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4、5話
「考え方次第だと思うのよね。」
たった今ウエイトレスが運んできたコーヒーに砂糖を入れながら、秋元さんは言った。そして、コーヒーをスプーンでかき混ぜて砂糖を溶かしてから、ミルクを入れる。
「考え方って言っても・・」
僕は、コーヒーをブラックのまま飲んだ。砂糖と間違って塩を入れてしまう危険を回避するために、コーヒーはブラックで飲むのだ。コーヒーに限らず、料理は出来るだけ何かをかけたりはせず、そのままで食べるようにしている。長年、運の悪い人間をやってきた習性。悲しい性。
「幸田君って、何か自分に良くないことが起こったときに、必ず自分は運が悪いからって思うでしょ。それが良くないと思うのよね。自分は運が悪いって卑屈になってるから、よけいにいろんなこと失敗しちゃうのよ。」
そう言ってから秋元さんはコーヒーに口をつける。
「そうかなあ・・」
「悪いことが起こって暗い顔ばっかりしてて、その暗さで余計に悪いことを引き寄せちゃってるって感じ。もっと前向きになれば、そんなに悪いことばかり続かないと思うけど」
・・確かに僕は、卑屈になって暗い顔ばかりしているかもしれない。それでも秋元さんの前では明るい顔をしている方だと思うけど・・。
そんなことを考えている僕に、秋元さんは続けていった。
「自分に降りかかった悪いことも笑い飛ばせるくらいの明るさがあったら、きっと不幸なんて吹き飛んじゃって、本当の幸運がやってくるのよ。言うでしょ、笑う門には福来るって。」
そうやって、笑顔を作る秋元さんにつられて、僕も自然と笑顔になった。
「そうそう、そんな風にいつも笑ってたらいいのよ。」
僕の名前は幸田実。僕は運が悪い。
しかし、最近ちょっとだけ幸せな時間を過ごせる時がある。
秋元さんは、大学のクラスメイトである。他の人たちは僕を避けるように過ごしているが、彼女だけはいつも優しく接してくれるのだ。僕は、その優しさと、大きな目が印象的な可愛い顔と、さっぱりしていて前向きな彼女の性格を好きになった。
けれど、その気持ちを伝えることはしていない。これからもしないと思う。どうせ、気持ちを伝えても僕はふられてしまう。
僕は、運が悪いから。
・・きっとこういう風に後ろ向きな性格が余計に幸運を遠ざけているんだ。僕は秋元さんの言葉を思い出した。悪いことも笑い飛ばせるくらいの明るさがあれば・・・。
そうだ、いいじゃないかふられても。どうせかなわないのなら、気持ちを伝えてふられる方がいいじゃないか。
僕は、秋元さんに告白する決心をした。決心をしたのは、そんな前向きな気持ちになってからまた数日経ってからのことだったが。
秋元さんは、大学のベンチで友達と座っていた。
僕はその姿を見つけ、後ろから声をかけようとした。話があるからと言うつもりで・・。
しかし、声をかけようとした瞬間、彼女と友達との話し声が耳に入った。
「里美ってさ、便秘と仲良いよねー」
便秘というのは、僕のあだ名である。自分のことを話していると気づいた僕は、声をかけられずとっさに隠れてしまった。
「便秘と一緒にいたら良くないこと起こるよー。」
「まあ、たしかにあまり良いことは起きないけど・・」
「それなら、なんであいつと仲良くするの?」
「・・・んー、幸田君って、昔飼ってたペットのペロちゃんに似てるのよ・・」
・・その話を聞いた瞬間、僕は彼女に声をかけずに帰ることにした。
なるほど・・ペットに似てるから優しかったのか・・。
僕は、やっぱり運が悪いのだ・・。
5
僕は幸田実。
田に幸せが実と書く、とても縁起の良い名前だ。
けれど僕は、運が悪い。
秋元さんが僕をペットに似ていると言った日、帰ろうと思っていると雨が降り出した。僕は外出する時にはいつも持ち歩いている傘を広げ、家路に向かい歩き出した。
ちょうど橋の上を歩いている時に、僕の携帯電話が鳴った。誰からだろうと思いカバンの中に入っていた携帯を掴み出したその瞬間、突風が吹いて傘が飛ばされそうになった。
僕は一瞬ひやりとしたが、何とか傘を飛ばされずにこらえることができた。しかしほっと一息ついたとき、僕の手から携帯電話が滑り落ちた。そして携帯電話は、橋の下へと落下していき、川に吸い込まれた。携帯電話が最後に作った波紋も、すぐに消えた。
・・あー、やってしまった・・・。
僕は、自分の運の悪さを呪った。新しい携帯電話を買ってこなくてはならない。しかし、どうせ電話を買ったところでまた落としたり壊したりするのがオチだし、僕の電話はなぜか電波が悪いしメールも遅れて届く。
どうせたいした連絡も入らないのだから、このままでもいいかと考えた。
そんなことを思いながら立ち止まっていると、トラックが水溜りの水を思いっきり僕にかけて走っていった。僕は泥水でびしょびしょになった。もう、傘を差している意味も無い。
その時僕は、何もかもが面倒になった。僕は家に帰り、全てを投げ出して眠りたい気持ちだった。
実際に、それから3日、僕は家に閉じこもっていた。家に閉じこもっていれば、それほど大きな不幸に見舞われることも無い。
悪徳不動産屋で借りた、外見はまあまあだが雨漏りと騒音がひどくて一階がやくざの事務所になっているアパートで、僕はただボーっとしていた。
僕が家に閉じこもっていた3日間、窓の外は見事なまでに晴れていた。
僕は部屋でボーっとしながら、秋元さんから言われたことについて考えていた。卑屈になって暗い顔ばかりしているから、余計に不運を招く・・。だからって、悪いことが起こっているのに明るく居られるほど、僕は強くない・・。
でも、確かに、僕が自分の運が悪いと思って卑屈になっていたって、何も変わらない。いつまでも機械を怖がりながら触って、まわりの人に迷惑をかけるとビクビクして、コーヒーに砂糖を入れられなくて・・それじゃあいつまでたっても運が悪くて鈍臭い今の自分から抜け出すことなんてできない・・・。
秋元さんが言っていた。笑う門には福来る。いつまでも今のままで居たって仕方ない。前向きに、どんな不運だって笑ってすませてしまおう。自分の不運をどうすることも出来ないのなら、それを面白がって笑い飛ばしていればいいのだ。きっと大丈夫。秋元さんがそう言ったのだから、きっと・・。
僕の心が、だんだんと晴れていった。
僕は、家に引きこもってから4日目に、また学校へ行くことにした。とにかく、秋元さんと会いたかった。会って、これからは前向きに生きることにすると伝えたかった。
その日は、これまでの3日間の晴天が嘘のような土砂降りの雨だった。それでも僕は、雨模様の空を笑顔で見上げた。やっぱり自分は運が悪いなあ、でもまあ良いか。雨が降る日だってある。たまたまその日に僕が外に出ただけだ。
そんな風に、不運を気に病むことなく笑って済ませるなんてことは、今までの自分では考えられないことだった。秋元さんの言葉のおかげだ。やっぱり、彼女の言葉が今までの自分を変えるほどの力を持つくらいに、僕は彼女のことが好きなのだと思った。
やっぱり、僕は彼女のことが好きだ。だから、いいじゃないか。僕がペットに似ているおかげで、秋元さんは僕にやさしくしてくれる。今はそれだけでも、いつか、ペットに似ている僕のことを好きになってもらえれば、それでいいじゃないか。
僕は、傘を差し、学校に向かって歩き出した。
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