あま野球日記@大学野球

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2007.05.09
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三遊亭円楽
その真相が雑誌『婦人公論』(4/22号)に掲載されていた。

引退を表明したのは2月25日、「国立名人会」の直後に
開かれた記者会見。

その日の演目は 「芝浜」 、有名な人情噺だ。

魚屋をやっている大酒のみのダメ亭主がある日、
目を剥くような大金が入った財布を拾う。気が大きくなった
その男は友人と豪遊するが、
「偶然にそんな大金をもったら最後、ろくなことにはならない」
と案じたおかみさん、翌朝二日酔いで目覚めた亭主に、
「そんな財布なんて知らないよ」と押し通す。

「あぁ、大金を拾ったのは夢だったか・・・」。
そう思いなおした亭主、その日からは心を入れ替え、酒を断ち
真面目に働くようになった。

(※あらすじの詳細は こちら )。

いつまでも亭主をだますことが心苦しかったおかみさん、
もうそろそろ本当のことを話してもいいだろうと思い、
大みそかの日、亭主に真実を告げる。


「芝浜」という噺、ここからクライマックスに入る。

「寒い中、天秤をかついで仕事に出かけていくあんたを
見ながら、何度本当のことをを言おうと思ったかしれないよ。
だけど、ほんとのことを言ったら、またもとのお前さんに
戻っちまう。だから、あたしは心を鬼にして嘘をつきとおし
たんだ・・・」。



この「芝浜」のもっとも大切なこの場面で、円楽師匠は
初めてのとんでもない体験をする。

「たしか、3月になったらすぐに親戚のお通夜があったな」

自身の語り口とは別に、頭の中には全く別のことが浮かんで
いる自分に気づいた。

日頃から、噺はたんにセリフを言うのではない。
登場人物たちの背景や心の機微に想像をめぐらせながら、
表現するべきだと弟子たちに伝えてきた円楽師匠。

そのもっとも感情表現をすべきこの場面で、全く違うこと
が頭の中に浮かんでいる。このことは、自分自身でまったく
許すことのできないことであり、引退を決意した真相は
どうやらこの瞬間にあったようだ。



真実を知った亭主に、おかみさんは久しぶりに酒を勧める。
はじめは拒んだが、
「うん、そうだな、じゃあ、のむとするか」と盃を手にする。
しかし次の瞬間、再び杯を置いてしまう。
「よそう・・・。また夢になるといけねぇ」。





引退を決意した円楽師匠には、「潔すぎる」と惜しむ声も
多い。

でも引退を引き延ばすことで、これまで「四天王」と呼ばれた
自身の栄光、その晩節を汚すかもしれないことが受け入れられ


まさに 「(これまでの栄光が)夢になるといけねぇ」 だ。




そういえば、同じ噺家にはご祝儀分を申告せずに「脱税」した
卑しい輩がいた。円楽師匠とは「月とスッポン」だ。

家にはご祝儀袋だけが残っており、中にあったはずの現金は
抜かれていたらしい。ひょっとしてこの噺家、現金を抜く時
「芝浜」を思い出していたのかもしれない。

「夢になるといけねぇ」 と。



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Last updated  2007.05.10 01:47:02
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