法喜が語る

法喜が語る

入国編


 しかし私は帰国の航空券を持たずに入国しなくてはいけなかった。
そもそもシンガポールの空港は、長髪の男なども以前は入国が出来ないほど厳しい空港だった。何故私が航空券を持たずに入国しなくてはいけなかったかを説明しよう。
 シンガポール航空で行くツアーでトルコに両親と行くのと、個人でタイに行く日にちが近かったので、だったら日本に帰国しないでそのままシンガポールから陸路で移動したほうが楽しいし、時間とお金の節約になるかと思ったからだ。
 そんなわけで私はツアーの帰りに、飛行機の乗換えで寄るシンガポールでツアーから離れた。いちかばちかの賭けであった。もし入国を拒否されれば、強制的に日本に送り返される。なんせ俺はシンガポールでツアーから離れたら、日本帰国の航空券をもっていないのである。予定ではシンガポールからバスを乗り継いでバンコクまで行き、ワットポーでマッサージスクールに行く事になっている。その後の計画は、タイから直接日本に帰るか、陸路でカンボジア、ベトナム、中国をとおり香港から飛行機に乗るか未定だった。結局は後者のルートで帰ってきたのだが。香港に着いて3日後の航空券をゲットして無事帰国した。
 いや無事に帰国はしていなかった。なんせ予定より帰国が遅れて、バイトを休んでしまうは両親は警察に届けそうになるはで大変な事になっていたのだが。
 とにかくタイへ行くにもシンガポールを無事に入国しなくてはいけない。ツアーに紛れて入国審査をしようか、人の多い列に並ぶか、人の良さそうなところか、いいかげんそうな人のところにするか、迷いはしたが、普通にどきどきしながら入国はあっけなく完了した。
 その日シンガポールは休みで、どこの店も閉まっていたので、素通りしてマレーシアに行く事に。 


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: