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締まった土をやわらかく。G台風などの大雨の影響で締まった土。その土をやわらかくする道具についての お話となります。前回の植木鉢編の続きとしてよろしかったら。 ↓たとえば芝生用の作業機具であるローンスパイクをご存知ですか?これは 固くなって水が抜けず、通気が悪くなった土に穴を開けることで、芝生の樹勢を回復させるものなんですよ。土に穴が開くと、水はけや空気のとうりが良くなり、結果的に根の張りが促進されることで芝生が甦るというわけですね。穴あけの目安としては、15センチくらいの間隔をとって、深さ5センチ前後の穴をあけるのが標準的なローンスパイクの使用方法となります。ちなみに どれくらいの固さになったら穴を開けるのか という固さの程度ですが、わたくしの場合は 五寸釘を用意して、忍者張りに投げてみるなんて、やり方をやっています。釘が土に刺さらなくなっていたら充分に固いと判断し、そんなときはローンスパイクを使います〔限られた面積で試してみて芝の生育を観察するのもよきかも〕。さてそこで、雨つづきで締まった田畑の土の場合ですが・・・やはりこちらも芝生と同様に五寸釘を投げてみて、固いようでしたらローンスパイクを巨大にしたような園芸用品で土を起こします。 こういった農機具は、たとえば アルキメデス・ハガネなどといった名まえで販売されている農具となります〔長さは120センチ・重さ4キロ弱くらい〕。これはテコの原理を応用し、人力で地下30センチから40センチにある耕盤〔作土の下にできる固い土の層〕を砕くというもので、前述のローンスパイク同様に、田畑の固くなった土を砕くことで田畑の排水性や空気のとうりをよくすることで農作物の根域の拡大を促します。 具体的な使用法ですが、 斜めにして、スコップの要領で地面に刺し込む ↓ 足を乗せて体重をかける ↓ 先端部分の刃が土に入れる ↓ てこの原理を応用して後ろに下りながら手前に引く ↓ 土が起こされるといった具合に使うのが作業のコツとなります。さらにもっともっと土がガチガチに硬い場合は、まずは浅く起こし・そのあとで2回から3回に分けて無理せず徐々に深くおこしていくとうまくいきます〔またこの機具は本格的なハウス栽培などの場合の支柱のまわりの・機械で起こしにくい部分などの土の改良にも最適で、お薦めです〕。ということで今回は、やわらかなの土の畑は、作物の地下部にとっても気持ちの良いものだというおはなしでした。 最近は水田だけではなく、畑用の中耕除草機もたくさん販売 されるようになってきましたよね♪ 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜
Sep 29, 2022
固くなった土に空気を入れてみます。台風のもたらした激しい雨。その雨の影響で、とくに露地栽培の圃場の土が締まっているケースも多いようです。 ということで定番の改善策のおはなしとなります。よろしかったらご参考に。 ↓定期的に鉢に穴を開けています。 左は、4月のフレンチ系の生育をそろえたラベンダー。 右は、同じく4月の生育をそろえたデンタータラベンダー。鉢に穴を開けることで、空気が供給され、新根の出る場所が確保されるというわけですね。春から秋にかけては、だいたいひと月に一回の割合で、鉢の大きさにあわせながら穴を開けています。ただし、この穴明け作業は、寒さで伸びが止まる冬の間は控えていますよ。 穴を開けるための道具は これ。 大きい鉢用のドライバーと、小さい鉢用に、握りをつけた鉄線を使用しています。お気づきになった方もおられると思うのですが、土ってえらいもんですよね、長年つかっているうちにこの写真のように鉄の先端をすりへらすわけですから。。感心してしまいます。そしてこの管理法のもう一つの利点は、植物を栽培するスペースがなかなかとれない場所での栽培をある程度は可能にすること。大鉢のラベンダーでも、薄いプラ鉢のまま、 この大きさのままにそだています ↓ 。 土が硬くて植物の生長がどうにも悪い・・・という方は、最初はひとつの穴でもいいですから、試してみられませんか。ただし、さわった針金の傷から病原菌が入る可能性もなきにあらずということで鉢土に生の有機物をたくさん[こちら]施されている方には向かない技術ですので、この点は注意が必要です。 プランターや鉢栽培は、技術獲得に大いに役に立ちますね。 だって試験場の試験だってけっこう小規模。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」のの
Sep 27, 2022
微量要素不足が出やすい圃場の対策について。土づくり資材として毎年毎年家畜ふん尿たい肥を多用したら、おもいのほか樹勢が強くなり、実がつきにくいか繁茂状態となってしまった。対策として水を控えてみたのだが、するとこんどは多くの実に[カルシウム欠が原因と思われる]尻ぐされ症状が現れてしまい、けっきょくのところ思うような成果をあげることができなかった・・・なんていう圃場の土作りの考え方。前回の土の検査をしよう[こちら]のつづきです。こころあたりのある圃場での微量要素欠乏対策を考える今の時期の参考としていただければ 幸いです。 ↓土壌検査をしてみると、圃場の土のなかに作物の成長に必要なはずのミネラルの量は問題なく充分にあるはずなのに、いざ作物を栽培してみると それでも苦土やホウ素・石灰が効きにくいといった生育をしがちな作物のケースも、よくあります。さらに効きにくいといった程度ではなく 苦土欠乏やホウ素欠乏・石灰欠乏がおこるというはなしをつづけてまいりました。そしてその原因がミネラル間の拮抗作用[派閥争い]にあり、そしてそんなミネラルのなかの派閥の領袖がカリであるというところまで すすんでまいりました。図示するとしたらのののののまあ、こんなかんじ。そして こういった[カリとのケンカに弱い]苦土や石灰の欠乏があらわれるときには、 欠乏症状を呈する苦土や石灰といった成分を補うという方法を 説明してきました。が、じつはもうひとつ、苦土や石灰の欠乏がでないようにする考え方があるのです。その セカンド・オピニオン的な方法 が これ 。ののののの そうなんです、 カリの施用を抑えていく という方法ですね。派閥の人数を減らしちゃうとでも たとえるような方法となります。現実には『土の物理性や生物性、そして化学性に問題がある圃場の土壌の改良 には、カリが多くなりがちである家畜ふんが原料のたい肥の使用を 控え、ヨシやカヤ、ススキなどのケイサン分に富んだ植物を材料と したたい肥による土の改良を数年にわたって続けていくというのが、 なによりの対策です。』といったことを 説明している・この回 のような対策をとります。 土を肥やすことばかりが喧伝されがち な農業の世界ですが、 ときには減量するとも大切なのではないのでしょうか、とい うおはなしでした。 今回のはなし・・・人の健康問題に置き換えて考えてみるの も、よいかもしれませんよ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jul 30, 2020
ハウスの土の状態はいかがでしたか。。今季のハウス栽培が終わって、成績の良かった場所と悪かった場所の、それぞれの検査表の数値はいかがでしたか。まだ検査していない・・といわれる方は、まだ植え付けに間に合うようであれば、以下のような土の検査も参考になりえますよ。なんといっても 記憶より記録 ですからね。ということで定番の回の再掲載です[次回は土の検査表の解釈についてとなります]。 ↓『収穫を終える前、ハウスの土の状態を調べます。』 施設野菜作が終了するハウスでは、次回の栽培に向けてハウス内の土の状態を調べておきます。なんといっても農業経営では農産物の質と収量をしっかりと確保することが大切・・・土の診断はそんな良品を多収する経営の、なにより強い見方になりますからね。たとえば ● 作物が 健康に育った部分 と 病気の出やすかった部分 ● 収穫物の 品質の良かった部分 と 品質の悪かった部分 ● 土の 水はけのよかった部分 と 水はけの悪かった部分 などといった“違った生育をする、特徴のある部分の土を、自分なりに工 夫しながら、きちんと区別して採取したのちに検査にだす”ことを、私は つねづねお薦めしています。そうすることには理由があります。 この表。土の検査の実例ですが、こういったかんじで、ハウスのいろい ろな場所と深さを変えて土を採取して、その後に土壌検査してみると・・・・ じつに いろいろな土の検査値がでるのが現実 だからです〔詳しい数字 例についは また後日に〕。そのいろいろな土の状態を、今回の作での 作物の生育をからめながら判断するのは、栽培者としての大切な仕事。今後のハウス作のためにも 自分で土をとる場所をきめて ↓ しっかりと土を採取し ↓ 試料を まちがわないように検査に出して ↓ できあがってきた土の検査値と ↓ 成績のよかった部分と悪かった部分の土のちがいを ↓ 自分なりに整理・判断・加味したうえで ↓ いつでも利用できるように、きちんと保存しておくこと大事です〔病院のカルテみたいに仕立てます〕。しっかりとおこなった土の診断のカルテは、あなたの農業経営にとっての〔とくに栽培について迷った状態のときの〕なにより強い味方になりますよ。 数字はウソをつきません。 たとえば こんなとき は 。 広くて・深い 土地の土の検査を、“記録もなしに・てきとうに 1箇所だけとって、とりあえず検査に出しておく” なんてふうに おこなう土壌検査であっては、生育の判断材料にはなりえません。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Jul 29, 2020
田をかえせ・・という声が聞こえる。 前回のつづきとして・・一つ目・三本指で泥田から上半身を出している妖怪「泥田坊 」。鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に描かれている妖怪です。こんなおはなしが伝わっております。 北国で、寒暑風雨を問わず耕作に勤しんできた農民。それから年々収穫が増え、人並みに暮らせるようになりつつあったときに病にかかり、これからというときに死んでしまう。農夫には子供があった。けれどこの息子が親に似ず横着者で、せっかくの田畑を放り出し、酒に溺れたために遂にはそれを手放さなくてはならなくなった。その田を手に入れた地主は「いい田が手に入った」と喜んだ。しかし、夜にその田を見廻っていると、田のなかから突然一つ目三つ指の妖怪が現れ、「田をかえせ、田をかえせ」 と 恨めし気な叫び声をあげるもので あった。というお話です。う~ん、確かに手塩にかけた農地をかってに手放されたわけですから、それは悲しかったことでしょう。そう思う気持ちが妖怪に変化するのもわかる気がするというものです。しかし、です。この泥田坊のお話、ほかにも解釈があるのをご存知ですか。そちらの話しでは・・・じつは、死んだ農民と泥田坊にはなんの関係なく、泥田坊は耕作されていない田畑に出現する、ある種の精霊みたいなものであるというお話しになります。その解釈のもとになっているのが、泥田坊の発する「田をかえせ」。これ、おわかりになりますか?クワなどで田の土を起こすことを、「土をかえす」とも表現しますよね。それなんです。下のものを上にする「ひっくり返す」という解釈。つまり妖怪泥田坊は「田をおこして、土の中に空気をいれろ 」といっているわけです。土の物理性を改善することで植物の生育を良くしようとする、その坊の姿勢にはいち農業関係者として、畏敬の念を抱かずにはおられません。さて、プラ鉢の通気性をよくすること から連続してご紹介してまいりました、土の物理性の改善に関するお話。おもいあたることがございましたら、すここしづつでも試されてくだされば幸いです。 農家は 田畑にはいって なんぼ。よく整備された田畑はじつに 気持ちの良いものです。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Oct 29, 2019
雑草を利用した土づくり。江戸時代においてのイネ栽培において、病気を媒介するウンカやヨコバイの駆除にクジラの油を使用していたというお話をご紹介しましたが[こちら]、今回はやはりそんな江戸時代の農業においての雑草を利用した土づくりについてのおはなしとなります。現在の日本のような食料の輸入大国でもなく、また外国から輸入した農産物による家畜の大量飼育があるわけでもなく[当然ながら家畜ふん由来のきゅう肥もないわけです]、しかも大型農業機械もなかった当時の土づくり技術の技術ですから、なかなか興味深いものがあるんですよね。というわけで、今回は 江戸時代の農業書である開荒須知に載っている芝草の特効は つぎのように・・・ 3月から4月ころにかけて、山林の中とか道端などに繁茂して いる芝草を、深さ二寸くらいに土ごと剥ぎ取り、積み重ねて山 のようにし、草を刈って上を覆っておく。 こうしておくと芝草は根までみな腐って土のようになるから、 これを耕土の浅いところとか実りのわるいところに入れて耕す。 この方法でつくった芝草は簡単につくることができ、しかも 運搬にあたっては 男二人もいれば 1日に百五十駄くらいは とれる。 この芝草の草の根にまじっている土は、毎年毎年の雨と太陽に よって上等の肥えた土となり、さらに草の根の腐ったものが土 と合わさっているものであるので、 この芝草をほどこすと、どんな痩せた土地でもたちまち肥沃な 土質となり、五穀の実りは上等の田畑と同じようになる。といったものです。もちろん、ここでいう芝草とは、現在の芝生という意味ではなく、雑草に山野草と考えるべきものだとおもいますよ。この芝草に落ち葉やススキなどから時間をかけて丁寧に作った植物質の原料によるたい肥を併用していけば、通気性のよい作土ができあがっていくことでしょうね。以上、今回は 雑草を利用するという江戸自時代の土づくりについてのご紹介でした。 ただし。注意する点もひとつ。雑草から作るわけです から、雑草の種子は残る。クワなどでしょっちゅう作 土の表面を削る作業は どうしても必要になるかと思 います。しかし現代の牛由来の強害雑草[こちら]はな かったわけですから現在よりは除草は楽だったかも。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Sep 24, 2019
全日本草刈選手権の記念碑をみて思う。 1930年代の半ば、「全日本草刈選手権」という大会が開催されました。場所は、東京の荒川の土手。県予選を勝ち抜いた農学校の学生4万人が、大会会場になった荒川土手で草刈のわざを競い合ったといいます。もちろん草刈に使用された道具は、現在広く利用されている「刈り払い機」などではなくカマ、手動の鎌が使用されました。 2019年現在・・・東京都北区志茂の赤水門には、その大会を記念した高さ5Mの「草刈りの碑」があります。碑文に曰く、「草刈りは日本農民の昔ながらの美風で、農民魂の訓練であり発露である」と。よいですね、この言葉。“農業は草との戦い”といわれ、実感もする、アジアモンスーン気候にのなかでおこなわれている日本の農業の実態を表現[あらわし]し、その農作業を体験することによって生まれてきた言葉だよなあってつよく思います。実際のところいまのこの夏の時期の草の伸び具合っていったら、その生長が大げさではなく、目に見えるようさえかんじますものね[作業に関する回は こちら]。さらに、碑の文は続きます。いわく「農民魂は先ず草刈りから」。この言葉も、またよくわかります。現代の農家に所有されているような農業機械は1930年代の半ばには一般農家にはほとんどといってよいほどに普及ていないのが現状・・・カマで刈り取る草は当時貴重な動力であった牛馬の食べ物であったのですから。 ← 碑文そしてそれだけではありません。今回取り上げた土手の草はもとより農村近くに存在するアゼ草や草原の草、山の下草など[もちろん落ち葉なども]の身の回りの植物質の資材は、すべて貴重な土づくりのための原料/資源とされました。そう、苦労して集められた植物質の資材は、積み重ね・切り返しされ発酵させられて、作物の栽培に利用する貴重な「たい肥」とされたからです。 そのような時代背景を知り理解したうえで、もういちど碑文をみるとなかなかに感慨ぶかいものがありますょ、荒川の「草刈りの碑」は。ちなみにベジタリアンの方や、ベジタリアンからさらに一歩すすんだ完全菜食主義者を意味するVegan(ヴィーガン)の方には、よくよく事情を説明できれば、たとえば精進料理などと並んできっとおお受けする日本観光の名所にもなりえるのではないかなと思うんですよね。 ↑ 写真のバッチはおみやげでいただいた Vegan缶バッチ。ということで今回は、全日本草刈選手権の記念碑のご紹介でした。 とくに有機JAS法が制定されてからは、作物栽培に利用 される たい肥 と きゅう肥 の区別などが、むしろ あいまいにされた感がある感じているのですが、最近では 家畜ふん尿由来のたい肥を使わないという最新の有機栽培 もでてきているようで、この点からみれば 1930年の この碑ができたころの時代が一周まわってトップに立った みたいなかんじがしたりして。おもしろいものですねー。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Aug 27, 2019
土壌診断は有効に使いましょう。施設栽培の植え付け準備の期間に入りました。ということで、土壌検査をやってみた場合の問題点シリーズの続編となります。圃場の土に含まれる成分の多い・少ない について &その対策について考えてみませんか。 ↓土壌検査が一目でわかるこのような図。土壌検査表についていますよね。 9個の項目の割合が均等であれば問題ないのですが、うえの図のような歪/いびつな形になったら問題あり・・ということです。[畜産業が盛んな県でみられることが多い]この図の場合の いびつなかたちの原因は、 カリや石灰が多すぎる & 苦土/マグネシウムが少ないということ。したがって対策としては、 ● カリと石灰を減らす ● 苦土/マグネシウムや微量要素を増やすということになります。つまりのの ののの こういうことです。ここでかんがえなければならないのは、カリが過剰になった原因です。もっとも考えられるのは、圃場に使用している“たい肥” の種類と量。たとえば 毎年やっている土壌の検査の診断値においてカリが多く苦土が少ない傾向にあるにもかかわらず、たい肥料の材料原料を区別することなく毎年毎年 “家畜ふんたい肥”を施用しつづけていませんでしたか・・ということです。 こういった圃場の土の特徴は土壌検査表でもわかりますよ。 たとえばこれが冒頭のグラフの土の診断表になるのですが、この表のアンモニア態窒素の量は 0.2、硝酸態窒素の量は 4.2 と、割合に低い値なのですけれど、EC値は 1.16 と、なっています。ここがポイントです。EC/電気伝導度の数値は 塩素にも反応しますからね。つまりは この土壌検査表に表されているEC値は 肥料分ではなく塩分に反応している と みるべきなのです[肥料分があるとおもっていたらあったのは塩分であったという話は こちら]。青菜に塩〔塩化ナトリウム〕の状態ともなれば、植物の生育もうまくいかないのは、まああたりまえの話でもありますし。。これだけでも充分だとは思いますが、もっとはっきりとそれぞれの成分のバランスを知りたい場合は、改めての土壌検査をおこない通常の土壌検査ではおこなわれない圃場の塩分とナトリウムの量を計測してみることもよいですね。おなじ意味で圃場の柔らかさなどをしるうえで腐植の量を調べることもよい。そうしたうえで、いよいよ カリと塩素にナトリウムが多く、腐植が少ないという圃場の状態がはっきりしたならば、この状態の改善策をとる。まずは 塩分を含んでいることの多い家畜ふんたい肥の施用を中止して、 ● 野草や落葉、藁などが原料の“昔ながらのたい肥”を施用していく ● 植物質の原料で作ったセンイ質の多いたい肥を施用する ● ピートモスを使用する ● 腐植酸を含んだ資材を活用するなどといった対策が、最適の土壌改良になります。ということで、今回はせっかくの土壌検査。検査した結果がでているのであれば、検査の結果に応じた対策をとりましょう&苦土や微量要素の効いた作物からできる健康な生産物をつくりましょうよ・・というおはなしでした。 そういったたい肥原料のちがいについては こちら。 ・・・たい肥原料の区別や作り方に言及しない現在の 有機JAS法であれば、いつまでたっても国際的には 認められないと思うんです[たとえば家畜の飼料に使 用する抗生物質などの問題は こちら。]。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Aug 20, 2019
急な植え付けの土づくりには。急に植え付けることになった圃場に必要な たい肥さがしに困られたことはありませんか。そんなときに便利なのが、植物質のたい肥のもとである腐食酸をたくさん含んでいるテルアンです。 一般の植物性のたい肥の腐食酸量が1-2パーセントであるのに比較してテルアンは ● 75パーセント以上の腐食酸を含むので 10アール当たりの施肥量が少量ですみます。また、元肥と同時に、そして追肥としても使用できるのも特長です。一般のたい肥は撒くのが大変で、しかも元肥の施肥前にまくのが常でですから、この 労働力と時間の省力効果 は うれしいですね。 台風後の急な植えつけには、おすすめの資材です。 健苗作りの回は こちら。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Oct 10, 2018
生育不良なら 作物の状況をみてとる対策を考えよう。K 本年の天候が高温であるのに加え、やや日照不足の傾向であるために、なんとなく勢いのない生育をしているハウス作物が多いようです。ということで今回はそんな場合に取り組む対策についての回となります。が・・・よくよく考えてみれば、定植したばかりなのに生育不良というのは、おかしな話です。そんなときの原因として考えられるのが・・・具体的にいえばですね、たとえば とりあえずそのあたりの土をサッと取っただけの、なおざりの土壌検査の結果を鵜呑みにされて土づくりや施肥設計をされていませんでしたか。たとえば チッソやリンサンやカリは少ないというのに 塩素やカリに反応してしまったECメーターの値をみて肥料分を減らしているのではないですか。たとえば腐植が少なく塩素やカリが多いにもかかわらず相変わらずの家畜フン主体のきゅう肥で土づくりされてしまったのではないですか・・という話になんですね。だからそんなときはまずは観察。いまの作物の状態をみて その状態におうじた対策をかんがえましょう。 ↓『生育不良なら、作物の状況をみてとる対策を考えよう。』「まずは土づくり。肥やしなさい・肥やしなさい。」といった 農業に対する考えがあります。いっぽう、「土を肥えさせるのは悪。土を肥やすのはもってのほか」という考えもあります。 迷いますよね。どうすればよいのでしょう。 答えは簡単。 土の原則論に頼るのではなく 植物に訊けばよいのです。たとえば トマトでは作物の生育状況からこんな健康診断ができるんですよ。 トマトの状態のののののののののののののののののの診断 葉色淡い。花小さく、着果不良。果実肥大不良。の→ 栄養不足 葉が厚く・葉色が良い。葉が立ち、受光態勢が良。→ 健全 葉色濃く葉面凸凹。鬼花増加・奇形果多。ののの→ 栄養過多このような作物の状態をみて、つぎのような対策をとります。 栄養不足の→の生長を促す対策をとる。たとえば不足した成分の追肥。 栄養過多の→の生育を抑える対策をとる。たとえば水分を押さえる。という具合です。このように一般的な農業の現場では〔土に対する原則論ではなく〕それぞれの植物の生育の状況や状態をみながら、その生育に応じた対策がとられているんですよ。いじょう、植物の生育がいまひとつである場合は、植物の状態をみて、とる対策を考えてみようというおはなしでした。くわしいはなし は当ブログの記事へのリンクしておきますので、よろしかったら。 土壌の採取法の例について は こちら 。 分析値の考え方について は こちら 。 塩素やカリ の貯まりすぎた土壌の土づくり例 は こちら 。 実際の圃場での不作例と対策例は こちら とこちら 。 人間であっても、そうですよね、まずはそれぞれの患者さんの 様子・容態が、診察診断の主題となる。医療行為もなしのいきなり のカロリー摂取や、カロリー制限のはなしなどにはならない。 まずは個別の患者に対するお医者さまの診察・触診があり、体温 や脈・血圧などの基本的な機器をつかっての検査、そしてそのうえ での診断があります。農業やガーデニングだって同じことだとおも うのです。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Sep 26, 2018
収穫を終える前、ハウスの土の状態を調べます。K記憶より記録だろっと突っ込みたくなるニュースの多い昨今ですが・・・今季のハウス栽培もそろそろ終了 ということで定番の回の掲載です。 ↓『収穫を終える前、ハウスの土の状態を調べます。』施設野菜作が終了するハウスでは、次回の栽培に向けてハウス内の土の状態を調べておきます。なんといっても農業経営では農産物の質と収量をしっかりと確保することが大切・・・土の診断はそんな良品を多収する経営の、なにより強い見方になりますからね。たとえば ● 作物が 健康に育った部分 と 病気の出やすかった部分 ● 収穫物の 品質の良かった部分 と 品質の悪かった部分 ● 土の 水はけのよかった部分 と 水はけの悪かった部分 などといった“違った生育をする、特徴のある部分の土を、自分なりに工夫しながら、きちんと区別して採取したのちに検査にだす”ことを、私はつねづねお薦めしています。そうすることには理由があります。 この表。土の検査の実例ですが、こういったかんじで、ハウスのいろいろな場所と深さを変えて土を採取して、その後に土壌検査してみると・・・・ じつに いろいろな土の検査値がでるのが現実 だからです〔詳しい数字例についは また後日に〕。そのいろいろな土の状態を、今回の作での 作物の生育をからめながら判断するのは、栽培者としての大切な仕事。今後のハウス作のためにも 自分で土をとる場所をきめて ↓ しっかりと土を採取し ↓ 試料を まちがわないように検査に出して ↓ できあがってきた土の検査値と ↓ 成績のよかった部分と悪かった部分の土のちがいを ↓ 自分なりに整理・判断・加味したうえで ↓ いつでも利用できるように、きちんと保存しておくこと大事です〔病院のカルテみたいに仕立てます〕。しっかりとおこなった土の診断のカルテは、あなたの農業経営にとっての〔とくに栽培について迷った状態のときの〕なにより強い味方になりますよ。数字はウソをつきません。 たとえば こんなとき は 。 広くて・深い 土地の土の検査を、“記録もなしに・てきとうに 1箇所だけとって、とりあえず検査に出しておく” なんてふうに おこなう土壌検査であっては、生育の判断材料にはなりえません。 そんな土の採取方法についての回は こちら 。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
May 29, 2018
ミネラルを効かすには。K土づくりとして家畜ふん尿たい肥を多用したら、おもいのほか樹勢が強くなり、実がつきにくいか繁茂状態となってしまった。対策として水を控えてみたのだが、するとこんどは多くの実に[カルシウム欠が原因と思われる]尻ぐされ症状が現れてしまい、けっきょくのところ思うような成果をあげることができなかった・・・なんていうひきつづきミネラルのはなしです。微量要素欠乏がでやすい今の時期の参考としていただければ幸いです。 ↓土壌検査をしてみると、圃場の土のなかに作物の成長に必要なはずのミネラルの量は問題なく充分にあるはずなのに、いざ作物を栽培してみると それでも苦土やホウ素・石灰が効きにくいといった生育をしがちな作物のケースも、よくあります。さらに効きにくいといった程度ではなく 苦土欠乏やホウ素欠乏・石灰欠乏がおこるというはなしをつづけてまいりました。そしてその原因がミネラル間の拮抗作用[派閥争い]にあり、そしてそんなミネラルのなかの派閥の領袖がカリであるというところまで すすんでまいりました。図示するとしたらのののののまあ、こんなかんじ。そして こういった[カリとのケンカに弱い]苦土や石灰の欠乏があらわれるときには、 欠乏症状を呈する苦土や石灰といった成分を補うという方法を 説明してきました。が、じつはもうひとつ、苦土や石灰の欠乏がでないようにする考え方があるのです。その セカンド・オピニオン的な方法 が これ 。ののののの そうなんです、 カリの施用を抑えていく という方法ですね。派閥の人数を減らしちゃうとでも たとえるような方法となります。現実には『土の物理性や生物性、そして化学性に問題がある圃場の土壌の改良 には、カリが多くなりがちである家畜ふんが原料のたい肥の使用を 控え、ヨシやカヤ、ススキなどのケイサン分に富んだ植物を材料と したたい肥による土の改良を数年にわたって続けていくというのが、 なによりの対策です。』といったことを 説明している・この回 のような対策をとります。 土を肥やすことばかりが喧伝されがち な農業の世界ですが、 ときには減量するとも大切なのではないのでしょうか、とい うおはなしでした。 今回のはなし・・・人の健康問題に置き換えて考えてみるの も、よいかもしれませんね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 14, 2017
問題のある土地に、新しい土を搬入するという技術。がある。「新しい土地の圃場では作物がよくできる」・・・これは良い営農成績をあげておられる農家さんに共通の認識です。土地の土壌の分析をしてみても、それははっきりと確認することが可能あり、そのような土地でよく見受けられる特徴は ● 全体的に土の養分が不足傾向にある ● 土の構成成分であるミネラルのバランスがとれているということになります。そうなんです・・・あるミネラルが極端に不足したとした場合、対策としてその不足したミネラルを補足していけばよいわけですから、 まあわかりやすい話ですよね〔ヒトで考えれば、痩せている方では とりあえず食べてもらえばよいわけですから〕。問題は、長年の耕作による影響で ● 全体的な土の養分が過剰傾向にある ● 養分のいくつかが過剰にあり、ミネラルのバランスがとれないときです。たとえば、植物の生育に良いからといって、あるミネラルばかりを過剰に、何回も・何年にもわたって施用すると、ミネラル間のバランスが崩れ、それぞれのミネラルの間で反発がはじまることがあるんです〔拮抗作用とよばれますよ〕。そうなんです、肥満と、それに伴う減量となると、これはとにかく対策をとるのが大変なんです〔これは人の場合でも同じですよね〕。そして、対処法です。まずは ● 過剰になりすぎた特定のミネラルをやらないという方法があります。ただし、この方法では、作物を作りながらとなりますので、これに伴う技術もむずかしいし、時間もかかることになる。そこで、もっともてっとりばやい方法として、昔から行われているのが、山土などの、痩せている土 / 養分の少ない土を、問題の出た土地に搬入するという方法があります〔土を土壌改良剤として利用することになりますね〕。実際の農業の現場では、ハウス10アール当たりに数十トンの痩せている山土を搬入したなんて話は、よくあるんですよ。こういった、「田畑に新しい土を導入する」行為。これは 古来からある農業技術で、“客土/きゃくど” とよばれてきました。土をお客さま扱いして大事にしてきた と いうところなんでしょうね、きっと。 そして・・・この技術が 除染にも使えるのではないか と考察した回は ここら 。「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
Sep 15, 2016
有機資材は、こう使おう。 有機について考えるシリーズ・・・「有機物の“分解”について考えてみる。」で ご説明した 便利な数値/炭素率 の 続きです。 よい機会ですから、農業用の肥料や改良剤として使われる資材の炭素率〔C/N比〕の代表的なものご紹介しておきましょう。農業で使用される主な有機資材の炭素率はつぎのようになります。 ■ 炭素率の高いもの〔腐りにくいもの〕 小麦ワラ 大麦ワラ モミガラ イナワラ 山野草 128.8 98.3 75.6 65.1 29.4 ■ 炭素率の低い〔腐りやすいもの〕 乾血 骨粉 魚粕 肉粕 菜種 米ヌカ 3.5 4.4 4.7 5.5 7.7 13.2 といった具合です。 ひとくちに有機物ということで、ひとまとめにされることが多いいろいろな有機物にも、腐りにくいものと 腐りやすいものがあることが よくわかりますね。 さて、そこで農業です。 こういった“有機物”の、“腐りにくい”とか、“腐りやすい”といった性質を上手に栽培に利用するにはどういった方法があるのでしょうか。 たとえば実際の現場では こういうふうに使っていきます。 炭素率の高いものは、その腐りにくい性質を利用して、土の物理性(通気性・透水性など)の改良に使用します。たとえば、小麦ワラ・大麦ワラ・モミガラ・イナワラ・山野草などといった繊維質の多い有機物で作ったたい肥として利用する。 反対に、炭素率の低いものは、その腐りやすい〔発酵しやすい〕性質を利用して、肥料効果を狙います。たとえば乾血・骨粉・魚粕・肉粕・菜種・米ヌカなどを 発酵させて適量施すといった方法をとるわけです。 そして、ここで注意しなければならないことは、いずれの場合でも生のまま施さないという点。目的に応じて適量ほどこすことが大切です。 有機は必ず無機になっていくもの・・・その過程でのリスクがあるからです。そのリスクとは具体的に ■ 炭素率の高いものは、土中の酸素不足を引きおこしやすい ■ 炭素率の低いものは、病害虫の発生やガス害を引きおこしやすい という性質があるからです。 昔から、「生の資材を田畑には使うな」とか、「有機資材は、充分に発酵させてから田畑にいれろ」と いわれてきた理由はここにあります〔有機の種類をごっちゃまぜにして生で大量に施すのは・・・環境破壊に直結してしまいますから〕。ということで今回は、 有機原料は炭素率できちんと分類し、それぞれの性質にあった処理 を施したうえで、[土の検査のもと]適量づつ適切に使用しようというおはなしでした。 田畑はゴミ捨て場じゃないんだから・・という話でもあります。 適量なら薬、過ぎれば毒。それを見極めるのが農業の技術だ と いうおはなしでした。 「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
Aug 18, 2016
有機物の“分解”について考えてみる。 食べ物の話というと、昨今よく話題にのぼる “有機”や“有機物”についてのおはなしです。 この“有機”や“有機物”・・・ よくわかっているようで、 じつはよくわかっていないのが現状のように思えるのですが、 あなたは、どのように理解していらっしゃいますでしょう。今回は、 そんな“有機”や“有機物”についてのおはなし です。 はなしをわかりやすくするためにまず あなたのお家のお部屋のテーブルを思い浮かべてみましょう。そのテーブルに、落ち葉と生魚を置いてみる。 どちらか早く腐るとおもわれますか? 実際にやってみますと、魚が腐るほうが早い。おなじように落ち葉と生肉をお部屋のテーブルに放っておいても、こちらも 生肉のほうが早く腐ります。 とはいっても、これがなかなかに大変な実験になる。なんといっても生魚や生肉は腐るにあたって、強烈な腐敗臭を発しますから。また腐敗の過程でカビだって生えるでしょうし、ハエやゴキブリなどの衛生に問題のある昆虫もやってきますし、場合によってはネズミなども現われたり。と、かんがえただけでも もう 大変な実験になる。 さらに 肉や魚だけならまだしも、たとえば 製紙産業からでる紙の残さや 牛フンや鶏フンなどなどの たくさんのいろいろな “有機”や “有機物”がある。こうなってくると 研究する前に、実験をする側のほうが、お部屋で病気になっちゃいかねない話となります。 そんなときに朗報なのですが じつはですね、そのような実験を実際にされなくても、モノの腐りやすさをあらわした便利な基準があるんです〔ほっ/笑〕。 それが 炭素率 です。別名で C/N比 ともいわれる数値ですね。 この 炭素率は、物の腐りやすさ〔分解〕の程度を あらわします。いちいち 腐る早さを確かめなくよてもいのですから、じつに便利な基準 といえますよね。 たとえば、さいしょに例で示した落ち葉と魚の腐りやすさを炭素率・C/N比で表示すると・・・ 落ち葉のC/N比は、 52.9。 魚粕のばあいは 4.7。 肉粉のばあいは 5.5。 ということになります。 ということから、 ● 炭素率・C/N比 の数字が たかいほど 腐りにくい ● 炭素率・C/N比 の数字が ひくいほど 腐りやすい と、いうことがわかりますよね。 これで 魚と肉の場合では、魚のほうが肉よりも、若干早く腐るということも、 実験をせずとも数字/値をみれば わかるわけです。いじょう、今回は 腐りやすいのか、腐りにくいのかが、分からない有機物が ある場合には、炭素率で判断するのがグッドだ・・というお話でした。そしてこの話は・・・ 有機栽培において有機という言葉ひとつだけで ひとまとめにひとくくりされ、ときには生に近い状態のままに田畑に施用されることも ありがちな有機物ですが、実際にはいろいろな分解スピードあるのだから それぞれの田畑の土の条件にあったものを・ときには発酵させて使用したほうがベターですよ・・・というような話につながっていきます。 分解って不可思議なんですよ。かつて某チェーン有名ホテルの 地下室に放置された石膏ボードから危険な硫化水素が発生した なんていう事件だって ありましたからね。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Aug 17, 2016
イネは正直者。G 収穫期をまじかに控えた時期における台風の来襲。もっとも避けなければならないイネの倒伏についてのおはなしとなります。 こうなってしまうと↑ イネを刈ることも大仕事になってしまいますし、その前に茎が折れていますので、このまま腐ってしまったり、腐らなかったとしてもなかなか実が熟れないことにもなってしまいますから。 ↓『イネは正直。』水田の栄養状態は 一枚一枚ちがいます。肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土質の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては 田んぼとよばれます。そんな田んぼを新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家や、サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつくられる。日照りの年や、台風の多い年や、天候が順調な年、そして不順な年にも つくられる。そういう意味では、同じ田で同じ人が作るからとはいっても、田んぼでのイネつくりって、じつに千差万別の世界なんです。しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手、そしていろいろな気象のなかにあっても、作られるイネは正直です。だれがどう作ろうと、育てられるイネの姿には土の栄養状態がはっきりとでる。イネは正直者なのです。その栄養状態による診断と対策ですが、イネの姿をみたときにやせた栄養状態のときはとり立てて心配いりません。栄養が足りないときには、生育に合わせてすこしづつ肥料をやっていきさえすればよいのですから。むしろ心配しなければならないのは、植えつけたイネが肥満してきたとき。そう、田んぼの土が肥えすぎている場合なのです。[よくありがちな]田んぼが肥える原因となるのは、たとえば ■ 裏作にキャベツやハクサイなどが作られている田んぼ ■ 家畜ふん尿に由来するたい肥が必要以上にいれられた田んぼ ■ 田に作っていた牧草などをすきこんだ直後に田植えしたとき ■ 田に作られていた作物が安値から生産調整され、すきこまれたとき ■ 田植え直前に生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたときなどといったケースがありますが、こういった場合に注意が必要になるのです。なぜ注意が必要になるのかですが・・・イネが、田んぼ全体の養分が過剰となった田や、チッソやカリなどの一部の養分だけが異常に蓄積している田んぼに植えつけられると、 ■ 稲がイモチ病などの病害にかかりやすくなる ■ イネの背丈がずんずん高くなり、収穫前に倒れてしまいがちになる ■ 穂が成熟する前に倒れると、穂が熟れない ■ 収穫の時期が遅れる ■ 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなってしまうといった不都合が、稲の生育しているうちに起こりやすくなるからなのです。そういった不都合を解消し、おいしいお米をたくさん同時に収穫するために、いれる肥料の種類を調整したり、田植えするイネの絶対[本]数を減らしたり、生育中の水の管理を徹底したり、イネに当たる日光の量を増やすといった、イネの生育のお手伝いをしていく[栽培する]わけですが・・・育っていくイネの姿には、そういった努力の効果もきちんきちんと反映されていくのですから、 イネというのはほんとに正直者だなぁと、つくづく思わされるんですね、イネつくりの現場に携わっていると。ということで今回は、田の土の状態や作り手の努力は、育てられるイネの姿に反映される[イネは正直もの]というおはなしでした。 イネには節があります。その節の長さなどからでも、その時のイネ の生育状態がわかったりもします。そういった意味では、イナ株と いうのは、ある種のタイムレコーダーみたいなものだともいえるん です。だからイナ株がのこっていれば、むかしのことであっても そのときどきのイネの生育がわかる。ときにはその年の気象もわ かったりするという、じつに興味深いものなんです。「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Aug 27, 2015
収穫を終える前、ハウスの土の状態を調べます。K例年とちがって、おもいもかけず暖房終了期以降の価格が高騰した果菜類のハウス栽培。その高価格の影響から、作物の収穫期間をひと月以上も延長された農家さんも多かったようです。そのような時ならぬ好景気に沸いたハウス栽培ですが、7月を前にしてようやくハウス栽培を終了される農家さんがおおくなってまいりました。ということで、来期の作物の高品質と多収量を目指すために、参考とする土壌検査の時期にあわせての回となります。 ↓『収穫を終える前、ハウスの土の状態を調べます。』施設野菜作が終了するハウスでは、次回の栽培に向けてハウス内の土の状態を調べておきます。なんといっても農業経営では農産物の質と収量をしっかりと確保することが大切・・・土の診断はそんな良品を多収する経営の、なにより強い見方になりますからね。たとえば ● 作物が 健康に育った部分 と 病気の出やすかった部分 ● 収穫物の 品質の良かった部分 と 品質の悪かった部分 ● 土の 水はけのよかった部分 と 水はけの悪かった部分 などといった“違った生育をする、特徴のある部分の土を、自分なりに工夫しながら、きちんと区別して採取したのちに検査にだす”ことを、私はつねづねお薦めしています。そうすることには理由があります。 この表。土の検査の実例ですが、こういったかんじで、ハウスのいろいろな場所と深さを変えて土を採取して、その後に土壌検査してみると・・・・ じつに いろいろな土の検査値がでるのが現実 だからです〔詳しい数字例についは また後日に〕。そのいろいろな土の状態を、今回の作での 作物の生育をからめながら判断するのは、栽培者としての大切な仕事。今後のハウス作のためにも 自分で土をとる場所をきめて ↓ しっかりと土を採取し ↓ 試料を まちがわないように検査に出して ↓ できあがってきた土の検査値と ↓ 成績のよかった部分と悪かった部分の土のちがいを ↓ 自分なりに整理・判断・加味したうえで ↓ いつでも利用できるように、きちんと保存しておくこと大事です〔病院のカルテみたいに仕立てます〕。しっかりとおこなった土の診断のカルテは、あなたの農業経営にとっての〔とくに栽培について迷った状態のときの〕なにより強い味方になりますよ。数字はウソをつきません。 たとえば こんなとき は 。 広くて・深い 土地の土の検査を、“記録もなしに・てきとうに 1箇所だけとって、とりあえず検査に出しておく” なんてふうに おこなう土壌検査であっては、生育の判断材料にはなりえません。 そんな土の採取方法についての回は こちら 。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jun 29, 2015
残さずにしっかり活用。土中の養分。05.13K今シーズンのハウス栽培も、いよいよ収穫を終了する時期が近くになってきました。この時期の土壌管理で大切となるのは 収穫の過程でたまりがちになっている養分を使い切ること。そのためには作物の生育をよくよく観察し 過剰となっている養分を減らし・足らなくなっている養分を加えることで、無駄のない栽培をこころがけることが大切になります。さてそこで、どのような養分が不足し・どのような成分が残りがちになるのかといえば・・・この時期の生育診断や土壌検査を実施している経験では[これから日照が回復して温度があがってくると予想すれば] チッソ分が残り、リンサンにカリ・そして石灰や苦土が不足するといった傾向が見られるケース が多いようにかんじられます。ということで、果実の生理障害である 先端部の枯れや尻腐れ果の発生を予防して上質の果実をたくさん収穫するためには、バランスのとれた施肥管理を実施するることが栽培のポイントとなります。たとえば具体的には チッソとカリがあるなら ● タイミング2号 10キロ/10a チッソとリンサンがあれば ● カリショット 5キロ/10a カリが多い傾向では ● ライムショット 5キロ/10a カリと塩素がおおければ ● マグショット 5キロ/10aといった、[チッソ分を含まない]ミネラル資材の、かん水時の利用をお薦めしています。よろしかったら、ご参考に。 作物の状態を観察することで、対処方法を考えること。それが 大切だと思うんです。そのうえで次回作のための準備をします。 そんな話は こちら。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Apr 21, 2015
多すぎる養分を抜くこともまた土づくり。4.09K家庭菜園やプランター栽培をやっておられてなんとなく生育が悪いといわれる方のために、たとえば田ンぼの例をとっておはなししてみます。↓田(畑ももちろん同じです)の栄養状態は 一枚一枚ちがいます。肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土質の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては田んぼ とよばれます。そんな田んぼを新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家 や、サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつくられる。日照りの年や台風の多い年や、天候が順調な年といった、いろいろな気象条件のもとで つくられる。ほんとに、田んぼって、イネつくりって、千差万別の世界なんです。しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手にあっても、作られるイネの姿は 正直です。だれがどう作ろうと、土の栄養状態がはっきりとでる。その栄養状態ですが、やせた栄養状態のときは とり立てて心配いりません。生育に合わせて、すこしづつ肥料をやっていきさえすればよいのですから。心配しなければならないのは、土が肥えすぎている場合です。どんなときに肥え過ぎるのか・・・一番多いのは、田に前作の肥料や作物残さがのこっているとき、そして良かれと思って田植え前の時期に、未熟な有機物を大量に施しすぎたときです。たとえば ■ キャベツやハクサイなどの畑作の直後 ■ 家畜ふん尿に由来するたい肥を必要以上にいれたとき ■ 田植え直前まで牧草があり、田植え前にそのまますきこんだとき ■ 安値から野菜が生産調整され、作物が生のまま田にすきこまれたとき ■ 田植え直前に、未分解の生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたときなどになりますが、こういった場合には 注意が必要です。そんなふうに田んぼの土の栄養が過剰で・アンバランスな状態であれば、イネの穂は病気がちになったり・収穫前に倒れてしまいがちになりますし、また仮に収穫できたとしても 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなってしまいますから。そう、こういったイネの生育と収穫でもわかるように、栄養を多くあたえることばかりではなく、多すぎる肥料分を抜くこともまた 土づくり なのです。そして気づかれませんか。今回のおはなし・・・・なんだか生活習慣病予防の食事メニューとカロリー計算をしているようだと[考え方はいっしょですよね/笑]。ということで今回は過剰な養分を控えることも、それもまた土づくりだというおはなしでした。 農業は土づくりが基本・・・よく聞かされる言葉です。しかし現場を まわっていると、『新しい〔やせた〕田畑では作物がよくできる』と という言葉も、これもまたじつによく聞かされるんですよ。 生育がうまくいかない場合は、成分の過剰と成分のバランスを考え て、与える量について考えることが必要ですね。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 9, 2015
早期栽培の田植え、あらかた終了です。N [水不足気味に推移する平年とはちがって]昨年に引き続き1週間に2回ほども雨になるといった気候が、年のはじめから続いた宮崎県の海岸部地方。その雨のもたらした水によって、早期水稲の田植え作業も順調に進み、4月上旬中には田植えもあらかた終了しそうです。しょうじきいって、ほっとしました。なんといっても いったん水が不足したならば、代かき[田に水をいれて田植えができる状態にすること]さえもままならぬ状態が続きます。水がなければはじまらないイナ作においては、時として 水待ちや雨待ちという場面が往々にしてある。そういった状況になれば、農家のあいだでの水をめぐっての小競り合いが頻発しますし、さらに事態が悪化すればイナ作を中止せねばならない地域[水路の末端にある集落など]すらでてきます。そしてなんとか田植えをすませた後でも、育てる苦労はつきもの・・・なんといっても苗の植わったばかりの田では水は生育に関係するだけではなく、保温資材[深水は寒さと強風による被害から苗をやさしく守ります]としても必要になるからです。実際のところ寒さがくるとわかったときの、水路をながれる水の取り合いというものは[水路が末端に近づくほどに]、なかなかに激しいものだと実感させられます。こんなときに思うんですよ。農業界以外の世間一般では「日本は水資源に恵まれている」などといった俗説がまことしやかに流布されているようですが、現実には それはまちがっているのではないかと。なんといっても いる時には降らず、いらないときには大降りしがちなもの、それが雨というものですから。 → 早期栽培の概要は こちら 。 まあしかし、水をめぐってのいざこざは 農家のイネつくりに かける情熱のたまもの。イネの生育が 脅かされているときに、 水の心配もしないような農家ばかりになったならば、よいコメ が収穫できるとはとてもとっても思えないという現実もあります。。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 8, 2015
厳寒期にミネラルを効かすには。Kミネラル欠乏がおこる原因には[ミネラルのあいだの派閥争いだけではなく]作物の植えられている土のPHの状態も影響しているものだというはなしのつづきです。 ↓不足しているミネラル分を予防的に補充することだけでミネラル欠乏が解決できるのなら、問題はありません。しかし「作物の栽培中に マグネシウム欠乏や石灰欠乏、ホウ素欠乏がおこ ったので、それらのミネラルを補給してみたのだが事態が改善しな かった。そこで翌年の作付けでは、ミネラル欠乏の起こる前にあら かじめ予防的にミネラルを補給してみた。しかし、それでもミネラ ル欠乏がおこってしまった」といった場合などには、対処方法を変えなければなりません。そのような場合の短期的な対処方法として、まずしなければならないのは、土のPHの測定です。その土壌測定の検査結果で土のPHが高いということになれば、その場合のミネラル補給の対策として PHの低いミネラル資材を使うということが効果的な対処方法となります。具体的にいえば・・・たとえばマグネシウムの補給には、成分が高くその割に低価格な苦土石灰や水酸化マグネシウム資材が一般的につかわれがちになります。しかし 土のPHが高いことがミネラル欠乏を助長しているという現実も推測されるわけですから、そのあたりを考慮したうえで ここはむしろ PHの低い硫酸マグネシウム系の資材を使うほうが、より効果的な対処法となります。それと同じように カルシウム欠乏が起こった場合の石灰の補給では、PHが高い石灰資材ではなくに 中性に近い硫酸石灰系の資材を使うほうが、より効果的な対処方法となります。さらに 石灰系の欠乏と併せて土のECが低い状態で土の状態が推移しているのであれば 硝酸石灰系の資材を使うという方法も[一石二鳥ですよ]考えられることになります。ということで今回は、寒さが厳しく日照が不足がちな2月におこりやすい[苦土欠乏や石灰欠乏といった]ミネラル欠乏時には、短期的には土のPHやECの状態も加味したうえで 対処する資材をチョイスすることが、より効果的な対処につながる というおはなしでした。ちなみに資材ですが、 ● PHの低い 硫酸マグネシウム系の資材 ● 中性に近い 硫酸石灰系の資材 ● 肥料が切れている場合に使う 硝酸石灰系の資材のなどがあります。よろしかったら、ご参考に。 作物が弱っているときですから、その意味でも あたりの やわらかい低成分の資材や、副成分のはいった資材をつか ってあげよう というおはなしでもありました。 弱っているときには人だってお粥なんかをたべるんですから そんなかんじで対処してあげましょう。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 7, 2015
ミネラルをやっても効かない時は。Kひつづきミネラルのはなしです。微量要素欠乏がでやすい今の時期の参考としていただければ幸いです。 ↓「作物の栽培中に マグネシウム欠乏や石灰欠乏、ホウ素欠乏がおこ ったので、それらのミネラルを補給してみたのだが事態が改善しな かった。そこで翌年の作付けでは、ミネラル欠乏の起こる前にあら かじめ予防的にミネラルを補給してみた。しかし、それでもミネラ ル欠乏がおこってしまった」などという、ご相談をうけることがあります。こういった場合に考えられるのは、このシリーズですでにご紹介したミネラルの間の派閥争いのためと考えられます。そしてそれに加えてもうひとつ。 土のPHの影響があげられます。じつはいくつかのミネラルは土のPHが中性である7以上になると不溶化[水に溶けにくくなる]してしまうことで、結果的に作物にされにくくなることがわかっています。そういう状況であれば当然のことながら 予防的に使用しても作物に吸収されにくいために欠乏症状を示すという状態になってしまうこともある。ちなみに下の図は、そのような土のPHの影響下におけるミネラルの溶け具合をしめしたものとなります。ののののの のとはいっても、なかなかわかりにくい図だと思われますので簡単にいえばの ● 作物に必要なミネラルの多くは PH6.5で よく効く ● 土がPH7.0以上で、不溶化してくるミネラルが増えるのといったかんじでしょうか。実際のところ、ハウスの土の検査をいろいろな場所やいろいろな時期に こなしてみれば、個人的には ● ミネラル不足は土がPH7.0以上の状態でおこりやすい ● むしろ成績の良いのは、PH5.5からPH6.5くらい ● 作物が小さいうちは、土のPHは、5.5くらいがよいという見方・とらえ方を しております。ということで今回は、ミネラル欠乏がおこる原因には[ミネラルのあいだの派閥争いだけではなく]作物の植えられている土のPHも影響しているものだという、おはなしでした。といことで次回は、その対策を。 ヒトの手にもやさしいのは微酸性・・・みたいな、そんな せっけん類のCMがあります。 今回のはなしも、そんなかんじでかんがえるのもよきかもし れませんね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 24, 2015
栄養をとりすぎると、作物に支障が出る場合もある。K ある程度大きくなるまで作物を育て、花が咲く時期の一歩手前で肥料を切って花芽をつけ、花芽が確実についた時点で、今度は肥料を効かせて着いた実を大きく太らす・・・それが農業の技術。そんな話となります。 ↓ 土に栄養が過ぎる状態が続く 〔土に養分が溜まりすぎる〕状態が続く と・・・つぎのような作物の症状が表れることが ままあります。 ● サトイモのイモがまったくなっていない ● ミカンを植えたが、実がならない ● サツマイモのつるだけがのびる ● イネがのびて、穂は遅れてでたが倒伏した ● お花の咲く時期に花がこない こういった状態は「樹ボケ」や「ツルボケ」とよばれてきました。 養分があればあるほど、吸っちゃう。身体を大きくする方向へばかりに生育がすすむ。 これでは実を収穫するために作物を育てる意味がなくなってしまうわけです。では、どうすればいいのでしょう。 最初に土の検査をやって、その作物にとって必要な養分を検査するという方法があります。その後必要な養分しか与えない。というのが、一般的な方法です。もちろん土壌検査なしでもできる方法もありますよ。 それが、 生育にあわせて肥料を分けてやる というやり方。たとえば 植付け前にある程度施して ↓ 樹ボケ、ツルボケにならない程度の生育をはかり ↓ 花芽がつきはじめた時点から ↓ 植物が利用できる程度に少しづつ ↓ 生育に合わせて肥料 を、追肥として ほどこしていく という具合です。 ということで今回は、「栄養分をやり過ぎたら、植物にも支障がでる」ことになるし、「その支障がでた植物を食べ続けるとヒトにもいずれなんらかの支障がでるであろう」というお話しと、その対処法に関するおはなしでした。 付け加えまして「有機」なら話は別だろうとかんがえているあなた。 じつは 有機の元肥一発施肥が、樹ボケ、ツルボケをひきおこす危険性は一番高いといえるので注意が必要です。たとえ実がならない植物〔葉物のホウレンソウやコツナとか〕であっても、硝酸が過剰になる場合もありますから注意されてくださいね。もちろん生ゴミリサイクル肥料の考え方も同様です。 土のなかに家畜ふん尿由来の塩分やチッソやカリが多過ぎるよう になってくると、微量要素欠乏がおこるようになってきますし、ね。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Feb 20, 2015
ミネラルが効きにくくなる理由を分析値から探る。K今回は、前回までのミネラル不足対策の回を土壌検査値からみることにしましょう。たとえばここに、生育後半になると微量要素欠乏や病気が頻発するハウスについての、たい肥や石灰や肥料を入れる前に採取した土の検査表があります。ののののののの そんな圃場の2つの場所についての土壌検査値ですが、通常とはずいぶん異なる数値が でているのに気づかされます。それは EC値 。硝酸態チッソに反応するはずのEC値 ですが、硝酸態チッソの量が上の表では 3.2 、下の表では 2.8 という標準値〔5―30〕以下であるのにもかかわらず、EC値が 1.37 と 1.35 という、かなり高い数値を記録しているのです。つまり作物に利用されていくはずの肥料分は少ないにもかかわらず、EC値が高いという〔ECメーターが化かされた〕状態になっている。こんなときには土壌を再検査して[通常の検査項目にはない]塩素の量を調べてみましょう。ECメーターの判断をおかしくさせている原因は、圃場の土に含まれているであろう塩素にあると思われるからです。検査の結果、塩素の量が多いと判断された場合には、塩素の量を減らす必要があります〔私は 5ミリグラム/乾土100グラム以上あれば塩素が過剰すぎるとみます〕。また、塩素と併行してナトリウムの量を調べるのも良い方法です。塩素と同じくナトリウムが 5ミリグラム/乾土100グラム以上ある場合には、圃場に塩〔塩化ナトリウム〕が蓄積しすぎていると考えるべきです。結果として、この塩素やナトリウムの過剰が、このハウスの生育後半における生育不良を引き起こす要因だと判断するというわけですね。ののののののののそして、そう判断された場合の土壌の改善策ですが・・・私の場合は ● 塩分を含んでいることの多い家畜ふんたい肥の施用量を減らす ● 植物質の原料で作ったセンイ質の多い たい肥 を 施用する ● ピートモスを使用する ● 腐植酸を含んだ資材を活用するなどといった方法を農家さんに提示しています。ということで今回は、植物に利用されるチッソの量が少ないにもかかわらずEC値が高く出てしまう土に対する考え方とその対処法についてのおはなしでした。こういった土壌権結果に対して、心当りのある方は、よろしかったら ご参考に。 青菜に塩〔塩化ナトリウム〕の状態ともなれば、植物の生育も うまくいかないと 思うんです。ということで、ミネラル不足が おこりはじめるのは、植物にとっての黄色信号。信号が赤に変わ ってしまわないうちに、まずは土のなかの塩素とナトリムの量を 検査してみましょう。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 17, 2015
ミネラルを効かすには。Kひつづきミネラルのはなしです。微量要素欠乏がでやすい今の時期の参考としていただければ幸いです。 ↓土壌検査をしてみると、圃場の土のなかに作物の成長に必要なはずのミネラルの量は問題なく充分にあるはずなのに、いざ作物を栽培してみると それでも苦土やホウ素・石灰が効きにくいといった生育をしがちな作物のケースも、よくあります。さらに効きにくいといった程度ではなく 苦土欠乏やホウ素欠乏・石灰欠乏がおこるというはなしをつづけてまいりました。そしてその原因がミネラル間の拮抗作用[派閥争い]にあり、そしてそんなミネラルのなかの派閥の領袖がカリであるというところまで すすんでまいりました。図示するとしたらのののののまあ、こんなかんじ。そして こういった[カリとのケンカに弱い]苦土や石灰の欠乏があらわれるときには、 欠乏症状を呈する苦土や石灰といった成分を補うという方法を 説明してきました。が、じつはもうひとつ、苦土や石灰の欠乏がでないようにする考え方があるのです。その セカンド・オピニオン的な方法 が これ 。ののののの そうなんです、 カリの施用を抑えていく という方法ですね。派閥の人数を減らしちゃうとでも たとえるような方法となります。現実には『土の物理性や生物性、そして化学性に問題がある圃場の土壌の改良 には、カリが多くなりがちである家畜ふんが原料のたい肥の使用を 控え、ヨシやカヤ、ススキなどのケイサン分に富んだ植物を材料と したたい肥による土の改良を数年にわたって続けていくというのが、 なによりの対策です。』といったことを 説明している・この回 のような対策をとります。 土を肥やすことばかりが喧伝されがち な農業の世界ですが、 ときには減量するとも大切なのではないのでしょうか、とい うおはなしでした。 今回のはなし・・・人の健康問題に置き換えて考えてみるの も、よいかもしれませんね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 12, 2015
ミネラルは大切。K 厳寒期をむかえたハウス栽培でめだってくるのが、微量要素の欠乏症状・・・ということで、そんな要素欠乏がおこる原因をおさらいしてみることにしました。よろしかったら、ご参考に。 ↓『ミネラルは大切。』こういった表現を 読まれたことはないですか。 「野菜が健康に育つには、土も健康で なくてはならない。植物が健康に 育つためにはミネラルも必要だ」 確かにそうだと思います。ミネラルは大切なのです。 それでは ミネラルとはなにものなのでしょう・・・・じつは ミネラルとは 無機物である鉱物を指す言葉 なのです。 したがって ミネラルを補給したければカリ鉱石やリン鉱石、あるいはマグネシウムやカルシウムなどを圃場に入れればよい。そのいろいろの種類のなかから、自分の圃場につくろうとしている作物の必要とする種類と必要とする量を[過度にいれすぎないように]あたえていけばよいわけです。実際に施用する場合は、カリ鉱石・りン鉱石・マグネシウムやカルシウム、そのほかいろいろな種類のミネラルが配合され、しかも成分調整されているものを、作物の生育状態を見たり・土壌分析をしたりしたうえで、圃場に適量いれていくことになります。たとえば ● 苦土欠が出る場合などは マグネシウムを増やす ● ホウ素欠乏が出る場合は ホウ素をふやす ● 石灰欠乏が出やすい場合は カルシウムを増やすといった対策をとっていくことになります。つづく。 「状態をみていれるものをかえていくのが農業」の回は こちら。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 3, 2015
生育不良なら、作物の状況をみてとる対策を考えよう。K 本年の天候が日照不足の傾向であるために、なんとなく勢いのない生育をしているハウス作物が多いようです。ということで 今回はそんな場合に取り組む対策についての回となります。 ↓「まずは土づくり。肥やしなさい・肥やしなさい。」といった 農業に対する考えがあります。いっぽう、「土を肥えさせるのは悪。土を肥やすのはもってのほか」という考えもあります。 迷いますよね。どうすればよいのでしょう。 答えは簡単。土の原則論に頼るのではなく 植物に訊けばよいのです。たとえばトマトでは作物の生育状況からこんな健康診断ができるんですよ。 トマトの状態のののののののののののののののののの診断 葉色淡い。花小さく、着果不良。果実肥大不良。の→ 栄養不足 葉が厚く・葉色が良い。葉が立ち、受光態勢が良。→ 健全 葉色濃く葉面凸凹。鬼花増加・奇形果多。ののの→ 栄養過多 このような作物の状態をみて、つぎのような対策をとります。 栄養不足の→の生長を促す対策をとる。たとえば不足した成分の追肥。 栄養過多の→の生育を抑える対策をとる。たとえば水分を押さえる。 という具合です。 このように一般的な農業の現場では〔土に対する原則論ではなく〕それぞれの植物の生育の状況や状態をみながら、その生育に応じた対策がとられているんですよ。 いじょう、植物の生育がいまひとつである場合は、植物の状態をみて、とる対策を考えてみようというおはなしでした。 人間であっても、そうですよね、まずはそれぞれの患者さんの 様子・容態が、診察診断の主題となる。医療行為もなしのいきなり のカロリー摂取や、カロリー制限のはなしなどにはならない。 まずは個別の患者に対するお医者さまの診察・触診があり、体温 や脈・血圧などの基本的な機器をつかっての検査、そしてそのうえ での診断があります。農業やガーデニングだって同じことだとおも うのです。土壌診断をつかった生育診断の実例は こちら とこちら 。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Oct 21, 2014
肥料分が少ないのにEC値が高いとは、いったい。K施設栽培の植え付け準備の期間に入りました。ということで、土壌検査をやってみた場合の問題点シリーズの採録となります。肥料分が少ないのにEC値が高いという圃場の参考資料として、よろしかったら。 ↓今回からは、前回までの土壌検査のシリーズの実践編となります。たとえばここに、生育後半になると微量要素欠乏や病気が頻発するハウスについての、たい肥や石灰や肥料を入れる前に採取した土の検査表があります。ののののののの そんな圃場の2つの場所についての土壌検査値ですが、通常とはずいぶん異なる数値が でているのに気づかされます。それは EC値 。硝酸態チッソに反応するはずのEC値 ですが、硝酸態チッソの量が上の表では 3.2 、下の表では 2.8 という標準値〔5―30〕以下であるのにもかかわらず、EC値が 1.37 と 1.35 という、かなり高い数値を記録しているのです。つまり作物に利用されていくはずの肥料分は少ないにもかかわらず、EC値が高いという〔ECメーターが化かされた〕状態になっている。こんなときには土壌を再検査して[通常の検査項目にはない]塩素の量を調べてみましょう。ECメーターの判断をおかしくさせている原因は、圃場の土に含まれているであろう塩素にあると思われるからです。検査の結果、塩素の量が多いと判断された場合には、塩素の量を減らす必要があります〔私は 5ミリグラム/乾土100グラム以上あれば塩素が過剰すぎるとみます〕。また、塩素と併行してナトリウムの量を調べるのも良い方法です。塩素と同じくナトリウムが 5ミリグラム/乾土100グラム以上ある場合には、圃場に塩〔塩化ナトリウム〕が蓄積しすぎていると考えるべきです。結果として、この塩素やナトリウムの過剰が、このハウスの生育後半における生育不良を引き起こす要因だと判断するというわけですね。ののののののののそして、そう判断された場合の土壌の改善策ですが・・・私の場合は ● 塩分を含んでいることの多い家畜ふんたい肥の施用量を減らす ● 植物質の原料で作ったセンイ質の多い たい肥 を 施用する ● ピートモスを使用する ● 腐植酸を含んだ資材を活用するなどといった方法を農家さんに提示しています。ということで今回は、植物に利用されるチッソの量が少ないにもかかわらずEC値が高く出てしまう土に対する考え方とその対処法についてのおはなしでした。こういった土壌権結果に対して、心当りのある方は、よろしかったら ご参考に。 青菜に塩〔塩化ナトリウム〕の状態ともなれば、植物の生育も うまくいかないと 思うんです。そして不思議でしょう?植物の生育に 多大な影響を与える塩素とナトリムが通常の土壌検査の検査項目に はいっていないというのは。。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Aug 12, 2014
まずはイネを倒さないようにすることが大切です。G 台風12号の通過、さらには11号の北上の雨間をみながら、西南暖地では早期栽培のイネ刈りがすすめられています。ということで前回の肥え過ぎた水田のはなしにひきつづいて、今回は とりあえず田植えをしてみたら意外に肥えすぎていた水田 におけるイネの生育と倒伏に関するおはなしとなります。 よろしかったら、ご参考に。 ↓ おいしい コメを同時にたくさんとることが、イネを栽培することの目的です。しかしイネを植えた水田が、意外にも肥沃すぎた土地であった場合には、イネの生育とともに困った事態に陥ることがあります。その困った事態の最たるもの。それがイネの倒伏[イネの背丈が高くなりすぎて育ったイナ株が出た穂もろともばったりと倒れてしまうこと]です。対策としては、なんといってもイネを倒さないように育てることが大切になるのですが・・・まずは イネを倒してしまうといったいどのような不都合がおきるのかを説明してみたいと思います。 〔1〕穂が出たばかりのときに倒れると、実が熟れません。 葉に光が当たらないので光合成がうまくいかず栄養が作れないからです。また茎が折れてしまうわけですから、運よく葉でつくられた養分も、実まで運べない。結局は実が充実しないままに不作となってしまいます。こうなると、おコメの品質や量も期待できません。 〔2〕穂が熟れたときに倒れるのは、まだまし なのだが。 しかし、倒れた地面に水分があると穂の品質が悪くなってしまいます。発芽してしまう場合だってある。それでは食用にはならないわけです。おコメの量は期待できても、品質が低下してしまいがちになります。 〔3〕穂が熟れていても、極端にべったりと倒れたら困る。 台風や集中豪雨などの突然の強い風雨でムシロを敷いたようにばったりと倒れたイネでは、収穫機械/コンバインの使用が不可能になる場合がでてきます。そうなると必然的に、ヒトの手による収穫となってしまうわけですが・・・今のご時世、なんといっても、一番高くつくのが人件費。バインダーがつかえるのならまだいいのですが、倒れたイネをカマで手刈りでもしようものなら、収穫されたイネよりも人件費のほうがはるかに高くつくことにもなりかねません。すばやい対処が功を奏しておコメの量と質を確保できても、人件費のほうが高くついたら、経営が成り立たないことになってしまいます。 ということで今回は、イネを倒さないような栽培方法が必要とされる理由を、イネが倒れることで生じるいろいろな不都合を挙げることで説明させていただきました。 たとえどのような土地であったとしても、いったん田植えしたも のであれば、育つイネを倒さないように・収穫前に理想的となる の姿をつくるお手伝いをするのが農業技術 だというわけです。 このようなイネを倒さないための農業技術は、べつの回で順次ご 説明しておりますが・・・ それは主としてイネの穂がでる40日ほど前の時期を中心に、経 験を基にした技術〔水管理や肥料の調整〕を駆使することで倒れ にくい理想のイネ姿をつくりだしていくことになります。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Aug 4, 2014
イネは正直者。G 前回分の実際のハウスにおける土壌改良例の続編です。今回は水田に植えられるイネの栽培を例にとって話をはじめてみました。 ↓水田の栄養状態は 一枚一枚ちがいます。肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土質の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては 田んぼとよばれます。そんな田んぼを新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家や、サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつくられる。日照りの年や、台風の多い年や、天候が順調な年、そして不順な年にも つくられる。そういう意味では、同じ田で同じ人が作るからとはいっても、田んぼでのイネつくりって、じつに千差万別の世界なんです。しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手、そしていろいろな気象のなかにあっても、作られるイネは正直です。だれがどう作ろうと、育てられるイネの姿には土の栄養状態がはっきりとでる。イネは正直者なのです。その栄養状態による診断と対策ですが、イネの姿をみたときにやせた栄養状態のときはとり立てて心配いりません。栄養が足りないときには、生育に合わせてすこしづつ肥料をやっていきさえすればよいのですから。むしろ心配しなければならないのは、イネが肥満してきたとき。そう、田んぼの土が肥えすぎている場合なのです。[よくありがちな]田んぼが肥える原因となるのは、たとえば ■ 裏作にキャベツやハクサイなどが作られている田んぼ ■ 家畜ふん尿に由来するたい肥が必要以上にいれられた田んぼ ■ 田に作っていた牧草などをすきこんだ直後に田植えしたとき ■ 田に作られていた作物が安値から生産調整され、すきこまれたとき ■ 田植え直前に生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたときなどといったケースがありますが、こういった場合に注意が必要になるのです。なぜ注意が必要になるのかですが・・・イネが、田んぼ全体の養分が過剰となった田や、チッソやカリなどの一部の養分だけが異常に蓄積している田んぼに植えつけられると、 ■ 稲がイモチ病などの病害にかかりやすくなる ■ イネの背丈がずんずん高くなり、収穫前に倒れてしまいがちになる ■ 穂が成熟する前に倒れると、穂が熟れない ■ 収穫の時期が遅れる ■ 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなってしまうといった不都合が、稲の生育しているうちに起こりやすくなるからなのです。そういった不都合を解消し、おいしいお米をたくさん同時に収穫するために、いれる肥料の種類を調整したり、田植えするイネの絶対[本]数を減らしたり、生育中の水の管理を徹底したり、イネに当たる日光の量を増やすといった、イネの生育のお手伝いをしていく[栽培する]わけですが・・・育っていくイネの姿には、そういった努力の効果もきちんきちんと反映されていくのですから、 イネというのはほんとに正直者だなぁと、つくづく思わされるんですよね、イネつくりの現場に携わっていると。ということで今回は、田の土の状態や作り手の努力は、育てられるイネの姿に反映される[イネは正直もの]というおはなしでした。 イネには節があります。その節の長さなどからでも、その時のイネ の生育状態がわかったりもします。そういった意味では、イナ株と いうのは、ある種のタイムレコーダーみたいなものだともいえるで しょうね。「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Aug 2, 2014
土が肥え過ぎた場合の土づくりには。長年にわたってのハウス栽培を続けてきた結果、ハウスの土の状態が ● 水はけが悪くなった ● 土が固い ● PH値が高い ● 土壌検査してみるとカリやナトリウム・塩素が多い というケースは、けっこう多くあるものです。そのような場合の改善策の一例をご紹介してみました。よろしかったらご参考に。 ↓土の物理性や生物性、そして化学性に問題がある圃場の土壌の改良には、まずは 家畜ふんが原料のたい肥の使用を控え、ヨシやカヤ、ススキなどのケイサン分に富んだ植物を材料としたたい肥による土の改良を数年にわたって続けていくというのが、なによりの対策です。しかし、問題があります。それは、こういった植物を材料としたたい肥が、最近では手にいれることが難しくなっていることです。そこで、そのような圃場の改良方法として、植物質のたい肥の代用としてピートモスと腐植酸を使った土壌改良 をお薦めする場合があるんですよ。 以下の写真は、そのような土壌改良作業の実際例となります。ちなみにこちらのハウスでは肥料濃度が高かったためにイナワラも併用することにいたしました。作業はつぎのようになります〔写真の左列は作業工程、右列は各作業工程時の土の状態です〕。 ワラを土の上にばらまき ↓ そのうえにピートモスを散布 ↓ 家畜ふんたい肥ではなく、腐植酸を散布 その後、このようにトラクターをつかって土中に鋤きこんでいきます。 いじょう、塩素やナトリウムやカリが過多になっているために水はけが悪くなり、そのために病害も多くなってしまったハウス土壌の改良の一例でした。このようなハウス栽培の土づくりは、通常夏場の炎天下の時期におこなわれます。そんなきびしい条件のなかで〔重い〕家畜ふんが原料のたい肥を、圃場全体に均一に撒くのは大変な重労働になること も多いものです。しかし、今回ご紹介した土づくりにおけるピートモスは、散布するのはけっこう簡単・・・こういった施用にかかる労力も少なく、時間がかからない点からいっても魅力的な土づくりといえそうですね。ちなみにピートモスの施用量ですが、3ほろで10アールの圃場であれば・・・そうですね、圧縮240リットルのピートモスであれば、基準量としてひとつのほろに5袋くらい・全体で15袋 を使えば けっこうフワフワ感がでてきますよ。ののののののののの心当りのある土壌条件のハウスをお持ちのみなさま、まずはそんなハウスの、最も水はけがわるい部分だけでも試されててみるのはいかがですか。 土の状態を知るためにも、土の採取場所や深さをきちんと記録した 正確な土壌診断は必要ですね。 「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Jul 30, 2014
状態をみて、入れるものを変えるのが農業。Kたとえば施設園芸作などでは、7月8月のこの夏の季節は収穫が終わって・次作までの準備の段階。経営者にとって、この時期に気をつけねばならないのは、『まずは土づくり』というスローガンのもとにおこなわれることの多い無茶な土づくりをやってしまうことです。ということで、今回はこの時期の土づくりの考え方の回の再録です。ご参考までによろしかったら。 ↓前回・前々回などでみてきたように、土の状態や作物の生育の情況を認識せずに、土の改良資材や肥料をただ入れさえすれば良い・またはやみくもにいれない というやり方は、非効率です。 これでは、農業経営がうまくいかない。そこで土の検査をしたり、植物の生育状態を見たうえで・・・ ミネラル分の少ない土には 過剰にならないように、適量のミネラル分を入れる。ことが大事になるわけです。同じように 隙間が詰まって硬い土には、軟らかい資材をいれる。 水を加えるとドロドロになってしまう土には、 粒子の大きいものをいれる。 すぐに乾燥してしまう土には、粒子の細かいものをいれる。 酸性が強すぎる土には、アルカリの資材をいれる。 アルカリが強すぎるの土には、酸性の資材をいれる。 痩せすぎた土地には、肥える資材をいれる。 肥えすぎた土地には、痩せる資材をいれる。そして 病気が多い圃場では ウイルスや病原菌の少ない資材を入れるといった、それぞれの状況に応じた対処法をとると、作物の生育がよくなります〔必然的に経営状態もよくなりますよ〕。 そうなんです、このように土や作物の育つ状態をみて、田畑に入れるものを変える工夫・・・それこそが 農法であり農業ではないのかとおもうのです。 農業経営の面からいえば、農産物の生産状況を勘案しながら 投下する労力や財力を変化させいくというのもまたアリです よね〔作物/商品が売れに売れるといった場合には、とくに〕。 「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Jul 30, 2014
土壌検査は、正確でなければ意味がない。K前回[こちら]の土壌検査関連で、恒例の回です。 ↓『土壌検査は、正確でなければ意味がない。』数回にわたって掲載してきた土壌検査と土壌検査値のはなしです。話の内容を要約すれば、 便利なツールである土壌検査も、正確でなければ意味がないということになります。それはそうでしょう、いつの時期に・どこの部分を・どのようにして採取したという記録もない試料を、深さ数センチに限っていっても数十トンある土の中から数百グラムのみ採取し、その試料のわずか0.6グラム程度でそれぞれの成分を分析するわけですから、正確な数値がでるとは思えない。そんな土壌検査の実情を表す常套句として、 ● これくらいの土の成分で、よくこれだけの収量があるものだ ● こんなにも成分が蓄積しているのに、よく作物が育つものだといったような表現がありますが、農家さんでなくともこういった類の話は一度は耳にされたかたも多いのではないでしょうか。そうなんです、たまたまの降水やかん水のあとで肥料成分が下降していたり・定期的な追肥の前に土の表面部分だけから採取された試料を検査した試験結果であれば・・・「これくらいの土の成分で、よくこれだけの収量があるものだ」という土壌検査結果が示されがちなものなのです。また逆に、降水やかん水前で肥料成分が土の表面に上昇していたり・たまたま定期的な追肥の直後に土の表面部分だけから採取された試料を検査した試験結果であれば・・・「こんなにも成分が蓄積しいるのに、よく作物が育つものだ」という土壌検査結果が示されがちになるのも納得がいくというものです。当然のことながら、その正確な数値が出るとは思えない〔記録のない試料をもとにした〕数値だけを基準にした土壌診断結果を、施肥の判断に使うというのは危険です。そのような土壌診断結果に基づいた土壌改良を数年から数十年のあいだ続けていくとしたならば ● これくらいの土の成分しかなので、収量が落ちる ● 成分が異常に蓄積し作物がうまく育たないといった状況になることも、考えられないことではないからです。そこで今回のおはなしの要点となる、土壌検査値をすこしでも正確に把握する方法ですが、それは土の試料の採取にあたって、 採取に関するルールを作り、それに従って栽培者自ら採取するということです。 ● 時期〔施肥前施肥後とか・栽培前や栽培終了後とか〕を統一する ● 同じひとが採取する ● だいたいでもかまわないので、同じ場所を採取する ● 採取する場所数を増やす ● スコップや採取した土をいれる袋などは、同じ道具を使用する ● 採った日時や時期、そして場所を正確に記録しておくといったことを実践しつづけていく。これだけのことでも、精度はずいぶんとあがるものですよ。よろしかったら、お試しくださいね。つづく。 最高の作物がとれたあの年の12月の土の状態はこれ・・・ みたいな、そんな記録の蓄積が栽培者の技量を向上させます。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
May 30, 2014
田畑の水はけを良くする 強力なかぎ爪 。K ラベンダーの鉢から、庭の芝生や家庭菜園ときて、今回は 田畑の水はけを良くするケースとなります。よろしかったら。 ↓前期白亜紀の英国に生息し、水辺でサカナをとっていたのではないかといわれている恐竜が バリオニクス です。 通称 「ザ・クロウ」 。 その名前の由来になっているのは、手についていたという長さ30センチから35センチはあったろうといわれる 強力なかぎ爪 の存在です。 骨芯は、こんなかんじ。 おそらくは沼地の泥の中にいるウナギや肺魚みたいなサカナや貝類を、両手についたこの巨大なカギ爪で引っ掛けて捉えていたのではないでしょうか。 そして、そんなにバリオニクスのカギ爪を連想させられる農業用の「ザ・クロウ」が こちら 。 長さが 約80センチ はある、農業用の工具です。この爪を、刈り取りの終わった田んぼに突き刺して・・・・ 田のアゼに沿って走ったり、あるいは斜めにうごいたりすることで秋の長雨時に水がたまりがちになる田畑の水はけが改善されます。 いわゆる 物理的な土づくり/土壌改善 ですね。 そのスケールには、かなりな差がありますけれど/笑、前回ご紹介した“鉢に針金”や、芝生のローンスパイクやアルキメデスハガネなどは、今回のかぎ爪を使った農作業とおなじ原理になります。 梅雨。そして台風のやってくる秋には、長雨がつづく年があります。今回 ご紹介した植え付け前の深耕作業は、そんな長雨対策にはもってこい の技術となります。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
May 23, 2014
締まった土をやわらかく。G 締まった土をやわらかくする道具についてのお話となります。前回の続編としてよろしかったら。 ↓たとえば芝生用の作業機具であるローンスパイクをご存知ですか? これは 固くなって水が抜けず、通気が悪くなった土に穴を開けることで、芝生の樹勢を回復させるものなんですよ。土に穴が開くと、水はけや空気のとうりが良くなり、結果的に根の張りが促進されることで芝生が甦るというわけですね。 穴あけの目安としては、15センチくらいの間隔をとって、深さ5センチ前後の穴をあけるのが標準的なローンスパイクの使用方法となります。 ちなみに どれくらいの固さになったら穴を開けるのか という固さの程度ですが、わたくしの場合は 五寸釘を用意して、忍者張りに投げてみるなんて、やり方をやっています。釘が土に刺さらなくなっていたら充分に固いと判断し、そんなときはローンスパイクを使います〔限られた面積で試してみて芝の生育を観察するのもよきかも〕。 さてそこで、雨つづきで締まった田畑の土の場合ですが・・・やはりこちらも芝生と同様に五寸釘を投げてみて、固いようでしたらローンスパイクを巨大にしたような園芸用品で土を起こします。こういった農機具は、たとえば アルキメデス・ハガネ〔検索かけると直ぐに出ますよ〕などといった名まえで販売されいる農作業用の機具となります〔長さは120センチ・重さ4キロ弱くらい〕。これはテコの原理を応用し、人力で地下30センチから40センチにある耕盤〔作土の下にできる固い土の層〕を砕くというもので、前述のローンスパイク同様に、田畑の固くなった土を砕くことで田畑の排水性や空気のとうりをよくすることで農作物の根域の拡大を促します。 具体的な使用法ですが、 斜めにして、スコップの要領で地面に刺し込む ↓ 足を乗せて体重をかける ↓ 先端部分の刃が土に入れる ↓ てこの原理を応用して後ろに下りながら手前に引く ↓ 土が起こされる といった具合に使うのが作業のコツとなります。さらにもっともっと土がガチガチに硬い場合は、まずは浅く起こし・そのあとで2回から3回に分けて無理せず徐々に深くおこしていくとうまくいきます〔またこの機具は本格的なハウス栽培などの場合の支柱のまわりの・機械で起こしにくい部分などの土の改良にも最適で、お薦めです〕。 ということで今回は、やわらかなの土の畑は、作物の地下部にとっても気持ちの良いものだというおはなしでした。 最近は水田だけではなく、畑用の中耕除草機もたくさん販売 されるようになってきました♪ こちら 。 「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
May 21, 2014
残さずにしっかり活用。土中養分。K今シーズンのハウス栽培も、いよいよ収穫を終了する時期が近くになってきました。この時期の土壌管理で大切となるのは 収穫の過程でたまりがちになっている養分を使い切ること。そのためはに作物の生育をよくよく観察し → 生育診断は こちら 過剰となっている養分を減らし・足らなくなっている養分を加えることで、無駄のない栽培をこころがけることが大切になります。さてそこで、どのような養分が不足し・どのような成分が残りがちになるのかといえば・・・この時期の生育診断や土壌検査を実施している経験では チッソ分が残り、リンサンにカリ・そして石灰や苦土が不足するといった傾向が見られるケース が多いようにかんじられます。ということで、果実の生理障害である 先端部の枯れや尻腐れ果の発生を予防して上質の果実をたくさん収穫するためには、バランスのとれた施肥管理を実施するることが栽培のポイントとなります。具体的には ● タイミング2号 10キロ/10aの施用 ● カリショット 5キロ/10aの施用 ● ライムショット 5キロ/10aの施用 ● マグショット 5キロ/10aの施用といった、[チッソ分を含まない]ミネラル資材の、かん水時の利用をお薦めしています。よろしかったら、ご参考に。 作物の状態を観察することで、対処方法を考えること。それが 大切だと思うんです。そのうえで次回作のための準備をします。 そんな話は こちら。 「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
May 13, 2014
状態をみて、入れるものを変えるのが農業。K 前回の続き&次回の参考編として、土の問題だけに限った場合の対策編。以前の分の再掲載です。 ↓前回・前々回などでみてきたように、土の状態や作物の生育の情況を認識せずに、土の改良資材や肥料をただ入れさえすれば良い・またはやみくもにいれない というやり方は、非効率です。 これでは、農業経営がうまくいかない。そこで土の検査をしたり、植物の生育状態を見たうえで・・・ ミネラル分の少ない土には 過剰にならないように、適量のミネラル分を入れる。ことが大事になるわけです。同じように 隙間が詰まって硬い土には、軟らかい資材をいれる。 水を加えるとドロドロになってしまう土には、 粒子の大きいものをいれる。 すぐに乾燥してしまう土には、粒子の細かいものをいれる。 酸性が強すぎる土には、アルカリの資材をいれる。 アルカリが強すぎるの土には、酸性の資材をいれる。 痩せすぎた土地には、肥える資材をいれる。 肥えすぎた土地には、痩せる資材をいれる。そして 病気が多い圃場では ウイルスや病原菌の少ない資材を入れるといった、それぞれの状況に応じた対処法をとると、作物の生育がよくなります〔必然的に経営状態もよくなりますよ〕。 そうなんです、このように土や作物の育つ状態をみて、田畑に入れるものを変える工夫・・・それこそが 農法であり農業ではないのかとおもうのです。 農業経営の面からいえば、農産物の生産状況を勘案しながら 投下する労力や財力を変化させいくというのもまたアリです よね〔作物/商品が売れに売れるといった場合には、とくに〕。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 21, 2014
原因は果実の形が教えてくれる。K 前回は、微量要素の吸収がうまくいかなかった場合に起こるキュウリの果実の生理障害についての回でした。今回はその対処法に関する回となります。 ↓キュウリの定植から収穫終わりまでの生育全体を見た場合に、キュウリ果実になんらかの障害が発生するときは、キュウリの樹が疲れてきたとき に多くなることが、栽培における統計上報告されています。 具体的にはそんな障害のなかで最も代表的な症状である、キュウリ果実の❝曲がり❞についての原因としては ● 葉が繁りすぎて、光が充分に葉にあたらないとき あるいは、 ● 病気や虫などの影響で葉の機能が落ちたとき、 ● 天候が悪いとき、 ● 一度にたくさんの果実をならしすぎたあと、 ● 肥料や水が不足して、樹にストレスがかかったとき といった状況で、果実の曲がりが多くなることが判明しています。したがって曲がり果への対策としては、 ● 光が当たるように古い葉から摘葉する ● なりすぎた実を摘果する ● 早めに誘引する ● 液肥の葉面散布や追肥をおこなう ● 冬場のハウス栽培であれば、温度を上げてあげるなどと作物管理の適正化に努めることで、果実の“曲がり”に対処していきます。そのほかにキュウリ果実の状態からわかる原因もありますよ。たとえば果実の状態が ● 実の上部が細いものは肩こけ果といわれますが、これは石灰欠乏 ● 尻が太いものは、下葉が枯れてきたとき ● 2本つながっていたり、実に葉がつく奇形果は、ホウ素欠乏 ● 果実が縦に割れる裂果は、根が弱っているとき、 ● 食べて苦い苦味果は、乾燥が影響している といった具合です。このような 曲がりに代表される障害果に対する対策ですが、温度や水の供給を適宣実施していくという管理作業に加えて、微量要素関係の対策としては ● 不足しているミネラル類を補ってやる ● 過剰にあるミネラルを減らす〔ミネラル間でのケンカをなくす〕 ● PHを下げてやることで対処していきます。いじょう、今回は前回分の補足資料として キュウリの生育状況は キュウリ自身が教えてくれる というおはなしでした。 順調にすっと育ったキュウリの樹から取れる素直なキュウリの 果実はおいしいですよ。。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Apr 1, 2014
状態をみて、入れるものを変えるのが農業。K 前回・前々回などでみてきたように、土の状態や作物の生育の情況を認識せずに、土の改良資材や肥料をただ入れさえすれば良い・またはやみくもにいれない というやり方は、非効率です。 これでは、農業経営がうまくいかない。そこで土の検査をしたり、植物の生育状態を見たうえで・・・ ミネラル分の少ない土には 過剰にならないように、適量のミネラル分を入れる。ことが大事になるわけです。同じように 隙間が詰まって硬い土には、軟らかい資材をいれる。 水を加えるとドロドロになってしまう土には、 粒子の大きいものをいれる。 すぐに乾燥してしまう土には、粒子の細かいものをいれる。 酸性が強すぎる土には、アルカリの資材をいれる。 アルカリが強すぎるの土には、酸性の資材をいれる。 痩せすぎた土地には、肥える資材をいれる。 肥えすぎた土地には、痩せる資材をいれる。そして 病気が多い圃場では ウイルスや病原菌の少ない資材を入れるといった、それぞれの状況に応じた対処法をとると、作物の生育がよくなります〔必然的に経営状態もよくなりますよ〕。 そうなんです、このように土や作物の育つ状態をみて、田畑に入れるものを変える工夫・・・それこそが 農法であり農業ではないのかとおもうのです。 農業経営の面からいえば、農産物の生産状況を勘案しながら 投下する労力や財力を変化させいくというのもまたアリです よね〔作物/商品が売れに売れるといった場合には、とくに〕。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Nov 10, 2013
物理性・生物性・化学性、3つ揃って 土づくり。K 前回・前々回などの話のつづきとなります。 ↓生物性・物理性・化学性と、三つそろって、作物栽培に理想的な土が完成します。 生物性とは、 病原菌が少ないこと。 多種多様な土壌微生物が安定した状態で、土に存在していること。 物理性とは、 土の通気性・保水性・透水性などが適正で、 作物の根が張りやすい環境であること。 化学性とは、 土の酸性度が適当な範囲にあることと、養分濃度が適正なこと。 をいいます。 土に入れるものとして、まずは病原菌の少ない資材を入れることを前提にして考えます。 物理性や化学性を改善するための資材を入れるときは、『清潔度』を基準にして入れる資材を選びましょう。病原菌の入っている懸念がある未熟な有機物は、はじめから入れないことが良い栽培土を作るコツです。 『清潔度』という基準をクリアした資材のうち、つぎは物理性を改善する資材を入れます。以前にお伝えした栽培土の作り方でいえば、植物質の材料を原料とした繊維質の多い資材、あるいはピートモスがこれにあたります。いわゆる『たい肥』ですね。 物理性を改善したのちに、化学性を改善する資材をいれます。PHをあげる資材や、土の条件によっては下げる資材を土の条件にあわせて入れます。前回お伝えした栽培土の作り方でいえば、ゼオライトがこれにあたります。いわゆる『石灰』ですね。 最後に作物が必要とする養分を、養分濃度が適正な範囲で施します。前回お伝えした栽培土の作り方でいえば、油粕や魚粕などの有機物を発酵させたものを、ミネラル分と反応させた化成肥料がこれにあたります。 小さな面積で試して成功したら、そのやり方を次第に 大きくしてゆく・・・ そういった意味で、プランター栽培は技術獲得に最適です。 「夢で終らせない農業起業」 「里地里山複合大汚染」
Nov 8, 2013
こんな土づくりもやってます。K前回分の関連資料の回となります。再掲載ですが、よろしかったらご参考に。 ↓キャベツをつくられている圃場で、 ホウ素欠乏に代表される微量要素欠乏がでて困っているという相談を受けました。そこで さっそく土壌検査。結果をみると、圃場のPHが高いことがわかりました。また、同時にホウ素自体は不足していないということで、 PHを下げる土づくりを おこなうことにしましたよ。使用するのは、そうです、ピーマンハウスの土壌改良でも使用したPHの低い未調整ピートモスです。 圃場のなかでも、とくにホウ素欠乏が出やすい場所に施用します。と、いってもむずかしいことではなく、ただ ピートモスを バラまいて いつものように、トラクターのロータリー耕をかければ土づくり完了です。 さらにもうひと区画の別の部分では、圃場のPHが高いことに加えて肥料分もすくなかったために、腐植酸資材とPHの低い苦土とリンサンと石灰をもった肥料の 2種類の資材も 適量加えました。 こちらもトラクターのロータリー耕をかければ、土づくり完了です。 このあと必要な肥料分をまいて、畝を作って、キャベツの定植ですね。 ← 生育その後。ホウ素欠乏がでていた部分は少なくなり、圃場全体がそろったかんじでうまく生育できました。 PHが高すぎなければ、苗の活着もいいんですよね♪ PHが高いのに、PHの高い資材〔たとえばケイフン〕で 土づくり を続けていると、次第に生育がおもわしくなくなってくるという お はなしでもありますね。土づくりは、そのときどきの圃場の性質にあ った改良資材を使用しましょう。また、土壌改良をおこなう場合は、 いっぺんに全部のやり方に切り替えるのではなく、比較しながら、 効果を確認しながら おこなうことが肝要です。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Nov 7, 2013
土の改良は “急がば回れ”。K冬用野菜を収穫するために、畑を耕運し・畝を作り・仕立てた苗を順次植えつけていく。これがいわゆるキャベツやハクサイを栽培している野菜農家の9月から10月にかけての主な作業となります。しかし作業は、計画どうりには行かぬもの。とくに今年の天候はそんな農業者泣かせの天候となりました。なにせ当地では9月までは干ばつ、その後の10月は雨は降ったものの相次ぐ台風の襲来つづきとなって、まともに晴れた日は10月のうちの3日程度という極端すぎる天候となったからです。こんな天候の時にまず困るのは、畑の耕運作業。そうなんです、畑の土が乾きすぎている場合には畝が建てられず、逆に水分が多すぎる場合のトラクターによる土を起こす作業は〔ねらった効果とは逆に〕土の中の空気を追い出してしまうことにもなりかねないからです〔極端な場合は握りこぶし大のとんでもなく硬い土の固まりに変化しちゃたり〕。そこで実際の圃場の例ですが、そんな極端な天候のなかにあっても、 こんなかんじで、なにごともなかったように〔天候に恵まれている場合の土の状態での作業と同じように〕順調に畑を耕運し・畝を作り・仕立てた苗を順次植えつけられている農家さんもおられます。このような農家さんにあたっては、状況に応じた機械の選択や使い方などといった長年にわたる農業土木的な技術の集積があるものではありますが、それに加えて〔もっと根本的な〕畑の土の改良も功を奏しているように考えられるのです。実際に田畑の土を調べてみると、やはりというか 植物質の繊維分や腐植が多いという結果がでるのですから、おもしろいものですよね。ちなみにこの農家さんの田畑では、〔作付けの前に〕4年前まではソルゴー。そして3年前からはヒマワリを育てて畑に鋤きこまれていくという土壌改良作業を長年にわたって継続されてきたという現実があります。 ・・・こういった土壌改良作業は、もちろん 一度おこなえばたちどころに効果が現れるとはいいがたいものではありますが、とくに土の固さや 水はけの悪さに悩まされておられる農家さんにはお薦めの土地改良技術となります。よろしかったらご参考に。 そんな土の改良効果は、土の体積がすくない場合にこそ見え 易いもの。ということで、たとえあなたが大農家であったとし ても まずは苗作りやプランターで実践し体験してみるのがい ちばんです。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Nov 5, 2013
土づくりにも いろいろあって。K 〔田畑の水はけをよくするために〕植物質の繊維質を利用した土づくりのいち例をご紹介にした回となります。別ブログからの記事となりますが、よろしかったらご参考に。 ↓『土づくりにも いろいろあって。』 土づくりといえばたい肥・たい肥といえぱ家畜のふん という連想をされる方も、まだまだ多いかとは思いますが、夏のお花の象徴ともゆうべきヒマワリを育て、その育てた ヒマワリを土に帰すことで土の改良をおこなう という土づくりのやり方もあるんですよ。 ということで前回の 物/ぶつ は、土づくりに使用される〔コーティングされた〕ヒマワリの種というのが正解となります。 ちなみに、この地域を挙げた土づくりの試みを取り上げた昨年の新聞記事が、こちら です。 のの この地区の土づくりは、そのヒマワリが植栽されている圃場の広さも話題となっており ● 植栽面積 50ヘクタール ● 植えられたヒマワリ 約650万本 という、日本でも有数の規模を誇っています〔本年はもっと広げるとのことです〕。そんなヒマワリ畑のようすは こちら で。 のののののの ちなみにこれは、その宮崎のひまわり畑に咲いていたヒマワリのなかの変り種のヒマワリ。このヒマワリによる土づくりに参加する農家さんの中のおひとりからいただいたもの。 もちろん部屋に飾って、楽しませていただきましたよ♪ というわけで今回は、〔お花見イベントの8月10日前後に満開となるように〕6月のいまの時期に蒔かれているヒマワリの種のご紹介でした。 このような話題性を伴った土づくりの試みは、キャベツ産地自体の宣伝 効果が狙えるというメリットも生まれます。〔土の検査をおこなって〕 植物質繊維が不足している圃場であれば、産地のPRを兼ねて産地全体 でのお花のツづくりに取り組んでみるのも一興かもしれませんね。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Nov 4, 2013
田畑の水はけを良くする 強力なかぎ爪 。K ラベンダーの鉢から、庭の芝生や家庭菜園ときて、今回は 田畑の水はけを良くするケースとなります。よろしかったら。 ↓前期白亜紀の英国に生息し、水辺でサカナをとっていたのではないかといわれている恐竜が バリオニクス です。 通称 「ザ・クロウ」 。 その名前の由来になっているのは、手についていたという長さ30センチから35センチはあったろうといわれる 強力なかぎ爪 の存在です。 骨芯は、こんなかんじ。 おそらくは沼地の泥の中にいるウナギや肺魚みたいなサカナや貝類を、両手についたこの巨大なカギ爪で引っ掛けて捉えていたのではないでしょうか。 そして、そんなにバリオニクスのカギ爪を連想させられる農業用の「ザ・クロウ」が こちら 。 長さが 約80センチ はある、農業用の工具です。この爪を、刈り取りの終わった田んぼに突き刺して・・・・ 田のアゼに沿って走ったり、あるいは斜めにうごいたりすることで秋の長雨時に水がたまりがちになる田畑の水はけが改善されます。 いわゆる 物理的な土づくり/土壌改善 ですね。 そのスケールには、かなりな差がありますけれど/笑、前回ご紹介した“鉢に針金”や、芝生のローンスパイクやアルキメデスハガネなどは、今回のかぎ爪を使った農作業とおなじ原理になります。 台風のやってくる秋には、長雨がつづく年があります。今回ご紹介 した植え付け前の深耕作業は、この長雨対策にはもってこいの技術 です。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Oct 31, 2013
肥料分が少ないのにEC値が高いとは、いったい。K今回からは、前回までの土壌検査のシリーズの実践編となります。たとえばここに、生育後半になると微量要素欠乏や病気が頻発するハウスについての、たい肥や石灰や肥料を入れる前に採取した土の検査表があります。ののののののの そんな圃場の2つの場所についての土壌検査値ですが、通常とはずいぶん異なる数値が でているのに気づかされます。それは EC値 。硝酸態チッソに反応するはずのEC値 ですが、硝酸態チッソの量が上の表では 3.2 、下の表では 2.8 という標準値〔5―30〕以下であるのにもかかわらず、EC値が 1.37 と 1.35 という、かなり高い数値を記録しているのです。つまり作物に利用されていくはずの肥料分は少ないにもかかわらず、EC値が高いという〔ECメーターが化かされた〕状態になっている。こんなときには土壌を再検査して[通常の検査項目にはない]塩素の量を調べてみましょう。ECメーターの判断をおかしくさせている原因は、圃場の土に含まれているであろう塩素にあると思われるからです。検査の結果、塩素の量が多いと判断された場合には、塩素の量を減らす必要があります〔私は 5ミリグラム/乾土100グラム以上あれば塩素が過剰すぎるとみます〕。また、塩素と併行してナトリウムの量を調べるのも良い方法です。塩素と同じくナトリウムが 5ミリグラム/乾土100グラム以上ある場合には、圃場に塩〔塩化ナトリウム〕が蓄積しすぎていると考えるべきです。結果として、この塩素やナトリウムの過剰が、このハウスの生育後半における生育不良を引き起こす要因だと判断するというわけですね。ののののののののそして、そう判断された場合の土壌の改善策ですが・・・私の場合は ● 塩分を含んでいることの多い家畜ふんたい肥の施用量を減らす ● 植物質の原料で作ったセンイ質の多い たい肥 を 施用する ● ピートモスを使用する ● 腐植酸を含んだ資材を活用するなどといった方法を農家さんに提示しています。ということで今回は、植物に利用されるチッソの量が少ないにもかかわらずEC値が高く出てしまう土に対する考え方とその対処法についてのおはなしでした。こういった土壌権結果に対して、心当りのある方は、よろしかったら ご参考に。 青菜に塩〔塩化ナトリウム〕の状態ともなれば、植物の生育も うまくいかないと 思うんです。そして不思議でしょう?植物の生育に 多大な影響を与える塩素とナトリムが通常の土壌検査の検査項目に はいっていないというのは。。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Aug 29, 2013
土壌診断を、より使いこなす工夫。K「土壌検査表に並んだ数字と、診断に関する解説がいまひとつわかりにくくて・・・」などといったご意見をいただきます。そこで今回は、 いつの時期に・どこの部分を・どのようにして採取したかの記録がはっきりしている試料の土壌検査を、より活用する工夫についておはなししてみましょう。その工夫ですが、数字を簡単にわかるためには「比較」することがいちばんわかりやすい。・・・そうなんです 成績がよかった部分から採取した試料の数字ののののの ↑ ののの ↓ 成績が悪かった部分から採取した試料の数字この2つの数字群を、まずは比較してみるのです。そうやって比較した結果、たとえば2つの土壌のあいだに ● PHやECのちがい ● 硝酸態チッソの量やアンモニア態チッソの量のちがい ● カリや石灰・苦土などの塩基類の量のちがい ● 塩基の量のバランスのちがい ● 塩素や腐植といった土の物理性に関わる数値のちがいなどといった“ちがい”がでているのなら、あなたのおこなった試料採取と、その後の土壌診断は成功したも同然です。あとは「成績の悪かった場所の土の診断値」を、「成績の良かった場所の土の診断値」に近づけて〔改良して〕いきさえすれば良いのですから。ということで今回は、土壌検査の診断結果を実際の土壌改良に応用させていくためには、“2つの場所の診断結果を比較しながらその後の土壌改良作業を組み立ていく”ことも良い方法であるというお話でした。 比較することで、“オレ流に作物の出来・不出来を数値化する” というお話でもありますね。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Aug 8, 2013
土壌検査は、正確でなければ意味がない。K数回にわたって掲載してきた土壌検査と土壌検査値のはなしです。話の内容を要約すれば、 便利な道具である土壌検査も、正確でなければ意味がないということになります。それはそうでしょう、いつの時期に・どこの部分を・どのようにして採取したという記録もない試料を、深さ数センチに限っていっても数十トンある土の中から数百グラムのみ採取し、その試料のわずか0.6グラム程度でそれぞれの成分を分析するわけですから、正確な数値がでるとは思えない。そんな土壌検査の実情を表す常套句として、 ● これくらいの土の成分で、よくこれだけの収量があるものだ ● こんなにも成分が蓄積しているのに、よく作物が育つものだといったような表現がありますが、農家さんでなくともこういった類の話は一度は耳にされたかたも多いのではないでしょうか。そうなんです、たまたまの降水やかん水のあとで肥料成分が下降していたり・定期的な追肥の前に土の表面部分だけから採取された試料を検査した試験結果であれば・・・「これくらいの土の成分で、よくこれだけの収量があるものだ」という土壌検査結果が示されがちなものなのです。また逆に、降水やかん水前で肥料成分が土の表面に上昇していたり・たまたま定期的な追肥の直後に土の表面部分だけから採取された試料を検査した試験結果であれば・・・「こんなにも成分が蓄積しいるのに、よく作物が育つものだ」という土壌検査結果が示されがちになるのも納得がいくというものです。当然のことながら、その正確な数値が出るとは思えない〔記録のない試料をもとにした〕数値だけを基準にした土壌診断結果を、施肥の判断に使うというのは危険です。そのような土壌診断結果に基づいた土壌改良を数年から数十年のあいだ続けていくとしたならば ● これくらいの土の成分しかなので、収量が落ちるのも当然だ ● 作物がうまく育たないのは、成分が異常に蓄積しているからだといった状況になることも、考えられないことではないからです。そこで今回のおはなしの要点となる、土壌検査値をすこしでも正確に把握する方法ですが、それは土の試料の採取にあたって、 採取に関するルールを作り、それに従って栽培者自ら採取するということです。 ● 時期〔施肥前施肥後とか・栽培前や栽培終了後とか〕を統一する ● 同じひとが採取する ● だいたいでもかまわないので、同じ場所を採取する ● 採取する場所数を増やす ● スコップや採取した土をいれる袋などは、同じ道具を使用する ● 採った日時や時期、そして場所を正確に記録しておくといったことを実践しつづけていく。これだけのことでも、精度はずいぶんとあがるものですよ。よろしかったら、お試しくださいね。つづく。 最高の作物がとれたあの年の12月の土の状態はこれ・・・ みたいな、そんな記録の蓄積が栽培者の技量を向上させます。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 30, 2013
分解によっても変化する土壌検査値。KEC値につづいて、今回は 土のPH値 です。栽培がおこなわれているハウスの土の土壌検査値は もの が分解していく過程でも変化し続けていきます。 その変化を 上の右図の「5連棟あるハウス」のPH値を例にとって説明してみるとすれば、ののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの5.53ののの5.57の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの5.76ののの5.65という前回の数値は、たとえば発酵していない種類の肥料が畝の表面に散布されることによってののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの6.22ののの6.06の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの5.83ののの5.54という具合に、土の上部と下部の数値が逆転することになります。その後、日にちの経過とともに微生物によって発酵していない種類の肥料がすこしづつ分解されて〔アンモニア態チッソから硝酸態チッソに変化〕いくことによってののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの5.70ののの5.92の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの5.89ののの5.93という具合に、土の上部と下部の数値が同じくらいになってきたりもします。というわけで今回は、同じハウスの・同じ棟の・同じような深さの平均値であったとしても、土壌のPH値は ● 温度や栽培管理に伴うかん水の影響 ● 畝のうえに置かれた肥料分の分解 ● 作物の根による〔分解されるとともに旺盛になる〕吸収よって変化する ということを、ご説明してみました。つづく・・・。 土の採取場所と栽培における施肥のやり方と時間とで、こんなにも 違いがでてくる土壌検査値。検査値いじょうに大事になるのは“どこを とったのか”“いつとるのか”“どんなふうにとったのか”などという 土の採取に関する記録になります。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 23, 2013
作物の生長にあわせて変化する土壌検査値。K土の検査 の つづき です。栽培がおこなわれているハウスの土の土壌検査値は、作物を育て収穫していく過程で変化し続けていきます。 その変化を、上の右図の「5連棟あるハウス」のEC値を例にとって説明してみるとすれば、ののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの0.32ののの0.41の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの0.81ののの0.92という前回の数値は、たとえば畝の表面に肥料が散布されることによってののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの1.08ののの1.12の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの0.75ののの0.98という具合に、土の上部と下部の数値が逆転することになります。その後、毎日かん水されるととともに、すこしづつ分解された肥料成分は下部に移動したり・植物の根に吸収されることによってののののののののののののののののののののののの1の棟ののの2の棟の表面から5センチの深さの土の9箇所平均のAののの0.83ののの1.02の10センチから30センチの土の9箇所平均のBののの0.79ののの0.94という具合に、土の上部と下部の数値が同じくらいになってきたりもします。というわけで今回は、同じハウスの・同じ棟の・同じような深さの平均値であったとしても、土壌検査値は ● 栽培管理に伴う施肥の影響によっておおきく変化する ● 栽培管理に伴うかん水の影響によっておおきく変化する ということを、ご説明してみました。ということで〔前回は土壌検査に使用する土の採取の場所を決めておくことが大切だというおはなしでしたが〕、今回は“土壌検査を栽培管理に有効に活かす”ためには、土壌検査に使用する土の採取の時期に“法則性をもたす”ことでデータがより正確になるというおはなしでした〔たとえば土を採る時期を“施肥してそのあと2回かん水した時点で採取する”とかいった具合に〕。 土壌検査をおこなう側から見ればですね・・・測定の数字が変わるこ とで、“かん水量がちょっと少ないみたいだな”とか、“おっ、今回 は早めに肥料を補給されたな”とか、土の検査値の変化をみるだけで そんなことまでわかってくるようになることもあります。 いわゆるプロファイリングですが、土壌分析値から見た推理があたる とやっぱりうれしいです♪ 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 18, 2013
土壌検査値の“バラつき”を認識する。K前回のつづき です。栽培がおこなわれているハウスの土の土壌検査値は、それぞれの土の採取場所と深さによって大きく異なります。 たとえば右の図の、「5連棟あるハウスの1番の棟」です。この棟の9箇所から採取した「表層から5センチの間の土をよく混和した試料」であるAのECの測定値が 0.32 であったとしても、同じようにしてこの棟の9箇所から採取した「5センチから25センチの間の土をよく混和した試料」であるBのECの測定値が0.81となることもある。この棟の9箇所から採取した「表層から5センチの間の土をよく混和した試料」であるAのPHの測定値が 5.76 であったとしても、同じようにしてこの棟の9箇所から採取した「5センチから25センチの間の土をよく混和した試料」であるBのPHの測定値が5.53となることもあのです。わかりやすいように、このハウスの土壌EC平均値を図にすればのののののののの1ののののの2のAののののの0.32ののの0.41のBののののの0.81ののの0.92という具合になります。同じようにこのハウスのPH値を図にすればのののののののの1ののののの2のAののののの5.53ののの5.57のBののののの5.76ののの5.65という具合になるのです。それはそうですよね、検査する土の量は多くても数グラム。それに対して現実の、この18アールあるハウスの土の量は数百トンにものぼるのですから。誤差があるのは至極当然のこと。これが土の検査の現実なのです。というわけで今回は、例え同じハウスであっても土壌検査値は ● 調べる土の採取場所によっておおきく異なる ● 調べる土の深さによっておおきく異なる ● 調べる土の採取場所が多いほど、数値はより正確になる ● 採取場所に関する記録が多いほど、数値はより正確になるということを、ご説明してみました。 こういった“土壌検査にかける記録を数十年にもわたって続けて きた生産者さん”のハウスの土は、やっぱり成績がいい〔質のよ い生産物が同時にたくさんとれる〕んですよね。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 9, 2013
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