなんかじゃない。皆が平和の中で過ごす事の出来る世界を掴むためのものです。」
「その為にも今回の行動が必要だった事をどうか・・・・。」
少しの間事の成り行きを見ていたmikusukeが口を開いた。
「ミクさん、誰もあなたの事を疑ってなんかいないですよ。さぁ皆のもとに帰るためにまずはここを無事に抜け出しましょう。」
Stojikovicが声をかける。
「ありがとうございます。敵の数は多い、皆さん気をつけて下さい。」
「「「了解。」」」
















『真説RS: 赤石 物語』 第1章 『ENCOUNTER』-2







「スペースは限られています。相手の勢いを殺しながら応戦します。」
「オペレーションHI。先陣は半さんとミコト君。」
「ミコト、気をつけろよ!」
mikusukeの指示に従いミコトと半魚人が動き出す。


「いかに大群と言えど経路の狭いところでは利点にはならない。むしろ付け入る隙でもある。」
mikusukeが言うように階段から入口付近に流れ込むMOB達は次々と半魚人とミコト手により沈んでいった。
「パパさん、そろそろです。」
「あいよー。」
mikusukeの指示を受けファンキーが手を上にかかげる。
メンバーを白い光が包み込んだ。天使のスキル“コーリング”だ。


グオォォォ


入口を突破したMOBの大軍がPTめがけ突撃する。
ガキィィン
先頭集団がkikouteiが前もって準備していた罠にかかり身動きを封じられた。
「次はルジェとフランさん!」
「「了解!」」
ルジェとマーブル・フランが揃って上方めがけ矢を打ち放つ。
打ち上げられた無数の矢が冷気と帯びながらMOBの元へと止め処なく降り注ぐ。
矢の冷気にあてられたMOBが次々とその場に崩れ落ちていった。
「パパさん、もう一度。」
「あいよぉ。」
再度ファンキーがコーリングを唱える。
さらに後退したPTにそれでもまだまだ数の残るMOBの大群が押寄せる。
「最後はストさん。」
「任せてくれ。」
Stojikovicが複数本の矢を一度に引き、一斉に放つ。
放ち終えればすぐさま矢を取り出しては同様に引き放つ。
一連の動きはあまりにも速くまるでマシンガンで矢を打ち込んでいるようにも見えた。
それに加え。一本一本の狙いは針の穴に糸を通すように正確で狙いが外れることはなく全ての攻撃がMOBを捕らえていた。
「私も参加します。」
そう言ってkikouteiがStojikovicの横に立ち、同じようにダートを放った。


「少し敵が多すぎますね。」
mikusukeの言う通り半魚人とミコトから始まりStojikovic、kikouteiへと続いた一連の流れで相当の数のMOBを沈めたがそれでも未だに増え続けるMOBの勢いは止められずにいた。
「ミクさん、このまま打ち続けるか?」
Stojikovicが攻撃したまま問うた。
「まだ退くスペースはあります。ストさん、キコさんもう少し粘って下さい。」
指示通りStojikovicとkikouteiが攻撃を続ける。
「さて、そろそろ頃合か。」
mikusukeが小さく呟く。
「パパさん、背後をとられないように最後方まで退いて下さい。」
mikusukeの指示が戦場に飛ぶ。
「さぁ、これが最後の仕上げです!」



















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