メトロポリタンポリス

第1章 彼との出会い



いつものように目が覚めた。

いつもと同じようにベランダへ行き、

同じマンションに住むサラリーマンらしき男の人を見てから、

私の1日がはじまる……

だけどここ最近その男の人を見る事がなくなった。

もう何ヶ月もこうしてきたのだから、

毎朝見ないと気がすまないのだ。

名前も知らない…好きなわけでもないのに…

ただ見ることが日課になっていた。

「今日もいないのかぁ~」

私は前田瞳(22歳)
彼氏いない歴4年。
4年前にここに引っ越してきた。
今は一人暮らしで独身だ。


この日もいつものように、パンをほおばり、

メイクをすました。

「ヤバッ!遅刻しちゃう」

急いで会社へ向かった。

――――――会社―――――――

案の定遅刻してしまった。

会社へ着くと、会議がはじまっていた。

―――――――会議室―――――――

――トントン――

「広報部の前田です。遅れてすみません。

「まぁた前田君遅刻かね?

君は何回遅刻すれば気がすむのかね?

最近乱れてるんじゃないのか?

時間にはちゃんと来てくれなきゃ困るよ?

はい、早く座って座って。

では続けます。」

「はいすみません…」

私を怒ってってきたのは、

広報部取締役の山崎勇介さん(42歳)

結構私は好きな上司だった。

(あーぁ。また遅刻しちゃった…3回目だよ。
ついてないなぁ~…。
ってか同じマンションの人…どうしたんだろ?
毎日見ないと気が狂うなぁ~。
今日思い切って管理人さんに聞いてみよう!!)

「……み!…とみ!ひとみ!」

「えっ?!」

「えっ!?じゃないよ。会議終わったよぉ~?」

「あっ!ホントだ!」

あれこれ考えてたら、会議が終わっていた。

「ボーっとしてたけどどうしたの?」

「ちょっと考え事しててさぁ~」

ニコッと笑って見せた…もちろう作り笑いだ。

「ならいいけど!」

と、私に声をかけてきたのは、

同期で入った、同い年の石山瑞希。

今この会社では一番仲のいい子。


瑞希は私みたいに遅刻はしないし、
仕事もできて可愛い。
大学時代から付き合っている一樹というカッコイイ彼氏もいる。


「ねぇ~ひとみ~?さっきの話聞いた?」

「さっきの話って?」

「会議の話よー。出張する人がいるんだってさぁ~。」

「えぇ?!誰だから決まってるの?」

「それがさぁ~あとから取締役が本人に直接言うんだってさぁー。

私は絶対いやよ」

「えぇ?!でもさっ、私たちはまだ入ったばっかだし、

大丈夫でしょ!!さっ、仕事場に戻ろう?」

私たちは春に入ったばっかで初めての夏だから、

大丈夫だと思っていた。

仕事場に向かう途中、

山崎さんに話があると呼び止められた。

「ひとみ!先に行ってるね!」

「ゴメンネ!後から行くから!」

といい、山崎さんに連れてこられ、会議室に入った。

――ガチャ――

「単刀直入に話すとだね?

さっき会議で話した通り、

東京の本社に出張に行ってもらう人がいるんだがね、

前田君!君に行ってもおうと思ってるんだ!!いいかね?」


「はー…ってえぇ!?私ですか??」


「嫌なら遅刻も多いし辞めてもらっても」


「それは…私でいいんですか?!まだ入ったばっかだし…遅刻はするし…」


「取締役からの推薦だ!君にぜひ行ってほしい。日にちは明日の13日から18日までで、17日は休暇をとっていいぞ。いいかね?」


「ぇ…ぁっ…はぁー…」


ゴッホン


「あっはい!わかりました」


「じゃぁしっかり頼むよ!さぁー仕事に戻ってもらおうか」


「はい。失礼しました」

――ガチャ――

(はぁーとんでもない事になっちゃったよ…

どーしよう…出張…しかも東京の本社…

仕事ができる人に行ってもらえばいいのに…。

ホントついてない)



落ち込んで帰ってきた私の姿を見つけて、瑞希が顔を覗いてきた。

「ねぇねぇねぇ!!ひとみっ!!何だったの?!話って?!」


「みずきぃーーー。」

と私はだきついた


「どうしたの?ひとみ?」


「出張…あたしになっちゃった…しかも東京の本社…」


「マジで?!」


「大マジ!!」


「で、いつから?」


「明日」


「えぇ!?明日?!」


「うん…」

そう言い二人は仕事へ戻っていった。

――――16時―――――

「ひとみっ!帰ろー!」

「うん!」

「それにしても明日なんて急だよねー。取締役もおかしいんじゃないの?」

「ホントついてないなぁ~。なんで私なんだろ?

仕事できる人ならもっといるのにね。

でも17日休みもらっちゃったぁ!!

東京見物してくる~」

「あっズルイ!!お土産買ってきてよね?」

「わかってるってぇー」

そんな会話をしながら、二人は別れるところへ…

「じゃぁね!みずき!」

「うん!出張頑張るんだよ?毎日メールでも電話でもしてね?」

「うん!ありがと!バイバーイ」

――――マンション―――――
あっ管理人さんだ~。

「おかえり~」

「ただいまぁ~ねぇ~山田さん?私明日から東京に出張なの~」

管理人さんは山田直子(53歳)

とても優しい管理人さんを私は大好きだ。

「いいわね!ひとみちゃんお土産よろしくね~」

「はいよ~じゃぁね」

…………あっ!?聞くの忘れてた………

「そうだ!!山田さん!!

いつも7時ぐらいにここを通る………

サラリーマンっぽい男の人………。」


「佐藤くんの事?」

「佐藤さんっていうの?最近見ないんだけど、どうしたの?」

「さぁ~ね~?

確か仕事で2・3週間家をあけるような事言ってたっけなぁー?」

「じゃぁ引越したわけじゃないの?」

「引越しはしてないわよ?」

「そーなんだ!ありがとう」

へぇ~佐藤っていうんだ……仕事か…

――ガチャ――


「ただいまぁー」

って誰もいないか!

明日からの5日間の準備を終え、

お風呂へつかり、

夕飯を食べ、

テレビを見て――――


「明日は5時……っと!!寝よう」

いつもより1時間は早くベッドへ入っただろうか?

――――翌日―――――

ピピピピピッ!!!


「あぁー眠い。出張か…準備準備…」

朝ごはんも食べずに、

身支度をすませ、

さっさと家を出た。

そして東京行きの新幹線にのった。

緊張と不安でおしつぶされそうだった。

――――9時半東京到着――――

「やっとついたか…さぁここから迷わないようにしないと…」

あっちやこっちと何回も道を間違えながらもやっとホテルに到着。

荷物を置いたら、

本社に……あっ!その前に到着の報告か!!

取締役に到着の電話をいれ、急いで本社へむかった。

――――本社――――

うゎぁーーー広い。デカい。さすが東京!!

どーすればいいのかな?

と迷っていると…


「君が前田君かね?」


40歳くらいの男の人が声をかけてきた!


「はい。そうですが……」

「待っていたよ。

山崎君からはいろいろ聞いてるよ。

僕は中野聡。

君と一緒に仕事をする者だよ。よろしく」

と手を差し出してきた。

「あっ前田瞳です。よろしくお願いします!」

と手を差しだし、握手をかわした。

「さぁ挨拶はこの辺にして、さっそく今日の仕事に入ろうか」

「はい!」

仕事はいつもよりハードで、昼食すらまともに食べれず、

午後5時仕事が終った。

はぁ~疲れた。

あっ休憩する場所がある!

少し休んでからホテルに帰ろう。

ベンチの前の自販機で、缶コーヒーを買い、ベンチへ座った。

はぁ~疲れた。

本社はこんなにハードなんだ………

とよっぽど疲れていたのか、少し寝てしまった…。

はっ!!

と目が覚めた時には、もう18時すぎてた。

早くホテルへ戻ろう!!ベンチからたって歩き出そうとした時…

「あの~?これ忘れてますよ?」

と言われ、後ろを振り返ると、

私の仕事の資料のファイルをもった、スーツ姿の男の人が立っていた。

「ありがとうございます。」

と顔を見ると…

「あっ!!」

お互い声を揃えてしまった。

だって目の前に立っているのは、

私がベランダから毎朝見ていたあの男性だったから…。

「あの~?」

「あっ!はい!あの~佐藤さんですよね?

私、コスモマンションで一緒の………」

「あっ!!やっぱり!!君か!!仕事で東京へ?」

(なんで顔を…あっ!何度かすれ違ったっけ??

覚えててくれたのか…。)

「あっはい。ここが本社で……」

うゎぁーこんな近くでまじまじと見ると、

この人すごいカッコイイじゃん。

「ここが本社なの?じゃぁ長野でもT芝に勤めてるんだ?」

「はい……佐藤さんも仕事ですか?」

「俺はね、今日の取引先がたまたまここでねー。

仕事終ってここで一服してたんだ。」

「そうなんですかぁー」

(やばい…ドキドキだよ…。)

「そうだ!名前なんていうの?

俺は佐藤翔平。

M下に務めてるんだ!よろしくね」

笑顔で手を差しだしてきた。

(うゎぁ…笑顔にドキっとしちゃったよ…。)

「あっ…ぇっと私は前田瞳です。」

私も緊張しながらも精一杯の笑顔で手をさしのべ握手した。

「ひとみちゃん!もう帰る?俺も帰るから一緒に帰ろうよ!

帰るって言ってもホテルだけどな」

「あっもちろんです」

(ひ・ひ・ひとみちゃん!?いきなりちゃんづけかよー。
バカバカバカ!!何緊張してるんだょ…。)

「……みちゃん?ひとみちゃん?」

「あっ!!はい?」

「いくつなの?俺は22。」

うそ…同い年?!

偶然にも一緒??偶然すぎるよ!!これは運命なのかな??

「……みちゃん?ひとみちゃん??」

(やばっ!!)

「はい!同い年です!」

彼…佐藤さんは驚いていたがすぐにニコッと笑った。

「マジで?!偶然だね!!いや案外運命だったり?」

(さっき私が思った事と同じだ!!

これも運命?

思わず顔がニヤけてしまった。)

「どうしたの?ニヤニヤして?

そうだ!俺の事は翔平でいいから!あと敬語も禁止!」

「うん!わかった!しょ…翔平君!!」

勇気をだして名前で呼んでみた。

彼はまたニコッと笑った。

(笑った顔が素敵すぎる!!)

「俺ここのホテルなんだ!!瞳ちゃんは?ってかはいこれ!

俺の連絡先!いつでも連絡してね!

ひとみちゃんも名刺かなんかある?」

と名刺を差しだしてきたので、受け取った。


「ありがとう。あたしはもう少し向こうのホテル。

これあたしも名刺。」

と私も名刺を差しだした。

「ホテルまで送ってくよ!」

「大丈夫だよ!一人で!」

「いやでも暗いし?危ないから」

「大丈夫!!なんかあったら連絡するから!!」

「ホントに?」

「うん。大丈夫。ありがとね。じゃぁまた!バイバイ」

「おう!じゃぁ気を付けてな」

(うゎぁーどうしよう…名刺交換しちゃったし…

これ以上一緒にいたら、ドキドキしてるの隠しきれなかったかもしれない…

よかった……ってか私どうして翔平君にドキドキしてるんだろう…

ただ毎朝見てただけなのに??もしかして好き?………そんなわけないか!!

こんな事を考えてたらあっという間に、ホテルについた。

「疲れたーー」

――バタン――

ブーブーブーブー

携帯だ!!

「To:瞳ちゃん

無事ホテルについたかな?

まさか今日瞳ちゃんに逢うとは思ってなかったよ!!

同い年だとか奇遇だね!!

もしよかったら今度一緒に食事しない?

俺17日休みなんだよね!!

じゃぁ返事待ってます(^O^)

From:佐藤翔平」

(17日…17日…17日!?あたしも休みじゃん?!

食事行きたい行きたい!!

神様ありがとう!!ありがとう!!)

「To:翔平君へ

無事ホテルに着いたよ~(o^-^o)

心配してくれてありがとう♪♪

17日……実は私も休みなの!!

ホント奇遇なんだけど…。

食事オッケーだよ!!

From:瞳」

(はぁ…17日休みって言っちゃったよ…うわぁー…)

ブーブーブーブー

電話だ…翔平君の番号と一緒だ!!

「もしもし…翔平君??」

「うん。瞳ちゃん??」

「うん」

「17日休みって本当??」

「うん」

「その日1日中暇?」

「うん」

「東京巡り一緒にしない?」

「いいの?」

「もちろん!いや?」

「全然!!」

「じゃぁ決定ね」

「うん」

地元も一緒で、隣の中学校だったみたいだ。

地元の話でもりあがってしまった。

それから一時間くらい話しただろうか?

「じゃぁ17日ね」

「おう!じゃーな」

「うん!バイバイ」

――ピッ―――

(やったー!!デートの約束しちゃった!しちゃった!!

って!何喜んでるんだよ自分!!!。

そうだ!!何着ていこう…

出張先だから大した服持ってきてないよ。最低!!)

疲れてたから着替えをしお風呂へ入り、さっさと寝てしまった。

これが彼との出会いだった。

第2章へつづく…

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