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農業の「6次産業化」が推進されたわけですが。2011年2月分。 2012年度から全国の都道府県で一斉に始められた観のあった官主導の農業の「6次産業化」。そろそろ10年間の成績がでるところでしょうがあなたの都道府県での10年目の事業の成否はいかがなものでしたか。ちなみに消費地から遠い〔地元の消費人口の少ない〕地域では、「事業は好調ともいえるのだが農家にはいるお金は予想以上に少ない」「地域間競争が激しすぎる」「類似加工品が多すぎる」「ヒットさせるのは至難の業」といった反省の弁も発表されるようになってきたように感じられます。・・・といったわけで2011年2月分となりますが、次回の資料として、よろしかったら。 ↓『農業の6次産業化が推進されるわけですが/2011年2月分』来年度農業予算で 農家などが加工や流通事業に進出して収益化をはかる「6次産業化」に ついては、官民の「農林漁業成長産業化ファンド」(仮称)で支援。創 設資金として300億円を計上された。 ということで、脚光を浴びているのが、いわゆる「農業の6次産業化」です。しかし、現場にいるものとして気になるのは、 ● 「農業の6次産業化」にさえ取り組めば成功する といった〔威勢の良すぎるとおもわざるをえないような〕論調です。これまでまるで「農業の6次産業化」がいっさいおこなわれてこなかったと思わざるをえないような論調です。 たとえばここに農水省が昨年の11月に発表した「全国の農協」や「農業経営体」が運営する農産加工場の2009年度調査結果のニュースがあるのですが・・・ いちおう全国の農産加工場の数は2009年時点で 27231ヶ所あることになっています。 わかりやすいように言わせていただくとすればですね・・・・ 現時点でさえ6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは、山ほど ある。 といわざるを得ないというのが正直なところではないかと思えるんですよ。さらにこれに加えて〔これから参入する計画以外の〕農産物加工を生業とする既存の一般企業も存在するわけですから。。 と、いったわけで、これから6次産業化に取り組もうかと考えておられる方への、わたくしなりのアドバイスなのですが ● 市場ニーズがあるのかどうか ● よその商品やほかの企業に勝る部分はどこにあるのか を、よくよく考えられたうえで行動を起こされてくださいね、資金を借りるうえで利用する金融機関や行政の担当者などの第三者の視点もしっかりと取り入れられてくださいね、 ということです。 本業が赤字だから起死回生で6次産業化だっ・・・というよりも、 本業に余力があるから6次産業化でもやっちゃうか・・・というほうが よりベターな考えだと思うんです。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jan 4, 2022
水田周りの野焼きや水路掃除がおこなわれていた先週の週末。南九州の海岸部地方では3月下旬から早期水稲の田植が始まりますからこういった集落を中心とした共同作業は、水稲作には欠かせない作業となっているのです。ただ最近気づくのは、こういった作業に参加する参加人員の少なさ。年々農家戸数が減少しているのですからまあ当たり前の話ではあるのですが、はたしていつまでこういった人海戦術のかたちをとった部落総出の共同作業がいつまで続けられるのかと不安になっている昨今です[でないとドローンはとんでいるけれど水路が使えないのでイネは植えられていないみたいな平たく言えばそうなるという話です、野菜作だって水問題は大切ですし]。・・・日本の自給率が低下し続け、農家数の減少が続いているいじょう 今年よりも来年、来年よりはさ来年と時間が経過していくにつけ、この傾向は拍車をかけてつづいていくのはまちがいのないことでしょう。ということで前回の 日本の用水・排水路をまもってきたもの/こちら の関連として、日本の農家は多様であったという話の再掲載です。『大規模化すすんでいないので日本農業は弱い』『AI化されていないから人手がいる』といったような一般論への参考資料として2009年の再掲載ですが、よろしかったら。↓『日本に多種多様な農家がいる理由。』野菜や果樹などを栽培する労働集約型の農家は、土地をあまり必要としません。むしろ労働力の限界を感じつつも、無理を押してイネを作付けしなければならないときすらあります〔作付けしないで田を荒らすとまわりの農業者からのクレームがきますからね〕。このように、もっている土地が余ってしまう場面もあるわけです。ですから、このあまっている水稲を作付けする水田について、土地利用型農業を目指す農業者に貸し出したり作業委託を頼む場面があります。反対にイネやムギ、大豆を栽培する土地利用型単独農家では大規模な土地が必要になります。。たとえばイネの場合でいえば、1haほどの農地では農業所得は生じず、5ha以上でなんとか経営的にとんとん、10ha以上の農地を確保して初めて農業所得が500万円程度になるともいわれています。そこで労働集約型の農家が、土地利用型単独農家に土地を貸す場面がでてくるわけです。これでどちらとも経営がうまくまわる。いっぽう労働集約型の農家というほどでもなく、土地利用型単独農家でもない、中間型というべき農家もいます。たとえば水稲の時期にはイネを作り、水稲が終わるとキャベツや野菜などの葉物野菜や小面積のハウス栽培で野菜をつくったりする農家です。そして人でがあまる時期には、前述の労働集約型の農家や土地利用型単独農家に賃金を貰って手伝いにいったりもします。もちろんこれでも経営がなりたちます。また、1haほどの土地を持ち、〔自分のウチが食べる分+α程度の〕野菜や米の作付けだけをする程度の兼業農家もいます。また年金収入が主たる収入源で、あまった農産物をすこしだけ販売する農家もいます。ここでは自分で農作物を作れない分の土地を土地利用型単独農家に貸したり、労働集約型の農家へ賃金を貰って手伝いにいったりもします。これらもまた経営がまわっている農家であるわけです。そうそう、ほかにもありました。たとえば畜産だけをおこなう農家もありますし、なかには不動産屋さんのような農家、まるで企業家のような農家もいます/笑。ただしやはり前述のようにたとえば農作業を委託したりとかの何らかの形で、集落とはつながっているわけです。と、このようにひとつの集落のなかには、いろいろな農家と農業があるわけです。そしてここがポイントなのですが、くくりでいえば全部が『農家』でありますし、おこなってるのは『農業』であり、そしてその多種多様な農家が助け合ってひとつの集落ができあがっているという現実があります。さて、ここで問題となるのは、昨今論議が盛んになっている〔日本には土地利用型農業しかないと思わずをえないような〕農業改革論です。いろいろな農家と農業のある農業の問題をひとくくりにして語るにはあまりにも実情を知らないというか、現実を見ていない・・と思うのです。語るな・・とはいいません。でも、せめてどの農業と農家に対する農業改革論を語っているのかを、まず最初に説明していただけないかと思うのです。もちろん共同作業の件を頭に入れつつ・・ですよ。 日本の企業だってそうですよ。大企業や中小企業、株式会社に 個人商店それに外資やベンチャーなど、いろいろな会社全部を まとめて日本の企業ですものね。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 10, 2020
生育不良であるならば作物の状況をみてとる対策を考えよう。三か月ほどつづいた水不足の状態から、こんどはまたまたの曇りや雨天続き。この片寄りすぎる気候で、生育のおもわしないハウス作や 露地作物。ということで 今回はとる対策の考え方についての回となります。 ↓「まずは土づくり。肥やしなさい・肥やしなさい。」といった農業に対する考えがあります。いっぽう、「土を肥えさせるのは悪。土を肥やすのはもってのほか」という考えも 最近ではあるようです。そういった考え方のもとで うまくそだっているのであれば良いのです。ただし、生育がおもわしないのであれば 話は別。農作物という商品を販売する以上は、品質のよい品を・同時にたくさん収穫するのが経営上の理想であるからです。さて、こういうときは どうすればよいのでしょう。答えは簡単。迷っているばあいではありません。土の原則論に頼るのではなく 植物に訊けばよいのです。たとえば トマトを例にとると、生育状況の観察から 栄養面ではこんな診断がなされています。 トマトの状態のののののののののののののののののの診断 葉色淡い。花小さく、着果不良。果実肥大不良。の→ 栄養不足 葉が厚く・葉色が良い。葉が立ち、受光態勢が良。→ 健全 葉色濃く葉面凸凹。鬼花増加・奇形果多。ののの → 栄養過多このような作物の状態をみて、診断に応じて つぎのような対策がとられます。 栄養不足の→の生長を促す対策をとる。たとえば不足した成分の追肥。 栄養過多の→の生育を抑える対策をとる。たとえば水分を押さえる。 リンサンや苦土を追肥する。といった具合ですね。また栄養面だけではなく物理的な面からいえば、圃場の土が固くなっていると感じた場合は、土を中耕し、土中に空気を入れることなども大切な管理となってきます。加えて虫害や病害がでているときは、それぞれの虫や病気に対する対策をとることも大切となってきます。施設であれば、作物の状態をに応じた温度やかん水などの管理場面の見直しももちろん必要となってくるでしょう。このようにトマトだけには限らず、一般的な農業の現場ではそれぞれの作物の生育の状況や状態をみながら、その生育に応じた対策[農業技術といわれます]がとられて栽培されてきているのです。ということで今回は、植物の生育がいまひとつである場合は、土に対する原則論ではなく 植物の状態をみてそれに応じた対策を考えてみようという、ある意味農業としてはあたりまえすぎるおはなしなのでした。 人間であっても、そうですよね、まずはそれぞれの患者さんの 様子・容態が、診察診断の主題となる。医療行為もなしのいきなり のカロリー摂取や、カロリー制限のはなしなどにはならない。 まずは個別の患者に対するお医者さまの診察・触診があり、体温 や脈・血圧などの基本的な機器をつかっての検査、そしてそのうえ での診断があります。農業やガーデニングだって同じことだとおも うのです。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Oct 6, 2017
絶対の農法・究極の農業資材などない。いろいろな土があります。たとえば、身の回りの場所で土を手にとられたことはありますか?旅先で土をみられたことはありますか?あなたのいま立っている場所の土はどんな色や形をしていますか?これがじつに千差万別、土には、いろいろな色や形状をしたもの があるんです。色や形がちがう土・・・それは土のもつ組成のちがいに原因があります。 たとえばつぎのように・・・ ■ 気体部分の多い土・少ない土 ■ 水もちの良い土・わるい土 ■ 肥料もちのよい土・わるい土 ■ 鉱物の種類が多い土・少ない土 ■ 有機物の多い土・少ない土 ■ 微生物の多い土・少ない土 ■ 動物体の一部がふくまれている土 ■ 植物体の一部がふくまれいる土などなど。生物と無生物の集合体である土は、それぞれの場所場所にいろいろな「土」が存在するのです。さて、これほどの多種多様な土を利用しておこなわれる農業についてです。いろいろな土に万能の農法がありえるでしょうか。またその農法にとって絶対の資材がありえるものでしょうか。答えは、否 です。さまざまな土壌でおこなわれる農業ですから・・・様々な土に対するいろいろな方法や手段が、とられてしかるべきです。 肥えすぎた土には、肥料分を抜く土の管理を。 やせた土には、肥料分を多少大目にやる管理を。土の状態を見ながら・土壌を検査しながら、育てようとする作物のステージごとに欲しがる肥料分を、作物の生育を観察しながら、適せん あたえていくことが 必要になる。それが 農業・農法の現実 です。 自分の生活に置き換えて 考えてみてもそうですよね。 食事したり休息したりすることで、働くことができる。 この種の質問を受けたときは、まず そんなふうに答えて います。 そして資材の価格ですが・・・充分な成果を得る資材は 安いと思います。もっとも高いのは、派手な宣伝に乗せら れて状況にあわない資材をつかってしまって成果がともな わないときです。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Aug 28, 2017
その農業改革案の扱う作物は、土地利用型?労働集約型?改良要記録 作物には 土地利用型作物と、労働集約型作物があります。たとえば米・小麦・大豆といった作物が典型的な土地利用型作物です。 機械化の面からいえば、栽培に関する作業のほとんどが農業機械で行える作物だといえるでしょう。だたし収益をだすためには、いろいろな農業機械と採算に合うための広い土地が必要になります。 反対に、栽培に関する作業の大部分が機械化するのが困難な作物があ ります。たとえば葉もの類であればホウレンソウ・ネギといった 葉もの類、果菜類であれば キュウリ・大玉トマト・イチゴにメロン、そしてお花などです。これらを労働集約型作物といいます。こちらは農業機械はさほど必要ありませんが、機械化出来ない部分に投入する労働力が必要となります。そしてこの2つのタイプの作物のうち典型的なものを例にとり、数字で表すと、次のようになります。作物 労働時間/10a 農業所得/10a 労働農業所得/1時間 コメ 29.2時間 32067円 1100円 大豆 10.1時間 1595円 176円 ↑↓ ネギ 1254.3時間 885000円 706円 メロン 3100時間 3546000円 1278円どうでしょう、農業で生産する作物というくくりでは同じ作物ですが、その実態はまるっきり正反対なものだということが、おわかりになりま せんか?このような作物の栽培の実態と、その経営の実態を認識したうえでな ければ農業改革論を論じられません。どの作物を扱うかで、方法論も結論も、理想とする農業の姿が変わるわけですから。そして・・・なぜ、日本には土地利用型作物を使った農業や労働集約型 作物をつかった農業といった、いろいろな農業が存在するのかを説明して お話はおしまいです。 日本は南北にながーい山国。それゆえに気象も多種多様 ・・これが日本にいろいろな農業が要る理由です。 ● 集落にはいろいろな農家と農業がある は こちら 。 農家さんは、いろいろな農作物をつくるから百の姓で お百姓さんという。 というはなしが ありますよねっ。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Jan 3, 2017
“農林水産物の輸出促進”の内容は。安倍首相の国会における所信表明のなかで、『三年連続で過去最高を更新してきた農林水産物の輸出は、本年も、昨年を上回るペースです。 TPPの早期発効を大きなチャンスとして、一兆円目標の早期達成を目指します。その先には、欧州とのEPAの年内大筋合意を目指すなど、「良いものが良い」と評価される経済ルールを世界へ広げ、おいしくて、安全な日本の農林水産物を、世界に売り込みます。』と表明され、世間一般にも認識されはじめた農産物輸出。しかしその実態は実際にはずいぶん印象とちがう ということを説明した回となります。とくに首相の話を鵜呑みにされてる若い農業者の方々への参考記事として、7月分参院選中の回の再掲載ですが よろしかったら。。 ↓2012年に発足した第二次安倍政権のもとで 推し進められている「攻めの農業」。その政府の姿勢を象徴するものが “農林水産物の輸出促進”です。今回は 2015年に7000億円を超えを果たした、この農林水産物の輸出の伸びと内容の実態を 2014年の12月に 発表された2013年の統計を使ってみていくことにいたしましょう。のののののまずは 為替相場と輸出量の変化が合わさったこのグラフです。当然のことながら円安は輸出に有利に働きます。おおむね認識されているのが 1円の円安で 輸出量は 約25億円増加するというもの。ということで、たとえば25円の差がつけば[円の相場が100円のときと125円のときでは]625億円のちがいがでてくるということになります。つぎに注意したいのが、いわゆる “農林水産物” の内訳です。たとえば このグラフの2013年の農林水産産物の輸出額は5505億円ではありますが、そこから2216億円の水産物の輸出額と152億円の林産物の輸出額を引けば、いわゆる農産物の輸出額が3137億円[農林水産物の55%くらい]ということがわかります。のののののその輸出される農産物の内訳をあらわしたものが、このグラフです。まずは半分の金額を占めるのが、加工食品です。味噌や醤油にソースや お酒にジュースにお菓子など。合わせて1506億円とされています。さすがに日本製の加工食品は海外で人気があるのだなとおもうのですが問題があります。それは加工原料として使われる大豆やおコメなどの約8割が輸入農産物で製造されていること。これでは国内の農家と農業の利益にはつながりません[もちろん加工業者の利益にはなりますけれど]。次にとりあげるのが、輸出額が70億円となっている穀物類です。小麦粉やインタントラーメンにうどんやコメなどがこれにあたるのですが、これらの原料である原料小麦は よく知られているように約9割が輸入品ですから、ここでも 国内の農家と農業の利益には直接つながるとはいえない状況にあります[加工業者の利益にはなりますが]。それから 輸出額が 382億円の畜産物です。海外で和牛の人気が高いのは周知の事実 ですから、そのほとんどが和牛の輸出額によるものだと思いたいのですが、実際にはのののののブタや牛の皮にゼラチンなどの動物由来の副産物が73%ちかくを占めているのがわかります。またよくよく考えてみれば、これらの家畜のエサの大部分も輸入されているわけですから、統計のグラフに踊る輸入という文字をみるたびになんだか複雑な気持ちにもなってしまいます。 ということで 今回説明してきた円安とか原料の問題とか 農産物の分類とかを かんがみたうえでの結論となるわけですが・・・ひとくちに農産物輸出が伸びているという事実があったとしても ● 実際のところ伸びているのは[輸入原料を使った]加工食品であり、世間一般的に農産物輸出のイメージがある食肉に果実に野菜におコメなどの ● 生鮮農産物の輸出額は農林水産物の輸出額のうちの1割程度であることがわかります。以上、 今回は “大切な農業を守るためにしっかりと改革し攻めていかねばならない” “2020年を1年前倒しして1兆円を達成していく”というぐあいに、選挙を控えてますます熱気をおびていく安倍首相の街頭演説における「攻めの農業」の象徴ともいえる“農林水産物の輸出促進”の実態を、2013年の資料をもとに考察してみました。ちなみに参考資料として では 輸入はどうなっているの回はこちら。品質さえ優秀なら輸入がふえても大丈夫の回は こちら。です。 大部分の農家のみなさんが “実感できない”と 口にされる ことが多い農産物の輸出増。その感触は、アベノミスが実感 できないという、あの感覚に似ている気がします。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Sep 27, 2016
誰も想像できなかった・・・『農産物輸出』。約7500億円に達したとされる2015年度の日本の農林水産物の輸出の実態が、じつは海外からの輸入農産物を使った加工品の割合が多いという[4月の衆院農林部会で取り上げられ新聞記事にもなった]事実。 13年輸出実態はこちらの 現状では農家の直接の所得向上につながるとはいいがたい、輸出額のうちのこの5%程度の生鮮農産物の輸出をもって 「誰も想像しなかった量に拡大した」という言い回しで 21日の与野党9党首による党首討論において安倍首相が[農業改革の成果であると]発言されたのは・・・上記の新聞記事に代表される報道を知る者にとっては誰も想像できなかったことだろうなと 思わずにはおられません。 ちなみに参考資料として では 輸入はどうなっているの回は こちら。品質さえ優秀なら輸入がふえても大丈夫の回は こちら。です。 まあ しかし。こないだのサミットにおけるご発言 や オリンピック招致のご発言で世界でこんな表現をなされら れたとしても平常心なのであらせられれば党首討論会など 笑止・しょうし? 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jun 22, 2016
「攻めの農業」の 別の顔。2012年に発足した第二次安倍政権のもとで 推し進められている「攻めの農業」。その政府の姿勢を象徴するものが “農林水産物の輸出促進”です。今回は 2015年に7000億円を超えを果たした、この農林水産物の輸出の伸びと内容の実態を 2014年の12月に 発表された2013年の統計を使ってみていくことにいたしましょう。のののののまずは 為替相場と輸出量の変化が合わさったこのグラフです。当然のことながら円安は輸出に有利に働きます。おおむね認識されているのが 1円の円安で 輸出量は 約25億円増加するというもの。ということで、たとえば25円の差がつけば[円の相場が100円のときと125円のときでは]625億円のちがいがでてくるということになります。つぎに注意したいのが、いわゆる “農林水産物” の内訳です。たとえば このグラフの2013年の農林水産産物の輸出額は5505億円ではありますが、そこから2216億円の水産物の輸出額と152億円の林産物の輸出額を引けば、いわゆる農産物の輸出額が3137億円[農林水産物の55%くらい]ということがわかります。のののののその輸出される農産物の内訳をあらわしたものが、このグラフです。まずは半分の金額を占めるのが、加工食品です。味噌や醤油にソースや お酒にジュースにお菓子など。合わせて1506億円とされています。さすがに日本製の加工食品は海外で人気があるのだなとおもうのですが問題があります。それは加工原料として使われる大豆やおコメなどの約8割が輸入農産物で製造されていること。これでは国内の農家と農業の利益にはつながりません[もちろん加工業者の利益にはなりますけれど]。次にとりあげるのが、輸出額が70億円となっている穀物類です。小麦粉やインタントラーメンにうどんやコメなどがこれにあたるのですが、これらの原料である原料小麦は よく知られているように約9割が輸入品ですから、ここでも 国内の農家と農業の利益には直接つながるとはいえない状況にあります[加工業者の利益にはなりますが]。それから 輸出額が 382億円の畜産物です。海外で和牛の人気が高いのは周知の事実 ですから、そのほとんどが和牛の輸出額によるものだと思いたいのですが、実際にはのののののブタや牛の皮にゼラチンなどの動物由来の副産物が73%ちかくを占めているのがわかります。またよくよく考えてみれば、これらの家畜のエサの大部分も輸入されているわけですから、統計のグラフに踊る輸入という文字をみるたびになんだか複雑な気持ちにもなってしまいます。 ということで 今回説明してきた円安とか原料の問題とか 農産物の分類とかを かんがみたうえでの結論となるわけですが・・・ひとくちに農産物輸出が伸びているという事実があったとしても ● 実際のところ伸びているのは[輸入原料を使った]加工食品であり、世間一般的に農産物輸出のイメージがある食肉に果実に野菜におコメなどの ● 生鮮農産物の輸出額は農林水産物の輸出額のうちの1割程度であることがわかります。以上、 今回は “大切な農業を守るためにしっかりと改革し攻めていかねばならない” “2020年を1年前倒しして1兆円を達成していく”というぐあいに、選挙を控えてますます熱気をおびていく安倍首相の街頭演説における「攻めの農業」の象徴ともいえる“農林水産物の輸出促進”の実態を、2013年の資料をもとに考察してみました。 大部分の農家のみなさんが “実感できない”と 口にされる ことが多い農産物の輸出増。その感触は、アベノミスが実感 できないという、あの感覚に似ている気がします。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jun 18, 2016
日本の集落にはいろいろな農家と農業がある。改良要記録『大規模化すすんでいないので日本農業は弱い』という一般論への参考資料として2009年の再掲載です。よろしかったら。 ↓『日本に多種多様な農家がいる理由。』野菜や果樹などを栽培する労働集約型の農家は、土地をあまり必要としません。むしろ労働力の限界を感じつつも、無理を押してイネを作付けしなければならないときすらあります〔作付けしないで田を荒らすとまわりの農業者からのクレームがきますからね〕。このように、もっている土地が余ってしまう場面もあるわけです。ですから、このあまっている水稲を作付けする水田について、土地利用型農業を目指す農業者に貸し出したり作業委託を頼む場面があります。反対にイネやムギ、大豆を栽培する土地利用型単独農家では大規模な土地が必要になります。。たとえばイネの場合でいえば、1haほどの農地では農業所得は生じず、5ha以上でなんとか経営的にとんとん、10ha以上の農地を確保して初めて農業所得が500万円程度になるともいわれています。そこで労働集約型の農家が、土地利用型単独農家に土地を貸す場面がでてくるわけです。これでどちらとも経営がうまくまわる。いっぽう労働集約型の農家というほどでもなく、土地利用型単独農家でもない、中間型というべき農家もいます。たとえば水稲の時期にはイネを作り、水稲が終わるとキャベツや野菜などの葉物野菜や小面積のハウス栽培で野菜をつくったりする農家です。そして人でがあまる時期には、前述の労働集約型の農家や土地利用型単独農家に賃金を貰って手伝いにいったりもします。もちろんこれでも経営がなりたちます。また、1haほどの土地を持ち、〔自分のウチが食べる分+α程度の〕野菜や米の作付けだけをする程度の兼業農家もいます。また年金収入が主たる収入源で、あまった農産物をすこしだけ販売する農家もいます。ここでは自分で農作物を作れない分の土地を土地利用型単独農家に貸したり、労働集約型の農家へ賃金を貰って手伝いにいったりもします。これらもまた経営がまわっている農家であるわけです。そうそう、ほかにもありました。たとえば畜産だけをおこなう農家もありますし、なかには不動産屋さんのような農家、まるで企業家のような農家もいます/笑。ただしやはり前述のようにたとえば農作業を委託したりとかの何らかの形で、集落とはつながっているわけです。と、このようにひとつの集落のなかには、いろいろな農家と農業があるわけです。そしてここがポイントなのですが、くくりでいえば全部が『農家』でありますし、おこなってるのは『農業』であり、そしてその多種多様な農家が助け合ってひとつの集落ができあがっているという現実があります。さて、ここで問題となるのは、昨今論議が盛んになっている〔日本には土地利用型農業しかないと思わずをえないような〕農業改革論です。いろいろな農家と農業のある農業の問題をひとくくりにして語るにはあまりにも実情を知らないというか、現実を見ていない・・と思うのです。語るな・・とはいいません。でも、せめてどの農業と農家に対する農業改革論を語っているのかを、まず最初に説明していただけないかと思うのです。もちろん共同作業の件を頭に入れつつ・・ですよ。 日本の企業だってそうですよ。大企業や中小企業、株式会社に 個人商店それに外資やベンチャーなど、いろいろな会社全部を まとめて日本の企業ですものね。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Oct 15, 2015
農産物輸入で衰退していった地方経済。 2009年の記事です。TPP関連の資料として、よろしかったら。 ↓『農産物輸入で衰退していった経済。』農産物輸入のうち とくに冷凍野菜が日本経済に与える影響 について、典型的なサトイモ栽培を例にとってお話したいと思います。 元来サトイモは、手のかかる作物です[特に親イモから子イモや孫イモをはずすことに労力が掛かります。]。日本での栽培においても、収穫は機械でおこなったととしても、その後の選別・出荷については、ほとんど手作業が必要となる野菜なのです。そんな手のかるサトイモ栽培を、日本の農家では時にはひとを雇いながら、収穫作業をこなし・出荷調整作業作業をこなして、商品となるサトイモを市場に出荷してきたのです。しかしここで、登場するのが、中国産の輸入冷凍サトイモです。価格が安いばかりではない。加工済みのサトイモとして輸入されてくるのです。「皮を剥き、下茹で」という加工した状態であるにもかかわらず、価格が安いのです。中国産の「加工してあるうえに、ときには調理済みの すでに料理となったサトイモ」のほうが、日本の農家の、ただ出荷されるだけの 加工されていないサトイモよりも安いのです。 これでは日本の国産サトイモ栽培に勝ち目はありません。消費者は加工済みの中国もの輸入冷凍サトイモに飛びついていきした。このような状態が続くことで、日本の農家のサトイモ栽培は壊滅的な影響を受け、サトイモ栽培そのものは、次第に減少していったのです。 消費者は利益を得ました。しかしです・・・地域経済でみるとどうでしょう。このような農業における経済的な落ち込みが、サトイモ産地をかかえる地方全体に与える影響は、まったくないものなのでしょうか。 いえ、影響はあります。 例えば「皮を剥き下茹でされた冷凍サトイモ」ですが、日本の加工業界で行われるはずであった「皮を剥くこと」や「下茹でされること」という労力が、当然不用になっています。それだけではありません。商品を作るために使用されるはずの包装などの材料代、電気代、長い目でみれば加工場の機械などもいつのまにか消えていってしまったのです。また、農家がサトイモの生産を中止することにより、サトイモ栽培にかかる資材も購入しなくなります。種子代・肥料代・農薬代・ビニールなどの資材代、それらにかかる輸送代も発生しません。サトイモの製品にかんする輸送費や人件費も消えていきました。それだけではありません。長い目でみれば、掘り取り機械やトラクター・トラックなどの農業機械や自動車の需要にも影響が及びました。これらの機械を製作している産業界、販売している流通業界、さらにの購入資金を貸したはずの金融機関までにも影響は出たのです〔トラクター1台で数百万の世界。小さい農家でも総計1000万ちかく・大きな農業法人だと数億円規模の機械があるのはふつうなのですから、これがなくなっゃうとでかい金額になりますよ〕。さらに農地があまることで、耕作放棄地や宅地に転売される土地が増え、結果的に地価がさがることなもなりましたしね。 このように輸入される農産物(冷凍加工食品も含めて)は、まずは地方経済、そしてじわじわと しかし確実に 日本経済全体に影響を及ぼしていったのです。 この話はサトイモだけに限った話では、もちろんありません。・・・こういった経済の動向傾向はサトイモ以外の野菜でも同様です。たとえば塩茹でにされて、温めるだけで食べることができるエダマメやホウレンソウがあります。サラダに使えるやブロッコリーやコーンはどうでしょう。これらの加工済みの冷凍野菜の輸入は、膨大な消費金額の減少、そして膨大な労働機会の減少[さらにはいろいろいな分野にお勤めの労働者/消費者にも影響を]をもたらしていると思えますよ。 ということで今回は、輸入される農産物の与える影響というは、実は農業分野には留まらない大きなものであり、その影響は まずは地方経済を、さらに時を経るごとに日本全体の経済を収縮させていった という おはなしでした。 個人的な見識ではありますが・・・ 輸入が少ない時代には、農家は豊かでした。たとえば車。 家には父さんの車、息子のスポーツカー、作業用の大小 トラックに、さまざまな新品の農業機械が倉庫にあふれ ましたよ。もちろんそんな農家に関したすべての業者、 とくに自動車関連の業者さんはえらく儲かっていましたよ、ええ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Oct 12, 2015
ゲリラ豪雨のかげで、増えている干ばつ。6月と9月には太陽を忘れてしまうほどの降雨。しかし9月の末からは天候が一変・・・10月下旬の現在まで[のどから手が出るほど]雨がほしい状況がつづいている南九州です。ということで2012年の回を再掲載です。 ↓『ゲリラ豪雨のかげで、増えている干ばつ。』 日本の農業生産にとって大事な水の問題を考える場合に まず第一に挙げなければならないこと、それは日本の降水量の変化についてです。 気象庁の全国の51地点での継続した調査や国立環境研究所の調査で、とくに西日本を中心にしたほとんどの地点で年降水量の変動が大きくなっていることが報告されています。つまり極端な多雨そして少雨の年が増えている。気象庁の異常気象リスクマップは こちら 。 「水がほしいのに、降らない」「水が過剰なのに、まだ降る」 これは生長に応じた水を継続して必要とする農業生産にとって、きわめて不都合な話しとなります。 渇水の話しをつづけますと、たとえば 「露地もの」の葉もの野菜を大面積で栽培する場合に、50日を越す渇水に見舞われたとしたら農作物の成長不良や枯死などの被害が発生します。それでもまだ生産できればよい方で、これ以上に水の絶対量が不足した場合は ・・・収穫がゼロになってしまうという壊滅的な打撃を受けることになるでしょう。 現実におこった渇水の例としては、1978年から1979年にかけて起こった福岡渇水が代表的なものですが、この場合には5月から翌年3月まで続いたといいいますから、想像しただけでもぞっとしてしまいますよね。 渇水による農業被害の金額がはっきり出ている例としては、1994年夏に起きた全国的な渇水で、特に被害が大きかったといわれる四国の松山市を中心とする当時の5市14町4村のケースがあります。7月はじめから10月下旬までつづいた干ばつがつづいたこのケースでの農水産業被害は70億円を超したといわれています。 また干ばつ時にたとえかんがい用水があったとしても、給水施設のない大型露地栽培では、かん水作業のための時間と労働力、そして費用が発生することも、見逃すことのではないリスクとなります。1994年の渇水の際には、生産することに対して平年の約3倍もの費用が必要になったという統計もあるんですよ〔収穫できたとしても採算はとれないことになってしまう場合も〕。 まあしかし考えてみればです。 2ケ月を越える渇水が起こったとすれば、水の節約のため水道用水が減圧給水や時間断水される事態も起こりえます。そうなると工場の操業短縮や停止といった被害が発生するでしょうし、家庭生活において食事の用意ができない、水洗トイレが使えないなどの大きな影響が及ぶことになる。 こういった非常事態に陥れば、野菜の生産やとくに水を必要とするイネ栽培を行う農業に回せる水などないといった場面も当然発生してくるのでしょうね、これからは きっと。 ダムの水も枯れた年の話は こちら。 ダムの水も枯れた年の話は こちら。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Sep 18, 2015
“水”が堤防をこえなくても安全とはいえない。 台風の影響で大雨が降りつづいている地方の方も多いということで、そんな大雨に関しての 河川の増水に関するはなしです。よろしかったら。。 ↓ 水が堤防をこえなければ、どんなに河川が増水しようと大丈夫・・・ と、思われている方がほとんどだとおもいます。しかしですね、じつは 「ボイリング」 という現象があるんです。 堤をいくら頑丈につくろうとも、堤の下の地層が、砂利や小石を含む 砂れき層〔透水性が高い〕の場合は危険。水の圧力がかかると、堤防 の地下にしみこんだ水が、堤防真下の砂れき層をかくはんさせ地盤ご といっきに吹き上げてしまう。 という、この おそろしい現象、それが「ボイリング」なんです。 この「ボイリング」についてのシュミレーションとして、台風被害が頻発することの多い宮崎県のものがあります。台風接近中で大雨が懸念されるいま・・・転ばぬ先の杖として、一度 ご覧になることをお薦めします。 ● こちら 、ページを開いて大淀川右岸岳下橋付近 をクリックです。 河川の警戒水域を越える増水がおこった場合は、明るいうちの 早めの避難が得策です。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Sep 10, 2015
農業の成功は、労働力でもきまります。G 農作業における作業能力が同程度の人がいると仮定すると・・・トマトハウスのトマトを管理する場合、管理する人の数によって当然管理方法がちがってきます。 仮に10アールあたり、1000本のトマトが植わっているハウスがあるとします。 いままでこのハウスのトマトを4人で管理していたのですが、来年は都合で2人に減らされることになってしまいました。さあ、あなたがこのハウスの責任者だとするならば、今年はどうやってトマトの管理作業をこなされますでしょうか。 がむしゃらに働くというのも手です。残業を増やすのもいいかもしれません。 しかしもっと簡単な方法がある。そうです、ハウスに植え込むトマトの苗を減らせばよいのです。 10アールあたり800本のトマトにする。余裕をみて600本にしてもよいかもしれません。 本数が減るのですから、たしかに全体の果実数は減少する。しかし、このやり方であれば、トマトへの日射量も増え、通気性もよくなるので、全体の果実品質はあがり、1本あたりの平均果実収量はふえることでしょう。 それでは、逆に、4人で管理していたトマトハウスを、来年は都合で6人で管理するようになった場合はどうすればよいでしょう。 そう、この場合はハウスに植え込むトマトの苗を、とりあえず増やしてみるのが手です。まずは1200本あたりでどうでしょう。 ハウス内の本数が増えたとはいえ、管理する人員が増えたわけですらたとえば病気になった葉や古い葉を大事にならないうちに、先回りしてとる〔摘葉といわれます〕ことや、害虫が増えるのを予防するといった管理を徹底することで、1本あたりの果実収量はふえるはずです。なんといっても もともと全体の植え付け本数が増えているのですから、このような管理を徹底すれば、増収はまちがいのないところです。と、こういうふうに、手を入れることによって増収するように工夫する[単位面積当たりの量と質をあげる]農業、これを 集約的農業といいます。 ・・・現在の、栽培面積をふやすことばかりを強調する「構造改革」農業の推進には、私は多いに疑問があります。だって、大面積を誇る米国やオーストラリア農業にも、経営体の倒産はもちろんあるのですからね。面積は単純に広ければよいというものではないと思うのです。 今回は「労働力」をテーマとしましたが、これは「栽培面積」に置 き換えることも可能ですよね。たとえば「5反あるハウスを4反」 にしたり、「5反あるハウスを6反」にしたり。 そうなると「投下資本」にもつながる話ともなってきます。たとえ ば高騰しているハウス燃料は、4反と6反ではずいぶん異なること になりますし。こういった条件と状況からみた工夫は大切だよなと、 思うんです。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Dec 2, 2014
大きな虫よりもむしろ小さな虫。G 作物栽培では、大きな虫よりもむしろ小さな虫がやっかいになります。それは眼にかからないほどに体の小さな虫がウイルス病を媒介するからです。たとえば「トマト黄化えそウイルス病」。この病気にかかるとトマトの茎や葉柄にはまだらの病斑を生じ、葉は次第に黄化。そのうちに茎の内部は空洞化し、株全体が萎れて次第に枯死していく。もちろん植物体の機能が役にたたなくなるわけですから、果実の生育は止まり落下、結果として発生圃場では著しい減収状態におちいります。のさらに怖いのは、治療目的のための薬剤が効かないこと。ウイルス病は、いったん感染すると治療する方法がないのです。そのために蔓延するのを防ぐためには、発病した株を早めに抜き取り処分することこそが最良の対策とされています。 このウイルスの運び屋。それこそが[チョウの幼虫などの大きな虫などと比較ると]ごくごく小さな スリップス/アザミウマ、コナジラミ、ハダニ などなど なのです。 なかでも気をつけたいのが、とくに体の小さなスリップス/ アザミウマです[ミナミキイロアザミウマは雌成虫で体長約1ミリ!] 。代表的な種類であるミナミキイロアザミウマ〔80種に寄生〕とミカンキイロアザミウマ〔200種以上に寄生〕の、その生息できる植物の数の多さにはただただ驚かされます。わかっているだけでも、トマト黄化えそウイルス・アイリススポットウイルス・メロン黄化えそウイルスなどのウイルスを媒介するのがわかっていますよ。 ・・・ヒトが気づかないほどの小さな体を武器にそっと圃場に侵入し[場合によっては侵入していることすら気づかせないうちに]栽培作物に甚大な被害をもたらすとともに、場合によってはその作が終わった後も不治の病を媒介する極小の虫たち。今回は、侵入していることがすぐに確認できる大きな虫よりも、むしろ圃場に何時侵入したのかが判断しにくい小さな虫が怖い・・・というお話でした。 虫がこない伝説っていうのは、つまりは「発生していることに気がつか ない」という、 小さな虫の存在をむし/無視した話 なのかもですね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jul 19, 2014
ハーブにも、虫は ばしばし やってくる。G ひと昔前の話です。『ラベンダーやセージなどを畑の作物の間に植えているので、無農薬で 作物が栽培できています』などという話をよく聞いたものです。いわゆる ハーブには虫がこない伝説 ですね。・・・しかし最近では、さすがにこの話も聞かない様になって来ました。そうなんです、もちろんハーブにも、虫は ばしばしやってきます。体験からいうと、ハーブには虫がこない伝説で登場するラベンダーやセージ・ミントなどにももちろんやってきます。ちなみに別ブログでラベンダーの鉢利用の長期栽培の様子をお伝えしているのですが[こちら]ほかの作物から隔離してラベンダーだけを栽培しているにもかかわらずちゃんと彼らはやってきます。ちなみにそんな害虫の種類ですが、小型のものでは、梅雨の時期になると恒常的に葉の裏面に発生するのがハダニ。ハウス栽培の終了とともにやってくるのがシルバーリーフコナジラミやタバココナジラミ。そして大型のものでは、気温があがる 梅雨明け時や台風の通過後に、ピナータラベンダの葉を軸だけを残して[まるでニンジンの葉を食べているかのように]平気で食べ尽くしてしまうミツモンキンウワバなどが気をつけねばならない代表的な害虫です。揮発性のオイルの香りのするラベンダー類やミントの葉を生息の場所としたり、吸汁したり・あまつさえムシャムシャと食してしまう彼ら。そのたくましさには、敬服させられてしまいます。 台風の風雨で下葉が傷んでいるとばかり思っていたピナータ ラベンダー。じつは一鉢に5頭ほどのウワバが潜んでいたのが 原因で弱っていたのだと判明。 ラベンダーには すまないことをしたな、とガックリ。。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 17, 2014
日本の水を管理してきたもの。N 農業以外の職業に就かれている方や都市部にお住まいの方のなかで、『日本の用水路・排水路の水管理の問題と、農家は無関係である』と、思われている方もおおいのではないか、と思います。しかし実際はちがいます。日本の農業用水は、〔主として〕土地土地の農家によって構成される水利組合の手によって守られてきたという歴史があります。そのような“水”の問題に関する、昔からの約束事についてのお話となります。2008年前後の記事ですが、ご参考までに、よろしかったら。 ↓ 『春の小川は用水路』なにげなく見過ごしてしまいがちなのですが、冬の時期に枯れていた田畑地帯にある小川が春になると流れていることに気づかれたことはありませんか。じつはこれ、自然な小川ではなく農家の手によって人為的に流されている用排水路の場合が多いんですよ。農家を主体にした水利組合の管理のもと、計画的にながされている農業用水なんです。田の水を管理する水利組合は、農業生産を行う上で欠かせない用排水施設の整備・管理や農地の整備いわゆる土地改良を目的として設立された農家の人たちの組織です。この土地改良区は全国に約7,000・関係する農家は約300万人・関係する農地は約300万haといわれています。そんな日本の農業用用排水路の総延長は なんと 約22万km!この距離は、ほぼ地球5.5周にも達っするのだそうです。現場にいるわたくしなども、この話しを聞いたときにはさすがにびっくりしました。いや、すごいものですね。今回はそのような、まるで網の目のように、毛細血管のように張り巡らされた日本の用排水路についてのおはなしです。田植えに先立つ2ケ月前、水稲農家の苗づくりと並行してこなわれるのが、集落ごと・水の流れる系統ごとの用水路の清掃です。イネの栽培がおわってからおよそ半年、繁茂した草や、その後の増水などで埋まった土砂などが用水路から除去されます。もちろん投げ込まれたゴミの処理も、当然あります。。この用水路清掃には、その水利を利用する方たちが参加するわけですが、かなりな時間と労力がかかります。自分の経験では、ひとつの水利系統で半日くらいの出役となります。規模を拡大したり・高齢化の農家の農地を借りたりして田畑を耕作する方は、この共同清掃に何らかの形での参加が義務付けされますので、これがなかなかに大変。耕作規模が大きくなるほど、水路を多く利用するほど、出役は増えるわけですから、その負担も大きくなっていくわけです。ですから、これもまた日本の耕地面積の土地集積がおこなわれにくい大きな原因のひとつにあげられますね。余談ですが・・・農外から農業に進出しようとする企業や、現場を知らない農業評論家の方には、農業を行うに当たってどうしても必要となる このような作業に関する認識が欠けているようにおもえてなりません。そうそう、新規就農された方などもまた、こういった就農前には分からなかった地域の共同作業の多さに驚かれる場合も・・・多々あるんですよねぇ。さて話を戻して、そのように管理された水関係の上に成り立っているイネ栽培をはじめとする農業活動なのですから・・・その水関係の作業を担っている形の農家の絶対数が減ると、当然ながら農業の生産活動そのものに支障がでるようになっていきます。そしてこの支障というものは農業活動だけには限りませんよ、それ以上に水に関する災害がまちがいなく増加していきます。だって、管理不足の用排水路がうまく流れないようなら、行き場を失った水はあっという間に水路から溢れだしてしまいますから。いま、日本の農家さんの戸数の減少や高齢化のスピードは予想以上に進んでいる。そしてそれは日本の水に関する災害をまちがいなく助長していくものと考えられますよ。・・わたくしはそうみています〔経営効率ばかりを重視する“先進的農家”や企業が、前述の集落の共同作業による管理を喜んで肩代わりしてくれるとは思えない気がするものですから〕。ということで 今回は『春の小川は用水なのだ』ということ、そしてその用排水の管理が 限界近くに達していますよ、というお話でした。 バインダーで刈られた長いままのワラの場合は、大雨などで 田から流出すれば、排水路を詰まらせることにもなりかねま せん。獣害を防止するという点[こちら]でも、水害を予防す るという観点からも、田起しは重要になります。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
May 14, 2014
TPPに参加すれば農産物輸出が増える?N またまた騒がしくなってきたTPP関連の参考資料として再掲載です。2011年6月の別ブログの記事ですが、よろしかったら[TPP自体が秘密主義であるために新しくしようがないので/笑。]。 ↓ 「輸出するつもりが、輸入量拡大になったり。」 優秀な日本産のコメであれば充分に外国で売れるといったような、希望的観測に満ち満ちた説があります。はたして、本当にそうなのでしょうか。そんな農産物に関する輸出入についての話を、その高品質さゆえに、昔から 海外に輸出されていることで有名な干し椎茸 を例にとっておはなししてみます。 さて、干し椎茸です。 椎茸は、生のものよりも乾燥したほうが風味や香り・旨みが増すために、日に干して、干し椎茸に加工されます。高品質の日本産の干し椎茸は、本場ものとして人気があり、日本各地の干し椎茸業者が主として香港や台湾に、昔から輸出をしていることで知られています。なんといっても『道元が南宋に渡った際に現地の僧から干し椎茸を持っていないかと何度も問われた』という逸話があるほどのものであったといいますから、いかに当時から日本産の干し椎茸の価値が高かったのががわかる話ではありませんか。 そんな干し椎茸の本場である日本に、外国産の椎茸が輸入されることなど可能なのだろうか・・・と、前述の逸話を読まれた方は思われるかもしれません。 が、現実は厳しいものです。 全国でも有数の干し椎茸の名産地である宮崎県の干しシイタケの生産量を1984年と2008年の数字を使ってご紹介しますと・・・ 1984年度 2237トン↓2008年度 646トン と、いう具合に、四半世紀の間に生産量が 1/3 になってしまいました。名産地の宮崎県でさえこれです。ちなみに全国の生産量でみれば 1984年度 16000トン↓2008年度 3867トン と、こちらは 1/4 になっています。 この生産量の減少の原因がじつは、それは 安価な中国産シイタケが大量に日本市場に流入したことによるのです・・・・。 そして、コメです。干しシイタケとちがって、本当に喧伝されているように“優秀であるから外国産に勝てる”のでしょうか。 わたくしは、この説をはなはだ疑問に感じます。 関税が自由化された場合、コメもまたシイタケと同じ道をたどるのではないのか、と、思ってしまうからです。お伝えした 農産物の輸出入の現状〔 こちら 〕から考えても、まあそう考えるのが、妥当でしょう。 たしかに 高品質の日本のコメは外国に輸出される。 しかし、同時に 低価格の外国産米も、同時に日本の国内市場に大量に輸入される。 結果として、日本産のコメの生産量は、 コメの名産地で 1/3、日本全体では1/4以下 となる。それが、輸出のために関税を撤廃した場合の真実となるのではないでしょうか。 日本は山国であり耕地がせますぎること。水資源にも陰りがみえてきていること。農業と農村は、土地利用型農業農業ばかりでなりたっているわけではないことから考えると、そう思えてならないのです。 そもそもTPPを農業だけの問題としてとらえることからして、 常識がある社会人とはいえないんじゃないかとおもえちゃったり。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
May 14, 2014
日本は水資源に恵まれているのか?K 前回の水のお話の資料編として、一昨年分ですが よろしかったら。 ↓「日本の農業は世界への農産物輸出を大量に増やせる」という説があります。その説の裏づけになっているのが、「日本は水資源に恵まれているから」ということらしいのです。そこで水の日の本日8月1日。日本はほんとうに水資源に恵まれているのかを検証してみました。ということて、さっそくに数字を使って日本の水資源を、簡単にみていくことにいたしましょう。 わが国の年間の降水量は、平均で約六千四百億立方メートルです。そのうち約36パーセントは蒸発し、残りの約四千一百億立方メートルが利用可能な水の量で、実際に使われている水の量は2006年の取水量ベースでそのうちの八百三十一億立方メートル〔ここですでに降水量の12パーセント〕となっています。 使用されていない水が多いように思えてしまいますが、それらの水の一部は地下へ、そしてそのほかの大部分の水は海へ流出していきます〔日本は山国であり、その急峻な地形が影響しているため〕。 そこで実際に使用されている八百三十一億立方メートルの水の内訳です。 用途別の使用状況〔2006年〕では、農業用水が使用される水全体の66パーセントにあたる約五百四十七億立方メートル、生活用水が19パーセントにあたる約百五十七億立方メートル、工業用水が15パーセントにあたる約百二十六億立方メートルとなります。 農業生産のために必要な水の量が、いかに大量に必要であるかがわかる数字ではありませんか。 現在の日本は、もちろん食料輸入国です。食料輸入国であればこそ、この約五百四十七億立方メートルの農業用水だけで事足りているという現実を認識すべきだと思います。そこで結論ですが、 日本には大量に輸出するための農産物を生産する水資源はない・・・ これが、農業の生産現場にいるものとしてのいち意見です。 ちなみに輸入されるものの生産に必要とされる水の量についてもお知らせしておきましょう。いったいどれくらいの外国の水が使用されているのか。国土交通省の資料によれば・・・コメ・麦・豆・肉類に綿製品などだけでも約四百四十億立方メートルになるといわれています。 [主な輸入品の生産に必要な水量] そう、〔いざというときのための〕 日本には農産物を自給できるほどの水資源もない・・・ のです。 残念ながら日本の水の将来は非常に脆弱な状況であるといわざるを得ないというのが実情だとおもいますよ。実際に本年の九州では、水稲作の植え付け時期の大渇水が、現実の問題となりました。 必要なときに降らず、不必要なときに大降りするもの・・・それもまた 雨。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 10, 2014
『カッパの王国を襲った大干ばつ。』K 2012年の過去記事ですが、次回の参考として再掲載です。 ↓3月下旬から早期水稲の田植がはじまった宮崎県では、深刻な水不足に悩まされています。宮崎地方気象台によると県内は今年に入って少雨傾向にあり、宮崎市の3月の降水量は32ミリで、平年の180ミリを大幅に下回っている。4月も降水量の少ない状態が続く見通しを発表しています。 4月1日の地方紙はそのような渇水の状況を次のように伝えていました。 『宮崎県内で水不足の影響が出始めている。昨年夏からの少雨が今年 に入っても続いているためで「これまでにない深刻さ」(県河川課)。 ダムからの緊急放流や農業用水の取水制限などでしのいでいるが、 一部自治体で稲作などへの影響が出始めており、まとまった雨が降 らなければ上水道への影響も懸念される。』 と、いうもの。 田植後の干上がった田と、水不足の状況を伝える新聞記事 そのような状態を受けて、宮崎県の河野俊嗣知事は7日、少雨のため一ツ瀬ダム(西都市)と渡川ダム(美郷町)の有効貯水率がゼロとなり、枯渇したことを発表、他のダムも枯渇が懸念されるとして、農工業用水の大口利用者や流域自治体などに節水を呼び掛けます。 そして4日8日。気象台の予報では、『県内全域でまとまった雨が降る』との予報であったにもかかわらず、残念なことに結果は少雨に。 県河川課によると、 『県の管理13ダムのにおいて、ダムへの降水量は1月は4%、2月 は42%、3月は16パーセントでしかなかった』 『県内のダム46カ所のうち、枯渇した一ツ瀬と渡川のほか、別の4 カ所も放流量を調整。今後も雨が降らなければ1-2週間で最低水 位を下回り、貯水率がゼロとなる見通し』 と、いう深刻な水の状態を報告するに至りました。 ・・・この時期のこの渇水は誰しも記憶にないところ。宮崎の農家の間では50年、いや60年以上も実施されたことのない“雨乞い”の儀式の話が取りざたされるようにまでなっています。 昨年のいまごろは多雨による日照不足がつづいていたのですから、自然というものは、つくづく予測のつきにくいものだと 実感せずにはおられません。このような日本の雨の偏りの傾向は、今後も継続していくものと考えたほうがよいかも・・・です。 農業経営の面からみれば、ダムはどうしても必需なものだと 心の底からおもえてしまいます。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 9, 2014
少雨と多雨。極端な天気が増えてます。K 関東の水不足問題の関連として2012年分の再掲載です。ご参考までによろしかったら。 ↓日本の農業生産にとって大事な水の問題を考えた場合に まず第一に挙げなければならないこと、それは日本の降水量の変化です。 気象庁の全国の51地点での継続した調査や国立環境研究所の調査で、とくに西日本を中心にしたほとんどの地点で年降水量の変動が大きくなっていることが報告されています。つまり 極端な多雨と、そして極端な少雨の年が多くなってきているのです。それはすなわち 「水がほしいのに、降らない」「水が過剰なのに、まだ降る」 という異常気象が増加しているのを示しています。極端な少雨の例として・・・2011年の3月からおこった宮崎県における大渇水ですが・・・県央の一ツ瀬ダムのダム湖沿いの道を走ってみた光景は、つぎのようなものでした。 いっけん、緑に覆われたのどかな写真に見えますが、 注目すべきは、ダム湖の 喫水線 です。 いつもの年であれば、緑の下は、ほどなく水面。白く見える崖のが、普段は湖水に沈んでいる部分 になるのです。 建設当時に“西日本最大のダム”ともいわれた一ツ瀬ダムのダム湖の貯水量がこの状況なのですから、このときの水事情がいかに逼迫したものであったのかがわかろうというものです。付け加えて、もうひとつ。 上の写真は、ここ一ツ瀬ダムよりも北、大分県にある北川ダムに関する2011年5月21日付けの新聞記事ですが・・・このように〔50年ぶりとも形容される大干ばつにおいて〕東九州各地のダムでは、 史上はじめての低水放流を実施しなければならないというほどの貯水率の減少という事態に見舞われてしまったのでした。そしていっぽう多雨の例ですが・・・この大干ばつの翌年〔2012年〕には 甚大な被害をもたらすことになる 九州北部豪雨 が起こることになります。。ということで今回は、日本で増加している異常気象の例として〔多雨の例となる大水害とは異なって一般的なニュースとして取り上げられることの少ない〕干ばつについての実例のご紹介でした。 “強い農業”を目指すのなら、大切なのはなんといっても まずは水資源というはなしでもありますね。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Feb 10, 2014
大型化や企業化それに六次産業化ばかりが、もてはやされてますけれど。K日本は島国であるとともに国土の約73パーセントを山地が占める山国でもあります。そのために地形が、一様ではないことがウィキペディアではつぎのように描写されています。「日本は山国であるため日本の河川は流路延長に比し川床勾配が急で一気に流れ下る。大陸を流れる川と比べたら滝のようなものである。しかも多雨地帯にある。したがって侵食力が強く山地では深いV字谷を、盆地や平野など山地からの出口には扇状地を発達させていることが多い。また河口付近には厚い堆積層からなる平野を形成している。中部地方から東北地方にかけては河岸段丘を発達させていることが多い。」そのような複雑な地形は、四季があることとあわせて多種多様な気候を生み出します。同じくウィキでは「国土が南北に長いため、亜寒帯から熱帯まで地域により大きく異なる。本州(一部地域を除く)、九州、四国、南西諸島(一部地域を除く)など大部分は温帯に属する。そのほかは、北海道と本州の一部内陸部や高原地帯は亜寒帯に属する。暖流である黒潮や、大陸辺縁部であるため季節により入れ替わる複数の気団の影響により、南方諸島の一部を除く国土のほとんどの地域において季節の変化が大きい。日本の気候は、列島の中央を縦走する山岳地帯を境にして、太平洋に面している地域(太平洋側)と日本海に面している地域(日本海側)とで大きく異なる。」と、されています。そこで視点を変えて、ここはひとつ日本におけるサカナ釣りでもかんがえてみましょうよ。渓流もありますし、湖沼や海岸沿岸での釣りもできます。船釣りだってできますし、もちろん集団の大型漁船を使たマグロの延縄漁が出来る場所もある〔楽しい小物釣りもありますしね〕。ありとあらゆる釣りができる。地形や気候に適して魚種もいろいろなのですから、サカナを釣る方法や仕掛けだっていろいろあるわけですよ。この国では、いろいろな場所に対応したやり方で、各人が得意とする方法で、好きな魚を対象とした釣りが展開されてきたわけです。さて、ここで農業です。農業もまた、釣りと同じように多種多用な日本の風土気候のなかのいろいろな場所に対応したやり方で、各人が得意とする方法で、それぞれの技術にあった作物を対象とした農業が展開されてきた歴史があります。しかし、そんななかでの農政・農業改革論です。最近の改革論といえば、判を押したように『集団化され大型機械を使った土地利用型作物の栽培こそが理想』『企業化され、六次産業化された農業でないから、強くなれない』といったような論説ばかりが幅を利かすのです。じつに不思議な話だとは思われませんか?これを釣りに例えて表現するとしたらですよ・・・「個人個人が陸からの手釣りで魚釣りをやっていた川や池であって も、会社化された集団の大型漁船を使ったマグロ延縄式の漁をや るべし」といっているようなものではありませんか?そんなやりかたじゃサカナは釣れない。だいいち楽しくもないですよ/笑。日本のいろいろな場所に対応したやり方で、各人が得意とする方法で釣りをやるからこそ、釣りは楽いし釣果もあがる。農業だって同じだと思うんです。米国中西部やカナダにオーストラリアといった国のように、安く広大で平坦な農地の割合が少ない。また発展途上国のような安価な労働力も無い。そのうえに南北にひたすら長いために同一条件下の気候にないという日本の風土であるのですから・・・そこで展開される農業は『気象条件や地形に即した、個人の経験と知識を活かして行う農業』のほうが、じつは効率が良いのではないかと思うんですよ。またそんな農業をやれるからこそ、作物づくりは楽しいし、成績も上がるのではありませんか?というわけで今回は、集団化した大型機械を使った土地利用型作物の栽培も、条件があう場所であれば もちろんあってもいい。しかしそれがすべてではないだろう・・・という「日本の農業は、サカナ釣りに似ている」私論でした。 自給自足的な家庭菜園。これは〔漁師さんではない〕趣味としての釣り ということになりますが、これはこれで、じつに楽しっ ♪ 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Feb 5, 2014
農業の「6次産業化」でおこるリスクもある。K 自民党が初めて口に出したことではなく民主党政権時代の農政においてもすでに農業振興の目玉とされていた“農業の6次産業化”の話です。前回は「しかし、6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは現時点でさえ山ほどある」という現実を お知らせしました。 こちら 。 そして今回は、もう一歩踏み込んで、6次産業化でもっともありがちな 農産物を食品加工をすることで利益率を高める という6次産業化の最大のウリポイントを例にとって、発生しがちなリスクを考えてみることにいたしましょう。 たとえばですね、 農産物を加工して販売していた加工食品に異物が混入した といったケースはどうでしょう。さらには 製造販売した惣菜や、農家レストランで提供した食事が原因で食中 毒事故が発生した というようなケース〔自家製パンにノロウイルとか〕はいかがでしょう。 そう・・・たしかに農産物を食品加工し販売することで、利益率はあがるかもしれません。しかし、食品加工し販売するということは、同時に農産物を販売しているだけではおこりえなかったリスクもまた発生する可能性もあるということを考えておかねばならないということなのです。つまり ただの農産物の販売には適用されないけれど、 農産物を加工した場合は「製造物責任法」が問われる ということなる。6次産業化を計画するということは、こういった不慮の事態が発生する場合を常に考えておかねばならないということでもあるのです。 メリットには、かならずデメリットがついてくる ということですね。 そういったわけで、農業経営に対するわたくしなりのアドバイスなのですが、なによりいいたいのは、利益率をあげる方法は 農産物加工やその付属事業ばかりが唯一の方法であるわけではないということです。加工することだけにとらわれるべきではない。加工する前に、やれるべきこともあるのじゃないのかということです。たとえば農産物の秀品率を上げることでもいい。農産物の糖度とか機能性とかの品質面を向上させる事もそうでしょう。収穫量をあげるのもいい。その地域における珍しい作物を作るという手もある。 そうすることでも利益率を上げることは可能だということなのです。ちなみに・・・自分の生産する農産物が評判をよべば、既存の食品業界から“うちの製品の原料にぜひに”などというお声がかかることも、ままあります。デメリットも多い6次産業化を 自らの手で計画し実行するまでもなく、既存の食品業界に身を置く加工と販売のプロに自分の農産物を高く買い取ってもらうことも可能になるわけです。こちらのほうがよほどうまいはなしであるとはおもわれませんか〔農産物だけに/笑〕?いじょう、優れた農産物や人気のある農産物を作るという農業本来の営業努力を積み重ねることもまた、〔より簡単に〕利益率をあげる方法だというおはなしでした。 柑橘に将来性があるからと全国的に柑橘を植えさせた挙句にオレ ンジを自由化〔価格が暴落〕したり、 はたまた 高値が期待できるからと、全国で一斉に“早生”“極早生”品種 を奨励しちゃったら、結局のところ“晩生”のほうが価格がよく なっちゃったなんて話は 農業界には ごろごろ。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jan 18, 2014
「イネは杯の形に作れ」という言葉の意味するもの。K 稲作に関する格言に、「イネは杯の形に作れ」というものがあります。 これは、おいしいおコメをたくさん取りたければ、「アゼ周りに肥料を効かせなさい。アゼの周りのイネを大きくして、逆に田の中ほどのイネは小さくつくりなさい」 という意味です。 そう、実際にイネのできが良いのは、 日当たり と 風通し の良いところ。 一枚の田んぼで、最も風通しと日当たりの良い場所は アゼまわりということになりますから、この「イネは杯の形に作れ」という言葉は、イネ栽培の真理を突いていることになります。 そう、アゼぎわにあるイネからなら、出る穂も多いし、一穂についている粒数も多く・しかも重い充実した実が取れる ものなのです。 それとは反対に、大面積の一枚田でのイネつくりって、田の中心の部分のイネの生育にけっこう気を使うことになるんですよ。なんといっても広い田んぼのなかほどでは〔畦がないために〕日当たりも、風通しも悪くなるわけですから。また水抜けや水いれ時のスピードも大面積ほど遅くなる。田植前の田の表面を水平にならす作業にも大面積ほど苦労する。田の中ほどが、水平でなく水が溜まって抜けにくいようだと問題です。イネの生育が軟弱となり病害の発生源になることも、しばしばとなる。そうなるとコメの収量や品質だって落ちかねない。また水害やなんらかの水の汚染が起こった場合であっても、畦で仕切られた小面積の田がたくさんの方が被害が少なくなることでしょうしね。ということで、今回は イネは、バカでかい田んぼでは、かえって作りにくいこともあるという事実を昔からの格言を使って説明してみました。実際のところ・・・個人的には一枚の田の広さが3反ぜまちを超す田になると作業がやりにくくなると考えております。 「面積を広げさえすれば万事うまくいく」などといった、実際に 生育中の水田にはいったことのない方が唱えいるとしかおもえな い農業改革論 って、このあたりに限界ありだとも思うのです。 → 「山国である日本には、山国なりの農業がある」 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jan 8, 2014
山国には山国の、耕地が狭いのなら狭いなりの農業がある。K 日本では、その国土に占める平野の面積といえばわずかに約25%、残りの70%近くが山間部です。 そう、日本は島国であると同時に山国なのです。 この山国であるということは、じつは大きな問題で・・・ ただでさえ少ない平野では、人口増加や都市化にともなう開発が行われ、結果として、日本の国土のうちの農地面積は国土面積38万平方キロメートルのうちのわずか13.5%にしかなりません。具体的にいえば、山国である日本の耕地面積は、469万ヘクタール(2005年統計)ですしかありませんわかりやすいように、農地面積の割合を諸外国と比較してみましょう。 米国の39・4%やオーストラリアの59・3%とは、比べるべくもありません。 では、EUとの比較ではどうでしょう。 スイスは山国です。ドイツやフランスにもスイスほどではないにしても山がありそうです。しかし・・EU全体の国土面積に占める耕地の割合は65・5%もあります。各国別に見ると、ドイツは47・6%、フランスは53・3%・・・意外に平らなんです。 では、英国ならどうでしょう。日本と同じ島国だから平地が少ないのではないでしょうか。ところが、島国である英国、国土面積に占める耕地の割合は69・6%もある。むしろEUよりも、平たい。 ここまでの話をも具体的に耕地面積で具体的に比較してみると、ドイツは日本の3・6倍の1701万ヘクタール、フランスは6・3倍の2943万ヘクタール、同じ島国であるはずの英国は、3・6倍の1696万へクタールとなります。 さて、そこで農業改革となると〔とくに経済界から〕かならず唱えられる規模拡大論です。 日本に住む私たちは、この国土の特殊性を認識したうえで、それでも土地を集積し、経営規模を拡大しなければならないのでしょうか。 いえ、必ずしもそうではありません。 山国には山国の、耕地が狭いのなら狭いなりの、農業があります。 これまでの農政が地形に適した農業を展開しこなかったことにこそ農業の問題があるのではないか・・・と現場にいるわたくしには思えるのです。 農機転落に伴う圧死が多い日本の農業事故。 この原因も、地形にあると思えるんですよ。というか・・・ しゃにむに大規模化を押し進めるとすれば、ますます 事故は増えることかと。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Dec 19, 2013
農業の「6次産業化」が推進されたわけですが。K 2012年度から全国の都道府県で一斉に始められた観のあった官主導の農業の「6次産業化」。そろそろ10年間の成績がでるところでしょうがあなたの都道府県での1年目の事業の成否はいかがなものでしたか。ちなみに消費地から遠い〔地元の消費人口の少ない〕地域では、「事業は好調ともいえるのだが農家にはいるお金は予想以上に少ない」「地域間競争が激しすぎる」「類似加工品が多すぎる」「ヒットさせるのは至難の業」といった反省の弁も発表されるようになってきたように感じられます。・・・といったわけ 2011年2月分となりますが、次回の資料として、よろしかったら。 ↓『農業の6次産業化が推進されるわけですが/2011年2月分』来年度農業予算で 農家などが加工や流通事業に進出して収益化をはかる「6次産業化」に ついては、官民の「農林漁業成長産業化ファンド」(仮称)で支援。創 設資金として300億円を計上された。 ということで、脚光を浴びているのが、いわゆる「農業の6次産業化」です。しかし、現場にいるものとして気になるのは、 ● 「農業の6次産業化」にさえ取り組めば成功する といった〔威勢の良すぎるとおもわざるをえないような〕論調です。これまでまるで「農業の6次産業化」がいっさいおこなわれてこなかったと思わざるをえないような論調です。 たとえばここに農水省が昨年の11月に発表した「全国の農協」や「農業経営体」が運営する農産加工場の2009年度調査結果のニュースがあるのですが・・・ いちおう全国の農産加工場の数は2009年時点で 27231ヶ所あることになっています。 わかりやすいように言わせていただくとすればですね・・・・ 現時点でさえ6次産業化〔農商工連携も含めて〕の取り組みは、山ほど ある。 といわざるを得ないというのが正直なところではないかと思えるんですよ。さらにこれに加えて〔これから参入する計画以外の〕農産物加工を生業とする既存の一般企業も存在するわけですから。。 と、いったわけで、これから6次産業化に取り組もうかと考えておられる方への、わたくしなりのアドバイスなのですが ● 市場ニーズがあるのかどうか ● よその商品やほかの企業に勝る部分はどこにあるのか を、よくよく考えられたうえで行動を起こされてくださいね、資金を借りるうえで利用する金融機関や行政の担当者などの第三者の視点もしっかりと取り入れられてくださいね、 ということです。 本業が赤字だから起死回生で6次産業化だっ・・・というよりも、 本業に余力があるから6次産業化でもやっちゃうか・・・というほうが よりベターな考えだと思うんです。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Nov 26, 2013
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