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バル対策本部 元帥の間
四章 可愛い暴君 第三話
俺を守る翼をよこせ
死なない・・・
まだ、振りかざせる力が有る
四章 可愛い暴君 第三話
俺に力が有るなら
戦う・・・戦わねぇと・・・
こっちの世界でも誰も守れなくなっちまう!!
来い!俺に!!
敵を引き裂く爪をよこせ!!
俺を守る翼をよこせ!!!
誰かを守る力をよこせ!!!!
「恐れない・・・怯まない・・・」
「向かって来るなら・・・引き裂くまでだ!!!」
俺はもう覚悟を決めた
緋花の足手まといにはならない・・・
俺に向かってくるチェイサーは4体
勝てるか?・・・いや
勝つんだ・・・生き残るために!
悪魔を拒むな・・・
受け入れろ・・・
お前は俺だ・・・
オマエハオレダ・・・
「!!」
「あかん!!避けろ!!!!」
緋花の声で俺が気付いた時
剣に変わったチェイサーの腕が目の前に有った
俺は終わりか?
イイヤ
なら俺はどうなる
ドウモシナイ
どういうことだ
オマエハシナナイ
オレモシナナイ
緋花は見た
明らかだった
悪食が【奴ら】の剣の腕を至近距離で吹き飛ばした
間違いなく攻撃されていた距離で
緋花は確信する
「あんたの悪魔、やっと出て来よったな」
悪食の半身は鎧で覆われていて
巨大な右翼まで有り
右手には黒く禍々しい色のパルチザンが握られていた
「ハァ・・・ハァ・・・あぁ」
「お前は・・・俺だ・・・」
「
お前は俺だ!!
」
「
【ルシファー】!!!!
」
これが力だ・・・
まだ鎧は半身までしか達してないが
俺の右手に有るこの武器・・・
これで・・・あらゆる敵を薙ぎ倒す・・・か・・・
悪食から笑みがこぼれた
その瞬間、右手に握られていたパルチザンは消えていた
一瞬だった
チェイサーの胴体を貫いている一本の黒いパルチザン
ただ、投げただけ
悪食は、ただ、パルチザンを投げただけ
チェイサーは自分を貫通して壁に突き刺さったパルチザンを
必死に引き抜こうと、もがいていた
悪食は目で追えない速さでチェイサーに近付き
自分の黒いパルチザンを掴むと
「返してもらう・・・」
チェイサーの体を貫通し
壁に突き刺さってしまっているパルチザンを壁から引き抜いた
そして、チェイサーの体にまだ貫通したまま
悪食はパルチザンを思いっきり振り上げた
バックリと上半身が二つに引き裂かれたチェイサー
そのまま倒れしばらくもがいていたが
動かなくなり、黒い小さな粒になって消えた
その光景を見ていた緋花は
悪食を見て、不安を覚えていた
「・・・少し染まって来とるな・・・」
「自分の悪魔の名前も知らんかったらしいし」
「しゃぁないと言えばしゃぁないねんけど・・・」
「暴走なんかされたら厄介やなぁ・・・・」
緋花の不安を他所に悪食はパルチザンをヒュンヒュンと振り回すと
地面に突き刺し、こう言った
「・・・さっさと来い」
「殺せるもんなら殺してみろ!!!」
恐れなど無い
だって俺には
【こいつ】が居るから
不安が掻き消されていく
心地良い・・・
悪食は目を瞑り、落ち着いた口調でこう言った
「緋花・・・もしもの時は」
「俺ごと殺せ」
緋花は驚く事も無くゆっくりと頷いた
悪食はもう悪魔に逆らえなくなっている事が分かっていたから
暴走した場合、自分たちも標的になってしまうからだ
「分かっとるわ・・・ハイブリッドなんて造作も無いで」
「だから、今は手ぇ抜くな!全力で【奴ら】に向かえ!!」
悪食は緋花の言葉に笑みを見せ
残った3体のチェイサーを睨みつけた
「もう絶望は見飽きた・・・お前らも見てみるか?」
「絶望を感じて見るか?恐怖を沁みこませて見るか?」
「俺からのプレゼントだ・・・受け取って」
悪食は一体のチェイサーの真正面に一瞬で移動した
「くれるよな?」
悪食は鎧が覆ってない左手で一体のチェイサーを掴み
引き寄せざまにパルチザンをチェイサーの赤い目に勢い良く刺した
「俺の憎悪を感じろ・・・」
「全て貴様らに叩き込んでやる!!!」
悪食が叫んだ直後、チェイサーの体が膨れ上がり、爆発した
憎悪に身を任せて、憎悪だけで動く
悪食は今、完全なる悪魔になる
緋花は悪食の左半身の変化に気付いた
「え・・・白の鎧?・・・」
「なんでや・・・なんで」
「混色?・・・有り得へん・・・」
白く輝く光の鎧
悪食の左半身には、そいつが出現していた
手には白く透き通った色のパルチザンが握られている
右手に黒いパルチザン
左手に白いパルチザン
緋花は訳がわからなかった
何故悪魔を宿すPCに白い鎧が現れる?
しかも半身のみ
「これが・・・あんたの力か?・・・」
そうだ
これが
俺の、ルシファーの、力だ
大きく広がる白と黒の翼
ハイブリッドからの急激な成長
悪食は悪魔を受け入れた
悪食の周りに白と黒が織り交ざった瘴気が立ち込める
このままでは危険
緋花はそう悟った
「もう・・・限界やな」
緋花が不意を付き、悪食の背後から殴りかかろうとしていた
だが、2本のパルチザンにより防がれ
パルチザンを振り回しながら
悪食は低い声で狂ったように笑い出す
緋花は悪食が飲み込まれた事を再確認し
武器を構え直した
「気失ったんか・・・好都合かも知れんけど」
「やっぱ、まだうちには人殺しはできんわ」
「行くで!アバドン!!リミッターリリース!!!」
四章 可愛い暴君 第三話 完
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