観劇にあたって


 今回の怒りの素となってる松井誠公演の僕の前に座ってた3人の奥様の話から。まーね、イベントなんでしょうね、お友達とお芝居を見に行くってのは。いいんですよ、それは。お芝居なんてそんな感じで見るもんですから。開演前に多少大きな声で話してたとしても、それは「あー、楽しいんだろうなー」と、こちらとしても笑顔で見るくらいの余裕はあるんですから。ただね、そのノリが芝居が始まっても続いちゃう所に問題があるんですな。もうね、しゃべりっぱなし。1幕目、松井誠が老婆になって「チュウチュウタコカイナ」といいながら出てくるんですよ。ただそれだけなんですよ、それをおばさん達はもうゲラゲラ笑っちゃうんだよなー。「チュウチュウタコカイナだって、ハハハハ」とセリフを繰り返して笑うんだな。その後も、衣裳が変わるたびに「あら~っきれぇ~。すてきねぇハハハハ」大きな音がすると「あー、びっくりした~、ハハハハ」鳥居かほるさんが出てくると、「ほら、あの人、鳥居かほるだよね、ハハハハ」なんでも最後のハハハハが付いちゃう。箸が転がってもおかしいってのは、10代と40代以上の女性ね。

 一人でも何かというと役者が言ったセリフを声に出してる人がいますが、それが3人となるとね。うちでテレビを見てる感覚なのかなー。他の人の迷惑になってるって事が分からないのかなー。ヒソヒソ話してる声って意外と気になるもんですよね。芝居を見ながら色々と感想が出てくるのは、そうとしても声に出すのはなー。で、そんな自分の感想を隣の人に言わなくてもいいんじゃないの?芝居の最中なんだから。もうね、おば様3人連れの予防策としては、席を離すしかありませんね。
しかし、どうなんでしょうか、人生、40年以上生きてくれば、さまざまな経験も積んでるわけですからもう少し情感といいましょうか、心の機微がわかってもいいんじゃないかと。

 このさいだからあえて言わせてもらえれば、よく声をかける人もいますよね。芝居の中で多少アドリブっぽくなってたりすると、突込みとか、激励の声をかける人。いいんだけど、あれも間を外したりすると、他のお客さんも引いちゃうんですよね。本人は得意気なんだけど、これもしつこいと嫌われちゃいますよね。

昔、B作さんが「客も勉強しないとダメなんだよ」って言ってました。そうなんですよ、特に笑いの芝居を見るときはね。勉強といっても学問をする必要はないわけで、社会のいろんなことに注意してみる、いわゆる時事ネタですね。とにかくいろんな出来事とかにアンテナを張って、そしていろんな事を知ってるほど、笑える所が増えるってことです。ほら、映画を観てないといろんな映画のパロディ満載の映画が楽しめなかったりするでしょ。そういうことなんですよ。今はテレビのお笑いだと、そんな事知らなくても構わないお笑い番組ばかりだからかなー。でも、せっかくお金を払って観るんですから、もれなく笑いを掬い取っていただきたいんですよね。芝居の出来の良し悪しをお客さんのせいにしちゃいけませんが、少なくとも役者がのっていけるような、お客さんだと非常~にありがたいですな。


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