真夏の果実

旅日記 第2部


エクスマウスへの移動の飛行機はとても小さかった。
揺れる・・・揺れる・・・揺れる・・・
エクスマウスの空港はだだっ広い赤土の上に
小さな建物が建っているだけのものだった。

空港で日本人のカップルに出会った。
彼のことを思い出し「2人一緒でいいな~」と思った。
オーストラリアの田舎で日本人に会えたのがなんだか嬉しく、挨拶した。

エクスマウスに来た目的はDIVING。
ここはジンベイザメをはじめ超大物がわんさかいるポイントだ。
この時、私はAOWのライセンスを持っていなかったので
ナイトダイブには参加せず、居残り組一同と大富豪に精を出していた。
「風強いけどみんな大丈夫かな~?」

夜遅くになってもナイトダイブに出かけた仲間は帰ってこなかった。
心配した居残りメンバーが何度もDIVEショップに出かけて状況説明を求めた。
何時間も経って、ナイトダイブ参加メンバーが帰ってきた。
みんな真っ青な顔。衰弱していた。

サークルメンバーの他に
空港で出会ったカップルもナイトダイブに参加したらしい。
強風の中、海へ入ったものの危険を感じて浮上したがボートが流されていた。
あまりの波に酔いながらも 浮上したみんなは輪を作り、一緒にいたそうだ。
カップルの女の子も一緒に浮上したらしいが 
潜行する姿を見たかもしれないとのこと。
結局のところ彼女は行方不明になった。

DIVINGの常識から考えると、
いくら波が大きくても そんな時に潜行するなんて全くの非常識。
どんなことがあっても浮上が第一条件だ。
そしてバディを確認するのも忘れてはならない。

夜は視野も狭く、波も大きすぎるということで早朝からの捜索になった。
捜索後、最悪の結果を聞くことになった。

日本を出国して6日目。
日本にもニュースが伝わるだろうとの判断でそれぞれ即国際電話をかけた。
自分は大丈夫だからと家族に報告した。

サークルメンバーで話し合い、エクスマウスでのDIVINGは中止することにした。
すぐにでもパースに戻りたかったが人数も多く、飛行機のチケットが取れない。
もともとのスケージュールで動くしかなかった。
次の日からは快晴だったけれど とても潜る気分にはなれなかった。
バーベキューやウミガメ探し、海水浴をして 毎日を過ごした。
あらためて自然の恐ろしさ、
DIVINGは自己管理がとても必要なスポーツだということを痛感した事件であった。


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