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魂の叫び~響け、届け。~
PHASE4 溺れる翼
18禁と同人的要素を多分に
含んでいます。18才以下の方は引き返して下さい。
カガリスキーさんも避けた方がいいです。
腐女子(腐男子)でオトナな方は、スクロールして下さい。
間違えて読んでしまっても、苦情は一切受け付けません。
………暖かい。
何度も何度も、優しい指が髪を梳く。
飽く事無く、繰り返し。
自分はこの手を知っている――――。
■PHASE_4 溺れる翼
どんよりとした重さから少しずつ浮かび上がる感覚とともに、徐々に意識が覚醒していく。
鉛のように重い手足に力を込め、意思を以って動かそうとした時、
すぐ傍らから聞きなれた甘いテノールが響いた。
「目が覚めたか?」
だるさの残る瞼をゆっくりと持ち上げると、心配気に揺れる翡翠の双眸にぶつかる。
「…ここ…は」
「俺の家だ」
それはとてもしゃがれて、声と呼べるような物ではなかったが、
目の前の幼馴染はその問いの意を察してくれたらしい。
アスランは、寝台の脇にあるテーブルから水差しを持ち上げると、優雅な仕草でグラスに水を注ぐ。
キラはその光景に猛烈な喉の渇きを覚え起き上がろうとしたが、身体に力が入らずもどかしさに顔を顰める。
そんなキラを愉しげに見下ろすと、アスランは水の入ったグラスをあおった。
アメシストの中に宿った驚きの色に満足すると、キラの唇に己のそれを重ねる。
…熱い。
キラの口内は常よりも幾分温度が高かった。
どうやら少し発熱しているらしい。
「…っ…」
体温で少しぬるくなった水を、キラは喉を鳴らして飲み干す。
二度、三度、まるで雛鳥のように、繰り返し与えられるままに何度も。
(もう少し…。)
水分を求めておずおずと差し出された舌を絡めとリ、じっくりとその甘さを味わう。
手にしていたグラスを再びサイドテーブルに置くと、唇を離すことなく両腕をキラの細い体躯に回し、
かぶさる様にしてきつく抱き締める。
互いの熱と、吐息が混ざり合う。
嚥下する事が出来ずに溢れ出した液体は、艶かしく口元から首筋を伝い落ちシーツを濡らした。
その甘い液を追い掛けるように、アスランの熱い舌が滑っていく。
「っん…!」
突如もたらされた強い刺激に、キラはビクリと身体を強張らせ、声を上げる。
そんなキラの様子に愛しげに目を細め、しばらくの間甘い香りのする首筋を堪能すると、
鎖骨の端にうっすらと咲いている緋色の華に己の舌を這わせる。
今にも消えそうだったその緋色を強く吸い上げれば、それはより一層鮮やかな色で咲き誇った。
「ア…スランっ!」
腕の中で身じろぎするのは、大切で、愛しい宝物。
なおも身じろごうとする体をそっと抱き起こすと、腕をゆるめて寝台の上に座らせる。
『トリィ!…トリィ!!』
響く、機械音声。
それは薄暗い室内を大きく旋回すると、ゆっくりと舞い降りてキラの肩に止まる。
「トリィ…」
「メンテナンスはしておいた」
以前会った時に“最近調子が悪い”、と作り主である彼に預けた事をぼんやりと思い出す。
「…ありがとう」
「お前丸1日以上意識が無かったんだぞ。もう、じきに夜が明ける」
やんわりと責めるようなその口調に、キラは申し訳無さそうに肩を竦めた。
『トリィ…トリィ……』
竦められた肩の居心地が悪かったのだろう、再び室内を旋回すると
サイドテーブル上にあるルームランプに緑色のその羽根を休める。
「カナーバ議長宛てにメールを送ったのはキラ、お前だな?」
それは質問では無く、確認を求める声音だった。
「――――うん」
アスランはキラから身体を離して軽く嘆息すると、寝台の横にあった籐の椅子に座りなおす。
「過激派の件も、調べ上げた。大体の事情は判ったつもりだ。だが、ここまでする必要があったのか?」
俯いた顔を追うように、アスランは下から覗き込むようにしてその表情を探った。
「キラ?」
「カガリが」
ポツリと落とすような、頼りな気な、音。
「…カガリが泣くんだ」
柔らかく流れるココア色の髪を梳こうと伸ばされた指が、ふいに止まる。
「キミに会いたい、キミの声が聴きたいって、そう言って泣くんだ」
愛しい者の苦しげな呟きに、目標に触れる直前に止まった指は柔らかく握りこまれ、
自分の脇へと力なく戻された。
「アスランは平気なの?」
紫玉の瞳は鮮烈な輝きを真っ直ぐに投げかける。
「カガリを傷つけて…哀しませても平気なの?」
まだフラつく身体を必死で支えながらフローリングの床を踏みしめ、
アスランに倒れこむようにしてその両肩を掴む。
掴まれた肩が、――――熱い。
「キミは一体何を考えてるの?!」
熱で上気した頬も、扇情的に潤んだ瞳も、高い体温も、息遣いも、その全てがアスランの欲望を刺激する。
それは、誘惑。
あらゆる者を誘い、惑わせる、紫の陽炎。
頭の中で激しく警鐘が鳴り響いているような、錯覚。
「…お前の事だけを考えてる、と言ったら…?
俺の気持ちを知らなかったとは言わせないぞ!!キラっ!!」
「キミこそ僕の気持ちはどうでもいいんじゃないの?!」
アスランの肩を掴んでいた手を離し、苛立ちを押さえ込むようにして固く握り締め、唇を噛み、
その紫を攻撃的に鋭く光らせた。
「…どういう意味だ?」
「僕が何も知らないとでも思ってるの?」
怪訝そうに顎を引き、意味を推し量るようにしてアスランはキラの視線を受け止める。
「カガリを、抱いたんでしょ?」
キラは自嘲気味に口元を歪めた。
「カガリだけじゃないよね…何人も、何人も、今まで一体何人抱いたの!?」
――――数瞬の沈黙の後、くつくつと昏い笑いが低く響く。
「…そんな事を気にしていたのか」
身の内から、悦びと酷悪な感情が湧き上がる。
「ねぇキラ、それは嫉妬?」
「っ…違う!」
アスランの言葉に激しく首を左右に振れば、ココア色の髪は散々に乱れる。
「――――お前だよ」
耳朶で低く囁かれ、キラはビクリと身を竦ませた。
「みんなお前の代わりだよ。…カガリも、ね」
乱れた髪を梳こうと寄せられた掌から逃げるように、キラは一歩後退る。
「さすがに双子だ、紛い物にしては…なかなか好かったよ?」
酷薄な笑みを刻む、目前のこの男は一体誰だというのか。
自分はこんな彼は知らない、知らない、知らない、知らない――――!!
「キミは…キミはおかしい」
小刻みに震え出す身体を、止める事が出来ない。
更に一歩後退ろうとして、そこが寝台である事に気付き、唐突な戦慄に肌が粟立つ。
じわじわと背筋を這い登って来る焦燥に突き動かされるように、キラは逃げ場を探して
視線を彷徨わせた。
「もうとっくに狂ってるんだよ。お前という毒に、ね。…優しいだけの関係はもう終わりだ」
アスランはそんなキラを愉しそうに見つめ、間を詰めるように一歩前へと踏み出す。
時として、過ぎた警戒は相手の加虐心を煽り立てる。
身を震わせ、怯臆に戦慄く紫玉の輝きは、いとも簡単に狩人の理性を突き崩すのだ。
「今日は惚けないの?いつもみたいに…さ」
美しい翡翠の双眸は酩酊に揺れ、長年待ち侘びた獲物を前に昏い悦びに眇められた。
+ + +
一体…どうして…こんな事になってしまったのか。
自分はどこかで選択を間違えてしまったのだろうか…。
守りたい、と思っただけだったのに。
そこは窓1つ無く閉ざされた空間。
華奢な体躯は忙しなく浅く、早い呼吸を繰り返し、
小さなランプのオレンジ色の明かりに照らしだされたその素肌が、艶かしく泳ぐ。
紫玉の瞳からとめどなく溢れ出す雫をアスランは舌で何度も、何度も、掬う。
「…いゃ…だっ…!」
首を振り、どんなに必死で抵抗しても難なく相手に力で捻じ伏せられてしまう。
本気で暴れようとしているのに、まるで敵わない。
両の手首を一つ手にまとめて拘束され、寝台に仰向くようにしてぬいとめられる。
もがいて暴れる膝の間に、アスランはその精悍な体躯を滑り込ませ、
全身で圧し掛かるようにしてキラを組み敷いた。
キラはこれから自分が何をされようとしているのか、無意識のうちに察知し、
その美しい顔を恐怖に引き攣らせた。
「やだっ!止めて、アスランっ!こんなことっ、…嫌だっ!!」
「…キラ、じっとして」
殊更優しい声音で名を呼び、汗で額に貼りついた柔らかいココア色の髪を幾度も梳くと、
少し日に焼けたその胸元に誘われるように舌を這わせる。
丹念に舌と唇で味わい、胸の飾りを軽く噛むと短く、掠れた悲鳴が漏れた。
「もっと…聞かせて?」
言いながらも舌は執拗にキラの胸の突起を舐る。
涙に濡れながらも声を殺して抵抗を続けるキラに焦れ、アスランはその手を強引に下腹部に伸ばした。
ゆっくりと淫猥な技巧でその果実を扱けば、キラの無垢な身体はわなないて震える。
「放してっ、やだ…!っやだああ――っ!!」
唐突にもたらされた強すぎる感覚に、キラは渾身の力で身を捩って叫んだ。
匂い立つような色香とその媚態に、アスランは強い眩暈に襲われる。
「…そんなに煽るなっ」
悲鳴と共に反り返った華奢な背に腕を回すと、アスランは躊躇う事なくその果実に唇を寄せた。
感度の高い肉体は、キラの思惑とは裏腹にその強い快感に悦び、震えてしまう。
アスランは求め続けた禁断の甘さに酔い、大切に慈しむようにして執拗に舌を絡ませ、その行為に溺れた。
「……っスラ…ン…っ」
背筋を這い登って来るような快楽に全身が支配される。
もはや四肢に力など入らなくなったキラの手首を解放すると、
アスランは甘い身体の最奥へ自らの美しい指を突き入れた。
「ん…っ!」
突然訪れた痛みに、キラは身体を固くする。
「な…にっ?!や…っ…!」
「…大丈夫だから。怖がるな」
その指は意思を持って容赦なく動き、慣れない感覚が絶えず身体を攻め立てる。
「やっ…もう…離してっ!……お願…いっ!」
「我慢しなくてもいい、このまま…達って?」
舌と指で追い上げられる快感に限界を感じて固く目を瞑ると、目尻から透明な雫が一筋零れた。
「綺麗…好きだよ、キラ」
「…ん…っああぁっ!!」
アスランの囁きが甘く低く耳朶をくすぐった刹那、キラはついに限界を超えた。
キラの放ったものを開拓中の箇所に塗りこむようにして、さらに丹念にそこは解される。
その行為が意図する所は明らかだったが、
キラの視界はいまだ白く霞み、頭の芯が痺れていてうまく認識する事が出来ない。
鈍化した危機感のまま忙しない呼吸を繰り返し、ぼんやりと目の前に輝く翡翠の双眸を見上げた。
酩酊に揺れ、艶を放つ瞳の真摯な輝きに、キラは思わず息を呑む。
「キラが、好きだ」
片方の膝を肩まで抱え上げられ、突然身体の中心に圧倒的な熱量が押し込められる。
その張り詰めた質量に、キラは喉の奥で声にならない悲鳴を上げた。
「キラ…っ!」
両腕できつくキラの背を抱き締めると、アスランは出来るだけゆっくりと体を進めた。
「…っ…あああああぁぁ…っ!!」
キラは少しずつ押し入ってくる熱量に引き裂かれるような激痛を覚え、
本能のままに四肢を突っ張って痛みから逃れようとする。
「大丈夫だから…力、抜いて…?」
アスランは幼子をあやすような仕草で髪を撫でると、
再び紫玉から溢れ出した涙を吸った。
額に、頬に、まなじりに、唇に、そっと唇で触れる。
――――愛しい。
胸から溢れるこの想いには、果てが無いのか。
触れ合った肌から湧き上がるのは、ただひたすらに愛しさだけ。
昏い感情も、狂気のような執着も、今この瞬間だけは彼方に飛び去っている。
その優しい口付けにキラが全身の力を抜いた瞬間、アスランは自身の全てを一気に埋め込んだ。
アメシストの瞳を大きく見開いて、細く長い悲鳴があがる。
緩慢な動きから始まった律動は、少しずつ激しさを増していき、
痛みはすぐに甘い疼きへと変わって行った。
悲鳴を上げることしか出来なかった喉からは、甘い喘ぎが絶えず漏れ、
的確にキラの弱いところを探り当てて攻めれば、正気を失ったような嬌声が上がる。
「…イイ声…」
アスランはその翡翠を眇め、うっとりと酔う。
「もっと…鳴いて…?」
強い酩酊感に襲われながら激しく腰を打ち付ければ、それに呼応してますます嬌声は高くなる。
理性を手放したキラは揺さぶられるがままに身を任せ、熱い悦楽にその思考を溶かした。
「ん…ふっ…!」
「…く…っ」
互いに上がり切った息を詰め、身体の熱を感じるように合わさると、痺れた視界は真っ白に染まった。
…もう誰にも触らせたりはしない。
■PHASE_5 へ
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