バル対策本部  元帥の間

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二章 広がる世界と新たな悪意 第五話




沢山の恐怖と沢山の憎悪を俺にくれた


全ては仕組まれていたこと


二章 広がる世界と新たな悪意 第五話 




奴らは人を狩る


奴らは人が好き


奴らは人を知る


奴らは人を弄ぶ



「・・・・喋った?・・・モンスターが?」

「馬鹿な・・・モンスターの声が聞こえる・・・」


雷破は事態が飲み込めないようだ

いや、この状況を理解できるはずなんて・・・ない


「で、でもモンスターって事は倒せるんだよなっ?」

「そ、そうだよ!たかがモンスターだ!!こんな奴」

「速攻で射抜いてやる!びびる必要なんてないんだ!!!」


覇弓はそう言って弓を構えた

彼にもう恐れはないらしい

だがまだ・・・手が震えている



「HP満タンMP満タン気合満タン!!一気に行くよ!!!!」


「お、おい覇弓!?」


「大丈夫!見てなよ!!」


【ダブルショット】

「行っけぇええええええ!!!!!」



2本の矢は真っ黒の体を貫いたかに見えたが

矢は体の中に吸い込まれて行った

そしてそいつはまた裂けた口で笑う

耳を塞ぎたくなるほどの甲高い笑い声


「な・・・なんで?なんで!?なんで!!?」

「なめやがってぇええええええええええ!!!!」


「覇弓!やめろ!!普通じゃない・・・こいつは」


「止めるな雷破!!どっちみちやらなきゃやられるんだ!!!」

「こうなりゃ矢が無くなるまでやってやる!!!」


「悪食!ぼけっとしてないで覇弓を止めるんだ!!」

「悪食?」


奴の声だ

奴の声と同じだ

間違いない・・・俺の中から聞こえてきたあの声と

嫌だ・・・ここに居たくない・・・・・

頭がおかしくなる・・・・

息が苦しい・・・こいつを見て居たくない・・・・


【ダブルショット】

「まだまだぁあああああああ」

【ダブルショット】

【ダブルショット】


「覇弓・・・・」


どんなに矢を放っても

全て真っ黒の体に吸い込まれ

そして裂けた口で笑い続ける

だが

奴の右手が妙に震えだした

腕の形が変形している・・・

それはまるで



巨大な腕が弓に変わった

そして腕の中から黒い矢が出てきた


「お、おい・・・腕が変形!?」

「弓の形になった!?それにあの黒い矢・・・まさか」

俺達を射抜く気か!?

「覇弓!悪食!!」


「だめだよ・・・こんなの倒せない・・・・」


「覇弓・・・」

「悪食!なんでずっと黙ってるんだよ!!」


巨大な黒い弓を構え、裂けた口が不適な笑みを浮かべる

そしてその矢は

此方の口論を待たずして

無情にも放たれた


「!」

「覇弓!!避けr」



一瞬だった

矢は覇弓の頭を貫いた

覇弓はかなり後方へ吹き飛ばされていた

そして

そのまま覇弓は動かなくなっていた

目も見開いたまま

頭に突き刺さった黒い矢

死んだら町に戻れるはず

だが戻らない

覇弓からの反応もない


「は・・・覇弓?」

「おい、聞こえてるのか?」

「なんで何にも言わないんだ!!?」


地獄は始まったばかり

だが

それはある男の覚醒をも意味していた


力をくれるのか?・・・

あの時みたいな・・・体から沸き出る力を


オマエガ ノゾムナラ



あぁ、望むさ・・・また、守らなきゃいけない奴がいるんだ



カイホウシロ チカラデハナク


ココロヲ


二章 広がる世界と新たな悪意 第五話 完

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