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茂松 is 『☆Color★』
小説(SHIGERIさんから)
「空想幻想物語~Since2004.5.4~」4,100番目というキリ番を踏んだで賞?プレゼント 推理小説
人間はどうして周りを破滅させるまでするのか・・・?木を切って、そこに建物を建てたり、海を埋め立てたり。動物、植物を殺し。人間は生きるためにいろんなものを犠牲にする・・・。時に人間は自分の生命を守るためなどに他の人間の生命を奪う。そう・・・殺すのだ・・・。
1.
「ねぇ、侑斗?」
「・・・ん?」
横にいる一人の女性が僕の名前を呼ぶ。僕の名前は加山侑斗。大学四年生だ。僕の名前を呼ぶ女性は船津ひかり。僕とは単なる幼馴染で友達だ。決して彼女ではない。今、バスに乗って移動中なのである。
「肩に虫がついているわよ?」
「うわぁぁぁぁ!」
ひかりの言葉どおり自分の肩を見ると虫がついていた。僕は叫んで振り払った。その虫はゆっくりと下に落ちていった。僕は周りのほうに視線を移した。みんなが僕をギロリとにらみつけてくる。僕は頭を下げた。
「あぁ、侑斗が虫を殺した。“バス密室殺虫事件”って言う小説書いたら?」
「えっ・・・。書きたくないよ」
僕は小さいころからよく、ミステリーの話を書くのが好きだった。それは、今でも続いており、書いた作品は一〇〇を突破した。ちゃんと読者もいる。が、しかし、作者の僕よりも小説の中に出てくる主人公がかなりの人気だ。「木更津皓一」と言うのが主人公だ。
「えー!いいと思ったのになぁ。皓一シリーズの一つにしたら、さらに読者が増えるんじゃない?」
ひかりは笑っていた。ひかりも僕よりも皓一がいいと言っている。
しかし、よく考えてみると、作者よりも作品の中の人、架空の人物が人気と言うのはよくあることだ。コナン・ドイルよりも、シャーロック・ホームズが人気だし、横溝正史よりも金田一耕助、アガサ・クリスティよりもエルキュール・ポワロ・・・。どうせなら、エラリー・クイーンや有栖川有栖のように同じ名前にすればよかったと後悔している。
そして、僕とひかりはバスから降りた。
2.
そもそも、僕たちはどこに行っているのかと言うと、何らかの屋敷に行っているのだ。じつは、歓迎会に招待されたのだ。何の歓迎会だったっけ・・・。僕はすっかり忘れてしまっていた。ひかりに聞けば・・・
“侑・・・斗・・・・・・・”
僕はビックリした。周りを見渡す。女性が僕の名前を呼んだ。ひかりが言ったのだろうか。
「どうしたの?侑斗」
「ううん。何でもない・・・」
僕は再度周りを見渡した。幻聴だったのだろうか。そうだとしたら、僕は幻聴を初めて聞いたことになる。
「ひかりちゃんに侑斗じゃねぇか!久々だな~!」
「あら、香川くん」
僕はひかりの方を見た。香川敏郎がいた。こっちにやってくる。
「侑斗っ!大人らしくなったなぁ~。で、ひかりちゃんとは付き合っているのか?」
「何言っているんだよ?誰が付き合っているって言った?し、しかし、何で敏郎がここにいるのさ?」
「ああ、侑斗には歓迎会と伝えていたから無理もないか。いやな、本当は同窓会なんだよ。つっても、数人の、な!」
敏郎が笑いながらそう言った。つまり僕は同窓会に参加しているわけか・・・。
「じゃあ、どうして僕には歓迎会って言っていたんだよ~?」
「いやいや、すまん。まぁ、どうして偽っていたのかは語りたくねぇから許してくれ。・・・じゃあ、ひかりちゃんも屋敷の中に入るか?」
そして、僕たちは屋敷の中に入っていった。これが、悲しい物語の始まりだった。
3.
屋敷はとても広かった。造りは和風で、大きい庭園がある。昔、誰かが住んでいたのだが、引っ越したらしい。敏郎がそう教えてくれた。
「じゃあ、この屋敷の持ち主は敏郎なのか?」
「いや、この屋敷はひかりちゃんのものさ。同窓会の主催もひかりちゃんだしさ。俺は知っていたけど、侑斗は知らなかったみたいだな」
僕はひかりを見た。気付かなかった。てっきりひかりは、参加者に見えてしまったからだ。
「侑斗、ビックリしたでしょ?私、こういった家が大好きでね。ローンで買っちゃった!」
ひかりはニッコリと笑った。それにしてもお金持ちだなぁ・・・。
「ひかり~ぃ!侑斗くんも!!」
僕はその言葉が聞こえた方を見た。
「えっ・・・も、もしかして、大石さん?」
「うわぁ、覚えていてくれたの?嬉しいわ!!」
小学三年生の時、親の都合で引っ越してきた、大石奈津季さん。引っ越してきたばかりのとき、僕の隣の席だったのだ。そのことしか覚えておらず、あとの大石さんとの思い出は僕の頭には残っていなかった。
「小学五年のころ、運動会で一緒に障害物競走をやったのを覚えてる?」
「えっ・・・。う、うん・・・」
どんな障害物競走だったのかは、よく覚えているが、大石さんと一緒だったと言うのは、申し訳ないが記憶にない。
ずっと考えていた。何故かこの同窓会は宿泊付きだ。ひかりのことだ、肝試しか何かをするのだろう。でも、今の季節は冬だ・・・。あり得ない・・・。
そして、僕は、自分が寝泊りする部屋にやってきた。道具を置く。たたみの部屋だ。僕はたたみの上に寝転がった。少し仮眠を取ることにした。
4.
“侑斗・・・ゆ・・うと・・・あなたは・・・どうして・・ここにいるの?・・・”
夢の中で誰かが話しかけてくる。さっきの声と同じだ。顔は前髪で見えないが、女性ってことは声などでよく分かる。でも見たことがある気がする。
「どうしてって・・・」
“侑斗・・・あなただけは、生きのびて・・・ほしい・・・”
「い、生きのびる・・・?どういうことだ?・・それにあんたは何者なんだ?」
そこで目が覚めた。
「侑斗・・?」
視界の中にひかりが写っていた。僕は身体を起こした。
「ひかり・・・。どうした?」
「ううん。ただ、部屋からなかなか出てこなかったから何かあったのかなぁって」
「ごめんごめん」
「ううん。いいのよ!さっ、談話室に行きましょ!もう皆集まっているわ」
そして、僕とひかりは談話室にやってきた。
「おーい!侑斗とひかりちゃんのご入場だぜー!」
敏郎がそう言うと、さっきまで窓のほうに身体を向けていた、髪の長い女性はゆっくりとこっちを向いた。
「新堂さん・・・?」
「お久しぶりね。加山くん」
小学六年生のとき同じクラスで、よく盛り上がるほど話していた、新堂恵さんだった。とてもキレイになっている。もともとから、お嬢様のイメージだったが、さらに増している。
「さっ、食事にしましょうか」
ひかりがそう言った。大石奈津季さん、香川敏郎、船津ひかり、新堂恵さん、そして僕、加山侑斗の五人が席についた。
食事はひかりの手作りだそうだ。コーンスープにサイコロステーキ。まるで洋食レストランで食事をしている気分だ。とてもおいしい。
「侑斗・・・。おいしい?」
「ああ、もちろん!すごくおいしい」
「そう。よかった・・・」
ひかりは何か静かな感じだった。
「そう言えば、古川里恵って覚えているか?」
敏郎のその言葉にさっきまでにぎやかだったのが一気に吹っ飛んだ。
「里恵ちゃん・・・。覚えているわ」
ひかりがそう言う。
「何か、事故で死んじゃったって、小学校卒業してすぐにニュースで知ったわ。かわいそうに・・・」
大石さんがそう言う。
「本当に、“かわいそう”とか思っているのかよ」
敏郎のその言葉に大石さんは、顔を真っ赤にした。
「何よ!思ってるわよっ!!たとえ過去に『いじめ』てたことがあっても!!」
「『いじめ』た・・・?奈津季、里恵ちゃんを『いじめ』てたの?」
新堂さんが大石さんにそう聞いている。
「え・・・えぇ・・・。あまりにも暗い子で、よく『いじめ』てた・・・。そう言えば恵ちゃんも、敏郎くん、侑斗くん、ひかりも『いじめ』てたんじゃないの?・・・ひかりだって、里恵ちゃんのノートを机から取って持ち去ったり・・・」
「違うわ!あれは・・あれはっ・・・」
ひかりはそれ以上口に出さず、走って談話室を出て行った。
「ひかりっっ・・・」
僕はひかりの後を追った。
5.
「ひかり・・・」
「・・・・・・・・」
ひかりは泣いていた。僕は部屋の前に立ち尽くしていた。
「侑斗・・・。一人にさせて」
僕は自分の部屋に行こうとしたが、談話室に戻った。
みんな黙って食事の片づけをしていた。誰一人しゃべろうとしないその部屋は、食器の音と、洗う水の音、大きな時計の秒針の音だけが静かに響いていた。僕もしゃべらなかった。
「侑斗くん・・・」
こんな沈黙が続いた中、最初に口を開いたのは、大石さんだった。僕の名前を呼ぶ。
「私、ひかりに謝りたいの。よかったらついてきてくれないかしら?」
「え、えぇ・・・」
そして、僕と大石さんは、談話室を出て、長い廊下を渡り、ひかりの部屋の前にやってきた。さっき断れたが今度は・・・と僕は考えていた。
トントン。ノックの音が静かに廊下に響き渡る。
「ひかり・・・。大石さんが謝りたいって。入ってもいいか?」
「・・・えぇ、どうぞ」
少しの間の後、ひかりの声が聞こえた。僕と大石さんはひかりの部屋に入った。しばらく長い沈黙が続いた。そしてゆっくりと大石さんの口が開く。
「ごめんなさい。あんなまで言っておいて、許せって、そんなワガママすぎるけど」
「いいえ。こっちこそ、ごめんね」
二人はニッコリと笑うと、握手を交わした。どうやら仲直りしたようだ。
「じゃあ、談話室に戻るか!」
また、談話室に戻ってきた。談話室にも明るさが戻った。皆がまた、わいわいとしゃべりだす。
「おう、仲直りしたみたいだな。でも・・・話を持ちかけたのは俺だ。本当にすまなかった」
敏郎が土下座をして僕たちに謝った。
「何言っているのよ。気にしないで!」
皆がそう言った。
みんなに笑顔がまた戻った。
「そうそう、これ新堂のお手製クッキーだぜ!侑斗たちも食えよ!めっちゃうめぇぞ!!!」
敏郎がそう言いながら、僕、大石さん、ひかりにクッキーを渡した。
「おいしい!」
ひかりがそう言った瞬間だった。
「あぁぁっ・・・あぁ~!!」
突然、大石さんは両手を首にやり、そして叫んだ。そして、床に倒れた。
「お、おい!?」
僕は大石さんの近くに寄った。脈があるかどうか調べる・・・。
「・・・死んでいる」
「そ、そんなぁ。侑斗、うそでしょ?」
「ひかり・・・。本当だよ。大石さんは死んでいる」
「クッキーに毒が入っていたんだ!!!」
敏郎がそう言った。
「違う!私じゃない!それにどうして、私と決め付けるの?敏郎くん、あなたじゃないの?」
僕は二人の喧嘩を止めようとせず、大石さんにジャンバーをかぶせた。ひかりはまた泣いていた。せっかく仲直りしたばかりなのに。
しかし、犯人はクッキーに毒を!?だったら新堂さんが犯人になる。だが、運良くどく入りのクッキーを大石さんに食べさせるのは大変だし、第一、新堂さん本人も食べていた。クッキーを渡した敏郎も考えられるが・・・。でも誰だということはまだ分からない。でも、僕ではない。本当だ。
「とにかく、この中の誰かが、犯人なのね・・・」
ひかりがそう言った。とてもさみしそうな目をしていた。
「そうだな。外部の可能性はないだろう」
僕はそう答えた。
「新堂、昔から大石にいろいろと言われていたよな?まぁ、俺もいろいろと言われていたけどよ・・・」
「おい、敏郎。何で新堂さんばかり犯人だと決め付けるんだよ?」
「あぁ?じゃあ、他に誰がいるんだ?侑斗、お前か?」
みんな黙った。
「と、とにかく警察を!!」
ひかりがそう言って、携帯を取り出す。
「け、圏外!?どうして・・・」
外を見ると、吹雪になっていた。風は荒れ、雪がたくさん降ってくる。
連絡手段を失ってしまった僕たち。閉じ込められたようなものだった。
「そう言えば、ひかりちゃん」
敏郎がひかりを呼ぶ。
「な・・何?」
「夢野は、その、まだ来ないのか?」
「いや、もう来てもおかしくないけど・・・。あぁ、侑斗。夢野みきちゃんも来ることになっているのよ」
「ああ・・・そうだったんだ」
「夢野さんも容疑者に入らないのかしら?」
新堂さんがそう言った。
「でも、どうやって毒を?」
「そうよね。自殺とかも考えられるけど。でも・・・あぁ~、分からないわ!」
ひかりは事件のことについていろいろと独り言を言っている。
「俺は寝させてもらう!」
敏郎はそう言うと、自分の部屋に行ってしまった。しかし、誰も止めようとはしなかった。
しばらく長い沈黙が続いた。
犯人はこの中にいるかもしれないのに、僕たちはそれぞれ、自分の部屋へと行ってしまったのであった・・・。
6.
俺は寝てしまっていた。本当は半分寝るつもりだったのに。
“始まってしまった・・・。とめて・・・侑斗・・・・お願い・・・・”
「お前はっ、な、何で僕の名前を知っているんだ?」
また、女性が声をかけてくる。見たことがあるのだが、思い出せない。
“私は・・・侑斗のことを・・・知っている・・・・”
ハッ!そこで、僕は飛び上がるように身体を起こした。
「侑斗?!」
「うわっ・・・。ああ、ひかりか。びっくりした。・・・どうした?」
「ごめんなさい。とても怖くて」
ひかりはそう言った。
「ううん。・・・そう言えば、ひかりは兄弟いたっけ?」
なぜその話を持ち出したのかは分からない。
「ん?何でそんなことを聞くの?」
幻聴の声の持ち主があまりにもひかりに似ているとか言えるものじゃない。
「えっ・・・。い、いやさ、僕の妹ならひかりは何度も会ってるじゃん?」
「うん。それで?」
「ひかりにもいたら、会いたいなぁって」
幼馴染なのに、ひかりの兄弟には一度も会ったことがなかった。
「・・・うん。いたんだけどね。妹が。・・・双子だったんだけど、全然似てなくって。でも、小さいころ、死んじゃった」
「ごめん・・・」
「ううん。侑斗が謝ることは何一つないのよ!ごめんね。こっちこそ、暗い話になっちゃって」
ひかりはそう言って微笑んだ。双子の妹か・・・。どんな妹だったんだろうか。でも、ひかりには、思い出したくないものを思い出しちまったな。
僕たちはしばらく黙っていた。これと言った話題がなかったんだ。
「・・・侑斗。私、部屋に戻るね。じゃ、おやすみなさい」
「うん。おやすみ」
僕は、その後、古川里恵さんのことを考えていた。彼女は物静かな子であった。だからか、みんなに『いじめ』られていた。『いじめ』たことがある人の中には、本当にこの人が?!と半信半疑になった人もいた。僕は古川さんの物を一度、破損してしまったことがある。『いじめ』られているのを助けなかったこともある。
「キャアアァァァァァァァッ!」
その時、ひかりの叫び声が聞こえた。僕は走って、ひかりの部屋へと行った。
7.
「ひかりっ!!」
「ゆ・・・侑斗・・・」
ひかりが泣き顔で僕の名前を呼んだ。僕とひかりの間に包丁が落ちていた。
「何があったんだ?」
敏郎、新堂さんもやってきた。
「と、突然、黒服で身を包んだ人がやってきて・・・・・」
ひかりは震え上がっており、これ以上言葉を発することが困難だった。
「そうか。外部もあり得る・・・のかな・・・。これは」
「俺は全く分からん。お手上げだ」
「私も」
敏郎も新堂さんもそう言った。僕も分からなかった。でも、ひかりが無事で本当によかった。
「大丈夫か?ひかり」
「・・・侑・・・・・斗・・・・」
僕はひかりのその言葉に身震いをした。・・似ている。あの声に・・・。
「侑斗、大丈夫か?侑斗?」
僕はそのまま気絶してしまった。
夢や僕の耳元でささやいてくる女性はひかりなのか?でも、ひかりとはどことなく似ているといった感じ。聞いたことがある感じだった。
“私は・・侑斗を知っている・・・・これ以上は・・・教えられない・・・・・”
また聞こえる。夢の中だろう。
「どうしてだよ?教えてくれたっていいじゃないか!!」
“それは・・・できない・・・・”
「ひかりを殺そうとした人は、大石さんを殺した人と同じ・・・なのか?」
“・・・・・・”
静まる。何も聞こえない。見えるだけだ。この女性が、静かに立っている。
“・・・・・うん”
「・・・そうか」
そして目を開けた。僕は自分の部屋に運び込まれていた。外はすっかり朝になっていた。しかし、吹雪はやめようとせず、雪ばかり降る。そして空を見上げれば、太陽が雲と雲の間に少し顔を出している。しかし、夜みたいに真っ暗で電気がないと本当に何も見えない状態だった。そう、まるでまだ夜のような気分だ。
「加山くん、大丈夫?」
「・・・新堂さん。うん、何とか。ちょっとめまいがきたみたいでさ」
新堂さんの横にはひかりがいた。
「あれ?敏郎は・・・?」
「自分の部屋にいるわよ」
ひかりがそう言った。
「え?そうなの?」
新堂さんが言う。
「うん。私、敏郎くんが部屋に入っていくのをこの目でちゃんと見たから」
「そ、そうか・・・」
僕は黙り込んでしまった。ひかりと新堂さんは何かを話していた。何を話していたかは全く分からない。ひかりとあの女性の声が似ている。僕はそれで気絶してしまった。しかし、本当に似ていた。
ブチッッ!!
「きゃあ!」
突然、停電した。太陽が出ていない、雲が厚いなどといったことで、真っ暗になった。
「私、ブレーカー見てくる!」
新堂さんは自分の携帯の照明を懐中電灯代わりにした。
「待って、私も行く」
ひかりと新堂さんはそう言うと、僕の部屋を出て行った。僕は暗闇の中、ただ一人でぼーっとしていた。こんな暗闇では何もしようがない。僕は次の小説のネタを考えることにした。
今考えているものは、以前やったことのあるゲームのように歌によって次々と殺されていくもの。しかも、この歌は本当に存在する歌を使うとして・・・。
そうこう考えているうちに、電気は再び明かりを取り戻し、部屋全体を明るくした。
「きゃああああぁぁ!!」
その時、ひかりと新堂さんの二人の叫び声が聞こえた。僕は走って、叫び声のする方へ行った。敏郎の部屋の入り口前で、ひかりと新堂さんは下を向いていた。
「ど、どうしたん・・・・」
僕は言葉を失った。敏郎が、頭から大量の血を流しながら横たわっていた。その血はたくさん流れていて、布団のシーツを真っ赤に染め、また、畳にも染み込んでいた。
「何でこんな目に!!」
「香川くん、自殺しちゃったの・・?」
突然のひかりの言葉に僕はビックリした。
「どうして、自殺と分かるんだ?」
「だって。叫び声、聞こえなかったわ。普通、背後ではなく、前から襲われそうになったら助けとかのために、叫んだりしない?・・・それに、ブレーカーの下にこれが落ちていたのよ」
ひかりはそう言うと、僕の目の前に重い道具箱を持ってきた。
「あと、すぐそばにひもがブレーカーの横にあるパイプに結んであったのよ。途中で切れていたけど」
「なるほど、そう言う事か!」
「えっ、どういうこと?」
ひかりが僕に聞いてくる。
「その道具箱のとってにひもをくくり付ける。そして片方をパイプに結び、間にろうそくを置く。そして火を点けるだろ?そのろうそくの火はひもにかかる。すると、ひもは徐々に燃えていき、そしてブレーカーの真上ところにあった道具箱は重力の関係で下に落ちる。その時、ブレーカーもついでに下に落ち、停電する」
「ふぅ~ん、加山くんの説明、わかりにくいわね・・・」
僕は説明した意味がなかったようだった。
「そんなことを言うなら、恵ちゃんが推理しなさいよ!!侑斗の説明がっ・・・」
「ひかり、そんなムキになることないだろ?僕の説明が悪いんだし」
ひかりは、何か新堂さんに対して怒っていた。
「でも、犯人は私たちの中って決めると誰もできないわ。私は船津さんと一緒にブレーカーを見に行ったし、加山くんは部屋から走って出て来た。やはり、みきちゃんが・・・?」
確かに夢野さんの可能性もあるけれど、でも本当のことは分からない。
「犯人の動機も分からない・・・」
僕はそう言った。
「とにかく、部屋にいれば、安心よね?」
新堂さんがそう言った。
「安心・・だといいけど」
ひかりがそう言う。そして、僕たちは自分の部屋に戻った。敏郎の上にはテーブルクロスみたいな大きな布をかけておいた。
8.
「ん~・・・・」
僕はずーっと考えていた。しかし、時間は待ってはくれない。刻々と過ぎていってしまう。
「大石さん、ひかり、敏郎が狙われて・・・」
僕はハッと気付き、新堂さんの部屋に走った。
「そこまでだっ!やめろ!!」
「えっ・・あっ、ふ、船津さん?」
「どうして、私がここにいるって分かったの?侑斗」
「い、いや、犯人がひかりと言うのは分からなかったけれど、次に新堂さんが狙われると感じてしまったから。・・・ひかり、どうして、どうしてだよ?」
ひかりの両手にはひもがあった。
「・・・許せなかった。皆が」
「・・・何が許せなかったの?」
新堂さんが聞く。
「あなたたちは、妹を地獄へと突き落とした」
「妹って・・・。えっ・・・」
「私には双子の妹がいたって侑斗に話したよね。その妹は・・・古川里恵なのよ」
僕と新堂さんはビックリした。
「『いじめ』られている妹を知ったのは、妹が事故と見せかけて、自殺しようとする一週間前だったわ」
「じ、自殺だったの・・・?」
「そうよ!!あなたたちが『いじめ』なければ、妹は死なずにすんだ・・・」
「でも、ひかりと古川さんの名字が・・・」
僕はそう言った。そう、船津と古川。明らかに違う。
「私たちが幼稚園に入園する前にね、両親が離婚したの。私は父に引き取られたから、そのまま船津ひかり。妹は母に引き取られて、母の旧姓名を名乗ることになった。だから、古川里恵に・・・」
「じゃあ、殺した・・・・」
「方法?・・・・奈津季ちゃんは、仲直りをしたとき、握手を交わしたでしょ?その時、手に毒を塗ってたから、それでクッキーを食べれば。私も毒におかされないようにすぐにトイレに行くフリをして手を洗ったわ。でも、間に合わないかもって思っている。たとえ少々の毒でも私の身体の中にあるかもしれないし・・・」
「じゃあ、僕に“一人にさせて”って言ったのは・・・・」
「殺す準備をしていたからね。部屋に入れるわけにはいかなかった。そして、次は侑斗、あなたを殺すつもりだった。『いじめ』てたんでしょ?」
「・・・・」
僕は黙った。そうだ、僕も『いじめ』てた。
「でも、目を覚ましちゃったからできなかった。あと一歩だったのに。そして、容疑者から外れるために、自作自演をした。そしてその後、殺したわ。香川くんをね。・・妹が大好きだった童謡のとおりに殺ったのよ!!」
「え・・・ど、童謡?」
新堂さんはそう言う。よく分かっていないようだ。
「ふるさと、か?」
「えぇ、そうよ。妹の好きな歌にちょうど当てはまるしね」
ひかりはそう口にした。
「うさぎ追いし(大石奈津季)かのやま(加山侑斗)こぶなつ(船津ひかり)りしかのかわ(香川敏郎)ゆめ(夢野みき)はいまもめぐ(新堂めぐみ)りて忘れがたきふるさと(古川里恵)・・・・悲しかった。妹が死ぬ直前まで、私と妹は誰にも内緒で交換日記をしていたの・・・」
「じゃあ、大石さんが言った、“ノートを机から取って持ち去ったり”って」
「そう。私たちは直接手渡しは避けて、机から取るようにしていたの。奈津季ちゃんにはバレかけていたのね・・・。妹は自殺する前に私にこう言ったの。“みんな、いい人だと思っていたのに。つらいね・・・”って。“小学校卒業しても、中学校でまた同じ『いじめ』が続く”って。私、妹を守ってあげられなかった。ただ、できることと言えば、妹を苦しめた人に同じ苦しみをっ・・・」
バシッッ!!その音とともにひかりは黙った。新堂さんが、ひかりの頬を叩いていた。
「それで、里恵ちゃんが喜ぶと思うの?逆に悲しむんじゃないのかしら?」
その言葉と同時にひかりの目からは、次々に涙があふれ出てきた。
「ひっく・・・ひっく・・・」
ひかりの涙は、ひかりの怒りを流した。まるで、さっきまで活発に動いていた人形が電池切れで動きが止まり、静かになったようだった。
9.
しばらくして、吹雪もおさまり、警察がやってきた。ひかりを乗せたパトカーは静かに去っていった。夢野さんの死体も発見された。雪の中に静かに埋もれていた。
「・・・船津さん、何かあんな過去があっただなんて知らなかったわ。あのブレーカーが落ちたとき、すでに敏郎くんは殺されていたのね。自分が容疑者から外れるために、わざと時間を遅らせてブレーカーを落としたんだわ」
僕は黙っていた。言葉に表すことのできないほど、悲しい気持ちだった。また、あの幻聴は、古川里恵だったかもしれない。
10.
そして、僕は大学を卒業した。何故か小説家になってしまった。デビュー作品は、木更津皓一シリーズ、「バス密室殺虫事件」だ。人気を呼んでしまっている。これはひかりに感謝しなければならない。
「先生、新作できましたかぁ?」
原稿を取りに来る有川さんが言う。月に一度、雑誌に掲載しているので毎日が忙しい。
「うん。そこに置いているやつだよ」
有川さんはどれどれ、と見ている。
「いいじゃないっすか!これ!!では、持っていきます!!」
―新作小説、「血を呼ぶ童謡」・・・。
同窓会で起こった悲しい殺人事件―
THE END
★あとがき☆
宇宙2912ちゃ~ぁん!!!4,100番目のキリ番踏んでしまったで賞、どうもおめでとうございます。心よりお祝いを申し上げますデスッ☆★今回の話はちょっと適当みたいな状態になってしまいごめんね(^_^;)「ふるさと」を持ってまいりましたのも、私の部屋にある、スケジュールカレンダーに偶然書かれてあった、「ふるさと」を見てからなのでありますヨッ。
注文なさってから一ヵ月と三日かかってしまったこと、ごめんね。
これからもよろしく。
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