太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2006.12.01
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カテゴリ: アラカルト
「あと5年したら桜前線を追いかける旅をしよう」
と40代の後半に約束した。あと五年という設定に特別な意味はなく、それは「いつかはきっと」と同意語であり、5年もすれば今よりもゆっくりと暮らしているだろうという強い願望でもあった。
ところが、5年たった今、その友はもういない。その友は病院のベッドで、
「もう少ししてからでも、十分間に合うと思っていた。だから、したいことを後回しにしてきた。『いつかはきっと』と」とつぶやいたことがあった・・・。
そう作家の落合恵子さんがエッセイに書いてみえた。

子供のころ、「いつかはきっと」「大人になったらきっと」をポケットに一杯隠し持っていました。それは同時に、貧しい今日を明日につなぐはずみでもありました。
そして、大人になってからも、たくさんの「いつかはきっと」がありました。
そうやって、「今、したいこと」を我慢し、目の前の現実に対処してきました。
そして、いつの間にか人生の黄昏に臨んでいるのが私たちの年代です。


奥さんは、結婚以来の我が家の大きな出来事を思い出すためにとアルバムを持って行きました。食後アルバムを繰っていた奥さんが突然、
「気がついてみると、夫婦二人の写真がない。毎年、郷里に帰る以外はどこにも旅行もせず、何も美味しいものを食べることもなしに今日に至った」
と言って泣き出したそうです。

家を建てるため、子供の教育のため、子供の結婚資金のため、それが済んだころには老後のためにと、いつも何かに追われ、楽しみは先に延ばして働き、始末し続けてきました。そんな思いのサラリーマンの方は多いはずです。

先憂後楽の思想は、貧しかったころからの日本の伝統的な思想でした。
でも、人生には「いま」しかなく、「いま」の連続が人生そのものです。
「今、ここ」を楽しまないで、何時楽しむことができるのでしょうか?
ある年齢になったら、一番好きなものを最後まで取っておくなんてしないで、「後はどうにでもなる」と達観して、「今、したいこと」を今やり、「今、ここ」を楽しむに限ります。





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Last updated  2006.12.01 05:38:23
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