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穴森さまにお詣りに。コロナの関係もあったということで、4年ぶりに羽田の穴森神社にお詣りさせていただいたのですが、4年前には計画の段階であったご改修が無事に完了されておられました。ということで自分として改修後の初お詣りとなりました。そんな様子を よろしかったら。。↓2020年の改修工事が始まる前の穴森神社さまの様子は ↓本殿に向かって右手にある小さな4つの祠[ほこら]を順に参拝しつつ、その奥まったところにあるのが「奥の宮」。そしてその「奥の宮」の背後にある築山が「祭山」となります。の図ではこうなります。 というふうな塩梅であったのですが、コロナ明けということで先日2023年の8月に4年ぶりに参拝させていただいたところ、2020年4月19日に完了した改修工事で とくに図でいうところの祭り山あたりが大幅に改築されているということで、今回はそんな改修後の様子をお伝えしたいと思います。本殿にお参りしてから正面右わきの、改修に併せて新調された鳥居をくぐって奥の院へと進みます。 この鳥居をくぐって奥の院へ。すると新築された奥の院が眼前に。 その奥の院にお参りする前に少し下がって空を見上げたら岩塊というか、いや御山というべきか、上部の方向に新らしい祭り山が まさに ドオオオオンというかんじ で、視界に入りましたよ。 祭り山です。改修前は 祭り山の存在がわかりにくいかんじであったのですが、[→ 祭り山にたどりつけなかった話は こちら] こんどは すぐにわかりました。頂上部の上の宮さまも新築でした。 頂上部から見たご本殿のようすはこちら。左の道路があり、その横は さきほど潜り抜けてきた ずらっと連なる鳥居連があり、そして 銅板で葺かれた本殿のお社が続きます。 ↓ そしてどうなったのかと気になっていた穴森さまの夏場のシンボルであるバケツ稲というかプランター稲というかの イネ栽培なのですが、社務所からみた正面の一角に 小さいながらもきれいな水田がそこに存在して ほっ♬ 。 これでこそ穴森さま、さすがの穴森さまでございました。 さてさて、宮崎行きの飛行機のフライト時間まで2時間。またお参りさせていただきますと、ご本殿に向かってご挨拶して羽田空港へと向かいました。 改修前の時期のバケツ稲の様子は こちら、そし て こちら となります。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Aug 23, 2023
これからのバケツ稲管理で重要なのは。前回[こちら]のつづきです。次回の話の都合でひきつづき2014年前後の写真を使用しております。ご了承くださいませ。↓初夏から秋にかけての、穴森さまお参り時の楽しみのひとつになっているのが、境内におかれているバケツ稲です。そんなバケツ稲の、こちらが7月末の様子。 そして、こちらが 9月はじめの様子となります。 穂が出揃って モミの充実がすすんでくる、イネの生育ステージでいえば登熟期という時期にはいったところです。本年は気温が高温でしたこともあり、平年よりも4~5日ほど生育が進んでいるような気がします。のののののののののののの ちなみにかけられているのは、スズメ除けの網。スズメをはじめとして、鳥獣には 一度味を占めたらどう対策してもずっと同じ水田にやってくるといった性質があるようにおもえますので、“早めの網掛け”はイネを上手に栽培するうえでの大切なポイントのひとつとなります。それにつけても 実りの秋。日増しに垂れ来る稲穂というのは、高くなった空によく似合いますよねー。 穂がではじめたころの軟らかい未成熟のイネのモミ。 スズメたちは、その青いモミのなかにある“甘い汁”が、 大好きなんです。甘い汁を吸うという言葉は、 ここ からでてきた?のかもなという話を、このスズメたち をみるたびにおもいます。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Aug 21, 2023
庭先でのイネづくりを楽しむ。 はなしの都合で文中の写真はコロナ前のものを使用しました。新しい本年8月分の写真は次回に掲載となります。↓夏場に高温多湿になる日本。東南アジアが原産である「米」という植物にとっては、最適の栽培条件が整います。つくりやすいんです。6月に種をまいたとすると・・8月から9月にかけてはだいたい↓ こんな感じに育ちますよ。ほら、きれいでしょう。 プランターというかバケツというか、これくらいの大きさの容器でも、それでも充分に育つのですから頼もしい。植えたイネの生育にあわせて 種もみ選び → 種まき → 田植え → 雑草と害虫防除 → 中干し → 稲刈り → 脱穀 → 籾すり → 精米という具合に、まるで農家さんのように『栽培』を体感できるのも魅力的なことです。場合によっては、収穫したおコメを、さらに餅などに加工もできますし〔いわゆるミニミニ版六次産業化も可能/笑〕。ほんとにあきない植物なんです。またイネという植物は、体作りと実作りの時期が、はっきりとしているので 分けつ期 → 出穂 → 開花 → 受粉 → 実の充実 といった植物全体に共通する仕組みである、身体づくりの栄養成長期と、そのあとの実づくりの時期である生殖成長期を理解するための良い教材となることも大いなるメリットですね。・・・そして上記の写真ですが、じつはこちらは、東京の羽田のとある場所で毎年植えられているイネなんですよ。その場所とはそう、羽田の 穴森稲荷さまです。夏から秋にかけてのお参りときに、このイネの生育をみるのが、夏の楽しみのひとつになってます。ということで今回はイネのバケツ栽培についてのおはなしでした。つづく・・。 夏場の観葉植物としても じつにきれい。とくに出穂前 のライムグリーンになったときの稲色はとっても爽やか!「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Aug 18, 2023
イネの守護神。イネとイネつくりに関係した神さま、それがお稲荷さまです。 稲成りに、稲生り(いねなり)で、稲が成育すること、 また 稲つくりを担(にな)うこと、すなわち 稲荷 。そうした理由から、古来より人々は伏見稲荷に参詣し、稲荷山の土を持ちかえります。稲荷山の土を戴いて、それを自分の田畑に撒けば五穀がよく稔り、害虫がつかないという素朴な信仰のかたちです。西日本の代表的なお稲荷さまである伏見神社さまなどの歴史においては 前つがたは諸国の農民山州伏見稲荷山の土を求田毎に入れば 保食神の加護にてよく実のるとて皆人ごとに土をもとむ。といった表現にて、大阪の随筆家であった田宮仲宣・文永壬午年〔1822〕刊の随筆集に書き留められてもいるようです。のちのちこのような土俗的ともいえる風習が、現在の各地神社でも見受けられる「清め砂」や「御神砂」となっていったのかもしれませんね。そのような日本民俗信仰における稲作の神、お稲荷さま。仕事がら自分は、個人的に羽田の穴守稲荷神社にお参りさせていただいておりますが[以前掲載した不思議な砂の話 の回でご紹介した「御神砂」は、じつはこの穴守神社さまからいただいたもの。そんな穴守さまの紋どころには、はっきりとイネの姿が描かれております。ののののの そして、稲荷神社といったらキツネのお話です。狐が稲荷神そのものであると誤解されている方もいるかもしれません。たしかにどこの稲荷社の境内にもおキツネさまばかり/笑。しかしキツネはあくまでお使い〔中世以前にはキツネの姿はみられなかったといいますよ〕。穴守神社のご祭神は、紀記などで食物の祖神・農耕の神とされる保食神、豊受姫命/とようけひめのみこと。 女性神であらせられます。ということで今回は、 イネとイネつくりに関係した神さまであるお稲荷さまのおはなしでした。つづく。 キツネといえば、前述の稲荷山の土に関して書き留められて いる田宮仲宣の別の随筆集にのっているキツネ憑きについて の話もありまして・・・「以前ある人の子にキツネが憑いた。 この狐、たいしたもので諸氏百家を暗記しており誰もこの憑 いた狐との問答に勝てなかった。しかしとある人がある質問 をしたら、あっさりと観念して離れたのだそうです。さあ、 ここで問題ですが、諸氏百家を暗記していたというその博学 な狐がわからなかった質問 です。キツネに憑かれた子を救 う役目となったとしたら、あなたならなんと問われますでし ょうか? で、その随筆に記録されているキツネに問うたその問題とい うのが・・・・論語の中で「子曰く」とは何回出てくるかと 問うと狐は観念してあっさり離れた。と、いうことでござい います笑。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Aug 16, 2023
生き物にもやさしい『溝切り』。タズリさま[こちら]にて草をとられ、土中のメタンガスや硫化ガスをだされた田は大きく育ってきます。 そして充分に育ったところで「中干し 」でイネに気合を入れる・・・そんな田んぼの中干しに付随に関する作業で「溝切り」といわれる技術があります。 これは 田の中に 5~10m間隔に深さ約10~15センチ・幅約20センチの溝を掘ること 、なんですよ。ののののの タズリさまと同じで、いまはエンジン付きがありとても楽。そうですね、今年もやってみたのですが、田の中の周囲+田の中に3本の溝を掘って、10アール当たりでだいたい30分というところ。なあにやってみれば 早いものです。 機械は こんなかんじ です。 最近は トンネルを掘る ようなものもあるんです。そんな溝を、田の中に掘ることで、なにが変わるのだろう・・・なんておもいますでしょう?けれど、これがもうまったく・たいしたものなんです。中干しで水を抜きたいときには、この溝を使ってササッと排水できますし、逆に田が乾いて水を入れたいときは、この溝を伝ってスムーズに水ーがはいる。 それはもう感激もの。すばらしい技術なんです。そしてこの技術には、もうひとつ、とても感心するところがあるんです。なんだとおもわれます?それは、田の水が干されるときに威力を発揮するのですが・・・水の出し入れのために掘ったその溝が、メダカやオタマジャクシなどなどのののののののの田に生きる水棲生物のための〔用水路への〕避難路になるという役目も果たすことなんです。これなんかほんと、『昔から伝えられた在来農法[有機農法とは別の]は、生き物に対するやさしさを持っている』と、かんじる瞬間ですね。つくづく。 『水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業 である』という、 みずみはんさく 。 いろんな田んぼ を見て、まわればまわるほど、うなづけること多々あり。 なんですよね。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜」のの
May 20, 2023
イネつくりといえば みすみはんさく。田植えから約60日が経過するころ、この時期は、身体づくりにおわれていたイネの生長が、実をつくる生長に切り替えられていく時期なんですよ。田植してひと月後の話しは こちら。〔4月1日前後に田植したイネでは〕そんな季節のはじまりです。そしてイネの生育の転換期を助けるのが、田んぼの水管理です。この時期に、“ためっぱなし”であった田の水も、抜いてしっかり干すんです。これを 「中干し」といいます。このような管理をするのには、もちろん理由があります。 ■ 土中の有機物の分解に伴い発生する硫化水素やメタンガス を抜く ■ 遅れて発生しようとする、イネの生長〔分けつ〕をおさえる ■ イネミズゾウムシ・シャンボタニシなどの水棲害虫の駆除 ■ 田の表面を硬くしていくことで、来るべきイネ刈りをやりやすくなるといったところ。そうそう、田んぼが見られる環境にお住まいで、田を見る機会がある・・・といわれる方は、就農希望者でなくとも、ぜひぜひ田の水の有無を観察されてください。面白いものですよ。あ、そして タイトルの “みすみはんさく” さんです。 三角半作さん? 水見範作さん?じつはこの方、日本のイネつくりコンクールで、長年にわたって優勝してこられた方なんです・・・なんていったら信用していただけるかもしれませんが〔無理か/笑〕、ほんとはイネつくりに関する格言です。正確には 「水見半作」となります。これは 水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業であるという意味なんですね。。頼りになるんですよね、みずみはんさく/笑。土の栄養状態や病害虫のことばかり、あるいは大型機械での大規模農業が注目されがちなイネつくりですが、じつは イネつくりには、田んぼという生育環境をコントロールするための〔ある意味ローテクともいえる〕水管理技術も必要不可欠です・・・ということですね。 中干しの時期の。田のライムグリーン色のなかにたたずむのは、 凄く気持ちがいいんです。そう、これすなわち アマガエル気分 ↓/笑。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜」のの
May 17, 2023
田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問は。G[さむい朝や寒風の吹く日を除き]暖かい日は水田の水を日中浅水にして水温上昇に努めイネの生育をすすめていく、といった管理をする早期水稲なのですが・・・本年は例年ならあがってくるはずの最低気温が、ときには9度から11度という低い気温で推移している南九州の沿岸部地方。 4月中旬からは日中に強風が吹く日も多く、一と月まえに田植えが終わった水田でのイネの生育には活着の良かった田と悪かった田との生育差が甚だしく、生育に関してバラつきがでているように見受けられます。。さてそこでこれからの生育管理ですが、とくに苗の生育が悪い水田では こちらを参考にしていただくとして、生育が順調であれば、状況やケースに合わせてつぎのような管理をお願いいたします。 ↓『田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問は。』そんな生育に関する質問ですが、たとえば・・・ ● 葉に条〔すじ〕状の食害ができる ● 株ごとなくなる ● あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる ● 分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない ● 下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのかといったところが代表的な質問の内容となります。あなたのイネの生育で、あてはまる点はありませんか?さて、その質問の答えですが、 ■ 葉に条状の食害ができるのはイネミズゾウムシの被害 ■ 株ごとなくなるのは、ジャンボタニシによる食害と考えて良いかと思いますので、薬剤散布などの対策をほどこせばよいということになります。そして のこりの質問である ● あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる ● 分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない ● 下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのかですが、これらは、まずまちがいなく土中の酸素不足が原因の生育不良です〔とくに田植直前になって 生の有機物をいれた田んぼや、前作の葉もの野菜や牧草を鋤きこんだ田でおこりやすい〕。田にはいって、歩いてみるとわかりますよ。そんな田に入って歩くとでてくるものは、泡・泡・泡 ・・・・そう、土中の有機物が微生物によって分解される過程ででてくる メタンや硫化水素など の気体が、湧き出ているのです。つまり水面下の土の中では → 田の土の中の生の有機物が分解し、ガスが発生している → 土中のチッソが有機物の分解に使われているという状況に陥っている。この状態では、イネの根が酸素を吸えませんし、生育に必要なチッソ分も土中で不足する。結果として、根の生育がうまくいかないために、その影響がイネ全体の生育に及んでいると考えられるわけです。したがってこんな場合の対策は、 → 田の表面を空気に触れさす → 土中のガスを逃がすことが有効となります。その方法ですが、 ■ 田の水を抜いて、田の表面を出す ■ 除草を兼ねてタズリさまを使用するといった対策が効果的となります。イネの生育がどうも思わしくないと、思われている方は、ぜひ、お試し下さい。そうそう、そして タズリさま。土中に空気も入れ、そのうえ除草もできる現代版のタズリさまは たとえば こちら です。 ガスを抜くことが功を奏して、イネの生育が回復したとき。そのと きに思う・・・「農家は田にはいってたんぼ、いや、なんぼ/笑」。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」のの
Apr 30, 2023
タコを食べてイネの豊作を願った日。クレマチスの根がタコのように張った[こちら]…・という話関連で、すこしばかりフライング気味ではありますが、よろしかったら。↓『夏至からはじまり半夏生〔はんげしょう〕までに田植えを終える』という、昔ながらの農作業の目安があります。夏至は6月21日、そして半夏生は7月2日ですから・・・いまの暦で わかりやすくすれば 6月21日から田植えを始めて、7月2日までに田植えを終える ということになります。そしてそんな田植え作業が終わり、農家の方がホッとする 半夏生の日にタコを食べて豊作を願うという風習が、西日本の農家にはありました。 なぜにタコなのかということなのですが、これは一説には 8本あるタコの足のように、イネの根がたくさん出てほしいという、農家の願いを表したものといわれていますよ。同時にこの風習は、田植えという農作業の作業で疲れた身体を、この時期にちょうど旬となる地物のタコを食べていたわろうとした農民の知恵でもあったようですよ。 “半夏生から5日間は農作業を休みとした”なんて話も地方によってはあるようですし。 そんな話を聞くと・・・昔の農作業の行事や風習って、なかなか合理的でもあったんだなって、思います。 と、いうことで今回は 普通作の田植えも一段落たところで、 いまは機械があるので楽になったけれど、昔の田植えは大変な重労 働だったのだろうなと昔の方のご苦労を思いつつ旬なタコを堪能ながらのおはなしでした。 刺身・酢ダコ・天ぷら・タコ飯などなどで、獲れたての 地ダコを、農作業が一段落したあとの充実感とともに堪 能する・・・農家であることの醍醐味ですよね、これっ てじつに。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Apr 26, 2023
田植え後に氷!それでも耐える苗をつくる。 前回は 早期水稲の田植えの時期を見極めるのに生物や植物を使うというおはなし[こちら]でしたが、今回はそれに加えて 寒さに耐える丈夫な苗をつくろうよというおはなしになります。↓3月中旬からはじまった宮崎県沿岸部でのコシヒカリの田植え。植え付けられたばかりの苗は、植えられているかどうかよく見ないとわからないくらいに小さいもの・・・そんな苗の状態が、最低気温12度以上になって 苗が順調に生育してくるまでの間は続きます。その植え付けらればかりの田の苗を襲うのが、そう寒さと強風です。たとえば数年前の寒波の例では、3月29日01度 ・ 30日マイナス1度 ・ 31日02度といったような寒さがありました。こうなるとかなりの確率で田に氷が張るのです。特に寒い年の例でいけば “田植えしてから3回にわたって氷が張った”という農家さんもおられたほどですから、その寒さの厳しさがわかります。さすがにこのような氷が張る寒さがくるなると、果たして植えられたイネは大丈夫なのかとおもってしまうのが人情です。しかし最近では それでも寒さによる枯死 がすくないんです。なんといってもイネはもともと熱帯産の植物なのですから、これってほんとに不思議でしょう?そのような寒害に強いイネ苗の秘密。それは前回の田植後の水管理の大切さにもありますが、それに加えて 最近の苗作りの方法にも理由があります。その寒さに耐えるように作る苗作りの技術。これは ● よい種を使う ● 苗箱に蒔く種の量を多くしすぎない ● よい土を使う ● 適切な育苗期間を守る ● 育苗中には リンサンと苦土を効かす ● 田植え前に 液肥のべんとう肥を施すといった基本技術の励行によります。基本技術を徹底することで、寒さに強い苗ができる。これを農家さんに説明する言い方でいえばですね・・東北の普通作によって栽培されたコシヒカリの種を宮崎にもってきて、卵が飛び出すほどの塩水選をかけて種子を選抜。その種をPHとECをきちんと調整した土に薄まきして播種後30日くらいまでの老化させない期間に、田植えに最適の大きさの苗に育てて、そのうえで田植えする・・・ということになる。といったわけで今回は、早期水稲における成功はまずは寒さに耐える苗を作ることにある〔農家さんの栽培にかける情熱のはなしでもありますよね〕というおはなしでした。 気温が12度超えると会話もできないくらいの大音量で鳴く 冬眠から目覚めたばかりの田んぼのカエルたち。しかしこれ が最低夜温が10度を下回るとおもしろいくらいに 一斉に シーンとなるのですから、これもまた見ものなんですよ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Mar 16, 2023
田植えは「虫のしらせ」で。3月中旬には流れ始めたトップをきった田植えのニュース。 しかしその後の寒の戻りで、3月15日現在の田植はストップがかかったかんじの宮崎県中央海岸部です。さて、そんななかのいつから田植えにかかろうか・・・という問い合わせですが・・・・予報を見てと最低気温が12度になってくる時期になってくる時期の田植えが無難であろうと考えます。保温用の水が豊富にあるとか風が当たらないといった 条件の良い水田での田植え以外はもうすこし待ったほうがよさそうだと思います。ということで定番の回ですが、よろしかったら。ちなみにうちの廻りでは くだんのキリギリスくんたちは17日現在いまだ未確認です。 ↓の『収穫時のおコメの値段を考えれば早く田植をしたほうがよいのだが、 田植えの時期が早過ぎると霜害を受ける可能性があり、そうなれば 肝心のおコメの収穫時期や収穫量に影響を受けることにもなりかね ない・・・。はてさて、毎年毎年大きく変動する気象のなかで、田 植えの時期を判断するのは、なかなかにむづかしいことであるな』というところまでが、田植え時期のおはなしでした。そして今回は、そのような田植えの時期を決定する判断材料についてのおはなしとなります。そして そのはなしの結論ですが・・・ その判断材料のひとつとして昆虫の存在を利用するという手があります。というのも、昆虫は気温の上昇とともに生命活動を開始するという性質があるからです。たとえば日本に住む昆虫は〔もちろん種類によって差はありますが〕おおむね 5度から10度でうごきだす〔姿をみせる〕という性質がある。そんな虫たちの存在を田植えの時期の判断に活用すればよい・・つまり、水田のまわりに、ある種の昆虫が姿をみせてくれたら、それを田植えを開始しても良い時期だと判断するというわけです。より具体的にいうならば、わたくしの判定材料に使う昆虫は、モンシロチョウとキリギリスであり、たとえば ● 田畑にモンシロチョウが舞い始めている ● 予想より早く、孵化したてのキリギリスが田のまわりの草にいたとなると、田植えを急いでも霜害の心配はない・・・というふうに気象を予想して、田植えを開始するするわけです。はんたいに、暖かいように感じられたとしても ● 越冬していたモンシロチョウの、舞う姿が見受けられない ● 田のまわりの草に、孵化したてのキリギリスの姿がないということであれば、田植えの時期を先延ばしにします。いじょう私論ではありますが、経営的に重要な意味を持つ早期水稲の田植の時期を決定するには「虫のしらせ」を利用していますよというおはなしでした。 付け加えまして・・・キリギリスの餌となるカラスノエンドウが 目立ち繁茂しはじめてから、キリギリスが孵化してまいります。 ということで、このカラスノエンドウも、よき判断材料だといえ そうです[そうそうタケノコの育ちで判断される農家さんもおら れるようで]。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Mar 15, 2023
早期水稲の肥料設計の考え方。イネの植えられる田んぼでは、その田とその田に植えられるイネにあわせて、与える肥料の量がきめられます。 そうなんです、肥料を与えるだけ与えたとしたら、たとえば生育が栄養生長にはしりすぎてしまうことで早めに倒伏してしまい収穫が皆無になる場合や、イモチ病などの病害が多発したりすることになってしまいがちになりますから。また環境の面からいっても、イネの必要とする以上の成分を与えてしまえば、あまった肥料分は排水に乗って、あるいは地下水に溶けて河川や海に流れ込み、いずれヒトや生物たちへの悪影響 をおよぼすことになってしまいますから、注意しなければなりません。ということで、まずは与えすぎに注意しなければなりません。そこでイネが無駄なく吸える肥料の量をみきわめて、田植え前の水田に必要最小限の施肥していくわけですが・・・この作業を「田んぼの設計をたてる」といいます。具体的には、田んぼの土の性質やイネの品種、毎年の生育状況・栽培環境にあわせて肥料の種類や量をきめていきます。イネしか作らない田と、たとえば前作で野菜をつくったり、あるいは飼料作をつくっていた田んぼ、あるいは家畜農家で毎年家畜ふんが多量にはいる田では与えられる肥料の量や種類はちがいますし、また耕土の浅い深いといった差でも、田の水のあったかいところと冷たいところでも肥料の効き方はちがってきますからね。具体的には、水田のある場所の栽培環境に、土の性質、これに例年のイネの生育状況など ● 日照不足・冷水かんがい・整備田・秋落ち田・谷間● 酸性土壌・砂質土・腐食が少ない・漏水しやすい ● 活着不良・分けつ遅延・軟弱徒長・熟期遅延・倒伏といった項目をチェックし、それぞれの田への適当な施肥量を、いくつかある施肥設計のひな型のなかから検討していきます。ちなみに当店の基本的な設計例は、 側条施肥機使用の場合の3タイプと側条施肥機を使用しない場合の つぎの6つの型となっております。と、このようなかんじです。 よろしかったら、ご参考に。 →肥料など高騰対策の政府&県の補助金の話は こちら。 昼間は暖かい感じですが、まだまだ最低気温が10度に とどくことが少ない宮崎県海岸部。本年の田植えの最盛 期は やはり例年どおりの 3月25日から4月05日 くらいってかんじみたいですね。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」kk
Mar 10, 2023
活着の良い苗をつくる[水稲の苗編]。一般的な田植えの最盛期は沿岸部で例年並みの3月下旬になるとおもいますが、そんな早期水稲の苗管理の参考として毎年2月下旬に開催している早期水稲の栽培要旨となります。ご参考までに。 ↓さて、本日の勉強会は 水稲育苗のはなしが中心であったのですが、なかでも田植え後のスタートダッシュでつまづかないように「活着のよい苗をつくる」という点を中心に 話をしますと・・・そのような苗をつくるポイントとして大事なことが3つあります。1. 苗を徒長させない 2. 苗に肥料切れをおこさない 3. 苗の根の張りを良くするといったことが挙げられます。そこでそれぞれの注意点についての説明にかかりますと・・・1番の徒長に関しては ■ 播種量を多くしない ■ 発芽が1cmになるまでに、シルバーをはがす ■ 播種量を多くしすぎない ■ 徒長気味の場合はアクセル2号の300倍を散布するという点が大事になります。そのうえで、水のやり方と温度の温度管理を的確にすることで苗の徒長を防ぎましょう。具体的には緑化以後の昼間には、ハウスの肩をあけて通期を良くすることが大切になります。2番の肥料切れに関しては、本場が黄色くなる前の予防的な有機液肥3号の追肥施用をおすすめします。3番の苗の根の張りを良くするには、 ■ シルバーを剥がした際には、かん水を1日だけ我慢する ■ 「マグホス細粒」の箱当たり30-40gの追肥などをが効果的です。もちろん苗床の土にすでにマグホスをいれられている方も多いとは思いますが、そのような場合はアクセル2号のかん水施用もおすすめです。以上の3点の改善点を守られて、本年もがっしりとしたじょうぶな苗ができることを期待いたしております。 早期米の田植えは3月中。田植え後に ときには田に 氷が張ることもあるという無茶な/笑 コメづくりの 作型についての おはなしは こちら 。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Mar 6, 2023
早期水稲・種子の浸種について。2月の第1週から配布開始しております水稲種子について、浸種の留意点となります。 ↓書いてありますように、ここのところの収穫時前後の高温の影響で 種子の休眠が深い傾向が見受けられるということですから、 例年よりも長めの浸種時間をとること、 それが出芽を揃えるポイントとなりそうですね。 良いこととされる省力ですが、こと農作業に関して の省力は、えてして省略栽培となりがち な もの。 省略することなく、基本事項をしっかりと踏まえる ことが、良品多収の早道です。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」のの
Feb 6, 2023
早期コシヒカリ、管理のお知らせ。あと20日もすれば、いよいよ出穂・・・ということで早期栽培コシヒカリの管理のお知らせです。 コロナ蔓延防止対策ということで、本年の現地検討会も中止ということになりましたので、各地の生育状況は ハガキ&ネット掲載ということにいたしました ↓ 。 本年の傾向としては ■ 3月下旬に田植えされたイネに生育遅れ ■ 一枚の田んぼの中でも 幼穂形成にバラツキがあるという傾向にあるようですよ。 よろしかったらご参考に。。 昨年一昨年と、九州各地で大発生する傾向にあるトビイロ ウンカの被害。発生が顕著であった場所では早めの対策が 効果的です。 南風にのってくる彼らについての過去分は こちら。となります。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」れ
Jun 7, 2022
早期水稲は 中干しの時期にはいります。本年は目立った遅霜の被害もなく、例年よりもおとなしめの生育をしているかんじのイネの生育でした。が、連休すぎからの雨天曇天が続いている影響で、葉が伸び気味となって垂れ込んできた田んぼが多くなってきているかんじがします。 と、いうことで恒例の中干し。 天気が晴れぬままに梅雨にはいることも予想されますので、とくに地力のある水田などでは 早めに実施されるとよいでしょう。以下は その中干しについての定番の溝切りの回の再掲載です。ご参考に。↓『イネつくりといえば みすみはんさく。』田植えから約60日が経過するころ、この時期は、身体づくりにおわれていたイネの生長が、実をつくる生長に切り替えられていく時期なんですよ。田植してひと月後の話しは こちら。 〔4月1日前後に田植したイネでは〕そんな季節のはじまりです。そしてイネの生育の転換期を助けるのが、田んぼの水管理です。この時期に、“ためっぱなし”であった田の水も、抜いてしっかり干すんです。これを 「中干し」といいます。このような管理をするのには、もちろん理由があります。 ■ 土中の有機物の分解に伴い発生する硫化水素やメタンガス を抜く ■ 遅れて発生しようとする、イネの生長〔分けつ〕をおさえる ■ イネミズゾウムシ・シャンボタニシなどの水棲害虫の駆除 ■ 田の表面を硬くしていくことで、来るべきイネ刈りをやりやすくなるといったところ。 そうそう、田んぼが見られる環境にお住まいで、田を見る機会がある・・・といわれる方は、就農希望者でなくとも、ぜひぜひ田の水の有無を観察されてください。面白いものですよ。あ、そして タイトルの “みすみはんさく” さんです。 三角半作さん? 水見範作さん?じつはこの方、日本のイネつくりコンクールで、長年にわたって優勝してこられた方なんです・・・なんていったら信用していただけるかもしれませんが〔無理か/笑〕、ほんとはイネつくりに関する格言です。正確には 「水見半作」となります。これは 水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業である という意味なんですね。。頼りになるんですよね、みずみはんさく/笑。土の栄養状態や病害虫のことばかり、あるいは大型機械での大規模農業が注目されがちなイネつくりですが、じつは イネつくりには、田んぼという生育環境をコントロールするための〔ある意味ローテクともいえる〕水管理技術も必要不可欠です・・・ということですね。 中干しの時期の。田のライムグリーン色のなかにたたずむのは、 凄く気持ちがいいんです。そう、これすなわち アマガエル気分 ↓/笑。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜」
May 16, 2022
作物の葉を丈夫にして根を張らすには。3月末からはじまる田植えをひかえた宮崎県海岸部地方。この時期に よく質問を受けるのが、 苗箱のイネの根をもっと丈夫に張らしたいというご質問です。そんなときにおすすめしているのが マグホス細粒の追肥。こんなかんじでミスト機で散布してもらっています。 ← 回転をさげ・上向きということで、今回は、そんな リンサン×苦土 の効果の説明となります。 ↓『作物の葉を丈夫にして根を張らすには。』お日さまの光の恵みを受け止め 光合成を盛んにしてエネルギーを作り出すためには、しっかりとした葉が必要になります。そのために 現場でおすすめしているのがMg/マグネシウムの補給です。その理由が この図。 葉緑素 → この図が葉緑素の構造なのですが、中心にしっかりと Mg/苦土があることからもわかりますよね。ということで 作物の状態が ● 葉が薄い ● 葉がうすいがゆえに、葉色が淡い ● 窒素を追肥しても、葉が薄く広がって垂れてしまう ● 日照不足で軟弱に育っているというときには、苦土[マグネシウム]と、苦土分の働きを助けるリンサン分の補給を おすすめしています。ちなみに日照不足時だけではなく、たとえばピーマンなどの果実の緑色がでないときや、お茶の葉の色が淡くてこまっているとき、それがために地下部も弱ってしまっているときなどには施用効果大ですよ。具体的には、おすすめしているのは マグホスや マグショットという商品になりますが、心当たりのせつには、ぜひいちどお試しを。 ちなみに、ヘモグロビンです。動物の血液中にあり 酸素を運ぶ大切な要素でありますが、その構造式は 葉緑素の中心部にある Mg/苦土を Fe/鉄に おきかえたならば瓜二つ! っていうのもおもしろすぎ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 8, 2022
活着の良い苗をつくる[早期水稲の苗編]。一般的な田植えの最盛期は沿岸部で例年並みの3月下旬になるとおもいますが、そんな早期水稲の苗管理の参考として毎年2月下旬に開催している早期水稲の栽培研修会 の研修要旨となります。ご参考までに[コロナ下ということでここ2年の集会は中止してます]。 ↓さて、本日の勉強会は 水稲育苗のはなしが中心であったのですが、なかでも田植え後のスタートダッシュでつまづかないように「活着のよい苗をつくる」という点を中心に 話をしますと・・・ そのような苗をつくるポイントとして大事なことが3つあります。 1. 苗を徒長させない 2. 苗に肥料切れをおこさない 3. 苗の根の張りを良くする といったことが挙げられます。そこでそれぞれの注意点について の説明にかかりますと・・・1番の徒長に関しては ■ 播種量を多くしない ■ 発芽が1cmになるまでに、シルバーをはがす ■ 播種量を多くしすぎない ■ 徒長気味の場合はアクセル2号の300倍を散布する という点が大事になります。そのうえで、水のやり方と温度の温 度管理を的確にすることで苗の徒長を防ぎましょう。具体的には緑化以後の昼間には、ハウスの肩をあけて通期を良くすることが大切になります。 2番の肥料切れに関しては、本場が黄色くなる前の予防的な有機 液肥3号の追肥施用をおすすめします。 3番の苗の根の張りを良くするには、 ■ シルバーを剥がした際には、かん水を1日だけ我慢する ■ 「マグホス細粒」の箱当たり30-40gの追肥などをが効果的です。もちろん苗床の土にすでにマグホスをいれ られている方も多いとは思いますが、そのような場合はアクセル2号のかん水施用もおすすめです。 以上の3点の改善点を守られて、本年もがっしりとしたじょうぶ な苗ができることを期待いたしております。 早期米の田植えは3月中。田植え後に ときには田に 氷が張ることもあるという無茶な/笑 コメづくりの 作型についての おはなしは こちら 。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 3, 2022
機内で見たお狐さまの正体は。穴守様にお参りした帰りの飛行機のなかで見た、座席の下にいたまるで おきつねさまのような “”もの“” 。目の正体はすぐにわかった。 それが こちら↓。 2列目の[座席につくなり眠ってしまった]私の前の席。 乗り込んでこられたの最後であったのであろうことで気がつかなかったのだが・・最前列には盲導犬を連れた身障者の方がおられたのだ。通常は飼い主の足元に伏せているはずの盲導犬ですが、飛行機の揺れに驚いたとみえて、結果 座席の下に手と頭をいれていたのであったのでしょう。 そうおもって映像みると、踏ん張って相当にちからはいってますものねー[こちら]、きっと怖かったんだと思います。で、着陸した飛行機。揺れが収まって落ち着きを取り戻したふうの、ゴールデンリトリバーの盲導犬は、飼い主にすこしだけ段差があることを知らせるために立ち止まりつつ、その後ゆっくりと飛行機をおりていった。ヒトに奉仕するその姿は、とても神々しく見えた。そう、まるで稲荷社の豊受姫命のお使いである狛狐さまのように。 事実は小説よりも奇なり・・・とはよくいっもので お狐さまから叱られるのかとおもってしまいました笑。 叱られても当然だと思った前々回は こちら。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Feb 16, 2022
機内で見たのは・・・お狐さま!?穴守さまにお詣りに行った折、日本の歴史と文化を知らない外国の方が神社にいて、神さまに失礼な行為をしそうになっている場面に遭遇したのに、ちゃんと注意できなかったことを悔いつつ[前回はこちら]空港に向かい飛行機にのったのですが・・・その機内でおこったのはというお話になります。 ↓羽田空港内にある・・・と、いってもよいほどの立地にある穴守神社さまにお参りしたその足で、帰路につくべく空港へ。10数分後には到着。そのままチェックイン・ゲートをくぐった。発着口にたどり着くと、待つほどもなく機内へ。すこしづつ迫ってくる夕闇のなか、これから1時間とすこしばかりのフライトである。指定されている前から2列つ目、通路の左側の席。となりは空席。座席ベルトを締め席が埋まっていく機内を眺めつつ、しばし目を閉じた。飛行機の乗降口がとじられ、滑走路までゆっくりと動き始めたであろう飛行機の気配を感じつつ、そのまま眠りについた。・・・どれくらい眠っていたのであろうか、ガクンとすこしだけ機体が揺れたのを感じて目を開けた。そのときである・・・一瞬ではあるのだが見たのだ、なにか 白い“もの”が、前の座席の下にいたのを。「まさか。飛行機のなかなんだから。」声にならないほどの声でつぶやき、夢だと思い、ふたたび目をつぶった。先ほど穴守神社さまに参拝して、いやというほどに狛狐をみてきたところ。おキツネさまの夢をみたって不思議ではない。と、そう思った。そのとき、間を置かず、もう2度3度と、大きく機体が揺れた。「気流の関係で少し揺れておりますが、飛行機の航行にはなんら影響ございません」というアナウンスが機内に流れ、そのあと たしかに揺れはおさまった。ゆれが収まると同時に、先ほどの“夢”を思い出した。昼間にうごきまわって疲れたてあろうおやすみになっている乗客たちの様子を眺めつつ、かがんで前の座席の下を見た・・・・そこにあったのは こんな感じの “もの”。目をそらして、驚きの大声をだしたいところを、必死でこらえて、もういちど足元を見た。 なくなってる。というか、いなくなってる。ま・まぼろしというか、幻覚だったのかな、と思いつつ、混乱する頭の中を整理していると、そこにふたたび ぬっと伸びる “もの”。 宮川大輔の御祭り男ふうにいえば “あかーん”という情景がそこに。やっぱりこれは神罰なのか・・と覚悟を決め、となりの空席に身を委ねるかんじで横になって飛行機の座席の下を見る。その座席の下の暗闇のなかには・・・光る2つの目があった。その意外すぎる正体は次回へ。 つづく。 後ろめたいことがあっただけに、これは驚愕しました。 そう、家を揺する妖怪のような“家鳴り”の現象のつぎに 驚いてしまいました。ということで家鳴りは こちら。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Feb 14, 2022
“知らないって怖すぎ” な 情景。あなたが神社にお詣りに行った折、日本の歴史と文化を知らない外国の方が神社にいて、神さまに失礼な行為をしそうになっている場面に遭遇したら、そしてその神さまには謂れ[前回はこちら]などがあったとしたら・・・という そんなおはなしです。↓羽田の穴守稲荷さまの本殿に向かって右手にある小さな4つの祠[ほこら]を順に参拝しつつ、その奥まったところにあるのが「奥の宮」。そしてその「奥の宮」の背後にある築山が「祭山」となります。図で記すのと こんな具合です。 → この図をみると明白ではあるのですが、実際に「奥の宮」の正面に立って背後をみても「祭山」の存在は一見しても確認できません。そこで「奥の宮」の左手の細い通路を、本殿に沿ってかまわず ずんずん進み、左に曲がります。するとそこで、その場所にいってはじめて目にはいる七折れの階段があり、その階段をのぼった・のぼりきった先が「祭山」となります。「祭山」頂上がこちら。 → のそして 「祭山」から「奥の宮」の屋根越しに本殿方向を見た光景がこちら↓となります。ののの野の野の野の野の野の野の で、タイトルにある “知らないって怖い” なのですが・・・この日穴森さま境内にあふれていたのが数十人にも及ぶ白人の外国人観光客の皆さま。そらそうですよね、なにせ穴森さまは羽田空港近く。ちょっとした空き時間で十二分に日本気分を味わえる。ということで本殿にも、四つの祠にも、そして祭り山にも人だかりができることも多々あり。なんです。 の で、この日も そんな外国人観光客の人々がたくさんおられた。で問題だったのはその団体のうちの一部の人たち。興味津々なかんじで、社務所から目が届かない場所にある 祭り山の神社や本殿脇の小さいお社の稲荷社などの いわゆる『祠/ほこら』に興味津々。 こんなちいさな祠のなかに神様が居るのかみたいな会話をしつつ、数センチあるかないかという超接近した様子で、顔やカメラを近づけて執拗に祠の中を覗き窺ってているのです。さすがに祠に手を触れたり、よもや扉を開けたりしていないとは思います。が、勢い余って なんだか怪しい行動を起こすのではないのかなどと思わせるには十分ほどの熱量をもっての行動をとりはじめてる。そんなお稲荷さまへの接し方には、平均的な日本人である自分としてはびっくり驚かされ、つたない英語で やめとき、敬意を示さないとバチが当たるよ などと、穴森さまのThe curse /祟りのはなしをしたのですが、これがよく理解してもらえるはずもなく。。どうしようかと思案しているあいだに、自分の乗る飛行機の出発時間も迫ってきはじめたので、とりあえず社務所のほうにこの状況をご報告。そして気にかけながらも穴森さまから空港へと移動した次第です。そして私が、羽田をとびたったの飛行機の座席におもったこと。それは あの外国の方々の息災ですよね。なんといっても穴森さまのあの大鳥居のおはなし[こちら]が あるのですから。 で、さらに心配だったのは自分のこと。言葉の通じがたい 外国の方であったとはいえ、その方々の敬意を欠く行為を 止めることができなかった私にも神罰がくだるのではない のだろうか。そんな思いを抱きつつ乗った飛行機の機内、 座った座席の足元で見たのは!・・という話につづく。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Feb 9, 2022
次回分関連資料として、2008年分の再掲載です。 ↓『 the curse / 祟り 』家族連れの釣りや、ジョギングにサイクリングなどのスポーツをされる人たちでにぎあう場所が、多摩川の河口にほど近い場所にある。潮風やお日さまといった明るいイメージで溢れる場所・・・それが、ここ穴森稲荷の 大鳥居さま。 「祟り」という言葉を海外にまで広めたという大鳥居さまですか、これほど「祟り」という言葉と無縁な場所はないのではないかと、個人的には思ってしまうのです。 そんな有名すぎる羽田の大鳥居の謂われを伝えた「THE EAST」誌の英文の記事をとりあげみました。お話は、こうです。 the curse / 祟り The area around Haneda was originally a temple town for the Anamori Inari Shrine. 羽田一帯は、もともと穴守稲荷神社の門前町でもあった。 Before the war, the shrine sat inside today's Haneda Airport.But, with the ending of the war and the eviction of residents in neighboring areas, the shrine too was transferred to it present location. Although there were several proposals over the years to take down the shrine, a series of mysterious accidents fell upon those involved in the construction and the shrine escaped the threats of tear down thanks to those in fear of the "curse." しかし、終戦を迎え、近隣地区の住民たちが強制退去されたのだが、穴守稲荷神社の大鳥居だけは撤去されず、長らく旅客ターミナルビル前面に残されていた。何度か取り壊しや移転案も出たのだが、その度に工事関係者の事故が相次ぎ、祟りを恐れてか撤去出来ずにいたのである。』 というものです。 西暦2000年前後までは、その場所にたっておられましたので、ご存知の方も多いことかと思います。 もう少し詳しく説明しますと・・・ 『日本初の国営民間航空空港「東京飛行場」として昭和6年に開港した羽田 空港は、終戦時に進駐軍によって接収され、穴守神社神社とその門前町 〔穴守町・鈴木町・江戸見町〕の1200世帯・3000人も立ち退きを 余儀なくされた。 しかし、大鳥居は残った。 壊そうとしたら不思議な事故が頻発し、進駐軍の工事の担当者が次々と変 死したためであるという噂とともに。その後進駐軍/米軍からの空港返還 後も、移動や撤去の話は何度も出ましたが、やはりこれまでの話の経緯を 恐れてか、鳥居は残された。』 と、いうことですね。 まあ、しかし よくよく考えと見ますと、日本の神は本来、祟るもの。 将門さまや道真さまはもとより、流行り病や天災などの災厄そのものが神の「curse」であり、それを暴れぬように畏れ鎮めて祀り上げたものが、日本の神社祭祀の始まりであるともいいます。そういう視点から見れば、まさに神社本来の姿が日本の表玄関ともいうべき羽田空港に息づいていたというわけでしょうね、この穴守さまの大鳥居のケースは。 そういったわけで、日本の神さまの成り立ちを考えさせられるにふさわしい穴森稲荷さまの大鳥居をご紹介させていただきました。お近くにお越しの節は、穴森稲荷さまとあわせてご参拝いかがですか。 そうそう、そしてその後の、移転されたお話です。 1998年、新しい滑走路を建設することが羽田空港で決定・・・いよいよ撤去かと思われたのですが、付近の住民をはじめとする有志が移転費用の負担を申し出たために、壊すことなくクレーンで移動することとなったのです。そうして1999年2月。800メートルの距離を4日間かけてゆっくりと移動され、現在の場所に無事に鎮座されました。 稲成りで稲荷さまだけに、お稲荷様と農業には深い関係があるこちら ・・・ということで羽田にいくたぴに参拝させていただいております。 「 夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 7, 2022
イネの守護神。3回シリーズの一回目。次回・次々回もよろしかったら。↓イネとイネつくりに関係した神様、それがお稲荷さまです。 稲成りに、稲生り(いねなり)で、稲が成育すること、 また 稲つくりを担(にな)うこと、すなわち 稲荷 。そうした理由から、古来より人々は伏見稲荷に参詣し、稲荷山の土を持ちかえります。稲荷山の土を戴いて、それを自分の田畑に撒けば五穀がよく稔り、害虫がつかないという素朴な信仰のかたちです。 前つがたは諸国の農民山州伏見稲荷山の土を求田毎に入れば 保食神の加護にてよく実のるとて皆人ごとに土をもとむ。と、大阪の随筆家であった田宮仲宣・文永壬午年〔1822〕刊の随筆集には、この稲荷山の土に関して書き留めてもいるようです。この風習が、のちのち各地神社の現代でも見受けられる「清め砂」や「御神砂」となっていったのかもしれませんね。そのような日本民俗信仰における稲作の神、お稲荷さま。仕事がら自分は、個人的に羽田の穴守稲荷神社にお参りさせていただいております[以前掲載した 不思議な砂の話 の回でご紹介した御神砂は、穴守さまからいただいたもの、境内には時期になるとバケツ稲もつくられていたり/こちら]。そんな穴守さまの紋どころには、はっきりとイネの姿が描かれております。そして、キツネのお話です。狐が稲荷神そのものであると誤解されている方もいるかもしれません。たしかにどこの稲荷社の境内にもおキツネさまばかり/笑。しかしキツネはあくまでお使い〔中世以前にはキツネの姿はみられなかったといいます〕。穴守神社のご祭神は、紀記などで食物の祖神・農耕の神とされる保食神、豊受姫命/とようけひめのみこと。 女性神であらせられます。 文中の随筆家・田宮仲宣さんっておもしろい> 田宮仲宣が別の随筆集に書いた文の話ですが・・・「以前ある人の 子に狐が憑いた。この狐、たいしたもので諸氏百家を暗記しており、 誰もこの憑いた狐との問答に勝てなかった。しかしある人がある質 問をしたら、あっさりと観念して離れたのだそうです。さあ、諸氏 百家を暗記していたという その狐がわからなかった質問 です。 あなたならなんと問われますでしょうか? じつはその質問・・・・ 論語の中で、「子曰く」とは何回出てくるか と問うと、狐は観念して離れた。 と、いうことでございますが・・・これにはわたくし はげしく納得/笑。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Feb 3, 2022
早期水稲、イネ刈りの時期に。中干し管理の時期にご紹介した水田ズが、そろそろイネ刈り時期にはいります。 →6月はじめの中干し管理期の記事はこちら。4月に入って田植えされた、昨日7月26日の午前中に撮影した高鍋地区の標準田のようすは ↓ こちら。 この標準田で刈り取り時期は、約一週間後の8月1日以降となっております。 沖縄付近に停滞気味であった台風の影響で、ここのところ2週間ほどのあいだ日照不足気味であった宮崎県沿岸部ですが、晴天が数日つづけば穂の登熟がいっきに進んで刈り取り適期となりそうです。 3月中に田植えがおこなわれた水田では、前述の 台風の影響による襲ってくるスコール[こちら]の 影響でイネ刈りができない状態がつづいてました。 本日27日は、そのような3月植えの水田では、 まっていたイネ刈り期になっているとはいえ ●刈り取り時に水田内で機械が無理なく動けるか どうかの水田の乾き具合 ●刈り取り直後に必要な種籾の乾燥をおこなうた めの精米所の乾燥機の空き具合 などを勘案しつつの作業が必要となります。 ドローンなどの活用が喧伝されている昨今ですが、 いくら刈り取り適期となっても、こういったアナ ログな部分の調整が必要となるわけですから机上 で考えるほど農業は甘くないと、そう思えること 現場では多々ありあり。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jul 27, 2021
ウンカ。例年より早く飛来す。6月の野上農相の記者会見において「これからウンカ類の増殖に好適な高温小雨の気候条件となれば、昨年同様に発生の拡大が懸念される」と発表されました。農水省によれば6月中旬までにすでに9府県で飛来が確認され、そのうちの8府県で例年よりもひと月ほど飛来時期が早かったということで、注意が必要です。なんといっても2020年のウンカの被害は甚大なもの[昨年の新聞記事はこちら↓]。2020年新聞→ 中国・九州地方を中心に水田のイネが約半分が枯れてしまったという農家をはじめ、なかにはイネが全滅したという農家に加えて、さらには自家用のコメもさえ確保できないという農家などもいたほどの、深刻な被害をもたらしました。 ということで当ブログのウンカの記事、19年分と20年分の再録です。とくに早期栽培では出穂の時期をむかえているということで、よろしかったら ご参考に。『2019年9月分/ミステリーサークル状の穴を作るトビイロウンカ』水田のイネの穂がそろったあたりの時期から、あれよあれよというまにイネの茎が灰白色になって株が倒れ始め、そのうちに遠目でもはっきりわかるような円形の“窪地状の坪枯れ”ができる・・・ ちょっとした小型の “ミステリーサークル”のように、水田のあちこちに陥没ができるのが イネの害虫であるトビイロウンカによる被害です。 その穴の大きさですが、今回の写真のケースでは 普通車のトラックがすっぽりはいるくらい。ですから この虫の発生によるイネへの影響は大きいものとなり[倒伏しない程度のイネにも発生していますからね] ● 収穫期の終盤ちかくの発生で 3割近くの減収 ● 穂がでて30日くらいの発生で 5割近くの減収 ● 穂がでてまもなくの発生では 収穫が皆無という大被害をもたらすことになってしまうのが、現場でのイネをみるとよくわかります[今回の写真は西都市にて09日に撮影]。このイネの大害虫であるトビイロウンカ が、ただいま西日本を中心に大発生。9月10日時点で16の都道府県で注意報や警報が発令される事態となっていますよ。おそらくは 7月初めの台風などの温湿な南西からの風に乗って海外から飛来した第一世代の子供たち が、繁殖したものだと考えられます。このように、つぎつぎと世代交代して大繁殖していくトビイロウンカ。早生種よりも晩生の品種・乾田よりも湿田・ウルチ米よりもモチゴメといった具合に被害が大きくなりますので、 心当たりのかたは水田をよく観察し[成虫で5ミリ弱といったところ]、被害を発見されたときには出来るだけ早く関係機関の発表にそった対策を実施されるようにされてくださいね。なんたって、寄生されたイネは こんな状態 ↓ 見るからに 痒そうでゾワゾワ してしまいます。 病虫害被害を軽減するために大切になるのは、なんと いっても早期発見。被害にあったとして3割減収の場合 では10アール当たり3万円。1haでは30万、10ha だと300万にもなりますものね~。これがもし壊滅なん て事態となったらなら、ぞっとします。・・ということで 日常のこまめな観察ってやっぱり大切。。 『2020年9月分/トビイロウンカ発生は今年も』宮崎県病害虫防除・肥料検査センターは9月01日宮崎県の全域の普通期水稲を対象にトビイロウンカの注意報を出しました。「8月下旬に県内の41圃場を実施した圃場では、1株当り の虫数が平年の7.5倍の水準の10.69匹であった」「なかには1日株当りの虫数が240匹を超えている圃場も あった」ということで、過去最大のトビイロウンカ被害が起きた昨年なみの状況[こちら]が引き起こされる可能性も充分に予想されますから注意が必要です。 ちなみに 8月20日には佐賀県でトビイロウンカに対する警報、8月21日には大分県で警報、8月26日には鹿児島県で注意報、8月28日に長崎県で注意報がだされており、今後は昨年なみに九州の広い範囲で「爆発的に増える恐れがある」ことも予想されますから、水田をよく観察し 産卵数が多い短翅型[たんし/羽が短い]雌成虫がみられる場合には、すぐに防除されることをおすすめします。あわせて昨年被害が大きかった場所も忘れずにですね。ということで今回は、台風被害や塩害もだけれど トビイロウンカの害も、忘れずに対処しましょうというおはなしでした。 弱った作物個体に集中してやってくるのが、虫 たちの習性/たち。台風害で樹勢が弱ったいまこ そ注意&ケアが大切です。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Jun 30, 2021
早期水稲は 中干しも 終盤に。3月半ばから4月初めに田植えされた南九州海岸部の早期水稲。4月から5月いっぱいにかけての栄養成長期において、日射量が少なく・気温も低温気味に推移した気候下で生育していただけに、例年よりもイネの生育が遅れるのではないかと心配もされていたのですが・・・ 梅雨入り後になってからの晴天が続いたことが功を奏して、6月になったいま ほぼ平年なみの生育をしているようです。そんな早期栽培コシヒカリの中鶴地区から蚊口、持田そして家床地区の、6月02日現在のイネの様子がこちら。 とこんな具合に わりあいに丈が低く、葉立ちも良い状態 で生育が揃っているように見受けられます。ひと株づつみても・・株も しっかりと開張してよいかんじです。これならイナ株の下のほうまで、陽もよくあたりますよ♪そしてこれからの生育管理ですが、そろそろ 中干し期も終了、地力のない田んぼや葉の色が抜けてくる兆候のでたイネでは、平年なみの6月5日前後から天候の様子をみながらの穂肥を施肥する時期となってまいります[現在のところ幼穂の長さは2ミリ前後]。ということで今回は宮崎県中央部の海岸部の早期コシヒカリ栽培の生育状況のお知らせでした。おっと、付け加えまして6月01日の時点で、幼穂が4センチ以上にもなっているイネが持ち込まれ、早期栽培のイネの生育が全体的にすすんでいるのではないかと持ち込まれた方からの質問をうけ、現場の水田にも出向いてみたのですが・・・ この写真の幼穂を採取した場所が水の温まりやすい水尻部分であったこと、また水田自体の立地が3面を建物に囲まれている場所であったことなどから、とくに水尻部分だけが生育が進んだものではないかと考えております[ちなみにこの3月半ばに田植えされた水田の中央部で採取した穂の幼穂は1センチほどでした]。 穂肥をやったことがない・・ という方は小さい面積でもいいし、田のいち部分でもよい ですから、とりあえずやってみられたらいかがでしょう。 来年さ来年の増収につながる経験になります。イネの葉色 が黄色くなり、分けつが少なく、イネの株間がむこうまで すっと見渡せるという場合には、ぜひに。 → もっとく わしい穂肥の回は こちら。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jun 3, 2021
早期水稲、生育状況とこれからの管理。平年よりも20日ほども早くに梅雨入りした南九州地方。そんな気象のもとでの早期水稲の管理についての当店ダイレトメールはつぎのようになっております。よろしかったらご参考に。参考としての回 → イネつくりは水見半作の回は こちら。 → 田水の出し入れスムーズにの回は こちら。 1株あたり20本程度の茎数を確保した時点でおこなう 「中干し」。無効分けつの抑制や地下部の健全化、倒伏 防止などの効果がありますよ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
May 17, 2021
イネが霜害を受けた場合の対処法について。暖かい日が数日続いたのちのいきなりの寒さで、田植えしたばかりのイネ苗が霜害を受ける。さらに 強風が被害が助長する ・・・そのような場合の対処法です。霜害のでている場合のご参考までによろしかったら。 ↓この写真が “3月後半に田植されたあとに寒波の害を受け、その後4月中旬になっても、水田の一画のイネの生育が回復しないケース”の典型的な症例ともいえます。 新しい新芽がでてきてはいるものの、生育の遅れは否めないといった状況です。そこで、生育を早める対策が必要になるのですが・・・ こういった植物の生育がこじれた場合には チッソの追肥ではなく、まずリンサンとマグネシウムを施用するという手を よく使います。まずは地下部に元気を与えてみるといった風情ですが、これがけっこう効果がでたりするんですよね。この写真の場合は、リンサンとマグネシウムの補給するために 被害株を中心に1アール当りに1キロ程度の量のマグホスを散布を施用するという対策をとったのですが、結果としてうまく樹勢を回復させることが 叶いましたよ。ちなみに マグホスの正式名称は「蛇紋岩過リン酸石灰」。過リン酸石灰に蛇紋岩を混ぜて堆積発酵させた、ミネラル肥料です〔50年前から販売されてます〕。対策を施したのちの、1週間後・2週間後・3週間後の株の生長のようすは ↓ こちら 。 同じく上のイネに対策を施したのちの1週間後・2週間後・3週間後の、その後の生長のようすは ↓ こちら 。のののののの 肥料分〔チッソ〕はあるはずなのに、なぜか作物の回復が遅くて ・・・などとという場合などには つかえる対処法ですので、よろしかったら お試しくださいませ〔関連記事として小さい面積から試してみるは こちら 〕。そしてこの方法は、寒害や霜害に効くだけではありません。たとえば除草剤の害が出てしまったときとか、イネミズゾウムシやジャンボタニシなどの虫害被害を受けたあとの〔害虫を駆除したあとの〕樹勢の回復にも効果的ですよ。心当たりの方ぜひお試しを。 → 春先に要注意な牛の硝酸塩中毒予防にも使えるマグホスの 牧草施用の話はこちらです。 チッソではなくまずはリンサンやマグネシウムをやるとい うやり方について・・・“体が弱ったときは胃腸も弱るから、 まずはお粥を食べるよね。そんなかんじで考えたらたらい いよ”というのが、 いまはもう亡くなった先輩技師連から 実地研修で教わった技術解説でした。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Apr 7, 2021
丈夫なイネ苗をつくる。3月中下旬から始まる田植えに備えて、硬化の段階にはいってきた早期水稲の苗作りですが、気象条件に留意しながら 日中の温度は25度以下になるように、また夜間は10度以上になるように管理していきましょう。また田植えの1週間前からは外気に慣らしていく管理をおねがいします。苗の状態ですが葉が伸びすぎている場合や葉色が濃すぎる場合には ● 早朝の露払い[日光の有効利用と接触刺激による硬化] ● アクセル2号のまずは500倍液の施用[最終的に300倍]などを おすすめしてしています。ちなみに従来は竹竿や釣り竿での露払いをおすすめしていましたが、いまはミスト機の風を使う方もふえているようですね。お持ちの方はいちど試されるとよきかも。くわえて 順調に生育しているとか、逆に 肥料不足気味であるという苗の場合ですが、こちらには例年どおりの多木有機液肥3号の施用をお願いします。ちなみに使用する場合のステージ別の倍数ですが ● 播種後14日後からは 500倍程度の濃度から施用可能 ● 田植え前7日くらいからは 200倍程度にする ● 田植え前日には、100倍で使用するというのが、定番の使い方になります。ということで、田植えまで早いところで約3週間。田植え時に活着のよい苗をつくる方法についてのおはなしでした。 過去に おこなった水稲苗の講習会の内容についての 回は こちら となります。4月になってからの田植 ということで、これから浸種だという方には こちら。 よろしかったら ご参考に。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 15, 2021
お米を守るクジラのはなし。 前回のトビイロウンカ関連[こちら]となります。農業技術の歴史やや農薬成立の成り立ちなどのはなしとしまして、よろしかったら。↓『お米を守るクジラのはなし 』6月から7月前半にかけて、中国南部から東シナ海を越えて、九州を中心とした西日本へ飛来してくるイネの害虫が、セジロウンカやトビイロウンカです。 ジェット気流にのって飛来したくるこのウンカ類は、田植え直後の水田に侵入、産卵・増殖してイネを加害するイネの大害虫なんですよ。 その被害は甚大です。 たとえば『徳川実紀』という江戸期に書かれた書物などには、「享保17年(1732)西日本でウンカの大発生によりイネが被害を受けそのために大飢饉がおこって結果として百万人近くもの餓死者がでた」という記録も記してあるほどなんですよ。じつに怖ろしい大被害だといえます。 さて、そこでタイトルの、「お米を守るクジラのはなし」ですが・・。そんな大被害をもたらすウンカから、クジラはどのようにしてイネをまもってくれていたというのでしょうか。 じつは、鯨油が利用されました。 捕獲されたクジラの鯨油(げいゆ)を水面に注ぎ、その油膜で虫の体を包んで動けないようにするという使用法が広く利用されていたようです。虫の呼吸器官である気門をふさぐことでウンカを窒息させる方法ですね。 具体的には・・ 田んぼに鯨油をまく ↓ 田の表面に油の膜ができる ↓ 棒やササなどでイネを揺すったり叩いたりする ↓ 害虫を、水面にできた油膜の上に落として窒息させる という方法が取られていました。 この方法は江戸時代後期に発案されて全国に広まり、結果として日本の米の増収をもたしたと言われているほどに効果があったようですよ。ウンカが大発生すると、幕府は各地の代官に対して鯨油による注油駆除を布達した・・・との記述も多数残っていることから、鯨油をつかったこのウンカ駆除法は、幕府お墨付きの農業技術であったことが判明しております。 つくづく クジラには、感謝ですね。 油を水面に垂らして水を落とし、イネの茎の表面に油分を つけることで水面に漂うモンガレ病の菌の付着を防いだり 鯨油を牛馬のからだに塗りつけることで、アブなどの吸血 害虫の被害から牛馬を守るという使用方法も行われていま した。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Sep 15, 2020
トビイロウンカ発生は今年も。宮崎県病害虫防除・肥料検査センターは9月01日宮崎県の全域の普通期水稲を対象にトビイロウンカの注意報を出しました。「8月下旬に県内の41圃場を実施した圃場では、1株当り の虫数が平年の7.5倍の水準の10.69匹であった」「なかには1日株当りの虫数が240匹を超えている圃場も あった」ということで、過去最大のトビイロウンカ被害が起きた昨年なみの状況[こちら]が引き起こされる可能性も充分に予想されますから注意が必要です。 ちなみに 8月20日には佐賀県でトビイロウンカに対する警報、8月21日には大分県で警報、8月26日には鹿児島県で注意報、8月28日に長崎県で注意報がだされており、今後は昨年なみに九州の広い範囲で「爆発的に増える恐れがある」ことも予想されますから、水田をよく観察し 産卵数が多い短翅型[たんし/羽が短い]雌成虫がみられる場合には、すぐに防除されることをおすすめします。あわせて昨年被害が大きかった場所も忘れずにですね。ということで今回は、台風被害や塩害もだけれど トビイロウンカの害も、忘れずに対処しましょうというおはなしでした。 弱った作物個体に集中してやってくるのが、虫 たちの習性/たち。台風害で樹勢が弱ったいまこ そ注意&ケアが大切です。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Sep 11, 2020
穂肥の時期にはいった宮崎海岸部の早期水稲。生育当初は夜間の低温の影響から、例年より2日ほど出穂が遅れそうと思われていた宮崎県の宮崎海岸部の早期水稲作ですが、本年は梅雨にはいってからの日照時間が例年よりも長いこともあって ほぼ例年どおりの生育 となってきているようです。そんな早期水稲作の仕上げの穂肥ですが、第一回目の穂肥料が効いてきてイネの身体に色がもどり、現在は色直しの第二回目の穂肥料の時期にあたります。[本年はコロナウイルス感染予防の観点から中止となった]毎年開催している検討会の資料でご説明すれば こんなかんじでやっております。ちなみによく穂肥に使用する肥料である九重6号は発売を開始して100年以上経過した、動植物有機原料のサナギ粕や油粕に骨粉などをバランスよく含んだ、肥効が穏やかな有機複合肥料ですよ。4月に田植えし管理しつづけてきた早期水稲。穂数を確保し充実した穂を作るためにも、仕上げに穂肥を実施しましょう。どっしりと充実した稲穂を揃えることが、1枚の田の増収につながります。 穂肥をやったことがない・・ という方は小さい面積でもいいし、田のいち部分でもよい ですから、とりあえずやってみられたらいかがでしょう。 来年さ来年の増収につながる経験になります。 もっとくわしい穂肥の回は こちら。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jun 18, 2020
早期水稲は 中干しの時期にはいります。本年は目立った遅霜の被害もなく、例年よりもおとなしめの生育をしているかんじのイネの生育でした。が、連休すぎからの雨天曇天が続いている影響で、葉が伸び気味となって垂れ込んできた田んぼが多くなってきているかんじがします。 と、いうことで恒例の中干し。 天気が晴れぬままに梅雨にはいることも予想されますので、とくに地力のある水田などでは 早めに実施されるとよいでしょう。以下は その中干しについての定番の溝切りの回の再掲載です。ご参考に。↓『イネつくりといえば みすみはんさく。』田植えから約60日が経過するころ、この時期は、身体づくりにおわれていたイネの生長が、実をつくる生長に切り替えられていく時期なんですよ。田植してひと月後の話しは こちら。 〔4月1日前後に田植したイネでは〕そんな季節のはじまりです。そしてイネの生育の転換期を助けるのが、田んぼの水管理です。この時期に、“ためっぱなし”であった田の水も、抜いてしっかり干すんです。これを 「中干し」といいます。このような管理をするのには、もちろん理由があります。 ■ 土中の有機物の分解に伴い発生する硫化水素やメタンガス を抜く ■ 遅れて発生しようとする、イネの生長〔分けつ〕をおさえる ■ イネミズゾウムシ・シャンボタニシなどの水棲害虫の駆除 ■ 田の表面を硬くしていくことで、来るべきイネ刈りをやりやすくなるといったところ。 そうそう、田んぼが見られる環境にお住まいで、田を見る機会がある・・・といわれる方は、就農希望者でなくとも、ぜひぜひ田の水の有無を観察されてください。面白いものですよ。あ、そして タイトルの “みすみはんさく” さんです。 三角半作さん? 水見範作さん?じつはこの方、日本のイネつくりコンクールで、長年にわたって優勝してこられた方なんです・・・なんていったら信用していただけるかもしれませんが〔無理か/笑〕、ほんとはイネつくりに関する格言です。正確には 「水見半作」となります。これは 水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業である という意味なんですね。。頼りになるんですよね、みずみはんさく/笑。土の栄養状態や病害虫のことばかり、あるいは大型機械での大規模農業が注目されがちなイネつくりですが、じつは イネつくりには、田んぼという生育環境をコントロールするための〔ある意味ローテクともいえる〕水管理技術も必要不可欠です・・・ということですね。 中干しの時期の。田のライムグリーン色のなかにたたずむのは、 凄く気持ちがいいんです。そう、これすなわち アマガエル気分 ↓/笑。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜」
May 15, 2020
田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問は。G[さむい朝や寒風の吹く日を除き]暖かい日は水田の水を日中浅水にして水温上昇に努めイネの生育をすすめていく、といった管理をする早期水稲なのですが・・・本年は例年ならあがってくるはずの最低気温が、いまだ9度から11度という低い気温で推移している南九州の沿岸部地方。 4月中旬からは日中に強風が吹く日も多く、一と月まえに田植えが終わった水田でのイネの生育には活着の良かった田と悪かった田との生育差が甚だしく、生育に関してバラつきがでているように見受けられます。。さてそこでこれからの生育管理ですが、とくに苗の生育が悪い水田では こちらを参考にしていただくとして、生育が順調であれば、状況やケースに合わせてつぎのような管理をお願いいたします。 ↓『田植えして一ヶ月くらいに良く受ける質問は。』そんな生育に関する質問ですが、たとえば・・・ ● 葉に条〔すじ〕状の食害ができる ● 株ごとなくなる ● あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる ● 分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない ● 下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのかといったところが代表的な質問の内容となります。あなたのイネの生育で、あてはまる点はありませんか?さて、その質問の答えですが、 ■ 葉に条状の食害ができるのはイネミズゾウムシの被害 ■ 株ごとなくなるのは、ジャンボタニシによる食害と考えて良いかと思いますので、薬剤散布などの対策をほどこせばよいということになります。そして のこりの質問である ● あぜぎわの葉に斑点状の枯れた点ができる ● 分けつ〔イネの株がますこと〕がうまくいかない ● 下葉が黄色くなっているが、これは病気ではないのかですが、これらは、まずまちがいなく土中の酸素不足が原因の生育不良です〔とくに田植直前になって 生の有機物をいれた田んぼや、前作の葉もの野菜や牧草を鋤きこんだ田でおこりやすい〕。田にはいって、歩いてみるとわかりますよ。そんな田に入って歩くとでてくるものは、泡・泡・泡 ・・・・そう、土中の有機物が微生物によって分解される過程ででてくる メタンや硫化水素など の気体が、湧き出ているのです。つまり水面下の土の中では → 田の土の中の生の有機物が分解し、ガスが発生している → 土中のチッソが有機物の分解に使われているという状況に陥っている。この状態では、イネの根が酸素を吸えませんし、生育に必要なチッソ分も土中で不足する。結果として、根の生育がうまくいかないために、その影響がイネ全体の生育に及んでいると考えられるわけです。したがってこんな場合の対策は、 → 田の表面を空気に触れさす → 土中のガスを逃がすことが有効となります。その方法ですが、 ■ 田の水を抜いて、田の表面を出す ■ 除草を兼ねてタズリさまを使用するといった対策が効果的となります。イネの生育がどうも思わしくないと、思われている方は、ぜひ、お試し下さい。そうそう、そして タズリさま。土中に空気も入れ、そのうえ除草もできる現代版のタズリさまは たとえば こちら です。 ガスを抜くことが功を奏して、イネの生育が回復したとき。そのと きに思う・・・「農家は田にはいってたんぼ、いや、なんぼ/笑」。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Apr 23, 2020
イネは水管理でつくる/水を温度調節に利用する。3月中旬からはじまった宮崎県沿岸部の早期栽培のイネの田植えも終盤に。ということで、今回は イナ作栽培における水の利用例をご紹介いたしましょう。まずは田植前の3月中旬には、植えしろを完成させて水を貯め、水温を上げておくことからイネの水管理は始まります。ののの ↓無事に田植えを終わらせた後は、霜対策と風対策のために、やや深水として苗を守り、↓苗が活着したら、分けつ〔イネの株をふやすこと〕を確保するために晴れた日中は浅水にして、水温をあげることに努めます。↓水温があがって分けつがとれはじめていることを確認したら、一度田の水をすべてを落水して、土中のガス抜きをします。↓その後は浅水とし、ひとつのイネのイナ株の本数が26本前後になった5月下旬の時点で1週間程度水を抜く 中干しにかかります〔中干しは、体づくりの段階の生長から、実をつくる生長に転換させるためにおこないますよ〕。ののの ↓中干し後の 穂ができる時期の水管理は、水を入れたり・出したりする間断かん水をおこないます。↓イネの穂が育つ時期にあたる6月10日から6月末にかけては、水を切らさないように、田に水をいれた状態を保ちます。↓そして6月25日前後に、めでたく出穂となります。↓出穂がすんだ7月は、暑さがきびしい時期にもあたりますので、あまりに気温が高いときには、水をかけ流しにして気温の上昇を防ぎます。ののの ↓イネ刈り前の最終的な落水は、〔水持ちが良い・わるいといった〕田の状況でちがってきますが、コンバインの作業がしやすい乾く田であれば、極力 落水を遅らせます。↓例年であれは、7月末にイネ刈り です。といったわけで今回は、生育初期には主として田を保温する手段として、そして 生育後期には 主として田を冷却する手段として用いられる水田の“水”についての、おはなしでした。 まあしかし、イネっていう作物は 素晴らしいですよね。3月 下旬にうえられた3キロほどの稲のタネが 7月の末には 〔うまく管理すれば〕600キロ以上のおコメになるというわけ ですから。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Apr 1, 2020
田植え直前の苗には “べんとう肥” を。水稲苗の活着をよくするのには 多木育苗用液肥がおすすめです。 田植えの10日前から前日にかけての施肥例としては ● 100倍液での 苗箱1箱あたり 500CCの施用をおすすめしています。 冷水田や風当りの強い水田などではとくに効果がありますので、ご使用くださいね。写真は 小瓶の2リットル缶。 ちなみに前述の倍数で施用するとすると、約400箱の水稲苗箱分の量となります。 関連記事といたしまして 田植え時期のおはなしは こちら。 水田の施肥設計例についてのおはなしは こちら。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 27, 2020
早期イナ作の肥料設計について。イネの植えられる田んぼでは、その田とその田に植えられるイネにあわせて、与える肥料の量がきめられます。 そうなんです、肥料を与えるだけ与えたとしたら、たとえば生育が栄養生長にはしりすぎてしまうことで早めに倒伏してしまい収穫が皆無になる場合や、イモチ病などの病害が多発したりすることになってしまいがちになりますから。また環境の面からいっても、イネの必要とする以上の成分を与えてしまえば、あまった肥料分は排水に乗って、あるいは地下水に溶けて河川や海に流れ込み、いずれヒトや生物たちへの悪影響 をおよぼすことになってしまいますから、注意しなければなりません。ということで、まずは与えすぎには注意しなければなりません。そこでイネが無駄なく吸える肥料の量をみきわめて、田植え前の水田に必要最小限の施肥していくわけですが・・・この作業を「田んぼの設計をたてる」といいます。具体的には、田んぼの土の性質やイネの品種、毎年の生育状況・栽培環境にあわせて肥料の種類や量をきめていきます。イネしか作らない田と、たとえば前作で野菜をつくったり、あるいは飼料作をつくっていた田んぼ、あるいは家畜農家で毎年家畜ふんが多量にはいる田では与えられる肥料の量や種類はちがいますし、また耕土の浅い深いといった差でも、田の水のあったかいところと冷たいところでも肥料の効き方はちがってきますからね。具体的には、水田のある場所の栽培環境に、土の性質、これに例年のイネの生育状況など ● 日照不足・冷水かんがい・整備田・秋落ち田・谷間● 酸性土壌・砂質土・腐食が少ない・漏水しやすい ● 活着不良・分けつ遅延・軟弱徒長・熟期遅延・倒伏といった項目をチェックし、それぞれの田への適当な施肥量を、いくつかある施肥設計のひな型のなかから検討していきます。ちなみに当店の基本的な設計例は、当地の代表的な栽培品種であるコシヒカリ用では、 側条施肥機使用の場合の3タイプと側条施肥機を使用しない場合の つぎの6つとなっております。と、このようなかんじです。 よろしかったら、ご参考に。 昼間は暖かい感じですが、まだまだ最低気温が10度に とどくことが少ない宮崎県海岸部。本年の田植えの最盛 期は 3月の25日から4月05日くらいってかんじみ たいです。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Mar 19, 2020
田植え前の苗の発根を促進するために。3月下旬から4月はじめにかけての田植えに備えて、田植え前のこの時期のイネの苗の発根促進に、マグホス細粒の苗箱1 箱当たり30~40gの追肥を おすすめしております。 発根だけではなく悪伸びを防止する効果も高まりますので、ぜひいちどお試しください。 そして、そのマグホス施用ですが、この写真のようにミスト機を上方向に向け・回転数を下げて施用すると、より均一に散布することが可能になりますよ。よろしかったらぜひお試しを。 蛇紋岩と、太古のトリのふんからできているリン鉱石 などを原料として作られるマグホス。家畜ふんたい肥 の大量施用によっておこりがちになる春先の牛の硝酸 中毒対策としても使用されていますよ → こちら。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Mar 13, 2020
じょうぶなイネ苗をつくりましょう。はやいところでは緑化から硬化の段階にはいってきた早期水稲の苗作りですが、本年は 時ならぬ高温つづきの天候となり、苗の生育が徒長気味に推移しているようです。そのような 葉が伸びすぎている場合や 葉色が濃すぎる場合の対応策ですが、 ● アクセル2号のまずは500倍液の施用[最終的に300倍] ● 早朝の露払いなどを おすすめしてしています。ちなみに従来は竹竿や釣り竿での露払いをおすすめしていましたが、いまはミスト機を使う方もふえているようですね。お持ちの方はいちど試されると よきかも。くわえて 順調に生育しているとか、逆に 肥料不足気味であるという苗の場合ですが、こちらには例年どおりの多木有機液肥3号の施用をお願いします。ちなみに使用する場合のステージ別の倍数ですが ● 播種後14日後からは 500倍程度の濃度から施用可能 ● 田植え前7日くらいからは 200倍程度にする ● 田植え前日には、100倍で使用するというのが、定番の使い方になります。ということで、田植えまで早いところで約3週間。田植え時に活着のよい苗をつくる方法についてのおはなしでした。 本年度におこなった水稲苗の講習会の内容についての 回は こちら となります。4月になってからの田植 ということで、これから浸種だという方には こちら。 よろしかったら ご参考に。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 26, 2020
早期水稲・種子の浸種について。あとさきになってしまいましたが、前回の活着の良い苗を作るの回[こちら]のまえに、研修会にて配布しました水稲の浸種についての注意点となります。 ↓書いてありますように、ここのところの収穫時前後の高温の影響で 種子の休眠が深い傾向が見受けられるということですから、 例年よりも長めの浸種時間をとること、 それが出芽を揃えるポイントとなりそうですね。 良いこととされる省力ですが、こと農作業に関して の省力は、えてして省略栽培となりがち な もの。 省略することなく、基本事項をしっかりと踏まえる ことが、良品多収の早道です。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 14, 2020
活着の良い苗をつくる[早期米研修会要旨]。2月の第一週に、各地で開いている早期水稲の栽培研修会 の研修要旨となります。 例年どうりの栽培作業のポイントとなります。各人それぞれのやり方があるとは思いますが、よろしかったらご参考までに。 ↓さて、本日の勉強会は 水稲育苗のはなしが中心であったのですが、なかでも田植え後のスタートダッシュでつまづかないように「活着のよい苗をつくる」という点を中心に 話をしますと・・・そのような苗をつくるポイントとして大事なことが3つあります。 1. 苗を徒長させない 2. 苗に肥料切れをおこさない 3. 苗の根の張りを良くするといったことが挙げられます。そこでそれぞれの注意点についての説明にかかりますと・・・1番の徒長に関しては ■ 播種量を多くしない ■ 発芽が1cmになるまでに、シルバーをはがす ■ 播種量を多くしすぎない ■ 徒長気味の場合はアクセル2号の300倍を散布するという点が大事になります。そのうえで、水のやり方と温度の温度管理を的確にすることで苗の徒長を防ぎましょう。具体的には緑化以後の昼間には、ハウスの肩をあけて通期を良くすることが大切になります。2番の肥料切れに関しては、本場が黄色くなる前の予防的な有機液肥3号の追肥施用をおすすめします。3番の苗の根の張りを良くするには、 ■ シルバーを剥がした際には、かん水を1日だけ我慢する ■ 「マグホス細粒」の箱当たり30-40gの追肥などをが効果的です。もちろん苗床の土にすでにマグホスをいれられている方も多いとは思いますが、そのような場合はアクセル2号のかん水施用もおすすめです。以上の3点の改善点を守られて、本年もがっしりとしたじょうぶな苗ができることを期待いたしております。 早期米の田植えは3月中。田植え後に ときには田に 氷が張ることもあるという コメづくりの作型についての おはなしは こちら 。「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Feb 10, 2020
ミステリーサークル状の穴を作るトビイロウンカ。水田のイネの穂がそろったあたりの時期から、あれよあれよというまにイネの茎が灰白色になって株が倒れ始め、そのうちに遠目でもはっきりわかるような円形の“窪地状の坪枯れ”ができる・・・ ちょっとした小型の “ミステリーサークル”のように、水田のあちこちに陥没ができるのが イネの害虫であるトビイロウンカによる被害です。 その穴の大きさですが、今回の写真のケースでは 普通車のトラックがすっぽりはいるくらい。ですから この虫の発生によるイネへの影響は大きいものとなり[倒伏しない程度のイネにも発生していますからね] ● 収穫期の終盤ちかくの発生で 3割近くの減収 ● 穂がでて30日くらいの発生で 5割近くの減収 ● 穂がでてまもなくの発生では 収穫が皆無という大被害をもたらすことになってしまうのが、現場でのイネをみるとよくわかります[今回の写真は西都市にて09日に撮影]。このイネの大害虫であるトビイロウンカ が、ただいま西日本を中心に大発生。9月10日時点で16の都道府県で注意報や警報が発令される事態となっていますよ。おそらくは 7月初めの台風などの温湿な南西からの風に乗って海外から飛来した第一世代の子供たち が、繁殖したものだと考えられます。このように、つぎつぎと世代交代して大繁殖していくトビイロウンカ。早生種よりも晩生の品種・乾田よりも湿田・ウルチ米よりもモチゴメといった具合に被害が大きくなりますので、 心当たりのかたは水田をよく観察し[成虫で5ミリ弱といったところ]、被害を発見されたときには出来るだけ早く関係機関の発表にそった対策を実施されるようにされてくださいね。なんたって、寄生されたイネは こんな状態 ↓ 見るからに 痒そうでゾワゾワ してしまいます。 病虫害被害を軽減するために大切になるのは、なんと いっても早期発見。被害にあったとして3割減収の場合 では10アール当たり3万円。1haでは30万、10ha だと300万にもなりますものね~。これがもし壊滅なん て事態となったらなら、ぞっとします。・・ということで 日常のこまめな観察ってやっぱり大切。。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Sep 11, 2019
穂肥の時期にはいった宮崎海岸部の早期水稲。6月3日から8日にかけて集落ごとの水稲検討会をおこなった宮崎県の宮崎海岸部の早期水稲作ですが、 夜間の低温の影響からか例年より3日ほど出穂が遅れそうなかんじで生育しているようです。そんな早期水稲作の仕上げの穂肥ですが、第一回目の穂肥料が効いてきてイネの身体に色がもどり、現在は色直しの第二回目の穂肥料の時期にあたります。検討会の資料でご説明すれば こんなかんじでやっております。ちなみによく穂肥に使用する肥料である九重6号は発売を開始して100年以上経過した、動植物有機原料のサナギ粕や油粕に骨粉などをバランスよく含んだ、肥効が穏やかな有機複合肥料ですよ。4月に田植えし管理しつづけてきた早期水稲。穂数を確保し充実した穂を作るためにも、仕上げに穂肥を実施しましょう。どっしりと充実した稲穂を揃えることが、1枚の田の増収につながります。 穂肥をやったことがない・・ という方は小さい面積でもいいし、田のいち部分でもよい ですから、とりあえずやってみられたらいかがでしょう。 来年さ来年の増収につながる経験になります。 もっとくわしい穂肥の回は こちら。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jun 15, 2019
倒れるか倒れないか。ぎりぎりまで育てるのが技術。 田植えのはやかった場所ではそろそろ穂肥。ということで早期水稲の穂肥に関する回となります。よろしかったら。 ↓以前にイネを倒さないことが大切ともお話ししました。では、倒さない ことに執着したあまり、 イネの穂ができ始める時期〔 こちら 〕に栄養補給をおこなわないとしたら、イネはいったいどうなるのでしょう。その場合には、つぎのような症状がでる恐れがあります。 1. 穂の大きさが小さくなります。 2. 穂の出る時期が揃いません。 3. 茎が弱くなり、倒伏する場合があります。 4. イモチやモンガレ病などの病害に冒されやすくなります。といったふうに倒伏を恐れるあまり、穂づくりの大切な時期にイネへの栄養補給を怠ったり、強すぎる中干しなどの生育調整をおこなったりすれば、できかけているイネの穂におおきな影響が及ぶことになります。さらに「より栄養が足りない場合が続けば、イネの体にまわす養分さえ も穂作りに転用される」ために、上記の3番や4番などの事態がひきおこされることになります〔ヒトにたとえてみますと、妊娠がわかってから断食を強行するようなものになりますものね〕。そこで 栄養補給が必要だと判断したイネの場合には、穂作りに励む イネの体力が回復するような施策をすぐにとりますよ。たとえばイネがすぐに利用できるようなやさしい肥効の肥料[こちら]を施用することや、中干していた田に水をいれるといった適切な水管理をおこなうことがこれにあたります[栄養生長から生殖生長に変える話は こちら]。 ・・・充実して実の数が揃ったイネの穂は 重く倒れやすいもの しかし、その 重い充実した穂を出したイネを、倒れるか倒れないか というぎりぎりのところまでうまく育てることがうまくやるコツ、それが 農業技術である ということになりましょうか[同じ田でもこんなに差がでるの回は こちら]。せっかくのイネつくり。田にイネを植えた限りは、農業技術を駆使して、おいしいおコメを たくさん そして同時期に とりたいものです。 水田一枚を、努力してうまく収穫する。これが30枚あれば 大きな収入差となってきます。それがたとえば30作・30年 続いていくとすれば、もっともっと大きな収入差が生まれて きますよ。 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜 」
Jun 4, 2019
もうすぐ イネの穂が出ます。2013年分ですが、次回の資料として再掲載です。↓『もうすぐ イネの穂が出ます。』これが なんだか、おわかりになりますか? じつは 6月05日に撮影したイネの赤ちゃん〔幼穂〕なのです。 品種は コシヒカリです。もちろん実際には、この穂の部分は茎のなかに隠れているのです けれど、生育をみるために 茎をはずしてみたところなんですね。 その穂の先の方、ふわふわっとした綿毛のかたまりのようなもの が、これからモミになっていく部分となります。ちなみに、そのふわふわとした白い部分/幼穂の長さが、現在のと ころおおむね1センチ前後の長さになっていますから・・・・ この穂の赤ちゃんが、生長して茎から出てくるのは6月22日前後。そして穂が出揃ったのち、そのまま順調に生育がすすめば、本年の宮崎県沿岸部地方の早期コシヒカリ栽培の稲刈りは 7月末から8月はじめのイネ刈りとなりそうです〕。ただ、心配ごとがひとつ。それが ただいま九州の西側にある 台風4号の 直撃 です〔まさ に好事魔多しの典型かと〕。 出たばかりの穂は柔らかいので、強風にあうと擦れて傷んでしまう ものですから、心配してます。「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Jun 4, 2019
早期水稲、生育状況とこれからの管理。◎中干しについての回とsetとなっております。◎『早期水稲、生育状況とこれからの管理。』5月20日前後におこなっている宮崎県の児湯郡、西都市の各地でおこなった水稲検討会関連の、現段階におけるイネ生育の所見とこれからの管理を箇条書きでまとめてみました。 □ 生育は平年並み。 夜間が低温で推移しているため、 全体的にイネの背丈は低めとなっています。 □ 株数が揃ったところから中干しの時期にはいります。 4月01日までに田植えしたところでは いま。 それ以降に田植えしたところでは、来週・27日く らいからの中干しを開始しましょう。 □ 中干しの期間は、7日から14日間程度。葉色が濃 い田や、株張りの良い水田ほど長めにおこないます。 □ 中干しは、田の表面に軽くヒビが入る程度に。 □ いまのところイモチやモンガレ病は見かけません。 ただ、ジャンボタニシの発生が多い傾向にあります ので、注意が必要です。また、イネミズゾウムシの 発生も場所によっては多いので、こちらも注意され てください。 □ 現時点でのイネの出穂予想は、西都市で6月20日 から25日、児湯郡で6月25日から30日くらい。ということになります。次回の水稲検討会は6月の2日から4日となりますので、よろしくお願いいたします。 冬場の田起こしをおこなっているところは、 やっぱりジャンボタニシや雑草が少ないな・・ と 思いましたよ、本年も。。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
May 23, 2019
生き物にもやさしい『溝切り』。G本年は、例年並みの生育をしている早期水稲。中干し期間ということで、定番の回の再掲載です。今年の管理の回と併せて、ご参考までに。 ↓タズリさまにて草をとられ、土中のメタンガスや硫化ガスをだされた田 は大きく育ってきます。そして充分に育ったところで 「中干し 」で、イネに気合を入れる・・・そんな田んぼに関する作業で、「溝切り」という技術があります。 これは 田の中に 5~10m間隔に深さ約10~15センチ・幅約20センチの溝を掘ること 、なんですよ。ののののの タズリさまと同じで、いまはエンジン付きがありとても楽。 そうですね、今年もやってみたのですが、田の中の周囲と、田の中に3本の溝を掘って、10アール当たりで、だいたい30分というところ。なあにやってみれば 早いものです。 機械は こんなかんじ です。 最近は トンネルを掘る ようなものもあるんです。そんな溝を、田の中に掘ることで、なにが変わるのだろう・・・なんておもいますでしょう?けれど、これがもうまったく・たいしたものなんです。中干しで水を抜きたいときには、この溝を使ってササッと排水できますし、逆に田が乾いて水を入れたいときは、この溝を伝ってスムーズに水がはいる。 それはもう感激もの。すばらしい技術なんです。そしてこの技術には、もうひとつ、とても感心するところがあるんです。 なんだとおもわれます?それは、田の水が干されるときに威力を発揮します。水の出し入れのために掘ったはずの、その溝が、メダカやオタマジャクシなどなどの田に生きる水棲生物のための〔用水路への〕避難路になるののののののののの ことなんです。『昔から伝えられた農法は、生き物に対するやさしさを持っている』と、かんじる瞬間ですね。 『水の管理は、稲つくりの半分を占めるほど大切な作業 である』という、 みずみはんさく 。 いろんな田んぼ を見て、まわればまわるほど、うなづけること多々あり。 なんですよね。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
May 23, 2019
「気温の上昇」がコメ栽培に与える影響は。これから5年後にはどうなっているのでしょう・・・と書いて5年目。現在はその5年後、2018年になりました。あなたの本年産のおコメに「乳白米」と「斑点米」は、でていませんか?。ということで2013年分の再掲載です。 ご参考までによろかったら。 ↓『 気温の上昇がコメの品質に与える影響は。』 現在の日本各地のコメ産地の生産現場では、コメ価格を下げる原因とも なるコメの品質の低下が問題となっています。 品質を下げる原因となる障害は、「乳白米」と「斑点米」。「乳白米」は、コメの粒が全体に不透明で乳白色に見えてしまう状態とな ること。いっぽう「斑点米」は、米粒に黒や茶色のシミが付いたものをいい、このふたつの障害のそれぞれの原因は次のとおりとなります。 ● 乳白米・・・おもに 穂が出たあとの高温条件 ● 斑点米・・・カメムシが、口(口針)で玄米から栄養を摂る時 にできる食害とされています。そうなんです、どちらも昨今の日本列島の気温の上昇が関係している。 乳白米は穂が出たあとの高温が主原因ですし、斑点米被害は本来は冬に死ぬべきカメムシが死なずに越冬できる地域が多くなった〔数が増える〕ことに由来しています。ということで、どちらの場合も“夏場と冬場の気温の上昇が影響している”ということになるわけです。さらに、この二つの障害を懸念さなければならない事実があります。それは、この二つのコメの障害の発生する地域が次第に北上していること、そして 北上に伴って被害面積が年ごとに広がり続けている こと。この件に関する2008年に農水省から発表された〔当時はオーバーす ぎると思った〕長期予報のなかには「二酸化炭素(CO2)濃度が約二倍に高まり気温が上昇すれば、コメ の収穫量は、北日本の一部で増える地域もあるが、中部日本や西日本 を中心に、将来的には最大4割減る都道府県が出る」というものがありましたが、5年たったいまになってこれまでの気象を振り返って考えてみれば、この〔上質米の減収に関する〕予想はけっこ う的を得ていた と思わずにはいられない次第です。いじょう、いわゆる「温暖化」がコメ栽培に与える影響は、これからも拡大していきそうだというおはなしでした。 関東に台風が頻繁に接近したり・でかい竜巻被害が頻発したり というのはもとより、気温の上昇が生物相にも大きな影響を及ぼ していることも明らかになってました。5年前には考えられもし なかったことですが、はたして これから5年後にはどうなって いる のでしょう。 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
Aug 24, 2018
イネの普通作の土づくりの考え方。 そろそろ終盤にはいった宮崎県の普通期イ作の田植え。そんな普通期水稲の施肥設計について・・・ “いろいろな施肥設計があるのはなぜなの?”というご質問いただいたので、今回はそんなご質問にこたえてみた回となります。品質の揃った良いコメを、同時に収穫するためには必要なことだとおもいますし、またこういった努力は、土の肥満防止にもつながりますから、よろしかったらご参考に。↓『イネの普通作の土づくりの考え方。』イネの植えられる田んぼでは、その田とその田に植えられるイネに あわせて、与える肥料の量がきめられます。そうなんです、肥料を与えるだけ与えたとしたら、イネの収穫が皆無になる場合がありま すから。またイネの必要とする以上の成分が与えられると、あまった肥料分は排水に乗って、あるいは地下水に溶けて河川や海に流れ込み、い ずれ環境に悪影響 をおよぼすことになってしまいます。そこで作物が無駄なく吸える肥料の量をみきわめるわけですが・・ これを「田んぼの設計をたてる」といいます(もちろん有機肥料も おなじように考えます)。 具体的には、田んぼの土の性質やイネの品種、毎年の生育状況・栽 培環境にあわせて肥料の種類や量をきめていきます。 具体的には ● 酸性土壌・砂質土・腐食が少ない・漏水しやすい などの土の性質 ● 活着不良・分けつ遅延・軟弱徒長・熟期遅延・倒伏などの、例年の イネの生育 ● 日照不足・冷水かんがい・整備田・秋落ち田・谷間などの栽培環境といった項目をチェックし、それぞれの田への適当な施肥量を、施肥設計のなかから検討していきます。やせた田と、たとえば野菜をつくったり・家畜ふん尿がはいった肥えた田では与えられる肥料の量や種類はちがいますし、水のあったかいところと、 冷たいところの肥料の量や種類もちがいます。また、イネの品種によって与えられる肥料の量や種類もちがってきますも のね。こうやって、それぞれの地域の、それぞれの田とイネに適合した資材 と と、そのやる量が、正しく選ばれていくわけです。こうやってできあがった設計を、農家さんにお知らせします。・・・普段何気なく目にされることの多い田んぼだとは思いますが、イネ がうまく育ってくれるためには、〔試験場や改良普及所、民間の農業資材 業者といった〕農業関係者のこういった栽培の工夫〔と環境対策〕 が活か されているんですよ。 さあ、 植え付けのシーズン の 始まりです。「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」
Jun 13, 2018
最盛期を迎えたコシのイネ刈り。3月のおわりに田植えが終了した、早期コシヒカリ作。いま7月後半の時期となり、問われるたびに “イナ穂についたモミのうち8割が黄化したら収穫適期” “はやすぎると未熟米、遅れると胴割れがでますからね”と、農家さんからの質問に対して、毎年まい年まるで呪文のように繰り返している早期コシヒカリ作のイネ刈りが、今週末の7月24日ころから本格的にはじまっています。 映像は・・・植え付け前と 5月はじめの調節肥料の時期、そして 6月の穂肥の時期に、イナ作部会といっしょに 集落全体での現地講習会を開催させてもらっている 宮崎県高鍋地区中鶴の水田のようす。4月から7月にかけての収穫期間のうちに、一度も台風の影響を受けなかったという[驚くべきことに昨年と同様に]数10年に一度でもあるかないか という絶好の稀少[まれ]な気象条件が2年つづいたなかで 順調にイネ刈り作業はすすんでおります。しっかり穂肥と実肥を効かせた水田のイネの穂数と充実ぶりは、病気の少なさとあいまって、平年以上の収量と質を確保できそうです。 → ひどかった一昨年作については こちら。 それにしてもの、この台風来襲の なさ。“台風が来ない まま収穫できる”という気象条件は、南九州人にとっては プレミアリーグのレスター並みのジャイアントキリングが 2年つづいたみたいな、まったく信じられない夢みたいな 出来事。。 「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Aug 1, 2017
美味しいおコメを収穫するために。4月中旬になって早期水稲の田植えがおおかた終了した南九州における、これからの生育管理のはなしとなります。 ↓田んぼの栄養状態は 一枚一枚ちがいます。肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土質の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては 田んぼとよばれます。そんな田んぼを新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家や、サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつくられる。日照りの年や、台風の多い年や、天候が順調な年、そして不順な年にも つくられる。そういう意味では、同じ田で同じ人が作るからとはいっても、田んぼでのイネつくりって、じつに千差万別の世界なんです。しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手、そしていろいろな気象のなかにあっても、作られるイネは正直です。だれがどう作ろうと、育てられるイネの姿には土の栄養状態がはっきりとでる。イネは正直者なのです。その栄養状態による診断と対策ですが、イネの姿をみたときにやせた栄養状態のときはとり立てて心配いりません。栄養が足りないときには、生育に合わせてすこしづつ肥料をやっていきさえすればよいのですから。むしろ心配しなければならないのは、イネが肥満してきたとき。そう、田んぼの土が肥えすぎている場合なのです。[よくありがちな]田んぼが肥える原因となるのは、たとえば ■ 裏作にキャベツやハクサイなどが作られている田んぼ ■ 家畜ふん尿に由来するたい肥が必要以上にいれられた田んぼ ■ 田に作っていた牧草などをすきこんだ直後に田植えしたとき ■ 田に作られていた作物が安値から生産調整され、すきこまれたとき ■ 田植え直前に生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたときなどといったケースがありますが、こういった場合に注意が必要になるのです。なぜ注意が必要になるのかですが・・・イネが、田んぼ全体の養分が過剰となった田や、チッソやカリなどの一部の養分だけが異常に蓄積している田んぼに植えつけられると、 ■ 稲がイモチ病などの病害にかかりやすくなる ■ イネの背丈がずんずん高くなり、収穫前に倒れてしまいがちになる ■ 穂が成熟する前に倒れると、穂が熟れない ■ 収穫の時期が遅れる ■ 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなってしまうといった不都合が、稲の生育しているうちに起こりやすくなるからなのです。そういった不都合を解消し、おいしいお米をたくさん同時に収穫するために、いれる肥料の種類を調整したり、田植えするイネの絶対[本]数を減らしたり、生育中の水の管理を徹底したり、イネに当たる日光の量を増やすといった、イネの生育のお手伝いをしていく[栽培する]わけですが・・・育っていくイネの姿には、そういった努力の効果もきちんきちんと反映されていくのですから、 イネというのはほんとに正直者だなぁと、つくづく思わされるんですよね、イネつくりの現場に携わっていると。ということで今回は、田の土の状態や作り手の努力は、育てられるイネの姿に反映される[イネは正直もの]。だから美味しいおコメをたくさん同時に収穫するためには、まずは それぞれの水田に合わせた土づくりをし、田植えした後は 育つイネをよくよく観察して適せん対応していこうというおはなしでした。 → 参考として・実際のハウスにおける土壌改良例。 イネには節があります。その節の長さなどからでも、その時のイネ の生育状態がわかったりもします。そういった意味では、昨年や一 作年といった過去のイナ株は、貴重な生育の記録資料となりえます。 たとえていえば、イナ株はある種のタイムレコーダー。ともいえそ うです。「夢で終らせない農業起業」 「本当は危ない有機野菜」
Apr 15, 2017
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