クロの写真はあったはずですが、探したけど見つかりませんでした。
みんな色々なクロを想像しているようです。
ひとりひとりの中に出来上がったクロ。
それもいいのかもしれませんね。
親子を引き離すのは可哀想だけど、そんな事は言っていられない状況になってきました。
手分けして捜し、子犬たちはもらってくれる所が決まりました。
なかには「可哀想になぁ~。うちに来たらええ。うちは何匹もいるし、みんな放し飼いやさかい、そこいら中の田んぼを駆け回っとるわ。文句を言いに来たら、いつも反対に怒鳴り返したるねん。ははは・・・」と、ちょっと疑問符も頭の上に出たりしましたが、この際そんな事は言ってられない切羽詰った事態と、犬の幸せを一番に考え一匹をお任せする事にしました。
ところが人相(犬相?)の悪いタレ乳のクロは、やはり貰い手がありません。
これ以上、昼間駐車場でウロウロしているのは危険です。
それで苦肉の策としてクロと仲良しの人が、昼間は100キロ以上離れた自宅に連れ帰ってくれる事になりました。
その人は夜中に走るトラックの運転手さんです。
人間嫌いのようなちょっと変わった人でしたが、クロとは一番の仲良しさんでした。
子供が生まれるまでは、その人は仕事を終えるとクロと一緒に車の中で仲良く朝食をとっていました。
だからクロはその人のトラックに乗ることには慣れていたのです。
夜、仕事に出かけるときに、駐車場でクロを降ろして仕事に行きます。
朝、仕事を終えてクロを乗せて家に連れ帰ります。
夜中は絶対に捕獲には来ないのでこれで安心です。
クロはすました顔をしてトラックに乗って帰って行きました。
ところが2日後、クロが家からいなくなったと電話がありました。
もしかしたらそこに帰って行くかもしれない、保健所にも連絡して必死で捜してる。
いや絶対に捜してみせる、と焦った口調でした。

