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屋上 後編
俺が数年前になぜ親父を殺してしまったのかは、今では良く思い出せない。
ただ、自殺しようとしていた時の気持ちだけは覚えている。
親父を殺してしまった罪悪感からでも、それから先の人生に対する不安でもなかった。
とにかく俺は、人生に嫌気が差していたのだ。
俺のせいと言えばそれまでかもしれない。その時の俺は、社会と上手く折り合って生きていけるという気がまったくしなかった。
このまま生きてても、周りにも自分にもつらいだけだ。上手くいくわけがない。そんなことだけを思っていた。
「まあ俺も、人なんてみんな死んで滅亡しちゃえばいいと思うけどな。」と俺は言った。
しかし、言ってから本当にそうなのか自分でもわからないことに気がついた。今でも俺は、全てに嫌気が差していたあの頃の気持ちを持ち続けているだろうか。
俺は、本当に人類が滅亡したらいいと思っているだろうか・・。
あの日死ねなかった俺は、それからの人生を深く考えずに生きることにしたのだった。
何が正しくて、何が間違っているか。
そんなこと考えずに、ただ流されるままに、言葉はその場を乗り切るためにテキトーに発し、全てにおいて無難な道を選ぶ。
全ての苦痛から目をそむけ、自分も、自分の人生もどうでもいいものだと、良く言えば上手く折り合いをつけて、悪く言えば全てを諦めて。
そうやって生きていくしか、俺にはできなかった。
「ただ俺の場合は、人類は滅亡していいと思うけど、自分の遺伝子は残したいと思ってるけどな。」
自分の気持ちがわからない俺は、いつだってこういう冗談を言ってしまう。いつだって自分の本心をはぐらかしていれば、自分の気持ちなんてわからないままでかまわないから。
「なんだよそれ。・・つまり、他の人はどうでもいいってことか。」
「まあ、そういうこと。自分が良ければそれでいいのさ。」
本当は、自分さえもどうでもいいと思っているのだけれど。まあ、そんなことをこいつに言ってもしかたないだろう。
こいつは、不思議な感じがする奴だ。
これから死のうというのに、俺と打ち解けてしまったような気がする。やっぱり、どこか昔の俺と似ているせいだろうか。
俺はそろそろ家に帰ろうと思った。これ以上こいつに関わることは、あまり良くないような予感がした。
もしもこいつが本当に飛び降りるとしたら、その直前に俺が会っていたなんて人に知られると面倒だ。
あ、そういえば、もしもこいつが飛び降りたら、そこそこ大事になるだろう。この屋上は今までは自由に出入りできたが、自殺者が出たとなると立ち入り禁止になるかもしれない。
そう思って俺は、恐る恐る聞いてみた。
「お前、その自殺、俺が止めたらやめるか?」
きっと、絶対にやめる事なんて無いだろうけれど。
「・・いや、やめないけど。」
やっぱりそうだよな。
「・・そうか。じゃあ、まあしかたないよな。・・・いいよ。止めない。」
「・・なんなんだよ。」
「いや、ここって、俺のお気に入りの場所なんだよね。もし飛び降りとかあったら、鍵かけられたりして立ち入り禁止になんのかなあって思ってさ。」
俺がそう言うと、少年はふっと笑って言った。
「なんだ、そんなことかよ・・」
「ま、そんなことだな。いいよ、他の場所探すから。」
俺はそう言いながら、他の場所を探す気は無かった。俺にとっては、この屋上以外に来るべき屋上は無い。しかし、俺にはこいつの自殺を止める権利なんてないし、それで立ち入り禁止になったならしかたない。屋上に来て自分を嘲るなんてことをやめればいいだけだ。
「・・それじゃ、邪魔したな。」
そう言って俺はその屋上から立ち去った。
あいつは、飛び降りるのだろうか。
本当に飛び降りられるなら・・そう思うと、俺はあいつのことがうらやましくて仕方なかった。
けれどそんなうらやましい気持ちも、屋上からの階段を下りきった頃には消えていた。
数年前から自分に染み付いている癖。
深く悩まず、まあいいかと忘れてしまう。
昨日の夜に自殺少年と会ったことは、夢かもしれない。
昼過ぎに目覚めた俺は、そんなことを思いながらテレビをつけた。
すると、午後のワイドショーで近所の景色が映し出されていた。
画面右下に出ているテロップには、「高校生男児、家族を殺して自殺」と出ている。
俺は見た瞬間に、それは昨日の男のことだと思った。
間違いない。昨日屋上にいたあいつは、あの時すでに家族を殺していたのだ。
俺は、ニュースで一通り事件の説明が終わるのを見て、テレビを消した。
あまりにもあいつは俺と似すぎていた。
家族を殺して、人生に嫌気が差して、そしてあの屋上に向かった。
実際にあいつが心の中でどんなことを思って自殺したのか、詳しいことまではわからない。
しかし、俺とあいつとで何の違いがあったのだろうか。
俺は、今なぜ生きていて、そして、きっとこれからも生き続けるのだろう?
俺に覚悟が足りなかったから?あいつが俺よりも追い詰められていたから?
・・・そんなことはいくら考えたってわからない。
まあ、いいか。あいつのことは、俺とは関係ないことだ。
俺は、考えることをやめて、シャワーを浴びることにした。
夜からはバイトがある。その前に彼女でも呼んでラーメンでも食べに行こうかな。
深く悩む必要なんてない。
何も考えなければ、何とか生きていけるのだから。
死ねない俺には、それしか生きていく術が見つからなかったのだから、しかたないのだ。
おわり
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