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ぼくのアップルマフィン
お母さんのアップルマフィン以上の食べ物なんて無かった。
甘くて、柔らかくて、りんごの風味がしっかりきいていて、とにかくほっぺたが落ちそうになるくらい美味しいんだ。
そのアップルマフィンの匂いがキッチンに立ち込める日は、それが雨の日でも、友達とけんかした日でも、僕をとても素晴らしい気分にさせてくれた。
そして、そういう僕が落ち込みそうな日には、決まってお母さんはアップルマフィンを作ってくれた。
・・・そう、僕が小学校に入る頃までは。
僕が小学校に入ってすぐ、お母さんと僕は別々に暮らすことになった。
そして、前から何度か家に来ていたおばさんが、僕の新しいお母さんになった。
僕だってもう小学生だ。お母さんとお父さんが離婚して、お父さんが再婚したってことはわかる。
それが、きっとどうしようもないことだってことも、頭では理解できる。
新しいお母さんは良い人だ。
とっても優しくしてくれるし、僕が落ち込んでいる時には心配してくれる。
けど、新しいお母さんは、僕のお母さんにはなれない。
僕は、新しいお母さんにアップルマフィンを作ってもらった。けどそれは、僕が食べたいアップルマフィンじゃなかった。
新しいお母さんに悪いから、美味しい顔をして食べたけれど・・。
僕は、お母さんに会いに行くことにした。
みんなが留守の時に、お父さんのアドレス帳を盗み見た。
そして僕は、お母さんの名前を見つけた。
お母さんの苗字は変わっていて、お母さんの方のおじいちゃん達と同じ苗字になっていた。
そこには、お母さんの新しい住所が書いてあった。お母さんが住んでいる場所は少し遠いけれど、僕一人で行けるさ。
きっとお母さんは僕が来たらビックリするだろうな。
ビックリして、それから笑顔でアップルマフィンを作ってくれるかな。
お母さんの住所を書いた紙を持って、道々で人に訊ねながら、僕はお母さんの家を探した。そして、その住所の場所を見つけることができた。
けれどお母さんが住んでいるマンションの表札は、お母さんの苗字じゃなく、別の人のだった。
本当にここにお母さんがいるのだろうか。そう思いながら僕は、恐る恐るピンポンを鳴らした。
マンションのドアからお母さんが出てきた。ここで間違ってなかったんだと、僕は安心した。
僕を見てお母さんはビックリした。思っていた通りだ。
しかし、僕の思っていたのとは違い、お母さんは困った顔をした。
「どうして勝手に来たの。帰りなさい。」
そう、お母さんは言った。
でも、せっかく来たのに。アップルマフィンが食べたいんだ。僕がそう思っていると、奥から知らない男の人が出てきた。
「どうしたんだ?」
「・・ごめんなさい。息子が来ちゃったの。」
そう言って申し訳無さそうにしたお母さんに、その男は、じゃあどこかでご飯でも食べてきたらいいよ、と優しく言った。
お母さんは、僕をファミリーレストランに連れて行った。
何も話さずにただチョコパフェを食べる僕に、最近どう、とお母さんは尋ねた。
お母さんが居なくなってから、僕はずっとずっと落ち込んだ気分だったんだ。こういう気分の時は、お母さんのアップルマフィンを食べれば元気が出る。だから、アップルマフィンを作って、僕に食べさせてくれよ。
・・僕は、思っていることを言えず、毎日元気にしているから大丈夫だと言った。
今日は、ちょっと寂しくなったから来ちゃったけど、お母さんが元気そうなのを見て安心したよ。と・・。
レストランを出て、僕はお母さんにサヨナラと言った。
帰り道に、僕は寂しくなった。気分は前以上に落ち込んでしまっていて、帰る足取りはとても重たかった。
沈みかけている夕日で、家への道は真っ赤に染まっていた。それに照らされた僕は泣きそうになった。
けど涙が零れ落ちそうになった瞬間、僕は上を向いて涙をこらえた。
泣いたって仕方ない。どんなに落ち込んだ気分になっても、もうアップルマフィンは無い。
さっきお母さんに言ったサヨナラは、お母さんのアップルマフィンとのサヨナラでもあったんだ。
少しだけ涙が引いたその瞬間に、僕は前を向いて走り出した。
全てを振り切ろうと全速力で走った。
うわぁぁぁぁ・・・と声をあげて、とにかく夢中で走りつづけた。
お母さんは、もう僕のお母さんじゃないんだ。これからは、アップルマフィンが無くても、自分で何とかしなきゃいけないんだ・・。
結局は零れてしまった僕の涙は、夕日で照らされる道に輝いて消えていった。
・・・
日が暮れた頃に家に着いた僕を、お父さんと新しいお母さんが玄関先で向かえてくれた。
僕は、心配かけてごめんと謝ってから、ただいまを言った。
お母さんのアップルマフィン以上の食べ物なんて無かった。
甘くて、柔らかくて、りんごの風味がしっかりきいていて、とにかくほっぺたが落ちそうになるくらい美味しいんだ。
僕は、今でも落ち込んだ時にはアップルマフィンを思い出す。
そしてその度に、前を向いて強く生きようという決意を新たにするのだ。
おわり
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