○●●遊女asome●●○

2006.12.19
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「大原御幸」とは、平家物語の灌頂巻(かんじょうのまき)にある物語です。平清盛の娘である建礼門院は平家一族の滅亡の場面に立ち会いながら、息子と共に身を投げたにもかかわらず、源氏の武士によって一人助けられ、義経によって捕らわれた、悲しい身の上の女性です。母、時子からの遺言である、滅亡した平家の魂を慰める役割を担って、人里はなれた大原の寂光院で出家し、祈りの日々を送っているところに、舅の立場であった後白河法皇が訪れます。かつては国母とも言われた建礼門院が、小さな庵で祈りの日々を過ごしているその姿に、法皇も涙するのでした。法皇は、六道の地獄の有様を生きながらに経験したという建礼門院にその有様を語らせるのでした。実際には源氏が平家を滅ぼしたわけですが、なんと言ってもその命を下したのは法皇なのであって、この物語は、その法皇と平家滅亡の生き証人である、建礼門院との平家の武者たちへの鎮魂をテーマとした物語なのだと言われています。

女性である建礼門院が中心なので、非常に静かな動きが続きます。法皇と、時々みつめあうその時、二人は同時に向き合い見つめあうのですが、その時にかもし出される、緊張感、凛とした美しい悲しみに満ちた空気。二人の間に、語られる謡、そのことばでは語りきれない万感の思いと悲しみは、舞台空間にあふれ、見るものの胸を締め付けるのです。
たった、何センチかの動きによって、時空間を越えた人々の思いを表す芸術である能の凄さがあるんですね。非常に感動しました。また、この平家物語は、非常に美しい言葉で描かれているということでも有名です。まだまだ、能の舞台をちゃんと見るのは二回目なのですが、機会があれば、数多く見に行きたい芸術です。

能の公演に実際に行くことで、他の公演の情報がふんだんに手に入るという楽しみもあります。会場には能についての書籍などが販売されていて、もちろん謡本などもおいてあるのですが、それを一般で手に入れようとおもうとなかなか売っていないのですね。白州正子さんの能についての本は、帰ってからインターネットで買おうと思ったら、なかなか見つからず、買っておけばよかったと思いました。やはり能を楽しむ人々の人口は多くなっていていると思っていましたが、全体的にみるとまだまだ少ないのでしょうか。でも一度舞台を見ると、かなり病みつきになってしまいます。観世能楽堂、この国立能楽堂、矢来能楽堂など、どこも素敵ですが、ぜひ一度薪能をみてみたいと思いますが、皆様も機会があったらぜひ能の舞台をご覧になってみてくださいね。





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Last updated  2006.12.20 00:29:18 コメントを書く


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