今年もたくさんの年賀状を頂きました。
『結婚しました』『子供が生まれました』なんて書いてある賀状もあったりして、毎年微笑ましく拝見します。
今年も『結婚しました』の報告がありましたが、ちょっとこの人だけは違っています。
一度しかお目にかかった事はありませんが、確か60歳は越えているはず。
一昨年の賀状に『女房が亡くなりました』と書いてあったのです。
あらら、なんとおめでたい。
再婚なさったのですね。
よかったですねぇ。
その横に『犬は元気です』の文字。
今年私はその人に出した賀状に『ケンちゃんのお母さん(クロちゃん)がなくなりました』と書いたのです。
釣りの話しもキャンピングカーの話しもネタ切れですので、しばらくクロちゃんの事を書きたいと思います。。
クロちゃんは職場の駐車場に、いつの間にか住み着いた真っ黒な人相(犬相?)の悪いメス犬でした。
多分誰かに捨てられたのだと思います。
その頃、やっと成犬になったくらいだったでしょうか。
女の子の多い職場でみんな犬好きだったので、可愛がってもらっていました。
それぞれが自分の食べ物をクロに分けてあげたりしていて、愛情と食べ物には不自由していない様子でした。
お客さんとも顔なじみになって、わざわざクロの為にお弁当を作って毎日持ってくる人、クロの為に食べ物を買ってくれる人も何人かいました。
頭のいい犬でしたので親切にしてくれた人は決して忘れず挨拶に行くので、みんな可愛がってくれました。
職場は食品も扱っていたので、クロが食べそうなものを仕入れておくと、飛ぶように売れました(笑)
店の売り上げにかなり貢献していたクロちゃんでした。
犬缶・ソーセージ・ちくわ・パン、大体こんな物をみんな買ってあげていたようですが、最初は喜んで食べていたクロも食傷気味で食べなくなったようです。
毎日いろんな人が何かをくれるので、お腹が空く暇がなかったのかも知れません。
いつも怖い顔をしたおじさんが、すっごく怒りながら店に戻って来ました。
何か文句を言われるのかと思ったら、「クロの奴、パン食べやがれへん!」と言いながらクロの喜びそうなものをあれこれ買っているのです。
ほっ・・・怖い顔をしてるけど、いい人やん。
それでも太りもせずツヤは良くなったけど、相変わらず貧相なキョンキョンの犬でした。
そんなクロですが、大きなトラックが来ると尻尾を振り、目を輝かせていました。
トラックが行ってしまうと、お座りをして見えなくなるまでじっと見送っていました。
多分トラックに載せられて、ここに捨てられたんだ思います。
いつか迎えに来てくれると信じているようでした。
誰の目にも、そう見えました。
その背中が寂しそうで涙が出そうでした。