恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

前世の追憶壱拾八


あっという間に私の脳内を駆け巡りピリッとしたような
電気に似た痛みが走る

「・・・・っ・・・夜兎」

広い広い雑木林が広がる、月さえも影を潜める闇夜
銀色の刃がキラリと光りそれを伝って紅い糸がポタポタと柄のほうに
落ちていく。
柄からするりと白い手が離れ月がうっすら姿を見せ照らしだされたその姿

《・・・私?》

青色の十二単を身に纏い手は相手の鮮血で染まり微かに震えている
刃をつきたてられた相手の顔はまぎれもなく緑青であった

「・・・梓・・・愛している・・・何万回生まれ変わろうと・・・必ずお前を手に入れる」

「・・・いっ・・・嫌!!!」

こと切れた緑青の躯を前に頭を抱え蹲る記憶の中の梓。
その悲鳴に気付き迫る影が一つ

《・・・誰?・・・まって・・・まだ》

私の声は届かず一気に映像は闇に吸い込まれていった。

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