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みなさん、こんにちは。
またしてもクルマが幼稚園児に突っ込むという事故が起こってしまいました。身を挺して園児をかばった保育士さんの勇敢な行動に敬意を表し、1日も早い回復をお祈りいたします。
さて、今回の加害車両がプリウスだったことから、またぞろ「シフトパターンが悪いのではないか」という意見が出ているみたいですが、これ、間違ってますから。 詳しくは以前にも書いたので繰り返しませんが、
同じパターンを使用しているクルマは他メーカーにもたくさんあります。しかし、そういうクルマの事故が多いという話は聞きません。特に今回の事故の場合、状況を考えるとシフト操作そのものが行われていないでしょう。
プリウスが特に危険なのかというのも、 保険料率を調べてみれば、
必ずしもそうではないことがわかります(保険料率は、過去の保険適用実績=事故確率によって決まります)。対人事故の等級は「6」と、平均よりやや悪いとは言え、同じく高齢ドライバーの多いクラウンが「7」ですから、「特異に悪い」と言うことはできないと思います。
では今回の事故原因はなにかと言えば、どう考えてもブレーキとアクセルの踏み間違いとしか思えません。加害者は「アクセルを踏んだ覚えはない」と言っているそうですが、「踏み間違い」とはそういうものです。踏んだ覚えがあるなら、それは意図的な危険運転行為です。この点は、いずれイベントデータレコーダー(航空機のフライトレコーダーと同様のもので、今のクルマならほとんど付いています)の解析で明らかになるでしょう。
もうひとつ注目したい証言は、「駐車料金を支払うためにチケットを取ろうとした」ということです。これ、踏み間違いを起こす典型的な動作なんですね。通常の運転操作とは違う体の動きになりますから、腰の位置がズレて、足とペダルの位置関係が、無意識のうちに変わってしまうのです。これでブレーキを踏む力が弱まれば、クルマはクリープで動き出し、ビックリして踏み直したらアクセルペダルだった、というのが、踏み間違い事故の典型的なパターンです(神戸のバス事故はたぶんコレです)。
このように、直接的な事故原因はドライバーの不注意にありますが、コインパーキングの料金決済システムが、クルマに乗り込む前にできるようになっていたら(停止板昇降方式)、起こらなかった事故ではないかと思いますので、可能ならこの部分の改修もしたほうがいいでしょう。
それからもう1点。今回も、誤発進防止装置や自動ブレーキ装置は作動しなかったようです。
(最終的に人を検知して作動したけれど間に合わなかった、という可能性は担保しておきますが)
このタイプのプリウスは、前期型に「トヨタセーフティセンスP」後期型に「トヨタセーフティセンス」の新世代版が付いており、いずれも誤発進抑止機能(パーキングブレーキサポート)が付いています。しかしこれは、超音波センサーを使って障害物を検知する方式なので、検知距離はせいぜい3mぐらい。コインパーキングの出口には障害物はありませんし、 道路の反対側のポールまでも3m以上あったみたい
ですから、作動しないのは「仕様」です。
ならばレーダー&カメラ式の緊急自動ブレーキ(プリクラッシュブレーキ)はどうなのだ? と言えば、前方の障害物は背の低いポールとレーダー波を反射しにくい金網ですから、これもレーダーやカメラでは検知/識別するのが困難な物体です。トヨタの取扱説明書にも、ちゃんとその旨が書いてあります。特に、「ドライバーがアクセルを全開にしたりハンドルを切ったりすると解除になる」旨も書いてありますから、これも装置の欠陥ではなく「仕様」です。
ということで、みなさんも停止中に「普段と違う動き」をするようなケースでは、シフトは必ず「N」か「P」に入れ、パーキングブレーキを引くことを強くお勧めしておきます。特に体格の小柄なかたは、ペダルから足が離れやすいので注意して下さい(この事故のドライバーの身長がどれくらいだったのかも、興味のあるところです)。
プリウスの「取扱書」より転載↓

