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2.救い -3
僕たちは、それからよく話をするようになった。
話してみると彼女、加奈子さんは、いつも明るく、口数も多かった。とてもおしゃべりで、きっと前までは友達もたくさんいたのだろう。
しかし、彼女の心の底には一人の男性のことを思う、冷たくて大きな塊が沈んでいる・・。
話をするようになってからすぐに、僕達は加奈子さんが誰を待っているのかという話をした。待ち合わせをしていた相手のことを。
僕達が話をしていると、自然とその方向へと話が流れていってしまうことがある。僕は、意識してその話を避けようとはしているのだけれど・・。
「彼が、もう来ないってことはわかってるんだけどね・・。自分でも、いつまでもこのままじゃいけないってわかってる。彼のことは忘れて自分の人生を生きなきゃって。」
加奈子さんは努めて明るい口調でそう言った。
「けど・・・ダメなのよね。日曜日になると、家の中でじっとしていられない。この広場に来て彼の姿を探してしまうの・・。今だって、彼と雰囲気の似てる人が居ると、はっとして見てしまうことがある。でも良く見ると全然違って、そうだよなぁ、彼がいるわけないもんなぁって・・。」
僕はなんて答えていいのかわからず、ただ聞いているだけだった。
「・・お休みだって思うの。心のお休み。楽観しすぎかもしれないけど、時間がたてば解決するような気がしてるのよね。いつか、彼のことを忘れられたら、ここに来なくても良くなると思う。それまでは、ここに来ることもしかたないって。彼のことを想いながら彼を待つってことで、自分の心を休めているのよ。」
・・それは違う。僕は思った。いつまでもここに来ていたら、彼を忘れることなんてできないんじゃないか。
・・しかし、それを口に出して言うことは出来なかった。僕は、まだ彼女の生き方に干渉できる立場では無いから・・・。
・・・その日は、雨だった。
僕がバイトをしている雑貨店も、雨降りの日にはあまり人はこない。手持ち無沙汰な僕は、駅前の広場を眺めていた。いつもは待ち合わせの人々で一杯の駅前の広場も、その日は人影がまばらだった。
その時、僕は広場の端のほうから大時計に向かって歩く人影を見つけた。
加奈子さんは雨の中、いつも加奈子さんが広場にやってくるその時間に、傘もささずに歩いてきた。
そして、いつものようにベンチに座った。まるで天気など関係無いかのように。いつものように。
僕は傘を持って店を飛び出し、急いで彼女の元に走った。
「加奈子さん、何やってるんですか!」
「・・大野君・・・」
「こんなに雨が降ってるんだから傘くらい差さなきゃ・・・・」
僕はそう言いながら加奈子さんが雨にあたらないように、傘を差し出した。
「こんなにびしょ濡れになって、・・風邪引きますよ・・」
僕はポケットからハンカチを取り出した。加奈子さんは、差し出されたハンカチを僕の手から素直に受け取った。
その時、僕は気づいた。彼女の目に、雨とは違う水滴が溢れ出しているのを・・。
「・・加奈子さん?」
「・・ごめんなさい・・・。なんだか、いつも大野君に迷惑かけちゃってて・・。」
「そんなこと・・。どうしたんですか・・?」
「ちょうど、今日みたいな雨の日だったの・・・。私が彼と待ち合わせをしていた日。・・彼が、来なかった日・・・」
搾り出すような声でそう言った彼女は、そのまま泣き崩れた。
僕は、何も言葉を発することが出来ずに、ただ彼女の上に傘を差すことしかできなかった。傘から流れ落ちてくる雫が、僕の真上に落ちて髪を濡らしていたけれど、それも気にすることはなかった。
ただ僕は、彼女に雨が当たらないように、立っていることしか出来なかった。
・・・その日は、とうとう日が暮れる時間まで、僕はただ立ち尽くし、加奈子さんの上に傘を差していた。
僕は加奈子さんを見送ってから、バイトを無断で抜け出してしまったことに気づいた。そしておそるおそる店の中に入って行った。
怒られるだろうかと思っていたが、雑貨屋の店長は広場に居る僕を見ていたらしい。ただ「雨だと客は少ないから大丈夫だ」とだけ言い、商品のバスタオルを僕に渡してくれた。
店長の優しさを、素直にありがたいと思った。
次の日、僕は熱を出した。
あれだけ雨にあたっていたのだから当然だろう。
熱でぼーっとした頭で、僕は彼女のことを考えていた。どうしたら彼女を、加奈子さんを救うことが出来るだろうかと。
僕にはもう、彼女に踏み込むことへの躊躇いは無かった。加奈子さんのためならどんなことだってできるという、そんな気持ちになっていた。
・・僕の迷いは消えた。
次の日曜日、いつものように広場にきた加奈子さんに話し掛けた。
加奈子さんは、真剣なまなざしで僕に言った。
「私、このままじゃダメだと思う。自分から今の状況を打開しようと思わなきゃいけない・・。」
加奈子さんの中でも、先週の雨の日から何か変わったものがあったのだろう。加奈子さんのその一言で、僕は自分が考えていたことを素直に口に出すことが出来た。
「加奈子さん、来週の日曜日、3時に、この広場で待ち合わせをしましょう。」
他の誰かと待ち合わせをして、この広場からどこか別の場所に行くことが出来たなら、きっと加奈子さんは彼のことを忘れることができるだろう。そう思い、僕は加奈子さんを誘った。
加奈子さんがこの広場から動けるかわからない。もしも動けなかったら、より加奈子さんの中の苦しみが強まってしまうかもしれない。それは賭けである。
しかしそれが、僕の中で出た結論だった。
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