ねこねここねこ

残暑の返事

   残暑の返事

くすのきの梢のあたりで
地虫がじぃーっと、息をすいこむような
こんやは雨月
平成の大修理ならぬ
わが家の小改築は
七月からえんえん
とうとう九月の雨雲に突入
秋がふかまりましたら
どうぞ、お遊びにおでかけ下さいと
残暑の返事をかく
そよとも風ふかぬ雨後の食卓
中年夫婦、かくべつな会話もなく
じっと雨月をみて
ときどき
箸でつつく
死生観
これ
すべてペンキ塗りたて
ドアのあけたてのようなもの
なによりも注意が肝要
おかげで、ぼくは五キロもやせ
ネコはますます固太りして
ちろっと舌をだして
ねむりながら
すでに秋草のバッタを追いかけにいったのか
そこにいるようで遠くにみえます
ところで、みえないが
在るものを
きみは何にみているだろうか
たとえば
そこなしの雨月の闇などに


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