読みだしたら面白くなってつい夜更かしして朝4時までかけて読んでしまいました。
前半のある個所では「うーんこれはすごい」とのめりこんだ部分がありました。
しかし後半は色々な有名人や著者の知人を例に挙げて持論を述べているので「井戸端会議みたい」とおかしくなりました。最後までくると何だか疲れてきて、様々な事象を「自己愛的」という観点から語るのは無理があるのでは?
と思いました。
例えば巻きずしを、中の具の干瓢だけを外して巻きずし全体を語るような物です。例えが変ですけど。干瓢は具の一種。それが主人公にはなり得ないだろうと。
精神医学の世界では昔から「自己愛パーソナリティ」についての議論がされてきて、「厚皮型」と「薄皮型」があるそうです。つまり面の皮が厚い、厚顔無恥タイプと、とても傷つき易い、デリケートな自分を守るタイプの自己愛者のようです。
厚皮型の特徴は、これが面白いのですが次のような特徴があります。
〇自分が重要な存在だという誇大な感覚がある
〇限りない成功、権力、才気、非、愛の空想に捕らわれている
〇自分が特別な存在だと信じている
〇過剰な賛美を求める
〇特権意識
〇対人関係で他人を不当に利用する
〇共感の欠如
〇他人への嫉妬
〇尊大で傲慢な行動と態度
もうこれだけでまざまざと誰かを思い描きました。いますね、こういう人。
更に簡潔にすると、厚皮型の自己愛パーソナリティはこうです。
△他の人の反応に気付かない
△傲慢で攻撃的
△自分に夢中である
△自分は注目の的だと信じている
△送信機はあるが受信機がない(笑)
これはもう人格障害の気がしますが‥
そしてこの「厚皮型」と正反対の「薄皮型」は、「過剰な自意識で自分を守る」タイプです。
読み進むうちに厚皮型の方は急になるわけではなく、以前薄皮型だったのに、急に権力や絶大な人気などを獲得した途端に変わってしまう場合があるようです。
覚醒して、変貌してしまうのですね。
本の中では元都知事の猪瀬さんなどを挙げていました。
男の人は、そもそも脳梁が短いので、コミュニケーションが下手なそうです。なのに生存本能の強さと競争の激しさから、このようになることがあると言うのですね。この考察は面白かったです。
のめりこんで読んでしまったのは元々自分にそれに関した問題意識があるからでしょう。非常にスカッとしました。
また自己愛パーソナリティはサイコパスと結びつけて考えられてもいます。
本では木嶋香苗を例にしています。
この人は何人もの交際相手を練炭自殺に見せかけて殺した殺人鬼です。
見た目は太っていて美人でもないのに、裁判で現れた姿に皆が魅了されるそうです。
物腰が上品できれいだとか。彼女は人を殺した事の反省はまったくなく、世の女性が怠慢だと批判したり、自分の性的魅力を滔々と語るそうです。
不思議なことに男性がファンになってしまうらしいのです。
怖ろしいですね…
米倉涼子が何度かこの本に出てきます。多分著者はこの人を好きなのでしょう。
女医についての考察もしています。女医もまた自己愛の強い人が多いと。彼女たちは白衣をはだけて着ていたりします。
気崩すのは「偉そうでナルシステックな雰囲気作りをすることで男性医師との差別化をしている」とか。笑えます。
長くなりますが、最後に興味深かったことを挙げます。
昔学生運動をして、一時あれだけ過激でナルシステックな活動をした団塊の世代に今精神科医をしている人たちがいます。
その人たちは学生運動をしてこなかった人たちと一線を画しているのだそうです。
とても穏やかで、患者を人間として敬意をもって接している、温かい人たちだと言うのです。これは驚きました。
少しでも興味を持った人はぜひ読んでみてください。きっと私のように、時間を忘れて明け方まで読むことになるはずです。
「なぜ日本人は、こんな働いているのにお… 2021.02.08
「アメリカ白人が少数派になる日」 2020.12.16
「気まずくならない!自己主張のしかた」 2020.11.19
PR
キーワードサーチ
カレンダー
コメント新着
フリーページ