『PERVERSION』 2



「どういう事だ!?」
予想しない言葉にmikusukeが驚いた。
「はっはっは。mikusukeはやはり真面目だな。何、軽くテストを行おうと思ってな。」
「そうか。なら、この本はなかった事にしてもらおう。」
mikusukeが反撃に出る。
「な・・・それは困る!!多少は甘く見るから本だけは・・・」
男の声色が急に変わった。
「ダメだ。それでは元々の約束と違う。」
mikusukeがピシャリと言い切る。
「くぅ・・・。」


・・・・・・・・


一瞬の間、場が静まり返る。
「ミクさん、僕テスト受けます。」
静寂をやぶったのはミコトだった。
「ミコト君、朱石に関する情報はひょっとすると世界の未来に大きく関わっている事かもしれないんだ。」
「だからなんです。」
mikusukeの言葉にミコトがきりかえす。
「何のテストかはわかりません。けど、この先様々な戦いが待っているならどんな困難でも乗り越えていかなくてはいけないと思います。」
「それに、理由はわかりませんがこのテストにも何かの考えがある様に思うんです。」
「・・・・・わかった。ミコト君がそこまで言うなら仕方ない。」
ミコトの言葉にmikusukeが折れた。


「ふぅ、焦ったぜ。ではこれよりテストに挑んでもらう。」
二人のやり取りを見ていた男が口を開いた。
「これから幾つかの部屋に行ってもらう。そこで待っている試練を乗り越え一番奥の部屋までたどり着くんだ。」
「私は一番奥の部屋で待っている。無事に来る事が出来たなら直接私が朱石についての情報を教えよう。」
「はい。わかりました。」
「では、早速だが始めてもらおうか。グッドラック。」
男がそう言うと部屋のどこかでカチッという音がした。


ガチャ


「うわっ。」
不意に足元の床が消え、ミコトは下層へと落されていった。


「なぁ。」
部屋に残ったmikusukeが口を開く。
「こんな芝居なんかせずともミコト君は進んでテストを受けたと思うんだが?」
それに対し男は
「ん?あぁ、ただ単なる俺の趣味だ。」
ただ一言そう答えた。
「相変わらずサディスティックだな・・・。」
mikusukeが半ばあきれた声で呟いた。
















『真説RS: 赤石 物語』 第4章 『PERVERSION』-2







「ここは・・?」
ミコトが落ちた場所は小さな灯りだけが灯された殺風景な広い空洞だった。


・・・・!!


背後に感じる気配に気付きミコトが思わず距離を取る。
「おー、よく気が付いたね~。君がミコト君だね?初めまして、タケちゃんマンだよ。」
気配を発していた主がミコトに対し話しかけた。
「タ・・タケちゃんマンさん?は・・はじめまして。」
タケちゃんマンと名乗る男のあまりにも気の抜けた話し方にミコトは面を喰らっていた。
「ちがーーーっう!!タ・ケ・ち・ゃ・ん・マ・ン!!」
「さんとか付けたらさー、ちゃんなのかマンなのかさんなのかややこしいじゃん!!」
「えっ?あっ・・・はい。」
「よーし、じゃあ僕の後に続いてね?せーのっ・・」
“タ~ケちゃ~んマ~~ン”
「はいっ!」
「タ・・ターケちゃーんマーン」
タケちゃんマンの雰囲気に流され思わずミコトが続く。
「・・・・。」
そして激しく後悔した。


「ん~、声が小さいなぁ~。まぁ、初めてにしては良く出来た方かなっ。」
タケちゃんマンの言葉に余計にミコトは恥ずかしくなってきた。
「何、照れてんのさ~。そんな顔真っ赤にしてると・・・・やられちゃうよ~~ん♪」
タケちゃんマンはその言葉を発した瞬間に一気にミコトとの距離を詰め隠し持っていた剣でミコトに攻撃を仕掛けた。
今まで一切と言っていいほど闘気の類が感じられなかったタケちゃんマンの気配がガラっと変わっていた。
「!!」
とっさにミコトが腰に下げていた剣を取り防御の体勢に移った。


ガキッ


正に紙一重のタイミングでミコトがタケちゃんマンの攻撃を防ぐ。
「お~!今の攻撃をよく防いだね!!すごいすごい!!」
数歩退き距離をあけたタケちゃんマンは相変わらず気の抜けるような声で話していた。
「い、いきなり何ですか!?」
タケちゃんマンの動向に注意しながらミコトが問う。
「ん~?おっちゃんから聞いてるでしょ?試練を乗り越えろって。」
「武器を持った2人が対峙している。何を意味しているかはわかるよね~?」
タケちゃんマンの言葉に対し
「ですね。愚問でした。」
ミコトは先ほどの質問をした事を少し後悔していた。
「うんうん、素直な子は好きよ。うふっ。」


―この人・・・全く読めない。
タケちゃんマンを前にしたミコトの正直な気持ちだった。
―戦う気があるのかないのか・・・・攻め手が読めない。
終始笑顔でどこか気の抜けた素振りを見せるタケちゃんマンだったがそれは攻撃に転じた時も変わらず戦い難い印象をミコトに与えていた。
―相手がどんな人でも自分は自分の戦い方を信じて戦うのみ!!
ミコトが心にそう誓いより一層戦いに集中しだした。






















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