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学生時代の友人が、以前こんなことを言っていました。
「東京に就職したばかりの頃よく道を尋ねられて、でもわたしだって東京に出てきたばかりでしょ。
一緒になってうろうろ歩きまわって困ってるだけだったんだよね。」
やがて東京の街に慣れ、
「よし。もう何を尋ねられても教えてあげられるぞ!」
そう思った頃にはなぜか道を聞かれることがなくなってしまったのだとか。
「東京の人のような表情になってしまったのかな。」
.......そういうことあるんでしょうか。
道はよく聞かれます、わたしも。
見るからに「田舎のおばさん」ですもん、きっと尋ねやすいのでしょうね。
3年ほど前の話になりますが.......
池袋駅で、自動券売機の前で苦悩している外国人(おじさん)を見ました。
「なんか困ってるみたい。早く(わたしではない)誰かに聞けばいいのに。」
そう思いながらなるべく目立たないようにコソコソと2つほど離れた券売機にお金を入れていると
「スミマセ~ン」
え?誰??わたし???
周りに学生風の人たちがいっぱいいるじゃないの~ よりによって、ウン十年前に英語を習ったおばさんに聞くか.....
あきらめておじさんの券売機を覗くと、どこに行くのかわからないけれど料金が不足しているようです。
「この機械は『お金が足りない』って言ってるんだけど......」
「あ~.....『キャンセル』」
そのくらいなら、わたしにもできますとも。切符を取り消して戻ってきたお金を渡しながら
「どこに行くの?」
「シンジュク」
そうだ、行き先を聞くほうが先だったわ。落ち着いて。
新宿までの切符を購入して渡したら、おじさんはお礼を言ってとすたすたと行ってしまった。
ひとりで新宿に行けるのかな~ 大丈夫かな~ どこに行ったんだろう、と探すと
居たのは案内所。 なのかな?あそこ。
何人もが並んでる後ろにおとなしく立っている。 ああ、もう.......
列に素っ飛んで行って
「新宿に行くんでしょ?一緒に電車に乗ろう。」
「アナタもシンジュク行くの?」
「いや、わたしは渋谷。新宿はその途中にある駅。」
中学生並みの英語でも通じるのは多分、このおじさんの母国語は英語だからだろう。
と思いながら一緒に電車に乗った。
新宿で降りるおじさんに「良い旅行を」と声をかけると一旦降りた電車にまた乗り込んできて
「アナタも」と言ってから降りて行った。
.........日本人は忙しいんだから。
停車時間だって短いんだからね、乗り込んだりしたら発車しちゃうかもしれないのに。
そう思いながら、なにかちょっとだけおじさんのひとことが嬉しかったりして。